NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WINGER : SEVEN】 JAPAN TOUR 23′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KIP WINGER OF WINGER !!

“I Do Feel Overall SEVEN Has All The Hallmarks Of Classic WINGER.”

DISC REVIEW “SEVEN”

「全体的に “SEVEN” はクラシックな WINGER の特徴を備えていると感じているんだ。それは、Paul Taylor の復帰とオリジナル・ロゴの復活でより強調されているね」
WINGER は巨大な才能を持ちながら、同時に “二刀流” というジレンマに悩まされてきたバンドです。華やかなロックやメタルには知性が強すぎ、プログレッシブの宮殿に入るには騒がしすぎる。この、実は非常にユニークな並列の魔法は、爆発的なヒットとなったデビュー2作のあと、局所的なリスペクトを得ることを生贄に、バンドの足枷として長く活躍の妨げともなってきたのです。
「僕たちは決して “解散” していないんだよ。グランジ・ミュージックに支配され、その間に “Beavis and Butthead” と METALLICA の騒動が起こって、当時僕たちは続けることが不可能になったから、長い間休んでいただけなんだ。アーティストとして、僕なら他のアーティストを公然と侮辱するようなことは絶対にしないよ。”Pull” に関しては、あのレコードは僕らのベスト盤のひとつだと今でも信じているんだ」
生贄といえば、WINGER はまさに90年代の “生贄” となったバンドなのかも知れませんね。ヘアメタルと呼ぶには、あまりに高度なオーケストレーションに演奏技術を纏いながら、売れてしまったがゆえに祭り上げられた不可解なシンボルの座。Reb Beach は最近、当時を振り返ってこう語っています。
「90年代に入って、グランジが台頭して、ギター20本と家を売った。アニメに WINGER のTシャツを着たキャラが登場してね。家に帰ると両親も WINGER、犬まで WINGER のTシャツを着てる(笑)。全員オタクなんだ。ダサくなったヘアメタルの象徴というかね。翌週からチケットが全く売れなくなったよ…」
METALLICA は “Black Album” のレコーディング・セッションで、Lars Ulrich が Kip Winger のポスターにダーツを投げつける映像を公開しました。今思えば、非常に愚かな行為ですが、当時ライブ会場で投影された時には、観客から大きな笑いが起こっていたそう。最近、James Hetfield が直接 Kip に謝罪の電話をかけたそうですが、時すでに遅し。やはり “時代” のスケープゴートとなった感は拭えません。非常にオーガニックかつ、ALICE IN CHAINS のような暗がりの知を宿した名品 “Pull” のリリースも焼け石に水。1994年にバンドは沈黙を余儀なくされたのです。(これまで、”解散” だと言われていましたが、Kip によると “活動休止” だったとのこと)
「僕は自分の人生や周りの人々の人生について、個人的な視点から歌詞を書いているんだ。だから、ある意味、世相を反映していると受け取ってもらっても構わないと思う。僕や周りの人はこの暗い状況で生きているんだから、このアルバムはよりシリアスなトーンになったんだろう」
00年代初頭の短期的な復帰を経て、2006年、WINGER は海外に駐留する米兵の現実を描いた “Ⅳ” でついに完全復活を遂げます。以前よりも社会性を全面に押し出し、よりプログレッシブに躍動するこのアルバムが、以降の WINGER の指針となりました。
バンドが経験してきた浮き沈みを “業” として書き綴った “Karma”、ポジティブなトーンでより良い世界の実現を願った “Better Days Comin” と、彼らは80年代のイメージを払拭するような等身大で現実的な高品質のアルバムを残していきます。ただ一つ、WINGER が WINGER である所以、”キャッチー” な一面をどう扱うのか…常にその命題と向き合いながら。
9年ぶりとなる最新作 “Seven” は、そんな WINGER の社会性、プログレッシブでシリアスな一面と、出自であるハードロックのロマンチシズムが完璧に噛み合ったアルバムと言えるでしょう。
“Resurrect Me” はそんな最高傑作の中でも、特に WINGER ここに極まれりという名曲。シリアスでダークなスタートから一転、コーラスではロマンチシズムが雷鳴のように響き渡り、フックの嵐の中を Kip のキャッチーな雄叫びがこだまします。Reb のギターが炎を吹き、Rod の尋常ならざるフィルインが轟けば、WINGER はその翼を大きく広げて自らの “復活” を宣言します。
QUEEN への憧憬を織り込んだ “Voodoo Fire” を経て到達する “Broken Glass” は、復活 WINGER のもう一つの翼。Paul Taylor の復帰をしみじみと実感させるエモーショナルな音絵巻。WINGER 屈指のメランコリー・オーケストラ “Rainbow in the Rose” を、Kip のソロキャリアで熟成したかのような内省的な審美感は、96年に初めての妻を突然の事故で失って以来、彼の命題となった痛みと優しさの色彩を完璧に投影しているのです。
ヘヴィで繊細。ラウドでソフト。知的で野蛮。痛みで優しさ。ダークでロマン。WINGER の二刀流はいつしか、何 “マイル” も先で多様に花開いています。今回弊誌では、Kip Winger にインタビューを行うことができました。「かつてより世界は悪くなっているよね。金持ちはより金持ちになり、貧乏人はより貧乏になったように感じる。権力闘争の政治家、過激なイデオロギーのインフルエンサー、宗教的狂信者たちは、わざわざ力を尽くして世界の人々を分断しようとしている。とても悲しいことだよね」 どうぞ!!

WINGER “SEVEN” : 10/10

INTERVIEW WITH KIP WINGER

Q1: This is Winger’s first new record in about 10 years! I’ve been really looking forward to it and it’s a wonderful incredible masterpiece! Why did you decide to make a new WINGER record now?

【KIP】: It was the first time Reb and I both had an opening in our schedules. I have been working on Classical for many years now plus a musical entitled Get Jack. Reb has been mostly working with Whitesnake for the last 10 years. When we finally had an opening we starting working, but then COVID stopped everything and we had to wait again to be able to travel. Finally it came together.

Q1: ほぼ10年ぶりとなる WINGER の新作は、長く待った甲斐のある、実に素晴らしい作品ですね!なぜ今、新しい WINGER のアルバムを作ろうと決めたのですか?

【KIP】: Reb と僕のスケジュールがやっと合ったんだよ。僕はもう何年もクラシックの仕事をしているし、”Get Jack” というタイトルのミュージカルもやっている。Reb はこの10年間、主に WHITESNAKE と仕事をしてきたよね。
で、遂にスケジュールが合って、制作に取り掛かったんだけど、パンデミックがすべてを止めてしまった。互いに行き来ができるようになるまでまた待たなければならなかったんだよ。やっとまとまったんだ。

Q2: “IV” was about the story of American soldiers serving overseas, but the world seems to be more contentious than it was back then. How do you perceive the darker world of recent years?

【KIP】: I agree, The world now is worse. It’s seems that the Rich got richer and the poor got poorer. Power struggles, extremist ideology and religious fanatics have gone out of their way to divide the people of the world. It’s very sad.

Q2: “IV “は海外に駐留するアメリカ兵の物語でしたが、当時と比べると世界はより物騒で争いが増えているように感じます。近年の暗い世の中をどのように受け止めていますか?

【KIP】: そうだね、かつてより世界は悪くなっているよね。金持ちはより金持ちになり、貧乏人はより貧乏になったように感じる。権力闘争の政治家、過激なイデオロギーのインフルエンサー、宗教的狂信者たちは、わざわざ力を尽くして世界の人々を分断しようとしている。とても悲しいことだよね。

Q3: Your last album “Better Days Comin” was an album of hope that the world would get better, literally, but this “Seven” album seems to have a more tragic tone, as if people keep making mistakes and fighting over and over again, would you agree?

【KIP】: Well, I write from a personal perspective of my life and the life of the people around me. So in some cases yes, the album is Of a more serious tone, but for example the song It’s Okay is literally Better Days Coming 2.0. I feel that SEVEN is very balanced record over all and it hits all the classic Winger markers song by song.

Q3: 前作 “Better Days Comin” は文字通り世界が良くなることを期待する希望のアルバムでしたが、今回の “Seven” はより悲劇的なトーンで、まるで人類が何度も同じ失敗を繰り返し、争い続けるような印象を受けます。そのあたりも、現代の状況を反映しているのでしょうか?

【KIP】: そうだな…僕は自分の人生や周りの人々の人生について、個人的な視点から歌詞を書いているんだ。だから、ある意味、そう受け取ってもらっても構わないと思う。僕や周りの人はこの暗い状況で生きているんだから、このアルバムはよりシリアスなトーンになったんだろう。
でも一方で、例えば、”It’s Okay” “大丈夫だよ” という曲は、文字通り “Better Days Comin’ 2.0″ だと言える。つまり、”SEVEN” は全体的に非常にバランスの取れたアルバムで、WINGER のクラシックな特徴を一曲一曲ごとにすべて打ち出していると感じているんだよ。

Q4: I feel that this album has the best balance between the catchy side of WINGER and the “Thinking Man” side of WINGER, a duality that WINGER has sometimes respected and sometimes suffered from, but do you feel that you have finally found the right balance?

【KIP】: Exactly, as I said in the last question, I do feel overall SEVEN has all the hallmarks of classic WINGER. Add to this the return of Paul Taylor and the return of the original Logo.

Q4: 仰る通りこのアルバムは、WINGER のキャッチーな部分と、”考える人” としての部分、WINGER が時に敬愛され、時に枷としてきた二面性を、最もバランスよく表現できていますよね?

【KIP】: その通りだよ!さっきの質問でも言ったけど、全体的に “SEVEN” はクラシックな WINGER の特徴を備えていると感じているんだ。それは、Paul Taylor の復帰とオリジナル・ロゴの復活でより強調されているね。

Q5: I think METALLICA’s biggest mistake was to make fun of a great band called WINGER and force you to break up. That said, I also love “Pull”, a product of its time, and believe it should be reevaluated. Have your feelings about METALLICA and “Pull” changed between then and now?

【KIP】: First of all, we never “broke up” we took a long break because grunge music took over and between that, Beavis and Butthead and the Metallica thing it was impossible for us to continue at that time. As an Artist I would never publicly insult another artist. As far as Pull goes, I’ve always stood by that record as being one of our best.

Q5: WINGER という素晴らしいバンドを “ネタ” にして、解散に追い込んだのが METALLICA 最大の過ちだと私は思いますよ。とはいえ、私はあの時代の産物である “Pull” も大好きですし、再評価されるべきだと考えています。METALLICA や “Pull” に対する思いは、当時と今とで変わりましたか?

【KIP】: まず第一に、僕たちは決して “解散” していないんだよ。グランジ・ミュージックに支配され、その間に “Beavis and Butthead” と METALLICA の騒動が起こって、当時僕たちは続けることが不可能になったから、長い間休んでいただけなんだ。
アーティストとして、僕なら他のアーティストを公然と侮辱するようなことは絶対にしないよ。”Pull” に関しては、あのレコードは僕らのベスト盤のひとつだと今でも信じているんだ。

Q6: This time, Paul Taylor returns to the album for the first time in a really long time. Personally, I feel that the songs are more “romantic” when he is here, but what do you really think of his contribution?

【KIP】: Paul is extremely talented and definitely adds to the power of the band. Having said that, I did the mahout of the writing so I’m not sure how you come to that conclusion. Perhaps your nostalgic feeling of early WINGER is influencing your perception.

Q6: 今回、本当に久しぶりに Paul Taylor がアルバムに帰ってきました。個人的には、彼がいると曲がより “ロマンティック” になるような気がするのですが、実際のところ、彼の貢献度はどうなのでしょうか?

【KIP】: Paul は非常に才能があり、間違いなくバンドのパワーを高めている。とはいえ、作曲の大半は僕がやっているので、なぜそのような結論になるのかよくわからないというのが本音だ。おそらく、君の初期 WINGER を懐かしむ気持ちが、認識に影響を与えているのだろうね。

Q7: WINGER, you, Reb, and Rod’s lineup has not changed since its inception, which I think is very rare for a band like this. Of course, you have a solo career and the other two are involved in various projects, but what is the special chemistry between the three of you?

【KIP】: We are very good friends. We never fought about anything. We love hanging out with each other and admire each others talents. Paul Taylor and John Roth included.

Q7: WINGERは、あなた、Reb、Rod の3人のラインナップが結成当初から変わっていません。ロックやメタルのバンドとしては非常に珍しいと思います。もちろん、あなたはソロ・キャリアを持ち、他の2人は様々なプロジェクトに参加していますが、3人で集まるとやはり特別なケミストリーが生まれるのでしょうか?

【KIP】: まず、なんと言っても僕たちはとても良い友達なんだよ。僕たちは何事においても、喧嘩したことがないんだよね。お互いにつるむのが大好きで、お互いの才能を賞賛しているからね。そこには、もちろん Paul Taylor と John Roth も含まれているよ。

Q8: In the world of metal, Japan’s Babymetal has recently gained popularity. You are also a good dancer, having taken ballet lessons, how do you feel about their fusion of metal and dance?

【KIP】: I’ve never heard one song. Apologies.

Q8: メタルの世界では、最近、日本の BABYMETAL が人気を博しています。あなたはかつてバレエを習っていたこともあり、歌って踊れるベーシストなどとも称されていましたが、彼女たちのメタルとダンスの融合についてどう感じていますか?

【KIP】: 実は一曲も聴いたことがないんだ。ゴメンね!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED KIP’S LIFE!!

Joe Walsh “The Smoker You Drink The Player You Get”

The Beatles “Abby Road”

Peter Gabriel “Security”

Black Sabbath ” Sabbath Bloody Sabbath”

Mike Oldfield “Tubular Bells”

MESSAGE FOR JAPAN

こんにちは !! We are VERY excited to come back to Japan. We love the Japanese fans and Look forward to seeing all of you again!

KIP WINGER

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