NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MESSA : THE SPIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MESSA !!

“Scarlet Doom…This Specific Shade Of Red Was Chromaticall Helping Us Define Our Aim – And We Think It Still Fits Us, Even If The Years Passed By.”

DISC REVIEW “THE SPIN”

「ドゥームとは逃れられない虚無。私たちは、バンドの始まりからずっと “Scarlet Doom” という名前で自分たちの音楽を呼んできたんだ。この特別なの赤の色調は、私たちの目標を定義する上で、音の色彩を感じさせるために役立ってきたんだ。そして、年月が経っても、この名前が私たちにまだフィットしていると考えているよ」
音楽に “色” があると感じる人は多いのではないでしょうか。それは例えば、アートワークの色彩と関連づけられたり、楽曲のタイトル、もしくは楽曲や演奏そのものから滲み出る色合いだったりするでしょう。イタリアの MESSA は自らの音楽を “スカーレット・ドゥーム” と称しています。スカーレットとは、黄味がかった赤色のこと。ドゥームを逃れられない虚無と定義しながらも、彼らはその “ミサ” に様々な色彩を加えていきます。
「私たちは特に初期のゴシック・ロック/ダーク・ウェーブの大ファンでね。ただ、1980年代をテーマにした “The Spin” を制作する際、各メンバーがその時代に対する異なるアイデアを持っていたことが興味深い点だったね。例えば、Sara が直感的に参照としたのは KILLING JOKE と Siouxsie and the Banshees、Alberto にとっては JOURNEY だった。1980年代の音楽には、ムード、言葉、美学の広範なスペクトラムがある。ドゥームに何を落とし込むのか…私たち一人一人にとって、それは異なる選択だったね」
興味深いことに MESSA のアーティスト写真やアートワークはモノクロームやダークな雰囲気のものが多く、バンドの外観はあくまでドゥーミーでありながらその音楽は実にカラフル。いや、虚無の中に巣食う千変万化の色彩。その多様な色合いは、この4人組が2014年にバンドが結成されるまで、誰ひとりとしてドゥーム・バンドで演奏したことがなかったことに端を発しています。
彼らは、プログからブラックメタル、ゴスやポスト・パンクにアリーナ・ロックまで、様々な “重さ” を個別に経験していたのです。だからこそ、デビュー作のアンビエントなインターミッションやジャジーなクラリネット・パートから始まり、それ以来 MESSA は常に “ドゥーム” の色彩、サウンドの拡張を意識してきました。
7曲42分の “The Spin” は MESSA にとって最も短いアルバムですが、MESSA の持つドゥームの色彩が最も花開いた作品だと言えます。そのカラフルな色合いは、彼らが愛するイタリアのモータリゼーションが最も眩しかった80年代に帰依しています。”The Spin” とは、タイヤであり、道であり、永遠に繰り返す人の業とポスト・アポカリプスの虚無。
まるで80年代の映画、ブレイドランナーから飛び出してきたようなシンセ・ラインで幕を開けるアルバムは、ムーディーでありながらレトロ・フューチャーで、存分に不気味。ドゥームやゴスにとってはスピード違反な展開も、感情と技巧のギターソロも、結果としてドゥームの壮大とドラマを引き立てる武器のひとつにすぎません。
アンセミックなハードロック、アリーナ仕様のギタリズム、ジャズ・プログの間奏、ストーナー・リフとブラストビートにダークなシンセサイザー…ドゥームの暗がりや虚無を重さだけでなく、80年代の野心的な実験と曲作りの妙で表現する MESSA の哲学は実に魅力的かつ唯一無二。もちろん、その裏には Sara の奇跡的な歌唱や卓越したギターヒーロー Alberto の存在があることは言うまでもないでしょう。豊かな色彩を憂鬱へと導くそのハンドル捌きは、まさにプログレッシブ・ドゥームの寵児。
今回弊誌では、MESSA にインタビューを行うことができました。「楽器を演奏することは、アーティストであることよりも、職人であることと共通点が多いと思うんだ。それは技術を学び、信頼できるものを築くことに関わっているからね。私の見方では、この “技巧” は常に目的を持っているべきでね。私たちにとって重要なのは感情とメッセージであり、それらを伝えることが必要なんだ」 二度目の登場。どうぞ!!

MESSA “THE SPIN” : 10/10

INTERVIEW WITH MESSA

Q1: Lately you have been calling your music “Scarlet Doom”. What does this name mean to you?

【MESSA】: We have called our music ‘Scarlet Doom’ since our very start. This specific shade of red was chromaticall helping us define our aim – and we think it still fits us, even if the years passed by.

Q1: 最近、あなたたちは自らの音楽を “Scarlet Doom” と呼んでいるようですね。この呼び名はあなたにとってどのような意味を持つのでしょうか?

【MESSA】: 私たちは、バンドの始まりからずっと “Scarlet Doom” という名前で自分たちの音楽を呼んできたんだ。この特別なの赤の色調は、私たちの目標を定義する上で、音の色彩を感じさせるために役立ってきたんだ。そして、年月が経っても、この名前が私たちにまだフィットしていると考えているよ。

Q2: Doom is a word, but there are many different bands in that world. And you, especially with this album “The Spin”, I feel that you are clearly trying to expand that Doom world. How would you define the word Doom?

【MESSA】: The void you can’t escape from.

Q2: “Doom” と一言で言っても、その世界には多くの異なるバンドが存在します。特にこのアルバム “The Spin” であなたたちは、ドゥームの世界を明確に拡大しようとしているように感じます。そんな今、あなたはどう “ドゥーム” という言葉定義しますか?

【MESSA】: 逃れられない虚無だね。

Q3: What surprised me is that some of the songs have influences from the 80s, specifically goth and post-punk sensibilities like Sister of Mercy and Killing Joke. What was the 80s like for you?

【MESSA】: When it comes to creating music, we always want to surprise ourselves, find a new musical language, push ourselves out of our comfort zone. We are really involved and we question all we do. When we started writing and thinking about what could come next, we decided to delve into a territory we had never explored before – which is the decade of the 1980s. We’ve always been fans of the Early Goth Rock/Dark Wave especially. One of the interesting things that emerged, when we decided ‘The Spin’ to be our take on the 80’s, was the different ideas that every band member had about that era. For example, Sara’s immediate references were Killing Joke and Siouxsie and the Banshees, for Alberto it was Journey. There’s a huge spectrum of moods, language and aesthetic in the 1980s music: for every one of us it was a different choice.

Q3: 驚いたのは、一部の曲に80年代の影響、特に SISTER OF MERCY や KILLING JOKE のようなゴシックやポスト・パンクの感性が感じられる点です。あなたにとって80年代はどのような時代でしたか?

【MESSA】: 音楽を作る際、私たちは常に自分自身を驚かせ、新しい音楽言語を探求し、 コンフォート・ゾーンから抜け出すことを目指しているんだ。私たちはこの作品に本当に深く関与し、常に自問自答しているんだ。そうして、曲のライティングや次なる方向性を考える際、これまで探求したことのない領域―つまり1980年代―に深く潜り込むことを決めたんだよ。
私たちは特に初期のゴシック・ロック/ダーク・ウェーブの大ファンでね。ただ、1980年代をテーマにした “The Spin” を制作する際、各メンバーがその時代に対する異なるアイデアを持っていたことが興味深い点だったね。例えば、Sara が直感的に参照としたのは KILLING JOKE と Siouxsie and the Banshees、Alberto にとっては JOURNEY だった。1980年代の音楽には、ムード、言葉、美学の広範なスペクトラムがある。ドゥームに何を落とし込むのか…私たち一人一人にとって、それは異なる選択だったね。

Q4: More to the point, there are even anthemic songs with plenty of keyboards, such as “Immolation.” Really great song, but is it also a Doom for you?

【MESSA】: The musical side of Immolation might not be called a Doom one, but in our opinion the lyrics definitely are.

Q4: より具体的に言うと、キーボードを多用したアンセム的な曲も存在します。例えば “Immolation” は本当に素晴らしい曲ですが、あなたにとってはあの曲も “ドゥーム” なのでしょうか?

【MESSA】: “Immolation” の音楽的な側面だけを見ればドゥームとは呼ばれないかもしれないけど、私たちの意見では歌詞は確実にドゥームだよ。

Q5: At the same time, the album also creates a “new guitar hero”, Alberto’s shredding talent shines through even more than in Messa’s past work! In fact, his guitars are as great as an Italian shoemaker’s! This “virtuosity” is part of Messa’s charm, would you agree?

【MESSA】: First of all, thanks a lot! I’m flattered. I do think that playing an instrument has a lot in common with being an artisan, more than being an “artist”. It does involve learning a craft and building something reliable with it. From my point of view this “virtuosity” always serves a purpose. It’s the emotion and the message that are important and need to be conveyed.
For this record I had more time to delve into guitar parts and especially guitar solos. It’s the part I enjoy the most, together with composing. Thanks to this I think the solos are more part of the arrangement of the song rather than some mere technical exercise and I’m glad this comes through.

Q5: 同時に、このアルバムは “新しいギターヒーロー” を生み出しましたね!Alberto のシュレッドやテクニックは、MESSA の過去の作品よりもさらに輝いていますよ!実際、彼のギターはイタリアの靴職人の技術のように素晴らしいですよ!こうした “技巧” も、MESSA の魅力のひとつですよね?

【MESSA】: まず、ありがとう!光栄だよ。楽器を演奏することは、アーティストであることよりも、職人であることと共通点が多いと思うんだ。それは技術を学び、信頼できるものを築くことに関わっているからね。私の見方では、この “技巧” は常に目的を持っているべきでね。私たちにとって重要なのは感情とメッセージであり、それらを伝えることが必要なんだ。
このアルバムでは、ギター・パート、特にギター・ソロに時間をかけたんだ。作曲と並んで最も楽しむ部分だよ。丁寧に時間をかけたことにより、ソロが曲のアレンジの一部として機能し、単なる技術的な練習ではなくなっていると思うんだ。それが伝わっていることを嬉しく思うよ。

Q6: Sara’s vocals are also more emotional and wonderful! Italy has a tradition of canzone. Are there many people who are good singers?

【MESSA】: Thank you! Yes, there’s plenty of good singers in our country. There are some, in our opinion, that were particularly talented. Mina, for instance, can cover more than 3 octaves with her voice. To experience her full range, we suggest watching her performance of ‘Brava’ on live television, back in the 60s. When it comes to Italian Pop, another incredibly skilled singer was Giuni Russo. She collaborated with Franco Battiato, a brilliant composer of both pop and experimental music, and created great tunes. When it comes to male voices, Mango and Demetrio Stratos are some top notch names that might come to mind.

Q6: Sara のボーカルもより感情豊かで素晴らしく進化していますね!イタリアには “カンツォーネ” がありますが、伝統的に良い歌手は多いのでしょうか?

【MESSA】: ありがとう!私たちの国には多くの良い歌手がいて、中には特別な才能のある人もいる。例えば Mina は、3オクターブ以上をカバーできるんだ。彼女のフルレンジを体験するには、60年代のテレビ放送での “Brava” のパフォーマンスを観ることをおすすめするよ。
イタリアのポップ音楽では、Giuni Russo も非常に才能のある歌手だったね。彼女はポップと実験音楽の両方で優れた作曲家である Franco Battiato とコラボし、素晴らしい曲を生み出していった。男性歌手では、Mango と Demetrio Stratos がトップクラスの名前として挙げられるだろうね。

Q7: The artwork uses art that looks like an ouroboros, a snake biting its own tail. How does this art reflect the theme of “The Spin”?

【MESSA】: The Ouroboro depicted on the cover of The Spin is an attempt to merge exoteric symbolism, post-apocalyptic imagery, the concept of the road, the world of motorcycles, and the universality of nature as a supreme element―all blended together in a dark and somber atmosphere.
While this isn’t directly reflected in the music, it offers a key to interpreting and experiencing it.

Q7: アートワークには、自分の尾を貪る蛇のウロボロスを模したアートが使用されています。このアートは “The Spin” のテーマをどのように反映しているのでしょうか?

【MESSA】: “The Spin” のカバーに描かれたウロボロスは、外的な象徴、ポスト・アポカリプス的なイメージ、道の概念、モーターサイクルの世界、そして自然の普遍性という至高の要素を、暗く重厚な雰囲気の中で融合させる試みだった。
これは音楽に直接反映されていませんが、それを解釈し体験するための鍵を提供しているんだ。

Q8: The world today is in a “doomed” state of war, oppression, discrimination, and division. In these dark times, what can Doom music do?

【MESSA】: Music is a form of resistance. It’s a powerful way of expression, rebellion. If not, it’s just entertainment.

Q8: 現代の世界は、戦争、抑圧、差別、分断の “破滅的な” “ドゥーミーな” 状態にあります。このような暗黒の時代において、ドゥーム・ミュージックには何ができるでしょうか?

【MESSA】: 音楽は抵抗の形。音楽表現と反乱の強力な手段なんだ。もしそうでなければ、音楽単なるエンターテイメントに過ぎなくなってしまう。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMPUREZA : ALCÁZARES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ OF IMPUREZA !!

“Metal And Flamenco…Two Worlds That Seem To Be Opposites, But Which Share The Same Intensity, The Same Pain, The Same Rebellion. It’s This Mixture That Forged The Guitarist I Became.”

DISC REVIEW “ALCÁZARES”

「非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ」
BLOODYWOOD や THE HU の台頭により、メタルに宿る生命力、包容力、感染力がついに可視化されました。今やメタルに第三世界はありません。その大いなる寛容さで様々な地域、様々な人々の文化を暖かく包み込み、メタルの咆哮と旋律に共感を誘います。
“ヒスパニック・メタル” を標榜する IMPUREZA も、そんなユニバーサルなモダン・メタル世界を象徴するバンドのひとつ。フランスとスペインの伝統の炎…その熱き血潮で鍛えられた IMPUREZA は、エクストリーム・メタルとフラメンコの情熱的で激しい融合を20年もの長きに渡って、追求してきました。そして今、イベリア半島のアイデンティティを刃物のように操り、自らのルーツをメタルの中に浸透させた彼らの勇気に遂に時代が追いついたのです。
「僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ」
そう、一見交わらないように思える様々な道を交わらせるのがメタルの力。しかし、そもそもフラメンコとメタルには、情熱、苦悩、そして逆境を跳ね返す回復力といった多くの共通項が存在しました。だからこそ、今回のインタビューイでありイベリアのギター・ヒーローLionel Cano Muñoz は PANTERA とパコ・デ・ルシアを同時に愛することができたのです。
「フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ」
とはいえ、これほど精巧で、荘厳で、ドラマティックなヒスパニック・メタルはまさに前人未到の領域。誰も踏み入れたことのない場所を開拓するためには勇気が必要です。そして、NILE や BEHEMOTH のように凶悪でありながら、OPETH のように挑戦的で、パコ・デ・ルシアのように革命的で苦悩と歓喜に満ちた “La Orden del Yelmo Negro” は、絶対的な勇気の歌。あの Jacob Hansen 指揮の下、見事に練られたクラシカルなストリングスとリズミックなパーカッションが、メタルの “レコンキスタ”、再征服を誇り高く宣言します。そしてもちろん、フレットレス・ベースの嗎はプログレッシブなデスメタルの矜持。
「スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う」
常にイベリアの歴史を物語ながら、ある種の教訓をもたらしてきた現代の吟遊詩人 IMPUREZA。今回のアルバム “Alcázares” で彼らは、血と死が今よりもはるかに近くにあった中世、レコンキスタをテーマに選びました。キリストとイスラム…血塗られた歴史と神秘が交錯する宗教と戦いのストーリー。争いから始まった文化と人の流動性はいつしか成熟され、洗練され、多様な背景を持つ人々を生み出し、ルネサンスの下地にもなりました。血と死に導かれたレコンキスタはまさに、メタルとフラメンコの “不純な” 婚姻にも似て、多文化共生、異文化共鳴の始まりでもあったのです。
今回弊誌では、Lionel Cano Muñoz にインタビューを行うことができました。「メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!」どうぞ!!

IMPUREZA “ALCÁZARES” : 10/10

INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【LIONEL】: I grew up between two very powerful worlds: flamenco and metal. At home, we listened to Paco de Lucía, Camarón de la Isla, Spanish guitar… And alongside that, I was completely immersed in Metallica, Pantera, Slayer, Morbid Angel, Testament, Nile… Two worlds that seem to be opposites, but which share the same intensity, the same pain, the same rebellion. It’s this mixture that forged the guitarist I became.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【LIONEL】: 僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ。

Q2: What made you start playing an instrument? Who were your heroes at the time?

【LIONEL】: I started around 14 years old with the acoustic guitar, which I found a little difficult and less fun than the electric one. So I first persevered with metal and hard rock. Then I decided to return to the acoustic guitar; with more maturity, I began to find pleasure in it, and I also continued to work on the Spanish guitar.
I’ve always had an artistic spirit and a desire to surpass myself, so I tried several hobbies, and when I found a guitar at my grandparents’ house, I gave it a try. As a fan of Metallica and Slayer at the time, I wanted to be like James Hetfield. I started playing along to the albums until I perfected my skills, and then I developed a taste for it, and I never stopped!
But very quickly, my origins took over. Flamenco was already there, in my blood, in my family roots. My heroes were Paco de Lucía, Dimebag Darrell, and Camarón de la Isla. They all had a spiritual strength, an authenticity that I was looking for.

Q2: ギターを弾き始めたきっかけもフラメンコだったんですか?当時のヒーローは誰でしたか?

【LIONEL】: そうだね、14歳ごろ、アコースティック・ギターから始めたんだけど、エレキギターに比べて少し難しく、楽しさも劣るように感じていてね。だから、最初はエレキでメタルとハードロックに粘り強く取り組みくむことにした。その後、アコースティックギターに戻ったんだ。すると、成熟した視点で楽しめるようになって、スパニッシュ・ギターにも取り組むようになったんだ。
芸術的な精神と自己超越の意欲があったから、昔から趣味は豊富でね。だから、祖父母の家でギターを見つけた時、挑戦してみようと思った。当時は METALLICA と SLAYER のファンだったので、ジェイムズ・ヘットフィールドのようになりたいと思っていたんだよな。アルバムに合わせて演奏し、技術を磨くうちに、その魅力にハマり、以来、ギターをやめられなくなってしまった!
だけど、すぐに僕のルーツが表れてきた。フラメンコは既に僕の血の中に、家族のルーツの中にあったからね。僕のヒーローはパコ・デ・ルシア、ダイムバック・ダレル、カマロン・デ・ラ・イスラだった。彼らは皆、精神的な強さと、僕が求めていた本物らしさを持っていたんだ。

Q3: You are known as “Hispanic Metal”. Although you are French, are you still proud of your Spanish roots? Is the band’s name “Impureza” “Impurity” a reference to your own mixture of Spanish and French blood?

【LIONEL】: Yes, completely for the first part of the question. I was born in France, but I am of Spanish origin, both my parents are Spanish and that is part of me. But for the second part, above all Impureza embodies the duality of two musical genres, the impurity certainly comes from the fact of textured flamenco with metal and smoothed metal with flamenco. So yes our music is perhaps impure!!! Haha!

Q3: IMPUREZA は “ヒスパニック・メタル” として知られています。あなたたち自体はフランス人であるにもかかわらず、スペインのルーツに重きを置き誇りを持っているようですね?バンド名 “Impureza”(不純物)とは、そうしたスペインとフランスの血の混合を意味しているんですか?

【LIONEL】: 最初の質問の答えは完全にイエス。僕はフランスで生まれたけど、スペインの血を引いている。両親はどちらもスペイン人で、そのルーツは僕の一部なんだ。
だけど、2つ目の質問ついては、IMPUREZA は主に2つの音楽ジャンルの二面性を体現していることが理由だよ。不純さとは、フラメンコとメタルのテクスチャーの融合、そしてメタルとフラメンコの滑らかな融合から来ているんだ。だから、僕たちの音楽は確かに “不純” かもしれないよね!!!(笑) 。

Q4: I don’t know of any other band that combines flamenco and traditional Spanish music with metal as well as you do! Your orchestration is also very skillful. Did you find any similarities between Spanish traditional music and metal music in terms of bravery and tragedy?

【LIONEL】: Thank you very much. Yes, these two worlds share a raw intensity. Flamenco has this deep, tragic, visceral spirit. Metal has a capacity for release, a way of externalizing the energy buried within us through the power of this liberating music. They are two complex musics that require a lot of rigor and rigor. Bravery comes from this absolute sincerity. We try to translate this into each composition.

Q4: 実際、あなたたちほど巧みにフラメンコ、伝統的なスペインの音楽をメタルと組み合わせるバンドは他に知りませんよ。オーケストレーションも実に見事ですね。スペインの伝統音楽とメタルの間には、勇気と悲壮感という類似点があるようにも思えます。

【LIONEL】: ありがとう。そうだね、この二つの世界は生の情熱を共有しているんだ。フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。
ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ。僕たちは、そうしたものを各楽曲に反映させようと努めているよ。

Q5: Your Spanish also fits really well with metal! The metal world used to be almost exclusively English-speaking, but in recent years we have seen an increase in the number of bands using their native languages and traditional music. How do you feel about the increase in the number of bands with such regional characteristics?

【LIONEL】: It’s a very beautiful evolution in my opinion. Metal is finally becoming more universal than it has ever been. Each language has its history, its color, its culture and even gives a rhythm to whoever uses it. Spanish, for its part, brings a particular musicality to our lyrics, it gives them a dramatic, intense and violent side that naturally marries the power of metal and the intensity of flamenco.

Q5: アルバムのスペイン語もメタルにフィットしていますね!メタルの世界はかつてはほぼ英語が主流でしたが、近年、母国語や伝統音楽を使用するバンドが増えています。
IMPUREZA も含めて、ローカルな特色を持つバンドの増加について、どう感じていますか?

【LIONEL】: 非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ。

Q6: Your album “Alcazares” is set in medieval Spain, and the Reconquista is one theme. Why did you choose this bloody period of war, plague, and death?

【LIONEL】: Well, first of all, to conclude the trilogy on the history of old Spain, which we began with the Inquisition for “La Iglesia del Odio,” the Conquest for “La Caida de Tonatiuh,” and now the Reconquest for “Alcázares.” The history of Spain is marked as much by its grandeur as by its decadence. Political, religious, and even mystical conflicts are at the heart of many misfortunes, but they provide limitless inspiration for our writing. We don’t seek to glorify war, but to explore its spiritual, cultural, and human resonances. It’s violent, certainly, but also deeply symbolic.

Q6: 最新作 “Alcazares” は中世のスペインを舞台にしていて、レコンキスタがテーマのひとつとなっていますね。なぜ、戦争、疫病、死の血塗られた時代を選んだのでしょうか?

【LIONEL】: まず第一に、古いスペインの歴史を扱った僕らのトリロジーを完結させるためだった。僕たちは “La Iglesia del Odio” で異端審問会を、”La Caida de Tonatiuh” で征服を扱い、”Alcázares” でレコンキスタを扱うことでトリロジーを作り上げたんだ。スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。
政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う。

Q7: Hundreds of years have passed since Reconquista, but the world is still a dark place of religion, pandemics, war, and division, and the essence of humanity seems unchanged. In such times, what can heavy metal do?

【LIONEL】: Metal won’t change the world, that’s for sure, but it will always allow us to escape, to tell the story through a channel very different from news, books, and films. Perhaps the universal language and the best weapon of expression in this world!

Q7: レコンキスタから数百年の時が経ちましたが、世界は依然として宗教、パンデミック、戦争、分断の暗雲が覆い、人間の本質は変わっていないようにも思えます。こんな時代に、ヘヴィ・メタルには何ができるでしょうか?

【LIONEL】: メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!

Q8: Your music is a perfect combination of ferocity and beauty, what do you think beauty means for death metal?

【LIONEL】: It’s like Romantic Gothic, which is defined by death, rebellion, night, and the morbid, but also by dreams, the sublime, nature, and the beauty of the fantastic and the mysterious. This duality is strongly present in Impureza’s music.
A guttural cry can be more moving than a melodic song expressed in plain language if the emotion is genuine. Beauty finds its essence in sincerity, even in the strange, even in horror and violence!

Q8: あなたの音楽は凶暴さと美しさの完璧な融合です。そんな IMPUREZA にとって、デスメタルにおける “美しさ” とは何だと思いますか?

【LIONEL】: デスメタルにおける美。それはロマンティック・ゴシックのようなもので、死、反逆、夜、そして病的なものによって定義されながら、同時に夢、崇高、自然、そして幻想的かつ神秘的な美しさによっても定義される。この二面性は、IMPUREZA の音楽に強く表れているよ。
例えば本物の感情が込められていれば、メロディックな曲よりも、のどから絞り出すような叫びの方が感動的になることがあるだろう。結局、美の本質は誠実さにあり、奇妙なものにも、恐怖や暴力にも存在するんだよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LIONEL’S LIFE!!

Slayer “Reign in Blood”

Testament “The Gathering”

Pantera “Vulgar Display of Power”

Morbid Angel “Entangled in Chaos”

Nile “Annihilation of the Wicked”

MESSAGE FOR JAPAN

Yes, of course! For us, Japan is a land of respect, values, culture, and passion. We adore Japanese artistic sensibility. It would be a tremendous honor for us to come and perform in Japan. Thank you very much for your support.
We hope to bring our Hispanic fury to your beautiful country soon.

僕たちにとって日本は、尊敬、価値観、文化、情熱の土地。日本の芸術的感性を愛しているんだ。もし、日本でパフォーマンスできるとしたら、僕たちにとってそれは大きな栄誉だよ。サポートをありがとう。
近い将来、僕たちのヒスパニックな情熱を美しい日本に届けられることを願って。

LIONEL

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IMPUREZA SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DARKASIDE : DECADE OF CRISIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM OF DARKASIDE !!

“Kakarot Is My Favorite Hero, He Is a Force That Knows No Fear, He Always Challenges Himself And Fights For Others That Need Help, As a Kid I Always Wanted To Be Like Goku And Stand Up For Others”

DISC REVIEW “DECADE OF CRISIS”

「カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ」
誰にでも、幼いころに勇気や優しさをもらったヒーローはいるはずです。もしかしたら、そうしたヒーローから “生き方” のお手本を示してもらった人もいるかもしれませんね。パプア・ニューギニアで抑圧をうけるブーゲンビルの DARKASIDE は、恐れ知らずで、自分に挑戦し、弱いもののために立ち上がる生き方をドラゴンボールの悟空から受け継ぎました。そう、もちろんメタルも誰かのヒーローになれるのです。
「この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ」
世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つといわれる異色の地、パプア・ニューギニアの中でもブーゲンビルはさらに異色の地です。首都ポートモレスビーのあるニューギニア島から離れた場所にあるブーゲンビル島は、鉱物や海洋資源が豊富。その資源は国の主な収入源のひとつとなっています。特に巨大なパングナ鉱山は国の生命線。しかし、政府によるその利益の分配が不公平だとブーゲンビル人は怒り、独立を求めています。内戦まで発展したそのブーゲンビル危機の裏側には、肌の色、言葉、文化の違いで抑圧を受け続けたブーゲンビルの人々の怒り、反骨精神、逆境を乗り越える回復力が存在しました。そしてその回復力は、まさにヘヴィ・メタルに宿る力。
“Decade of Crisis” はそのブーゲンビル危機をテーマとした楽曲です。ただし、DARKASIDE は争いや暴力による解決を求めているわけではありません。友と互いに支え合って高め合い、己を磨き、自己実現を果たしていく中で、権利を主張し譲歩を求める。それはまさにドラゴンボールの修行と武道会。そして、不条理を跳ね退けた先に待っているのは、きっと悟空とベジータのように互いを認め合う心なのかもしれませんね。
「僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ」
重要なのは、DARKASIDE が理想だけを語る絵に描いた餅、机上の空論のような存在では決してないことです。彼らの音楽には明らかに、人を惹きつける何かがあります。Nu-metal と伝統音楽の類稀なる蜜月。BLOODYWOOD が蒔いたリズミックでフォーキッシュなメタルの種は今、世界中で芽吹こうとしています。そう、世界各地の文化、音楽、言語を吸収するセルのような力こそ、メタルの生命力にして真骨頂。今やメタルに第三世界はありません。ゆえに、そんなモダン・メタルの申し子ともいえる DARKASIDE が、5年後に BLOODYWOOD と肩を並べていたとしても決して不思議ではないのです。
今回弊誌では、フロントマン Joshua Mayum にインタビューを行うことができました。「メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ」 どうぞ!!

DARKASIDE “DECADE OF CRISIS” : 10/10

INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM

Q1: First of all, what got you into metal in Papua New Guinea, a country where metal is not exactly famous?

【JOSHUA】: Metal is not really a genre that a majority of people in Papua New Guinea (PNG) are exposed to or generally even like. Usually their first reactions would be “o that’s the devil’s music, too much noise or that’s demonic.’ We Darkaside are from the Autonomous Region of Bougainville (AROB). It is a region within Papua New Guinea that is commonly known for a having a few outstanding features, one most obvious is our dark skinned complexion, the decade long Bougainville Crisis from 1988 to 1998 and most definitely our general love for the metal genre. Over the recent years there has been a metal movement within PNG, specifically in the national city of Port Moresby, with likeminded metal heads meeting up and having metal nightsonce or twice in a year. Thanks to social media (Facebook, Whatsapp, Tiktok etc. we are able to find each other and build mutual friendships through our love for the metal genre. These metal nights have been single handedly arranged by Carmel Pilotti of Tritones Music and have been a focal point towardsbuilding the local metal scene and encouraging the minority of PNG metal heads regardless of their age, race or culture to attend and share our love for metal with the support of a few of our local PNG metal bands.

Q1: まず最初に、パプア・ニューギニアというメタルと無縁にも思える地で、メタルにハマったきっかけを教えていただけますか?

【JOSHUA】: メタルは、パプア・ニューギニア(PNG)の多くの人々にとって接する機会がなく、一般的に好まれるジャンルでもない。パプア・ニューギニア人の最初の反応は “ああ、メタルは悪魔の音楽だ。騒がしいし、悪魔的だ” といったものが多いだろうね。
僕たち DARKASIDE は、ブーゲンビル自治州(AROB)出身なんだ。この地域はパプア・ニューギニアの一部なんだけど、いくつかの特徴で知られている。最も目立つのは僕たちの黒い肌の色、1988年から1998年までの10年間続いたブーゲンビル危機、そして間違いなくメタル・ジャンルへの大きな愛なんだ。
近年、パプア・ニューギニア、特に首都ポートモレスビーでメタルムーブメントが生まれ、同じ趣味を持つメタルファンが年に1回か2回、メタル・ナイトが開催されているんだ。ソーシャルメディア(Facebook、WhatsApp、TikTokなど)を通じて、僕たちは互いを見つけ合い、メタルへの愛を通じて相互の友情を築くことができているよ。
こうしたメタル・ナイトは、トリトーンズ・ミュージックのカーメル・ピロッティが単独で企画・運営していて、地元のメタル・シーンの構築と、年齢、人種、文化に関わらずパプア・ニューギニアのメタル愛好家が参加し、メタルへの愛を共有する場として機能しているんだ。もちろん、いくつか地元のメタル・バンドの支援を受けて実現しているんだけどね。

Q2: I hear that Papua New Guinea is not a country with stable politics and security. What are the challenges of continuing to play heavy metal in such a place?

【JOSHUA】: Papua New Guinea is widely perceived as a corrupt country and arguably one of the most dangerous places in the world. But to be honest the media over exaggerates and lies about the security about this country. Most parts of Papua New Guinea are safe and the people here are the friendliest loving people you will ever meet. There are no challenges in playing heavy metal here, everybody in PNG respects each other and the type of Genre one plays and listens to. Maybe the only hiccup will be facing is getting our songs to be played on our local radio stations because currently Metal isn’t main stream here in PNG and now radio announcers asked to get paid under the table in order for them to play your songs on the radio stations so basically the radio stations here are corrupt and full of shit.

Q2: パプア・ニューギニアは、政治面・安全面で決して安定しているとは言えないそうですね。そうした国で、ヘヴィ・メタルを続けていくのは簡単ではないですよね?

【JOSHUA】: パプア・ニューギニアは、腐敗した国として広く認識されていて、おそらく世界で最も危険な場所の一つとされているよね。しかし正直なところ、メディアはこの国の安全面について過大に誇張し、嘘を流しているんだ。パプア・ニューギニアの大部分は安全で、ここに住む人々は、きっと君が会う中で最も親切で愛らしい人たちだよ。だから、ヘヴィ・メタルを演奏する上で問題があるわけじゃないんだ。
パプア・ニューギニアの誰もが互いを尊重し、演奏や聴くジャンルの違いを尊重しているよ。唯一の障害は、地元のラジオ局で僕たちの曲を流してもらうことかもしれないね。現在、この国ではメタルは主流ではなく、ラジオのアナウンサーはオンエアの対価として裏金を要求するからラジオ局は腐敗していて、まったくひどい状態だよ。

Q3: Papua New Guinea is one of the most culturally, racially and linguistically diverse countries in the world. What groups do you belong to in such a country?

【JOSHUA】: Papua New Guinea consists of four distinct regions. The highlands, Momase, Southern and Islands region. The Band members of Darkaside are from the Islands region which is composed by five provinces which is Bougainville also known as North Solomon’s Province (where all the band members of Darkaside are originated from), East New Britain, West New Britain, Manus, and New Ireland. Out of all the regions and provinces in Papua New Guinea, the people of Bougainville have a more darker skin complexation some may say we are the blackest people in the world. The island of Bougainville is rich with minerals and resources, abundant with marine life and has at least 19 different indigenous languages.

Q3: パプア・ニューギニアは、世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つです。あなたのグループについて、お話ししていただけますか?

【JOSHUA】: パプアニューギニアは4つの異なる地域から構成されているんだ。ハイランド、モマセ、南部、および島嶼地域だね。DARKASIDE のメンバーは島嶼地域出身で、この地域は5つの州から成り立っている。具体的には、ブーゲンビル(北ソロモン州とも呼ばれ、DARKASIDE のメンバーの出身地)、東ニューブリテン、西ニューブリテン、マヌス、およびニュー・アイルランド。
パプア・ニューギニアのすべての地域と州の中で、ブーゲンビルの住民は最も肌が黒いとされ、一部の人々は “世界で最も黒い人々” と呼ぶかもしれないね。ブーゲンビル島は鉱物と資源が豊富で、海洋生物も豊富。少なくとも19の異なる先住民言語が存在するんだ。

Q4: “Decade of Crisis” is a song about the Bougainvillea crisis. Many people have died in the conflict, but Bougainvillea has not yet achieved peace or independence. Was this song written to help the oppressed people of Bougainvillea?

【JOSHUA】: The people of Bougainville have waited a very long time for the Papua New Guinea Government to give them Independence.This song is a message and reminder to Bougainvillians to not forget and take for granted the sacrifices of those who fought through the crisis and died, and for those that are still here fighting for our Independence. Even under the circumstances of being oppressed and suppressed Bougainvillians must rise up and overcome this injustice by empowering one another, and work hard in their education, work, Business and then Better oneself. The current Government of PNG is reluctant to give us Independence because they see our island as a source of wealth and income since Bougainville is rich in resources (Gold, Copper, Cocoa ect).

Q4: “Decade of Crisis” はブーゲンビル危機をテーマにした楽曲ですね。この紛争で多くの命が失われましたが、ブーゲンビルは未だに平和や独立を確立できていません。この曲は、そうしたブーゲンビルの抑圧された人々を支援するために書かれたのでしょうか?

【JOSHUA】: ブーゲンビルの人々は、パプア・ニューギニア政府から独立を認められるのを非常に長い間待ってきた。この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。
抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ。

Q5: This song uses bamboo flutes and other percussion instruments, which wonderfully match your metal! Are these instruments traditional instruments of your tribe?

【JOSHUA】: Yes, the traditional instruments such as the Bamboo drum and bamboo flute which is played in the Decade of Crisis music video are sacred instruments which can only be played by Man in my Tribe and in other tribes and specific regions in Papua New Guinea. These traditional instruments are normally played in Ceremonial gatherings and at Cultural dances.

Q5: この曲では竹の笛や打楽器が使用されており、DARKASIDE のメタルと素晴らしく調和しています。こうした楽器はあなたの民族の伝統的な楽器なのでしょうか?

【JOSHUA】: そうだね、ビデオに出てくる伝統的な楽器、竹の太鼓や竹の笛は、僕の部族やパプア・ニューギニアの他の部族や特定の地域で、男性のみが演奏できる神聖な楽器なんだ。こうした伝統的な楽器は、儀式的な集まりや文化的なダンスで演奏されるんだよ。

Q6: In recent years, music that combines metal with one’s own traditional music, such as Bloodywood, has become increasingly popular. You, like them, seem to be heavily influenced by Nu-metal, but why do you think metal and traditional music match so wonderfully?

【JOSHUA】: Yes, we love Bloodywood. Their music is so unique and inspiring. We are into Nu Metal as it suites our style of playing and it’s a genre that has evolved from main stream heavy metal in the 90’s. Our musical aspirations as a band has been to focus on originality and musical identity. Yes we love metal, but we are Papua New Guineans, more specifically we are Bougainvilleans. We also have our local, traditions, cultures, folklore, language (tok pidgin/nasio. These are all very important and we try as much as possible to fuse it naturally with the metal genre (kanaka metal). Traditional and metal sound well together because its real and authentic to each particular respective area. No wonder people relate well to the musical style of Bloodywood and of course Sepultura.

Q6: 近年、BLOODYWOOD のように、メタルと自国の伝統音楽を融合させた音楽がますます人気を集めています。
あなたも彼ら同様、Nu-metal に強く影響を受けているようですが、なぜメタルと伝統音楽はこれほど見事に調和するのでしょう?

【JOSHUA】: そうだね、僕たちは BLOODYWOOD を愛しているよ。彼らの音楽は独特で刺激的だから。そして実際、僕たちは Nu-metal に傾倒しているんだ。このジャンルは僕たちの演奏スタイルに合っていて、90年代主流のヘヴィ・メタルから進化したものだ。バンドとしての音楽的目標は、独自性と音楽的アイデンティティに焦点を当てること。
もちろん、僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ。

Q7: I was very excited to see you wearing your Dragon Ball Z Frieza T-shirt! Are you actually a fan of Japanese anime, games and music?

【JOSHUA】: Yes, I Joshua Mayum the singer of Darkaside am a big fan of Dragon Ball Z and the late Akira Toriyama. I’ve been a fan of DBZ since I was a kid. When I was kid, I used to collect DBZ play cards, toys and watched DBZ episodes almost every afternoon after school and on the weekends. But now I only collect shirts and download wallpapers. Kakarot is my favorite Hero, he is a force that knows no fear, he always challenges himself and fights for others that need help, as a kid I always wanted to be like Goku and stand up for others.

Q7: ビデオのなかであなたがドラゴンボールZのフリーザTシャツを着ているのを見て、とても興奮しました!実際、あなたは日本のアニメ、ゲーム、音楽のファンなんですか?

【JOSHUA】: その通りだよ。僕はドラゴンボールZと故鳥山明の大ファンなんだ。僕は子供の頃からドラゴンボールZのファンでね。子供の頃、ドラゴンボールZのプレイカードやおもちゃを集め、放課後や週末のほぼ毎日、ドラゴンボールZのエピソードを見ていたんだよ。今はシャツを収集し、壁紙をダウンロードするくらいだけどね。
カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ。

Q8: Pandemics, war, division, oppression, discrimination: in the 2020s, the world is heading toward an increasingly violent and dark place. What can heavy metal do in these times?

【JOSHUA】: Metal for us is about freedom of expression through means of creating awareness by campaigning musically on the social issues that are affecting our peers and our rural and urban communities. These are issues that we as a developing nation have been facing for some time now and we believe that this is a time for reflection and corrective actions need to be taken now as this year come September 16th will mark our 50 years of Independence as a sovereign nation. We are not an isolated issue as most of these issues are also being faced by many other developing nations in the world, particularly the Pacific. It’s not about singing about a girl/boy, bling bling or getting rich or even indulging in the pleasures of this world, but it’s battle cry for justice, equality and also about facing the real-life situations and struggles we encounter in our daily lives.

Q8: パンデミック、戦争、分断、抑圧、差別…2020年代、世界はますます暴力的で暗い方向へ進んでいます。このような時代において、ヘヴィ・メタルにはは何ができるのでしょうか?

【JOSHUA】: 僕たちにとってメタルは、音楽を通じて社会問題への意識を高め、表現の自由を追求する手段なんだ。そうした問題は、僕たちの同世代や農村・都市コミュニティに影響を及ぼしている。発展途上国として、僕たちは長年これらの問題に直面してきたよ。今年9月16日に独立50周年を迎える今、この国は反省と是正措置を講じる時期だと信じている。そしてそれはこの国に限った問題ではない。世界中の多くの発展途上国、特に太平洋地域でも直面している問題だよ。
メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JOSHUA’S LIFE!!

Metallica “Black Album”

Papa Roach “Infest”

P.O.D. “Satellite”

Disturbed “The Sickness”

Linkin Park “Hybrid Theory”

MESSAGE FOR JAPAN

Late Admiral Isoroku Yamamoto’s final resting place is in Bougainville, even our own grandfather (Kaka nasio language) would sing Japanese songs, as he was thought by the Japanese army during the 2nd World war in Bougainville. So we have always had this connection with Japan in some sense. If and when everything works out, we would love to come over and perform at the Supersonic Festival or the famous Budokanvenue one day. Our sincere love and greetings to you all.

故・山本五十六提督の最終的な安息の地はブーゲンビル島にあるんだ。僕たちの祖父(カカ・ナシオ語を話す)も、第二次世界大戦中にブーゲンビル島で日本軍に教育を受けていたから、日本の歌を歌っていたんだよ。だからいつも僕たちは、何らかの形で日本とのつながりを感じてきたんだ。もし全てがうまくいけば、いつか Supersonic Festival (おそらくサマソニのこと) や有名な武道館でパフォーマンスをしたいと考えているよ。みんなに心からの愛と喜びを。

JOSHUA MAYUM

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SKUNK ANANSIE : THE PAINFUL TRUTH】


COVER STORY : SKUNK ANANSIE “THE PAINFUL TRUTH”

“Having a Black, Female, Gay Lead Singer Was Completely Different Than All The Other Bands, Me Being The Face Of a Rock Band Made a Lot Of People Uncomfortable.”

THE PAINFUL TRUTH

「私がロックバンドのフロントを務めたことで、多くの人々が不快感を抱いていた」
SKUNK ANANSIE は、Oasis, Blur, Pulp といったバンドがラジオを席巻した 90 年代半ばのブリット・ポップの流れに関連して、一躍有名になりました。しかし、このムーブメントの軽快なインディーズ・ロックに流されることなく、ロンドンの 4 人組はよりヘヴィで政治的な要素の強い、反抗的なサウンドを選択していました。それは、オルタナティブで時にメタル。そうして、Skin の激しく詩的な表現を完璧に引き立てていったのです。
Skin のかつてないルックス、恐れ知らずの性格、そして抑圧された人々のために立ち上がる心意気が、当時の他のバンドと SKUNK ANANSIE を明確に区別し、彼女を世界的なアイコンへと押し上げました。Skin はアイコニックなDr.マーチンのブーツを履き、ステレオタイプを恐れずに打ち破りました。
「黒人で、女性で、クィアのリードシンガーがいることは、他のバンドとは完全に違っていた。私は人々の先入観に挑んだんだ。私がロック・バンドの顔となることは、多くの人を不快にさせたから」
1990年代半ばは、イギリス音楽にとって特筆すべき時代でした。現代とは異なり、ジャンルやスタイルの統一性がより強く支配していた時代において、アメリカン・オルタナティブ・ミュージックの氾濫に対する対抗馬として台頭したブリットポップは、ラジオや主流メディアを席巻しました。しかし、この注目を浴びたムーブメントの特筆すべき特徴は、その人種的・性別的な均一性でした。つまり、白人男性中心のトレンドだったのです。

一方、時々 “ブリット・ロック” と呼ばれた SKUNK ANANSIE, THE WILDHEARTS, FEEDER といったアーティストは、異なる人種的背景を持つメンバーを擁していました。
「そこに情熱と真実味があるから、ロックにハマるの。そして、そこには怒りと憤りもある。本当にアウトサイダーが集まる場所。90年代、ロックやメタルにハマることは、確実に主流に逆らう選択だった。それはアンダーグラウンドで、少しエッジの効いた音楽だった。だから、私はあの時代の人々ははるかに共感力があると思う。ロックのオーディエンスははるかに共感力がある」
2020年代に入っても、SKUNK ANANSIE が大きな会場を埋められる事実が、このバンドの音楽が “人々の音楽” であることを証明しています。
「それは私がブリストン出身だからよ。1970年代のブリストンは、私が育った頃、南ロンドンの資金不足で忘れ去られた地域だった。黒人たちが住む場所だった。そして、そのことは語られなかった。黒人たちの問題は語られなかった。私たちは本当に自分たちで何とかするしかなかった。さらに、スース(容疑者)法という問題もあった。多くの黒人居住地域は、非常に差別的な警察組織とも対峙しなければならなかった。彼らは黒人男性を疑いだけで逮捕し、捜索した。彼らは街中で裸にさせることもできた。私は3人の兄弟がいるので、その現実をよく知っていたの」
彼女の歌声は、しばしばロック界で最高の歌声と称されています。 純粋で、ハスキーという表現は決して適切ではありません。 高くて正確で、ビブラートがたっぷりかかっているのです。ウィンドラッシュ世代としてジャマイカからイギリスに移り住んだ Skin の家族にとって、そうした音楽とのつながりは天性のものだと感じています。
「私の家族はみんな歌えるの。ただ、練習してこなかったから、いい声が出なかっただけでね。 でも、私みたいに練習していたら、きっとうまくなっていたはず。私は音楽をやって成功したいという意欲と野心を持っていたから」

表舞台で活躍する中で、Skin が耐えてきた逆境は、 “居心地が悪い” という表現がぴったりでした。 他人の偏見や不安の受け皿となることを繰り返してきた彼女は、社会的、政治的な問題に関しては決して尻込みすることなく、長年にわたって差別の事例について率直に語ってきたのです。Skin は SKUNK ANANSIE のキャリアを通して、”Selling Jesus”, “Intellectualise My Blackness”, “On My Hotel TV”, “Little Baby Swastikkka” といった曲で、人種差別、虐待、組織宗教、資本主義の貪欲さに立ち向かってきました。 2020年9月に出版された自叙伝 “It Takes Blood and Guts” の中で彼女は、1996年に SEX PISTOLS のオーストラリア・ツアーに参加した際、人種差別を経験したと語っています。
「髪型だけでナチスだと誤解された。”ステージから降りろ、この黒人女!” とか叫ばれてね。そして、私たちを擁護する人たちが巻き込まれて、小さな乱闘になることもよくあったわ」
ベーシストの Cass も黒人であるバンドは、敵対する者たちを怒りに満ちたパフォーマンスで吹き飛ばし、無表情で束縛することなく反応したのです。
「私たちは、黒人らしく、獰猛に、ラウドになりきったの。その不条理な差別や偏見のおかげで、ステージでより良いパフォーマンスをするためのエネルギーが湧いてきたんだよ」
この活力は、フロントマンのジョニー・ロッテンを含む SEX PISTOLS からのサポートがなかったとされることで、さらに拍車がかかりました。
「彼は私たち四面楚歌になっているのを見て、何もしなかった。そういう沈黙の中に暴力があると思うの。詩的な文章だね、くそったれ! それを書き留めて」

このような抑圧に対する反骨精神が、Skin が多くの人々にとって伝説となった理由のひとつといえます。しかし、何十年にもわたって人々の偏見の的となり続けたことは、どんなに強い人間にとっても重い十字架となるはずです。
「でも、私はそれを背負わなかった。 人種差別、性差別、同性愛嫌悪など、他人の問題を引き受けてしまうと、その人たちが私に重荷を背負わせているようなものになってしまう。 だから前向きに成功について話す方が生産的だと思う。 実際に起こったいくつかの事件や、物事を難しくするようなことが、結果的にバンドの原動力となって成功した理由になっているのだから」
Skin が背負っている問題はたくさんあって、彼女がひとつひとつの十字架を背負う余裕がないのは当然のことです。30年間にわたる闘いの中で、彼女は社会と文化の活動家として、恐れずに声を上げ続けています。LGBTQ+の権利を擁護する活動——これは彼女が数十年にわたり続けてきたもので、当時、多くのアーティストがカミングアウトしていなかった時代から始まっています——以外の時間には、アフリカ女性主導の組織 “Forward” のアンバサダーとして、女性器切除反対運動を展開しています。
The Medical Foundation for the Care of Victims of Torture(現在はFreedom From Tortureとして知られる)や、黒人や少数民族コミュニティを支援するBaobab Foundationといった慈善団体と協力し、Skinは音楽療法を通じて若年の難民申請者を社会に統合する支援も行っています。また、ソーシャルメディアを通じて黒人コミュニティの物語を伝え、差別反対を訴えています。
「先日読んだ研究によると、Instagramのコメントの80%が否定的なものだったそう。人間は他人を批判するのが好きで、他人を励ますことには興味がないんだよ。だから、人々がその対処法を学ぶのは良いことだと思う。なぜなら、それは決して変わらないから。重要なのは、フィードバックを適切に評価すること。99%の人があなたのことを気に入っていても、1つの悪いコメントがあれば、その悪いコメントに焦点を当ててしまう。それは無意味よ。私はソーシャルメディアを最もポジティブな形で使い、善のために活用している。人生で何をするにしても、善のために活用してほしいわ。そうすれば、多くの善が返ってくるでしょう」

2020年、Skin はキャリアの新たな段階を開始し、Absolute Radioで毎週放送されるラジオ番組 “The Skin Show” の司会を務めるとともに、ポッドキャスト “Skin Tings” を立ち上げました。このポッドキャストでは、彼女の音楽のヒーロー、著名な友人、そして新進気鋭のアーティストをインタビューしています。しかし、彼女がインタビューしたアーティストたちと同じように、ロック音楽にとって重要な存在であるのは彼女自身です。彼女の明るい態度とダイナミックな精神は、Nova Twins, Rico Nasty, Little Simz など多くのアーティストに道を開き、自分らしくありながら成功を収めるよう鼓舞してきました。
「自分らしさを保つことは本当に重要だと思う」と Skin は、特に現在の過密な音楽シーンにおいて、多くのアーティストがトレンドを追う代わりに独自の個性を共有しない中で、個性の重要性について振り返ります。
「あなたが興味深いのは、あなたがあなた自身だから。他人を真似るな。本質的にあなたではない方法で物事を始めるな。あなたの素晴らしいところは、あなたが本質的にあなた自身であり、この地球上にあなたのような人は他にいないこと。それがあなたが録音すべき音であり、あなたが集中すべきもの。観客やロック批評家に媚びて成功を追い求めるために、自分ではない誰かになる必要があるなら価値はない。実際、成功とは何だろう?音楽を作り、世に送り出すこと—私にとっては、すでにそれが成功なの。そうすればあなたは実際に音楽業界の一部なのよ。ロック批評家の目を通して自分の成功を見ることは、自身の integrity(誠実さ)と authenticity(本物さ)を損なう可能性があるのだから」

イギリス王室さえも、Skin がジャンルを超えたアイコンとしての地位を認めています。彼女は音楽への貢献を称えられて、OBE勲章を授与されました。リーズ芸術大学の総長でもあります。つまり、英国ロック史で最も影響力のある人物の一人であるわけですが、よく与えられる “先駆者” という称号を受け入れているのでしょうか?
「後から振り返ると、バンドとして私たちの影響力とインパクトはわかる。でも、その中にいてやっている時は、人々が何について話しているのか全然わからない。黒人で女性で同性愛者の歌手が、セクシーで小さな服を着ていないこと、むしろアンドロジナスで政治的な音楽を歌っていたことが、どれだけ狂っていたか思い出す。それは本当に重かった。そして、90年代に多様性と意識の高さを追求した私たちの成果を振り返ると、今や実際に黒人、ゲイ、トランスジェンダーの文化に熱中することがクールになった。それは素晴らしいことだ。だから、私たちは先駆者だったと今なら理解できる」
先駆者といえば1998年7月16日、Skin と Cass は、南アフリカのクルーガー国立公園で、元大統領ネルソン・マンデラの80歳の誕生日を祝うための集まりに参加し、1,000人もの人々と共に夕食を摂っていました。その夜の司会者が、ステージに上がることを許可された人々の名前を短くリストアップし始めた時、2人は、自分たちも呼ばれるだろうと冗談を言いました。そして、本当に呼ばれたのです。
「私たちは “呼ばれるよ!” と笑い合っていた。そして “SKUNK ANANSIE!” って。やばい! それで私たちはステージに上がった。ネルソン・マンデラと少し会話し、その後マイケル・ジャクソン、ダニー・グローバー、スティーヴィー・ワンダー、ニナ・シモンと並んで立ち、全員でネルソンに “ハッピー・バースデー” を歌った。スティーヴィーがピアノを弾き、私がリードを歌い、マイケル・ジャクソンがハーモニーを担当した。そう、本当に魔法のような夜だった…」

まさに伝説に残る一夜でした。1994年にロンドン・キングスクロス地区の怪しげなリハーサルルームで活動を始めたバンドとしては、悪くない成果です。31人が焼死した地下鉄駅を出て、Skin は強盗の目を避けるため、目的地の街を走って移動していました。そこでは薬物依存、売春、ホームレスが蔓延していたのです。
「キングス・クロスは人間社会の汚物溜めだった。まさに汚物溜めだったが、輝かしいものだった。最高のバンドは汚物溜めから生まれると思う」
27年半後、現在 Skin はニューヨークとロンドン北東部を往復する生活を送っています。最初のラジオシングル “Little Baby Swastikkka” から 30 年近く経った今日、彼女は “成功” “今でも観客を前に、チケットが完売のライブを行っていること” と定義しています。
「人々は私に “成功とは600万枚のアルバムを売ることですか?” とか聞いてくるけど、私は “いいえ、成功の定義は、自分が方向付けた人生を送れていて、それでも十分な収入を得られるから、他のことをする必要がないこと” だと答えるわ。私にとって、成功とは、楽しみながらお金を稼ぎ、素晴らしいライブを続け、人々に称賛されることよ。おそらく今、私たちは “伝説的な地位” のカテゴリーに入っているようで、興味深いね。おそらく私たちは、今や人々が憧れるバンドの一つであり、若者たちが憧れる存在になっているでしょう」
間違いなくそうでしょう。2019年の夏、O2アカデミー・ブリクストンでの SKUNK ANANSIE のライブでは、他の同様の激しいライブでは時々見られない、特に同性カップルや有色人種の女性を含む、明らかに多様な層の観客がいました。もちろん、そのシーンが必ずしも排他的な場所というわけではありませんが、彼らのシンガーが説明する通り、このグループは “慰めを提供する “のです。「人々は SKUNK ANANSIE のライブに来て、自由になれる。私たちのライブのプライバシーの中で、彼らはその1時間や2時間を、ただ自分らしくいることができるの」

同じく2019年、Stormzy が “グラストンベリーでヘッドライナーを務めた最初の有色人種アーティスト” と誤って主張した件(SKUNK ANANSIE が彼より20年も前にその栄誉を獲得していた)に対し、ラッパーは正式な謝罪を表明しました。
「正直に言えば、ビヨンセが “グラストンベリーでヘッドライナーを務めた最初の黒人女性” だと発言したときのほうが、私はもっと苛立った。Stormzy は大好きで、彼は多くの良いことをしている。彼を批判したり、その瞬間を奪ったりすることは絶対にしない。でも、自分を守らなければならなかったから訂正を求めたの。彼は本当に品格がある。個人的にDMを送ってくれて、素敵なメッセージだった。少し会話した。私たちは皆、彼が黒人男性として、黒人男性らしいことをしていることに誇りを持っている」
実際、Skin の人気急上昇期の記憶は輝かしいものでした。彼女はダライ・ラマの前でパヴァロッティとデュエットし、ネルソン・マンデラに誕生日を歌い、1999年にグラストンベリーでヘッドライナーを務めた最初の黒人イギリス人となったのです。黒人女性として切り開いてきた道。それは確実に、報われようとしています。
「今や状況は変わった。人々は、変化をもたらすべきのは女性ではなく、他の人々であることに気づいた。女性が服装を変える必要はない。女性が自分を証明するために5倍努力する必要もない。それは私たちの責任ではない。他人が態度を変えるべきだし、それが女性以外の責任なの。90年代はそうではなかったけど、私はずっと前からその態度を持っていたの」
あの MOTORHEAD の Lemmy とは親友でした。
「彼はとても優しかった。 私が会った人の中で、一番本物の人だった。 彼はありのままの自分で、それを隠そうとしなかった。 それに、彼は想像以上に完璧な人だった。 彼はとても紳士的だった。私がLAにいるときはいつも一緒に曲を書いていて、彼からのメッセージもとても嬉しかった。 あるとき、彼と一緒に曲を書くことになっていたのに、私は恋人と別れてしまって書けなかった。 すると彼はLAに来て、”君のためにきたよ。一緒に遊ぼう” って。 本当に優しい人だった」

自伝、ツアー、ニューアルバム…多くのことが進行中ですが、Skin はいつか音楽から完全に離れることを考えるでしょうか?「どうやって止めるの?」と彼女は微笑みながら言う。「なぜ止める必要があるの?」
そう、SKUNK ANANSIE 9年ぶりの7thアルバム “The Painful Truth” (2009年の再結成以来最高の作品)は、再結成したグループの一部が形式的に活動するのと対照的に、このバンドがは2025年に活躍するためのバンドであることを見事に証明しました。
「最も良いのは、すべてが音楽から来ていること。新しい曲は人々に好まれ、古い曲はボーナスだ。私は常にこの強い信念を持っていた…素晴らしいアルバムを作れば、すべてが変わる…とね。私たちは “続けるか、続けないか” という自問自答をしたの。本当に質の高い曲をまだ作れるなら、未来があるとね。しかし、平均的な曲しか書けないなら、創造的に終わりかもしれないって。そうやって、ただ緩やかな衰退をたどれば人々は、90年代の私たちにしか興奮しなくなるだろう」
“The Painful Truth” には彼らの特徴的な歌詞と音楽の重厚さに、情熱的なオルタナティブの要素、電子音楽の要素、大衆向けの大きなコーラス、そしてスキンによる “巧妙な言葉遊び” が見事に融合されています。 “Shoulda Been You” のような堂々たるポップな曲から、率直で容赦ない “Shame”(「あの歌詞で一部の人から批判されるかもしれないけど、もうすでにその人たちからは十分批判されてるから!」と Skin が冗談を交えて語る)まで、これはまさに SKUNK ANANSIE が作りたかったアルバムであり、人々が予想していた過去の彼らから進化を遂げた作品でした。
「ファンが気に入ってくれるかどうか、という不安はある。なぜなら、”The Painful Truth” は私たちが普段やっていた音楽ではないから。でも、人々が本当に求めているのは、自分たちが欲しかったと気づかなかった本当に素晴らしいものを享受すること。私たちの仕事は他人を追いかけることではないからね」

そしてもちろん、それが常に SKUNK ANANSIE のやり方でした。90年代の白人男性中心のロックシーンを切り裂いてきた頃から常に。
「当時は気づかなかった…私たちはただバンドとして活動していただけだから。でも、私のような人たちがロック音楽への門を大きく広げたと信じたい。私たちは結局のところ、それを発明したんだから!今なら、小さな黒人少女や多様なバンドでも、それほど多くの反発を受けずに自分の道を歩めるだろう」
そうして時代がやっと追いついてきた今、SKUNK ANANSIE はメンバーの闘病という苦難にまたさらされています。しかし、30年もの間、世界のあらゆる試練を乗り越えてきた SKUNK ANANSIE は、今さら引き下がるつもりはありません。
“An Artist Is An Artist” や “Cheers” といった素晴らしい新曲が、”Weak” や “Little Baby Swastikkka” といった名曲と見事に調和しています。バンドは、ついに彼らが常に受けるべき尊敬を受ける時が来たのでしょう。
「いいメッセージを持ったバンドとして記憶されるのは悪くない。”彼らは本気で、いくつかの障壁を打ち破り、正しいことをした” ってね。私たちがやってきたことに比べれば、まだ花は咲いていないけど…私たちは毎晩、人々から花をもらっているよ」

参考文献: REDBULL:Skunk Anansie rocks out while Skin does the trailblazing

KERRANG!:Skin: “We offer solace. At a Skunk Anansie gig, people can be themselves, be free…”

KERRANG!:“I always had this strong belief: ‘If you do a great album, everything changes…’” How Skunk Anansie forged their dazzling future

VICE: Skin from Skunk Anansie Will Always Be a True Original

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PALEFACE SWISS : CURSED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PALEFACE SWISS OF YANNICK LEHMANN !!

ALL PHOTOS BY ADAM CHANDLER

“In Times Like These, Solidarity Is Everything. We Want To Give People a Space Where They Can Truly Be Themselves. Everyone Is e Equal, That’s Our Message.”

DISC REVIEW “CURSED”

「もちろん SLIPKNOT は大きな影響源だったよ。僕たちのボーカルと元ドラマーは、彼らのライブで出会ったんだからね。だけど、僕たちは決して SLIPKNOT になることを目指したわけではないんだよ。僕たちはビートダウン・バンドとして始まり、そのころの夢や目標はシンプルだった。世界で最も過激なバンドになることだよ」
かつて、SLIPKNOT は世界一過激で、クリエイティブで、それでいてメジャーなエクストリーム・バンドでした。過激であることと、クリエイティブであること、そしてメジャーであることが並び立つと彼らは証明してくれたのです。
SLIPKNOT のコンサートで結成されたスイスの PALEFACE SWISS は、そんな伝説の志を継ぐバンド。なぜなら、彼らはすでにスラム・ビートダウンとして狂気のSAN値を更新しながら、多様で創造的なアイデアで、スイスで最も人気のあるエクストリーム・メタルとなりつつあるのですから。
「僕たちはジャンルに縛られないんだ。狭い箱に閉じ込められるためにここにいるわけではないんだからね。ある日は Nu-metal のトラックを書き、次の日はデスメタルのアンセムを書くかもしれない。僕たちは感じるままに創造する。そこに限界はないんだよ」
初期 SLIPKNOT への崇拝という呪い “Hatred” から幕を開けるアルバム “Cursed” は、しかし徐々に自らにかけられたその呪いを振り払い、新たな世界を “Spit it Out” 吐き出していきます。KORN の奇妙な絶望や孤独をデスコアで解釈した “…and with hope you’ll be damned”、パーカッシブなコンセプトを活用した “My Blood On Your Hands”、そしてメロデスと Nu-metal のオフビートな狂宴 “Love Burns”。また、完全版に収録された “River Of Sorrows” のアンプラグド・バージョンではリスナーの涙を誘い、バンドの懐の広さを見せつけます。
「このような暗い時代には、団結が全て。僕たちは、メタルを通じて人々が本当に自分らしくいられる空間を提供したいんだ。ここでは誰もが平等である…それが僕たちのメッセージだよ」
SLIPKNOT が “People=Shit” と歌った “Iowa” からおおよそ四半世紀の年月が経ちました。90年代の暗さを背負っていた SLIPKNOT が “People=Shit” と叫ぶのは、ある意味時代の必然だったのかもしれませんね。
しかし、同じ暗い時代において、PALEFACE SWISS はメタルと人の可能性を信じます。メタル世界ではすべての仮面や肩書きを脱ぎ捨てて、本当の自分でいられる。どんな文化、人種、宗教、言語でもメタルの前では平等である。差別や抑圧を許さない。メタルを愛するという大きな “共感” が、コミュニティ全体を優しく包み込んでいきます。いろんなことが、この25年で大きく変化しましたが、少なくともメタル世界は少しづつでも前へと進んでいるのです。
今回弊誌では、ギタリストの Yannick Lehmann にインタビューを行うことができました。「ヘヴィ・ミュージックは世界を変えられないかもしれないけど、人々を変えることならできる。音楽で困難な瞬間を乗り越える手助けをしたり、長い一日の後に平穏をもたらしたり―それがヘヴィ・ミュージックが持つ真のインパクトなんだ。君なら僕の意味するところを理解してくれると思う」それにしても、Zelli のボーカル・パフォーマンス、スター性は群を抜いていますね。どうぞ!!

PALEFACE SWISS “CURSED” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BLACKRAIN : CRACK THE SKY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SWAN HELLION OF BLACKRAIN !!

“Van Halen Debut Album Became a Big Thing In My World, The Sound Of The Guitar On This Album Is So Unique, There’s a Very Special Feeling Coming Out Of It, It Is Wild.”

DISC REVIEW “CRACK THE SKY”

「Jerem はまだ若いけど EVH の大ファンで、彼にとって大きな影響の源だよ。実は、この動画で僕らの音楽がより広い層に届くと期待していたんだ。素晴らしいギターソロは、ロックやグラムのコミュニティだけでなく、多くの人々の心を動かすことができるからね」
Eddie Van Halen が旅立って5年。そのユニークな音楽、哲学、サウンド、テクニックは、大いなる遺産、ロックの “導火線” となって今も人々の心を動かし、リアルタイムを知らない若い世代をもギターやメタルの沼へと引きずり込んでいます。ギター・ヒーローの類稀なる情熱と魔法は、先日インタビューを行った DERAPS の例を挙げるまでもなく、確実に多くの後続へと “継承” されているのです。
「VAN HALEN のファースト・アルバムは、若い頃にオリジナルのLP版を贈られてから、僕の世界で大きな意味を持つようになったんだ。このアルバムのギターの音は本当に独特で、特別な感覚があるよね。実に野性的だよ」
20年前、ここ日本のツアーからキャリアのスタートをきったフランスの BLACKRAIN。80年代のサンセット・ストリップを現代へと蘇らせる彼らは、紆余曲折を経て昨年再スタートを切りました。Jerem G という若き才能を得た彼らは、一度 VAN HALEN のファースト・アルバムという原点に戻り、再起を図ります。”Resurrection”。Jerem G がこの楽曲、このMVで魅せた姿には明らかに “Eruption” の情熱、野生、衝撃が宿っていました。今、この動画は様々なプラットフォームで拡散され、”バズって” います。そう、ギターの衝動は時にメタルのコミュニティを超越して “噴火” します。かつての VAN HALEN のように。
「現代の社会では、人々は何かに対して30秒以上の注意を払わないため、”メディオクリティ” “奇をてらわない良さ” “普遍的な素晴らしさ” が “大きな問題” となる。これが、今日あらゆる問題が蔓延する理由かもしれないよね。だからこそ、努力を重ねて一定のレベルに達し、夢を叶えた人々を見聞きすることは、確かに大切なことなんだ…」
長年こうしたサイトを運営していると、いかに現代が、もしくは SNS が “普遍” と相性が悪いかを思い知らされます。結局、”バズる” 記事は今や30秒、いや5秒で伝わる奇抜な “出オチ” のアーティストが大多数。もちろん、そうした前代未聞のアイデア自体は素晴らしいのですが、果たして “バズ” に “加担した” リスナーは彼らを末長く愛しているのでしょうか?まるでスタバの新作のように、ただ一度 “消費” してそれで終わりのような気がしてなりません。
スクロールで膨大な情報が現れては消える時代に、私たちのアテンション・スパンはどんどん短くなっていきます。そうした流れで、”メディオクリティ”、普遍的に長く愛せる音楽を私たちは見失いがちなのかもしれませんね。だからこそ、もし “当たり前にカッコいい” Jerem G の勇姿に感銘を受けたとしたら、彼らのアルバムにも目を向けて欲しいのです。そこには、80年代の巨人たちとも対等に渡り合える、情熱的な目眩くメタルの “普遍” が存在しているのですから。
今回弊誌では、フロントマン Swan Hellion にインタビューを行うことができました。「多くのギター・ヒーローや素晴らしい達人が存在したと感じてきたけど、僕の注意を引くのはごくわずかだった。多くの人が超高速でスケールを上下に弾くことができる中、僕は別の何かが必要だと思ったんだ。曲のために演奏し、音楽に本物をもたらすギタリスト、タッチやサウンドを持つギタリストこそが必要だとね。Jerem はその資質を持っている」 どうぞ!!

BLACKRAIN “CRACK THE SKY” : 10/10

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