NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIDEOUS DIVINITY : UNEXTINCT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ENRICO SCHETTINO OF HIDEOUS DIVINITY !!

“Metal Sex Workers Degrading Metal” Makes No Sense At All, Especially Because The Metal Community Always Claims To Be The Most Open-Minded And Inclusive Of All Music Communities.”

DISC REVIEW “UNEXTINCT”

「僕らのマネージャーはずいぶん前から、日本がいかに重要か、そしてSNSやTwitter/X を正しく使って日本のファンと接触する方法を理解していた。時間と労力がかかることだが、最終的には報われる。ファンと個人的な対話をすることができれば(Tito はその達人だ)、アーティストはファンにとってより大きい存在になるだろう。日本で僕たちにアプローチしてくるファンは、言葉の壁があるにもかかわらず、僕たちを “より身近な存在” だと感じていることに気づいた。とても誇らしく、謙虚な気持ちになったよ」
世界は今や、SNSがすべての中心にあります。それは音楽の世界も同じ。知名度を高め、人気を得るために SNS の効果的な運用は不可欠でしょう。HIDEOUS DIVINITY と彼らが所属するイタリアのレーベル Death To All は、そうした状況を深く理解しています。
彼らは特に、日本のマーケット、その重要性を認識していて、SNS を日本語でも運用。こまめにチェックとエゴサを重ねて、言及のあったアカウントにいいねやリプライを送ることも欠かしません。それはたしかに、時間と労力を消費する裏の仕事ですが、資金をかけることなくマーケティングが可能な金の卵でもあるでしょう。遠く離れたファンとつながれる、幸せな時間でもあるはずです。そうして実際、HIDEOUS DIVINITY 初の日本ツアーは大盛況のうちに幕を閉じたのです。
「正直、あの時は彼女の職業については知らなかったんだ!”メタルのセックス・ワーカーがメタルの品位を落とす” というのは、まったくもって筋が通っていない。特にメタルのコミュニティは、あらゆる音楽コミュニティの中で最もオープン・マインドで包容力があると僕は常に主張しているのだから。一部の例外を除いて、メタル世界に差別的なエピソードは見当たらない。 もちろん、世界は愚か者でいっぱいだ。だからメタルを聴くバカもたまにはいるだろうが、それについて我々ができることはほとんどないんだよな」
一方で、SNS には暗い側面も存在します。誹謗中傷や差別の助長。HIDEOUS DIVINITY の日本公演にゲストとして招待されていたあるセックス・ワーカーのポストについて、”セックス・ワーカーがメタルに言及すると、メタルの品位が落ちる” と発言するアカウントが現れました。
さて、モダン・メタルの “品位” “品格” とは何でしょうか?個人的に、それは Enrico のいうように、包容力、寛容さ、そして教養だと感じています。人種や文化、性別や職業に貴賤がないことは、現代を生きる人々にとってまさに不文律といえます。その不文律こそ、人類が、そしてメタル世界が長い年月をかけて培ってきた知性であり、教養であるはずです。そこに、”区別” と称して差別や抑圧を持ち込むことこそ、前時代的であり、”メタルを聴くバカ” に違いありません。
せっかく、我々はどんなジャンルよりも多様で幅広いテーマを扱う、”教養” を養えるヘヴィ・メタルの世界にいるのです。その “教養” を粗末にするような SNS の使い方は避けるべきでしょう。
「僕たちの音楽が歓迎され、高く評価されたのを見ると、日本のファンを増やすことはできると思う。熱狂的で情熱的なデスメタルのファンに沢山会ったけど、彼らの多くは、UNBIRTH や PUTRIDITY といったイタリアの他のバンドのファンだった。僕たちはただブルータルなデスメタル・バンドではなく、他の方向に向かっていると思うから不思議なんだけど、それでもフィードバックはとても良かったんだ」
実際、多くの日本のファンは寛容だったようです。HIDEOUS DIVINITY の音楽は、決して一筋縄ではいきません。実に哲学的でテクニカルでありながら、暴力的で混沌したノスフェラトゥ。相反する要素を併せ持つ、彼らのテクニカルでプログレッシブなデスメタルを追求するリスナーは決して多くはないでしょう。それでも、日本のリスナーは、決して最推しではなくても、彼らの音楽に耳を傾け、理解しようと努力し、愛情を注ぐようになりました。もちろん、音楽の “品位” が高いことは当然ですが、そうして好奇心と寛容さでメタルの世界が広がることこそ、SNS 時代において最も美しい光景ではないでしょうか?
今回弊誌では、ギター・マイスター Enrico Schettino にインタビューを行うことができました。「日本のSNSにおける、トレンディング・トピックの達成は信じられなかったよ!日本に惹かれる理由はメンバーそれぞれだと思う。Enrico・H はアニメの世界に最も造詣が深いかもしれないし、メンバーみんなが80年代や90年代に人生を変えたビデオゲームを知っている。 個人的に、僕にとっての日本とは、黒澤、北野、葉隠、そして相撲だ。 一般的に、僕はいつも西洋の基準とは全く異なる世界に魅力を感じていたんだよ」 どうぞ!!

HIDEOUS DIVINITY “UNEXTINCT” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DREAMWAKE : THE LOST YEARS】


COVER STORY : DREAMWAKE “THE LOST YEARS”

“Wavecore Is Essentially The Mixture Of Synthwave And Metalcore. We Just Took The Two Coolest Sounding Words From Both Of Those And Put Them Together.”

WAVECORE

2025年のヘヴィ・ミュージック・シーン。多くのモダン・メタル・バンドが創造的なことをしているのを目にします。SLEEP TOKEN はメタルに強烈でポップなオーラをもたらし、ELECTRIC CALLBOY はヘヴィ・ミュージックをパーティーに変えていきます。また、ICE NINE KILLS はメタルのスタイルでホラーに命を吹き込んでいます。
そして4年前、シンセ・ウェーブへの強烈な愛と情熱をメタル・コアのスタイルに融合させたバンドは今、そのアイデアを広げただけでなく、サックスを全面的に取り入れ、彼らのブランド “ウェーブ・コア” のアーバンでセクシーなサウンドを開花させました。
メタル・コアにプログレッシブなアプローチを取り入れ、そこにシンセウェイヴやサックスパートを持ち込む野心。コネチカットの DREAMWAKE は2018年以降、そのサウンドと野心を見事にスケール・アップさせてきました。セカンド・アルバム “The Lost Years” では、まさに独自の進化を遂げたメタルの構築に成功。彼らの “ウェーブ・コア”サウンドは、メタル・コアのヘヴィネスとシンセウェイブの温かくノスタルジックなフィーリングをカップリングしたもので、まさに唯一無二の取り合わせ。まず、ウェーブ・コアとはどういったジャンルなのでしょうか?ギタリストの Dave Pazik が答えます。
「ウェーブ・コアとは、基本的にシンセ・ウェーブとメタル・コアのミックスだ。 シンセ・ウェーブとメタル・コアの中で、最もクールな響きを持つ2つの言葉を一緒にしたんだ。それでウェーブ・コアになった。 少しずつ定着し始めているね。シンセ・コアやレトロ・コアを使う人もいるけど、僕らはウェーブ・コアが気に入っている。それがこのバンドの本質なんだ。 僕らは典型的なメタルコア・バンドよりも少し多くのことをやろうとしている。 メタル・コアは僕らが大好きなものだけど、シンセ・ウェーブの要素を加えて、僕らのアートの原動力にしたいんだ」
フロントマンの Bobby Nabors も付け加えます。
「シンセウェーブは僕らの人生の中でとても大きな部分を占めている。 僕らはみんな、2017年にリリースされた “Nocturnal” で THE MIDNIGHT というバンドを知ったんだ。 僕たち全員が初めてそれを聴いて、音楽的にも人間としても変わったんだ。僕らの人生、キャリア、そして目標において、とても重要なポイントだった。 このアルバムは、僕たちがバンドとしての本当のアイデンティティを見つける手助けをしてくれたんだよ。僕たちはまだまだ拡大し、成長し、実験していくような気がするけど、超自然に真摯に僕たちの心と魂を完全に注ぎ込むことができるものを見つけたんだ。とても情熱を持っているよ。シンセ・ウェーブは DREAMWAKE の大きな部分を占めていて、これからもこの要素を加えたいと思っているんだ」

メタル・コアとして始まり、そこにシンセウェーブを加えたのでしょうか?Bobby が答えます。
「僕ら3人は、このバンドを結成する前にも複数のバンドをやっていたんだ。シンセを取り入れたバンドもあったけど、ほとんどはストレートなメタル・コアだった。それからバンドを始めて、EP “Dark Thoughts in Vibrant Minds” をリリースして、自分たちの本当のサウンドというか、少なくとも方向性を見つけることができた。でも、その中の何曲かはただのストレートなメタル・コアだった。 方向性が定まっていなかったんだ。実際にサックスを使って少し実験してみるまではね。サックス奏者 Jesse Molloy は、僕たちのすべてのレコーディングに参加してくれている。確か “Paradise” という曲で実験的に彼に声をかけたんだ。 この曲は春のビーチのようなフィーリングで、僕たちはサックスで一段上のフィーリングにしたかった。うまくいったし、だから僕たちはそれを取り入れて走り出した。Jesse は、それまでメタルはやったことがなかったので、自分とはまったく違うものだと言っていたけどね。こうして DREAMWAKE のサウンドが誕生したんだ。 サックスはかなり大きな存在だけど、シンセ・ウェーブで自分たちのサウンドを見つけたんだ」
つまり、DREAMWAKE にとってはメタル・コアと同じくらい、シンセ・ウェーブとの出会いが衝撃的だったのです。Dave が回想します。
「僕らが初めてシンセ・ウェーブに出会ったときのことを覚えている。とてもクールな瞬間だった。友人の車で音楽を聴いていたとき、彼が初めて THE MIDNIGHT を聴かせてくれたんだ。それまであまり聴いたことのない、本当にクールなスタイルの音楽だった。だから僕たちは、自分たちがすでに知っていて大好きなものを使って、シンセ・ウェーブを自分たちのものにする方法を見つけたかった」

Bobby がシンセ・ウェーブに見つけたのは、エモーションとノスタルジアでした。
「感情に訴える音楽に関しては、僕らはみんな本当に情熱的だと思う。僕たちは皆、音楽に何かを求めている。 何かを感じさせてくれるような… シンセ・ウェーブや THE MIDNIGHT、そういったバンドに出会って、一気に世界が広がった。シンセ・ウェーブの音楽の多くには、僕たちが書く傾向にあるものと似たテーマがある。人生、内なる葛藤、物事のダークでヘヴィな側面、でも同時にポジティブであること。ほろ苦さという奇妙なエネルギーがある。ノスタルジックで温かみがあると同時に、ちょっと冷たい感じもする。この作品は感情に左右される音楽で、サックスはその素晴らしい一部だと感じている。感情を引き出してくれる。 それこそが、僕らの音楽の正義なんだ。
サックスが入ると、ひとつのレベルからまったく違う領域になるんだ。鳥肌が立つような感じだ。バンドをやりながら自分たちを表現できることが本当に嬉しいね」
とはいえ、今をときめくあのバンドにも影響を受けています。
「SPIRITBOX, PERIPHERY, ERRA, NOVELISTS といったバンドやアーティストからインスピレーションを受けている。加えて、The Midnight, FM-84, Timecop 1983 といったシンセウェーブ・アーティストからも多くのインスピレーションを受け、プログレッシブ・メタルコアとシンセウェーブ・ミュージックの両方から影響を得ることで、現在のサウンドを作り上げることができたんだ」

モダン・メタルの世界では、多くのバンドが同じように外部から様々な影響を取り入れようとしていますが、不誠実で歪なやり方も少なくありません。しかし、DREAMWAKE は実に自然です。Bobby はこの実験をとても気に入っています。
「ありがとう。 サックスを使った実験は、最初は1回限りのものだったんだけど、曲の感情をうまく引き立てているのを聴いて、僕らのサウンドの永久的な一部にする必要があると感じたんだ。 僕らの曲はサックスがとてもよく合っている。
以前は曲を書いてから、入れる場所をサックス奏者に選んでもらっていた。サックスを入れる場所を決めてもらっていたんだ。でも今回のアルバムでは、彼に楽しんでもらうことにしたんだ。 やりすぎたり、無理強いしたりすることなく、サックスの出番を増やすようにした。以前のレコードよりもサックスを散りばめて、そのメッセージを訴えかけるようにしているんだ」
“The Lost Years” は、前作 “Virtual Reality” よりも様々な点で進化を遂げていると Dave は語ります。
「幅を広げたという感じかな。 サックスやシンセ・ウェーブ、軽めのパートもたくさん書いたけど、ヘヴィなパートも間違いなく増えた。 そういう意味でも幅が広がったと思う。今回は DREAMWAKE のダイナミックさがより広がったと思う。まず、僕らは “Virtual Reality” で自分たちのサウンドを見つけたんだ。今回のアルバムでは、自分たちがやっていることを両極端により強烈な形で届けるにはどうしたらいいか、より意図的で計算されたものにしたのさ」

“The Lost Years” から何を感じ取ってほしいのでしょう?Bobby が答えます。
「”The Lost Years” は人生の “ページめくり” のような気がするね。青春時代から、大人としての自分を発見し、人生の目的を見つける。人生の次のステップを踏み出し、自分が進むべき道を進む。制作中の何年かの間に、僕らはちょっとしたアイデンティティの危機に陥っている。
“The Lost Years” の多くは、痛みや感情、人生の良い年や悪い年について書かれている。しかし、トンネルの中には光もある。怖いけれど、楽観的になること。 地平線の先には、必ず良いことが待っている。人生は前進する。もしこのアルバムを聴いてくれる人がいたら、大丈夫だと感じてほしいし、人生がどんなに苦しくても、怖くても、前に進み続ける理由があることを知ってほしいんだ」
Dave が付け加えます。
「さらにいえば、陳腐に聞こえるかもしれないが、”君はひとりじゃない” というメッセージを発信したかった。年齢を重ね、問題や葛藤を抱えていると、かなり孤立してしまうような気がするんだよ。周りのみんなもそうした苦労をしている。時には結局自分しかいないことに気づくこともある。それは良いことでもあるけれど、誰にでもサポートシステムが必要だし、自分が経験している苦難は一時的なもので、解決できるものだと気づかせてくれる人が必要なんだ。僕らの音楽がそのための逃げ道になったり、苦境に立たされているのは自分だけではないということを誰かにわかってもらうためのプラットフォームになったりするのなら、それは素敵なことだ。それが大きな目標であり、僕たちの活動から受け取ってほしいメッセージなんだよ」

DREAMWAKE にとって、歌詞やメッセージはとても大切なものだと、フロントマンは語ります。
「僕は歌詞を書くとき、それが良いものであれ悪いものであれ、特定の感情を感じない限り何も書けないんだ。無理やり書くことを自分に許さない。書けるのは、音楽を通して納得して、解決するに値する何かを感じているときだけだ。だから歌詞を書くときは、誰がどう解釈してもいいように曖昧に書く。 でも、僕は自分自身の個人的な葛藤や自分の人生で経験していることから歌詞を書いているんだよ。
歌詞はある意味セラピーのようなもの。 自分の考えや感情を処理するためのね。誰だってそれを吐き出す方法が必要だ。僕の方法は幸運にも音楽だ。 歌詞には誇りを持っているし、時間をかけている。僕にとってとても大切なものであり、このアルバム全体がとても重要なものなんだ」
シンセ、サックス、そしてプログレッシブなメロディー。 曲を作るプロセスを Dave が説明します。
「どの曲もスタートが違う気がする。 最近はシンセのメロディから始まる曲が多い。というより、リフから書くことだけは避けるようにしている。むしろ、すでにそこにあるメロディにリフをつけるほうがいい。僕たちはいつも演奏を先に仕上げる。Bobby と僕は10代の頃からずっとそうだった。スタジオに行って、歌詞のない曲を書いて、曲を完成させる。 そうすれば、自分たちのサウンドスケープを作ることができる。 ギター・パートやシンセの多くが、まるでボーカルのメロディーのように歌えることに気づくだろう。 ボーカルを入れる前に、そういうものをたくさん入れるようにしているんだ。なぜなら、初めて聴いたときには気づかないような、サブリミナル的なメロディーが背後にあるからだ」

ボーカリストも、バックの演奏には絶大な自信を持っています。
「インストゥルメンタルの面では、ボーカルがいなくても、僕らの曲は大きな声で語りかけてくるような気がする。何が起こっているのか聴き取れる。僕らの音楽と作曲プロセスには、たくさんのレイヤーがある。 集中しないと聞こえないこともある。そのプロセスには、とても多くの思いが込められているんだ。もちろん、ボーカルがあるときは、とてもいいし、音楽に素晴らしい要素を加えているのだけど、インストゥルメンタルだけを聴いていないと聴こえないようなものがたくさん隠されてしまうんだ。だからファンにはインストゥルメンタルも集中して聴いてほしいと思っているんだ。ある意味、曲を別の視点から聴いているようなものだからね。
どのレイヤーも無駄にはなっていない。僕らの音楽には、ひとつひとつに明確な目的がある。 フィラーもナンセンスもない。それぞれのピースがそこになければならないと感じているんだ。 インストゥルメンタルにはプライドがあるんだ。僕らはバンドで全領域をカバーしようとしているんだ。 トラック内のあらゆるものが常にシュレッドしているようにしたいんだ(笑)。 もしそうでないなら、僕たちはそれをさらに加速させる必要がある。 すべての小品が印象的であってほしい。 どの曲にも驚きを与えたいんだ」
DREAMWAKE は音楽と歌詞だけでなく、MVやマーチャンダイズにもノスタルジックでレトロ・フューチャーな雰囲気が醸し出されています。逆にいえば、メタル・バンドが定期的に使うような色彩はあまり見かけません。Bobby が説明します。
「そうすることで、自分たちを最大限に表現することができる。このバンドのピースは、イメージ、マーチャンダイズ、すべてを含めて、僕たちの心の一部みたいなものなんだ。それはまた、僕たちがバンドと迷い、そして今ここにいること、人生の様々な時期に似ているのかもしれない。シンセ・ウェーブ/ヴェイパーウェイブの美学は、僕たち自身を本当によく捉えている。ノスタルジックな子供時代のような、温かくてファジーな感覚を持ちながら、同時に切なくてエモーショナルでもある。
ピンクとブルーを見ると、誰もが自動的に DREAMWAKE 思い浮かべるよね(笑)。それが僕らのカラーなんだ!」

ブルーとピンク。Bobby はそのツートンカラーの色合いを、完璧主義者とそこからの解放のふたつで実践しています。
「少なくとも僕は、ミュージシャンとして毎公演完璧でありたいと思っている。でも毎晩必ず何かがあるわけだから、自分の頭で考えて、ショーの後に自分を責めないことが大切なんだ。多くのミュージシャンは、少なくとも僕が会った人たちはそうだった。完璧でありたい、もっとうまくなりたいと思うのはみんな同じだけど、常に自分が一番の批判者なんだ。以前はステージから降りると、その晩はずっと怒っていて、ツアーや旅を台無しにしていた。今は、ステージに立つこと、そしてそのステージをやり遂げることに喜びを感じられるようになった。何が起ころうとも、起こったことは起こったことだし、自分が一生懸命やった限り、それがすべてなんだ。この前のツアーでは、それを本当に実践したし、精神状態も以前よりずっと良くなった。 ミュージシャンとして、少なくとも僕にとっては、毎晩110%完璧でなくても大丈夫だということが、大きなことだと感じている。 人間である以上、何かは起こるものだから、そこに行って人々のためにやった自分を褒めてあげて、多幸感を感じて次のステージに行くんだ」
DREAMWAKE というバンド名も、そもそも “多幸感” を意識してつけられました。
「DREAMWAKE という名前の由来は、音楽を演奏することで自分たちの感覚を体現できるような名前を見つけようとしたことからきているんだ。僕たちはそれを、夢やフロー状態、ネガティブな考えやアイディアから解放された状態だと考えたい。 音を通して、現実から一時的に逃避し、多幸感に浸るようなね」
シンセ・ウェーブは、ここ10年ほどの間に、音楽だけでなく様々な側面に浸透してきました。バンド全員がその事実に興奮を覚えています。
「本当にクールだと思うよ。 僕らのビデオにも、そういった側面をいくつか使っている。”Night Rider” のビデオでは、ランボルギーニが登場し、背景にはサイバー・パンクのような街並みが映っていた。
シンセ・ウェーブの要はフィーリングに浸れることだ。 だから、純粋でオーセンティックなシンセウェーブを取り入れたものには、何らかの愛着が湧くんだ。 胸に響く感覚を与えてくれる。僕らにとってはとてもありがたいことなんだ。
今、シンセウェーブが注目されているのはとても嬉しいことだよ。みんなが大好きなものだから、あちこちのメディアで目にすることができる。ある意味、僕らのために作られたトレンドのようなものだ。僕らにとっては、子供時代に似ているんだ。90年代に育ったから、80年代後半から90年代がスイートスポットだと感じている。まさにノスタルジーだね。僕たちがこの音楽をやっているのと同じ頃に流行っているというのは神だ。もちろん、情熱的なプロジェクトだから、流行に乗るつもりはないけれど、社会がシンセウェーブで病みつきになっているのは事実だ。僕たちはその利点を享受することができるんだ」

参考文献: DEAD RHETRIC : Dreamwake – Championing Wavecore

KILL THE MUSIC : UNSIGNED SPOTLIGHT DREAMWAKE

100% ROCK MAG: DREAMWAKE Interview

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CALVA LOUISE : EDGE OF THE ABYSS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JESSICA ALLANIC OF CALVA LOUISE !!

PIC BY HENRY CALVERT

“I grew up during a very hard economic and social crisis in Venezuela so the alternative scene was disappearing, I felt the need to leave the country.”

DISC REVIEW “EDGE OF THE ABYSS”

「多様なルーツはアドバンテージだよ。なぜなら、それぞれの文化から吸収した影響があって、ひとつに左右されないから。私たちが共通して持っているものに従い、より純粋な形でつながることができるから」
世界は、異なる文化や人種を再び “排斥” する方向へと向かっています。SNS において無闇に恐怖を煽る、悪質なデマを流す大声の煽動者たち。しかし、そもそも本当に異文化や異人種は “悪” なのでしょうか?寛容さはお花畑なのでしょうか?差別と区別は異なるものなのでしょうか?
イギリスに本拠地を置きながらも、ベネズエラ、フランス、ニュージーランドと多国籍な “移民” が集う CALVA LOUISE は、音楽によって壁を壊し、世界をつなげられると信じています。
「私はベネズエラの非常に厳しい経済・社会危機の中で育った。そんな状況だからベネズエラのオルタナティヴな音楽シーンは消えつつあり、国に止まる以外の様々な可能性を考慮しなければならなかったのよ。非常に複雑なプロセスに直面して、国を離れる必要性を感じていたのね。
しかし、最終的には、そうして国を離れたにもかかわらず、ベネズエラの人々、そして世界中の多くのベネズエラ人から多くの好意的なコメントを受け取っているのよ!」
まるで THE DILLINGER ESCAPE PLAN に加入した Poppy。そんな例えが違和感なく感じられる、破天荒なボーカリスト Jessica Allanic。そんな彼女の音楽人生もまた、波乱に満ちたものでした。
ベネズエラに生まれた Jessica は、彼の国の政情不安、ハイパーインフレーション、貧困、そして治安の悪化と向き合いながら育ちました。しかし彼女が最も耐え難かったのは、MUSE や SYSTEM OF A DOWN, QUEENS OF THE STONE AGE に憧れながら、ベネズエラのメタルやオルタナティブ・シーンが国力と共に衰退していったこと。そうして彼女は、欧州への移住を決意します。
「メタルにはカタルシスという側面もあるし、生々しく純粋な感情や深いメッセージを表現することで、そしてこのジャンルが人々にもたらす複雑な感情を表現することで、本物のつながりを作ることができる。私たちはバンドとして、特に今、それが本当に重要だと感じているのよ」
フランスで盟友と出会い、そしてイギリスでまた別の大陸の盟友と出会った Jessica は、自身の幼少期の想像の世界、SFの理想と夢を CALVA LOUISE で現実のものとします。彼女の夢には、どんな壁もありません。スペイン語、フランス語、英語はあまりにも自然に Jessica の夢幻世界へと溶け込み、オルタナティブもポップもNu-metalもメタルコアもプログもフォークもまた、あまりにも自然に夢のシチューで煮込まれて、えもいわれぬ極上の美味と混沌を生み出します。
バンド名の由来となったイヨネスコの不条理劇は、画一化されたアートへの反抗、社会規範への同調、その危険性を皮肉たっぷりに描いています。そして、CALVA LOUISE もまた、移民であること、多国籍であることをアイデンティティとして、全体主義、画一化への抵抗、創造的自由の追求をかかげているのです。音楽で世界をつなげるために。
今回弊誌では、Jessica Allanic にインタビューを行うことができました。今年の2月に2週間日本に行くことができ、最高の経験をしたの! デジモン、セーラームーン、カードキャプターさくら、その他たくさんのアニメを見て育ったからね! Maximum the Hormone のような日本のバンドや、Bunnyのような新しいアーティストも大好き! 私の夢は、いつか日本で演奏すること!」 どうぞ!!

CALVA LOUISE “EDGE OF THE ABYSS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRIMSON SHADOWS : WHISPERS OF WAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIMI MALTAIS OF CRIMSON SHADOWS !!

“We’re Definitely Inspired By The Way Metalcore Bands Like Killswitch Engage Blend Growls And Clean Vocals, And We Wanted To Bring Some Of That Emotional Intensity Into a Power Metal Context.”

DISC REVIEW “WHISPERS OF WAR”

「KILLSWITCH ENGAGE のようなメタルコア・バンドの、グロウルとクリーン・ボーカルを融合させる手法にインスパイアされているのは確かで、そのエモーショナルな激しさをパワー・メタルに持ち込みたかったんだ。 同時に、僕たちは常にメタルのダークでシアトリカルな側面のファンでもあるので、CRADLE OF FILTH のようなバンドの影響は、僕たちのアレンジや雰囲気の一部にも自然に表れているはずだよ。 僕らにとっては、厳密なジャンルの枠に収まることよりも、自分たちのストーリーを伝え、自分たちが望むムードを作り出すために正しいと感じるものをブレンドすることの方が重要なんだ。それこそがパワー・メタル、あるいはエクストリーム・パワー・メタルの進化形と言えるかもしれないね」
エクストリーム・パワー・メタル。CRIMSON SHADOWS のサウンドはそんな二つ名で呼ばれています。そして、実際にそのパワー・メタルはあまりにもエクストリームで規格外。だからこそ、長い活動休止がなければ、明らかに彼らは DRAGONFORCE と共にモダン・パワー・メタルの主力となっていたはずでした。
CRIMSON SHADOWS のサウンドは、もし DRAGONFORCE が90年代後半から2000年代前半の北欧に降り立っていたら、長じて北米の恩恵を胸いっぱいに吸い込んでいたらこうなっていただろうと思わせる圧倒的な推進力と破壊力を備えています。つまり、メロデスやブラック・メタル、メタル・コアの手法を、ファンタジックでエピカル、ファストなパワー・メタルに叩きつけているのです。
「僕たちにとって、グロウルは、ただ単に他と違うことをしようとするためのものではなかったんだ。僕たちが語っているストーリーの種類や、音楽にもたらしたい激しさによって、導入するのが自然に感じられたんだよね。パワー・メタルは非常に高揚感があり、メロディックであることもあるけれど、僕たちは常に戦争、喪失、闘争といったダークなテーマに傾倒してきた。だからハーシュ・ヴォーカルを採用することで、感情の重みをより直感的な方法で表現できるようになったんだ。クリーン・ボーカルとのコントラストは、曲にダイナミックな幅を与えるのにも役立っている。 高揚感のある壮大な瞬間から、よりアグレッシブでプリミティブなものへと変化させることができるからね」
そうして、もしかすると CRIMSON SHADOWS は、同じカナダの INTO ETERNITY や UNLEASH THE ARCHERS 以上に、パワー・メタルにおけるグロウルの導入を見事にやってのけているかもしれませんね。この試みの難しいところは、パワー・メタルにグロウルを取り入れすぎると、例えば WINTERSUN や KALMAH のようなメロデスになってしまうこと。それは、初期のイエテボリ勢が多かれ少なかれ、パワー・メタルに影響を受けていたことにも通じます。しかし、CRIMSON SHADOWS のやり方は、あくまでもパワー・メタルが主軸。同時に、戦争という重苦しい、血生臭いテーマにグロウルの凶暴で巧みにリアリティを与えていきます。
「戦争は難しいテーマだけど、人類の歴史や物語には常につきまとうものだ。僕たちにとって、”戦争のささやき” は争いを美化するものではなく、戦争の現実と結果、それに伴う痛み、喪失感、回復力を探求するものだったんだ。 世界が分断され、暴力的になっているように感じる中、僕たちは、そのような葛藤に正直に光を当てたいと思った。 時に音楽は、困難な感情を処理し、暗い時代であっても団結することに強さと希望があることを人々に思い出させる手段となり得る。それは、特に今、伝えるべき重要な物語のように感じるね」
平和への希望を持ち続けても、実際に戦争はすぐそばにある。そんな葛藤を CRIMSON SHADOWS は “Whispers of War”、”戦争のささやき” において、希望のクリーンと絶望のグロウルで見事に描き出していきます。試されるのは忍耐力。自分を信じ、他人を信じ、全てを乗り越える力強さを、彼らは200bpmの猛スピードで世界に示して見せるのです。
今回弊誌では、ボーカリスト Jimi Maltais にインタビューを行うことができました。「際立っているのは、カナダのバンドのテクニックの高さだ。たぶん冬が長いからだと思う。1年の半分は楽器を抱えて家に閉じこもっていて、他にすることがないからね。練習し、曲を書き、すべてを微調整する時間がたくさんある。そのおかげで、正確さと生々しさがミックスされ、カナディアン・メタル独自の味わいが生まれるんだ」 どうぞ!!

CRIMSON SHADOWS “WHISPERS OF WAR” : 9.9/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【CAR BOMB : TILES WHISPERS DREAMS】


COVER STORY : CAR BOMB “TILES WHISPERS DREAMS”

“At The End Of The Day, The Process Of Making And Playing Music Is The Biggest Reward, So You’d Better Be Making Something That You Love.”

TILES WHISPERS DREAMS

複雑なメロディとリズムの融合は、メタルの誕生以来、常にその主要な要素の一つでした。BLACK SABBATH の楽曲における Bill Ward のジャズ的なドラミングや、LED ZEPPELIN の層を重ねたアレンジ、シンコペーションなど、メタルの激しさはその複雑さと密接に結びついてきました。そして、そのつながりは時と共にさらに強固なものとなっています。
ニューヨークの CAR BOMBは結成されてからほぼ25年間、演奏が困難なほど複雑なメタルを創造する最前線に立ち続けています。そして、6年ぶりとなる巨匠の帰還。ポスト・ハードコア、メタルコア、マスコア、そしてパンクのあらゆる要素を、純粋無垢な激しさでぶつけ合った、野蛮で妥協のない短編アルバム “Tiles Whisper Dreams” の12分はあまりも濃密で予測不能かつ衝撃的です。
そんな CAR BOMB の混沌は、どのように始まったのでしょうか?ギタリストの Greg Kubacki が説明します。
「1990年代後半、Mike と僕は NECK というバンドに所属していて、Elliot と Jon は SPOOGE というグループで一緒に演奏していたんだ。両バンドはロングアイランドのロックビル・センターにある同じリハーサルスペースを共有していて、互いの音楽のファンだったんだ。だから、両バンドが解散してから数年経った後、僕たちは力を合わせ、以前のプロジェクトよりもヘヴィでテクニカルな音楽に挑戦することを決めたんだよ。以来、僕たちは CAR BOMB に全力で取り組んできた。
2000年代初頭に結成後、僕たちは自らのサウンドを探求し、アイデアを書き下ろし録音する方法を学ぶために多くの時間を費やした。最初のアルバム “Centralia” は2007年に Relapse Records からリリースされ、同レーベルの他のバンドと共にツアーを開始した。だけど僕らは昼間の仕事を完全に辞めることを望まなかったから、Relapse と別れ、自分たちのペースで音楽を作り、全てを自分たちで手がける道を選択したんだ。僕たちは3枚のアルバム “w^w^^w^w”, “Meta”, “Mordial” を自らレコーディング・リリースし、Meshuggah, Gojira, Dillinger Escape Plan, Between the Buried and Me, Animals as Leaders といったバンドとのツアーにも参加する幸運に恵まれたんだ」

CAR BOMB の音楽は、時にエイリアン・コアなどと例えられています。
「創造的な活動を言葉で表現するのは難しい。僕らは感覚に依存しているからね。それでも言葉にするならばおそらく、プログレッシブ・デスコア、マスコア、プログレッシブ・メタルに、スペースロックやシューゲイザーの要素を混ぜたものと言えるだろう。まあ、”エクストリーム・メタ” や “エイリアン・コア”、甚至いは “レーザー・コア” と呼ぶ人もいるよ…(笑)。僕たちは多くの実験をするけれと、ジャジーやアバンギャルドな方向へ行き過ぎないように注意しているんだ。ヘヴィでグルーヴィーなサウンドを保つことを重視しているし、それが僕たちの独自のグルーヴの解釈であってもね。
僕たちの音楽に惹かれる人々は、僕たちが好むようなヘヴィなサウンドを求めていると思う。ただし、それは従来のジャンルに囚われないもの。僕たちは常に異なるアイデアや、曲、ドラムビート、コード進行、リフを歪める方法を模索していて、ファンもそのような実験的な要素を好むと考えているよ」
パンク、ハードコア・パンクもメタルと同様、CAR BOMB にとって重要な要素です。
「リフを演奏するときの感覚として、パンクの美学は常に持っていたいと思っている。メロディックなパートであっても、洗練されていないというか、そう表現するのが一番だと思う。 あまりプロダクションを加えたりせず、かなりラフな状態に保ちたいんだ。2017年に GOJIRA とツアーを行い、30日間ぶっ通しで演奏したんだ。 彼らがどのようにエネルギーを使い、それぞれのリフを曲の完璧な部分に落とし込んでいくかを見て、僕たちは本当に感銘を受け、それを目指して努力した。ランダムに長尺の曲を作るのではなく、”オーケー、異なる拍子のランダムなリフがいくつかあるけれど、どうすればもっと多くの断片を曲の後の部分に入れることができるだろう?” とか、”どうすればリフを持ってきて、半分に切ったり反転させたりできるだろう?” と考えてみたんだ」

つまり、GOJIRA から学んだのは混沌をコンパクトに纏めること。
「繰り返しになるけど、GOJIRA との経験に戻らなきゃいけないと思うんだ。観客の反応や、彼らがどれだけ誠実に音楽を作っているかを目の当たりにしたからね。 スタジオが一緒だから、彼らのレコーディングや曲作りを見ることができるんだけど、彼らのやることはすべて100%本心からなんだ。彼らの音楽がより原始的になるにつれて、彼らはいつも SEPULTURA “Roots” 時代や “Chaos A.D.” 時代のグルーヴ・メタルに近いものを追求している。 僕たちはあまりそういうことはしないんだけど、”自分たちの音楽でやっていることをすべてコンパクトにして、より良いストーリーを語るにはどうしたらいいか? どうすれば観客を驚かせることができるだろうか?”… 今回は、それを本当に恐れていない。”ああ、またあの部分が出てきた!”と思うような部分もある。 “w^w^w^w” の時は、ランダムなリフに次ぐランダムなリフの奇妙なピースのようだった」
これだけ複雑な音楽を制作するためには、クラシックや理論の教育が必要なのでしょうか?
「特には必要ないよ。僕たちの中には、クラシックの訓練を受けた人はいない。実際、最も多くのレッスンを受けたのはボーカルの Mike で、彼は狂ったようなクラシックギター奏者だった。ナッソーコミュニティカレッジで3年間ほどクラシックギター音楽を専攻していたからね。
僕たちはフィリップ・グラス、スティーブ・ライヒ、ストラヴィンスキーのような現代の作曲家に影響を受けている。フィリップ・グラスは完璧な例で、彼は常に1つの要素を少しずつ追加していくんだ。7/8拍子から4/4拍子、9/8拍子へと拍子を伸ばしていくのだけど、それは非常に自然で、不快なものではない。それはもはや数えるようなものではなく、リスナーを包み込むような織物のようなパターンになり、それこそが僕たちも目指しているものなんだ。数えられるならいいし、数えられなくてもいい…できれば、頭を使わなくても消化できるようなものを目指しているんだ」

長い音楽生活の中で、現在の CAR BOMB を刺激しているものは何なのでしょう?
「明らかに Meshuggah と Deftones で、彼らの影響は僕たちの音楽の至る所に感じられるよ。個人的には、90年代と00年代にやや主流から外れたミュージシャンが好きで、その時代のフェイバリット・アーティストとしては、Aphex Twin, Autechre, Failure, My Bloody Valentine, Coalesce, Suffocation, Boards of Canada, Mew, Radioheadなどがいるね。IDM…インテリジェント・ダンス・ミュージックとは、ワープ・レーベルに所属していた人たちの呼び名で、Squarepusher など、1990年代前半に大流行した音楽。 僕たちはみんな、1990年代前半にそういうものに夢中になって育ったんだ。 特に最新作では、僕らがどこから影響を受けているのかがよくわかる。 Meshuggah のリフをそのままパクることを恐れているわけじゃない。 僕らはそういうバンドが大好きだから、そうだ、それを入れようって感じなんだ。 そういうバンドは最初から続いているんだ。
CAR BOMB ができる前は、2つの別々のバンドとして一緒にリハーサル・スペースでジャムっていたんだけど、Elliotが “Destroy Erase Improve” が出た時にテープでくれたんだ。 ちなみに、僕は今でもそのコピーを持っている。 それを聴いてすぐに、そして Eliot の演奏を聴いて以来、彼とずっと一緒に演奏したいと思うようになったんだ。
現在、僕は Turnstile や Sanguisugabogg のようなバンドによるハードコアの復活に本当に刺激を受けているんだ。彼らは、現代の音楽に欠如している生のエナジーを再びもたらしているよね」
ラインナップが不変で、共に創造性を高め続けられるのも CAR BOMB の強みでしょう。
「最初から僕らにとって常に新しい音楽を作るという意図のようなものがあった。たぶん、これまでに試したことのないようなもの、あるいは音楽界である意味ユニークだと感じるようなもの。 さっきも言ったように、僕らは他のバンドからたくさんのものを借りているけど、自分たちらしいものを作りたいと思っているんだ。 Mike の歌い方、僕のエフェクトのかけ方、Elliot のドラムの叩き方、そして Jon の怪物的なベース。 でも、僕たちはいつも新しいものを聴いたり、新しい映画や番組を見たり、新しいアート作品を鑑賞したりしている。新しいものを探すことは、僕たちのDNAに組み込まれているようなものだから、それも大いに関係していると思う」

 

生死を問わず、共演してみたいアーティストは?
「うーん、難しい質問だけど、今ならグスタフ・ホルストを選ぶだろう。彼は1920年代に “ザ・プラネッツ” を作曲したイギリスの作曲家で、今回、一連の曲の作曲に大きな影響を与えてくれたんだ。彼の頭の中をのぞき、シンプルなモチーフを感情豊かな音楽に展開する方法を学べたら、僕にとって非常に興味深く興奮する経験になるだろうね」
“Tiles Whisper Dreams” には、バンドの進化、6年の歳月が反映されています。
「2019年に前作のアルバム “Mordial” をリリースし、その直後から音楽の制作を開始し、以来ずっと試行錯誤を続けてきたんだ。数多くの異なる試みを重ね、最終的にそれらのアイデアは数曲に凝縮されていったんだ。そのうちの3曲が今回の新EPを構成しているよ。過去20年間で学んだ全てを、最もインパクトのある曲に凝縮しようと努めたんだ。
ギター的にはそれぞれが独自の難しさがあるね。”Paroxysm” は右手の腕を酷使する曲、”Tiles Whisper Dreams” は左手のリフの連打が特徴的で、”Blindsides” はエフェクトの切り替えが頻繁。 3曲ともライブで圧倒的な迫力を出すように設計されているので、大きなフェスティバルのPAスピーカーでどう響くか楽しみだよ。昔の曲だと、”Secret Within” をライブでやるのはいつも楽しいね」
これからの目標はどこに置いているのでしょう?
「現在の目標は、作曲と音楽のリリースを続けること。音楽の作曲とレコーディングは僕の最大の情熱で、今までにないほど、それに集中したいという強い衝動を感じているんだ。CAR BOMB は現在、来年リリース予定のLP用に8曲の制作を進めている。また、Xytechra(私のエレクトロニック・ミュージック・プロジェクト)、Thrush(ギターを軸にした新規プロジェクト)、Ben Frost とのコラボレーション作品も複数あり、今年後半にリリース予定だよ」

25年の経験を踏まえて、若いアーティストに贈るアドバイスとは?
「まず、最も共鳴する音楽やアートを追求すべきだね。結局のところ、音楽の制作や演奏できること自体が最大の報酬なんだから、あとは愛するものを創り続けるべきだよ。次に、諦めずに続けること。バンド Bent Knee の友人 Courtney Swain が “成功するバンドの秘訣は解散しないことだ” と教えてくれたね。言うは易く行うは難しだけど、続けるほどに芸術表現のスキルが向上し、新たな機会が拓けていくよ。
僕たちが成功を収めている大きな理由は、バンド内のトラブルや人生の責任、様々な障害にもかかわらず、常に友人として結束し、諦めずに努力し続けたことだと確信しているんだ。つまり、3曲リリースするのに6年かかったけどね(2年に1曲…笑)。過酷なプロセスで、時にはこれが終わることはないと感じることもあった。でも諦めず続け、今ようやく音楽が世に出る楽しい段階にたどり着けたんだ」
演奏できること自体が最大の報酬。そう、CAR BOMB はライブを愛しています。
「僕が最も好きなのは、ステージ上で全員が完全に調和し、非常に緊密に演奏している瞬間なんだ。その瞬間は、自分が何を演奏しているか考えず、音楽が独自の生命を帯びていくのを感じるよ。体は自動操縦状態にあるような至福の状態で、同時にPAから響く巨大な歓声と、観客の熱気を感じている。その感覚を言葉で表現するのは難しいけど、その感覚に浸ることは中毒性があるね…落ち着きとエネルギーが同時に感じられるんだ。
キャリアのハイライトとしてショーを選ぶなら、Hellfest のメインステージは本当に壮観だった…人波の前で演奏する経験は、まさに現実離れしたものだったから。でも、おそらく最大の節目と言えるのは、2014年に Meshuggah とツアーをしたことだね。ヒーローたちの前座を務めることは、信じられないほどの栄誉で、僕たちに “このバンドをどこまで連れていけるのか” と考えさせてくれたから」
しかし、CAR BOMB ももはやその Meshuggah と遜色のない伝説の位置にいます。
「Meshuggah のレコードはいつでも聴き返せる。Radiohead のレコードも、My Bloody Valentine のレコードも、Aphex Twin のレコードも。 恥ずかしながら、僕のリスニング時間の50%は Aphex なんだ。”OK Computer” や “Selected Ambient Works Vol.2” などを聴いたときのような感覚を味わえるような、1年に1回聴き返せるような、カタログの定番として僕らを聴きたいと思ってくれる人がいたら、それだけでいいなと思っているんだ」

参考文献: Amplify:Interview with GREG KUBACKI from CAR BOMB

decibelmagazine: car-bomb-interview

INVISIBLE ORANGE: Car Bomb

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MARIO INFANTES : BITACORA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARIO INFANTES !!

“There’s a reason why there are so many amazing artists within such a small country. The nature is mind-blowing and so inspiring, and the winters are very long, creating art is what allows us to channel all that beauty and not lose our minds.”

DISC REVIEW “BITACORA”

「僕は非常に好奇心旺盛な人間で、遠い土地への憧れを常に抱いてきたんだ。アイスランドに移住する前から長年アイスランドに夢中だった。だから、その決断は僕にとってあまりに当然のことだったね。アイスランドの驚くべき自然は、僕の音楽における最大のインスピレーションだよ。感情と世界観に次いでね」
Mario Infantes は音の旅人です。スペインに生まれた彼は、自らの好奇心と “音の羅針盤” に従って、縁もゆかりもないアイスランドに移住。その場所で音楽を作り続けています。未だ知らぬ景色や文化への憧れは、想像の翼を広げ、創造への強い衝動となり得ます。それが絶景の宝庫、アイスランドならなおさらでしょう。Sigur Ros, Solstafir, Agent Fresco, Mur…だからこそ、彼の地は異端でしかし素晴らしき音楽家の宝庫でもあるのです。そして、Mario の音楽もまた、間違いなくその絶景の一部となるはずです。
「このアルバムでは、多くの異なる文化の楽器と言語を使用しているし、今後のアルバムでも同様の取り組みを続けていくよ。しかし、アイスランドの音楽、芸術、言語は、僕の作品において常に重要な役割を果たすだろうね。それは単に僕がここに住んでいるからではなく、この場所を愛し、僕の本質と深く共鳴しているからなんだ」
そうして Mario Infantes は、国境、言語、伝統、ステレオタイプを超えたサウンド・ジャーナル “Bitácora” で音楽の旅に出ました。まるでオペラ歌手のように卓越したボーカル・レンジと、文化の伝道師として知られる彼は、様々なバックグラウンドを持つアイスランドの著名ミュージシャンとのコラボレーションにより、豊かな音のタペストリーを織り成していきました。
スペイン語で “船の羅針盤” を意味する “Bitácora” は、メタルの生々しいエネルギー、アイスランドを中心としたヨーロッパの民族的伝統の妖しい美しさ、そしてシネマティックでの没入感のあるテクスチャーを融合させ、氷河ように絶大な音楽的風景を投影した航海へと誘います。 そのメロディーはランドマークとして、リスナーを自己実現、変革、そして共感を求める憧れの旅へと導くのです。
「”アヴァンギャルド” という言葉には違和感はないよ。なぜなら、それは特定のジャンルに縛られず、実験やリスクを恐れないアーティストたちを象徴している言葉だからね」
ウード、ハンドパン、ドゥドゥク、バンスリ、ズルナ…多様なムードとジャンルを探求する Mario Infantes は、豊かな民族音楽の伝統とメタル、そしてシンフォニックな影響を融合させ、様々な国の楽器アンサンブルを駆使しています。その結果、同じ “アヴァンギャルド” という呼称で呼ばれながらも、IGORRR や Devin Townsend とはまた異なるサウンドパレットを披露しています。その中心にあるのが、Mario の飛び抜けた歌声の素晴らしさでしょう。
スペイン語と英語、アイスランド語で歌う Mario は、マルチ・ボイス、マルチ・リンガル、マルチ・インストゥルメンタリストとしてこのプロジェクトの多様性を体現しています。彼には Einar Solberg 風の幽玄なファルセットから響き渡るテノールまでオペラ的な感性があって、Igorrr 風のグロウル、重層的なハーモニー、喉歌(またはそれに近いもの)、そしてよりパフォーマティブな声の演技(笑いの瞬間、スポークンワード、ラップ)まで、あまりにも様々な声を使い分け、使いこなします。アヴァンギャルドとは支離滅裂を意味するわけではありません。革新的でありながら、ここにあるのは心に響く流れるようなサウンド、そして真の感情。彼の音楽的な実験は、コンパスの導きによっていつも成功を収めるのです。
今回弊誌では、Mario Infantes にインタビューを行うことができました。「アイスランドに移住する前、長年合気道を練習していたんだ。(アイスランドにはたった1つの道場しかなく、彼らの合気道の流派は私のものとは大きく異なっている)。また、指圧療法士でもある。スペインの公式な日本式指圧学校で、小野田重雄先生のもとで5年間指圧を学び、現在もアイスランドでセラピストとして働いているよ」 どうぞ!!

MARIO INFANTES “BITACORA” : 10/10

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