EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FEISAL EL-KHAZRAGI OF LOATHE !!
“Musical Diversity Is Just Another Term For Musical Freedom I Think. So Long As There Is True Emotion In The Music, It’s ‘Valid’ Regardless Of What Style It Is And What Band Or Artist It’s Written Or Performed By.”
DISC REVIEW “I LET IT IN AND IT TOOK EVERYTHING”
「このアルバムにはサウンドトラックに対する僕たちの愛情が反映されている訳だよ。オープニングの “Theme” はまさにこのレコード全体のフィーリングを象徴しているのさ。美しいけれど、どこか破滅的でハードブレーキングな雰囲気だよね。」
音楽を触媒とした野心はアーティストそれぞれ。有名になりたい者、レコードを数多く売りたい者、自らの限界に挑みたい者。リバプールの銀幕王 LOATHE は、刻々と移り変わる景色や瞬間、そして感情を切り取りレコードへと投影する、サウンドトラックの美学を自らの雄図に抱きます。
「日本のゲームからの影響は明らかに僕たちの音楽へ強く現れているよ。”The Cold Sun” は特に象徴的だけど。僕たちはそういったサウンドトラックが、しばしば LOATHE の音楽に通じるようなヘヴィーな感情を伝えているように感じるんだ。だからこそ、究極にエモーショナルな人間として惹きつけられるわけだよ。」
2017年にバンドがデビューフル “The Cold Sun” を放った時、多くのリスナーはその冷厳な陽光の影に日本のアニメーション “Akira” の存在を感じたはずです。アートワークはもちろん、Tech-metal とエレクトロの雄弁なアマルガムを裏路地へと引き摺り出すハードコアのリアルは、さながら遠近法の撮影トリックのように鮮やかにバンドの個性を投映したのです。共鳴するはレトロフューチャーな世界観。ただし、それはあくまでも “LOATHE RPG” の序章に過ぎませんでした。
「僕は、音楽的な多様性とはただ音楽的な自由を言い換えた言葉だと思うんだ。つまり、それがどのようなスタイルであれ、どんなバンドやアーティストかに関係なく、真の感情が宿る音楽である限りそれは価値ある “多様” と表現できるわけさ。」
最新作 “I Let It In And It Took Everything” は間違いなく、モダン=多様性のモダンメタルフィールドにおけるラストダンジョンの一つでしょう。ただし、メタリックハードコアからブラックメタル、ポストメタル、プログ、シューゲイズ、オルタナティブ、エモ、Nu-metal とカラフルに張り巡らされた罠の数々はあくまで単なる仕掛けに過ぎず、多様性のラスボスとは “真の感情” だと Feisal El-Khazragi は語ってくれました。
実際、これほど感情に溢れたエクストリームミュージックの “アンソロジー” は非常に稀有な存在です。”Theme” の退廃的な電子のアンビエンスで、ハードコア “ニューロマンティック” の芽生えに立ち会ったリスナーは、不協和の凶暴とポストロックの壮大が交差する “Aggressive Evolution” を全身に浴びて言葉を失うはずです。
「音楽作品の “体内” でそういった二極の “並置” を使用すれば、触れて感じる音全てがさらなるインテンスを纏うんだ。」 の言葉通り、ダイナミズムの洪水は急速に変化を遂げた時代の濁流のごとく、もしくは SNS のタイムラインのように、目にも留まらぬ速さと勢いを持って感情を押し流していくのです。
CODE ORANGE にも通じる凶悪電子のハードコア “Broken Vision Rhythm”, DEFTONES の夢見心地を運ぶ “Two-way Mirror”, シューゲイズとメタルのジェットコースター “New Faces In The Dark”, RADIOHEAD から連なる英国の叙情 “Is It Really You?” と、シームレスに色彩と物語を繋ぐレコードは実際、「一度ハマると全てを奪っていく」ほどの中毒性を誇ります。
途中で席の立てない映画、セーブの出来ないゲーム、プラウザの閉じられない SNS。何であれ、感情の灯火に魂を掴まれれば最後、耳を離すことは不可能です。
今回弊誌では、ベース/ガテラルの Feisal El-Khazragi にインタビューを行うことができました。「実際、日本という国は息をのむほどだった。人々の感性は美しくて、共演した日本のバンドはその情熱を持って自らの作品にアプローチしているようだったね。」 どうぞ!!
LOATHE “I LET IT IN AND IT TOOK EVERYTHING” : 10/10
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