EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROLAND GRAPOW !!
“At The Beginning I Was a Little Upset, After All, I Was a Big Part Of The Helloween’s History, I Wrote a Lot Of Songs. But I’m a Fatalist, I Believe That Everything That Happens In This World, Everything Happens For The Best.”
DISC REVIEW “MASTER OF THE RINGS”
「”Master of the Rings” は、新しい HELLOWEEN のラインナップによる素晴らしいアルバムだ。バンド・メンバーやレコード会社の不安定な状況が何年も続いた後、僕たちは再び少し自由を見つけ、再び素晴らしいパワー・メタル・アルバムを作ることができた。僕たちもファンも幸せだった。振り返れば、実に素晴らしい時代だったね」
ここ日本で、いや世界中で、90年代のメタル・キッズをメタルへと誘った HELLOWEEN の傑作 “Master of the Rings” から30年。四半世紀以上の時を経ても、このアルバムが色褪せることはなく、素晴らしく時の試練に耐えています。それはきっと、”Master of the Rings” が、メタルの持つ逆境からの “回復力” と共鳴したから。実際、この前年、HELLOWEEN は崩壊の危機に瀕していました。
「僕は Weiki に、日本で “Chameleon” の曲(アコースティックな曲も多かった)を演奏した時、ファンが僕の前で泣いていたと言ったんだ。そして、”Keeper 1+2″ のような昔のスタイルに戻るべきだとも言った。彼は納得していたよ。それから数ヶ月して、Andi がバンドに加わった。彼も僕と同じことを言って、なぜ “Chameleon” のようなアルバムを作ったんだい?と尋ねていたね。とにかく、Uli と Andi がバンドに加わったことで、僕らの進むべき方向はまたひとつになったんだ」
“Master of the Rings” がリリースされる前年、HELLOWEEN が発表した “Chameleon” という文字通りカラフルなアルバムは大きな失敗と受け止められました。典型的なメタル、HELLOWEEN らしいパワー・メタルを捨てて、ポップな実験を試みたこのアルバムは、あまりに早すぎたのかもしれませんね。今聴けば、その多様性や芳醇なメロディが好奇心をそそる好盤にも思えますが、ステレオタイプは当時あまりに大きな壁でした。
「素晴らしい気持ちと同時に悲しい気持ちもあった。Ingo は病気だったし、僕らには本当にそうする以外選択肢がなかったんだ。一方で、Michael はポップ指向に傾倒していて、メタル・ミュージックにはもう興味がなかった。Andi と Uli は、ちょうどいいタイミングで適切なメンバーだったんだ」
さらに、HELLOWEEN の顔ともいえた Michael Kiske と Ingo Schwichtenberg の脱退は、負の連鎖に拍車をかけることとなります。しかし、心の病に侵された Ingo、そしてメタルに興味を失った Kiske がバンドを続けることは不可能でした。そして救世主となったのが、Andi Deris と Uli Kusch だったのです。
“Master of the Rings” は、あまりに印象的なドラム・フィルをイントロとする強烈な2つのスピード・チューンでその幕を開けます。実際、このドラム・フィルに心を奪われてメタルに誘われたファンも少なくないはずです。加えて、ガチガチのツイン・ペダルで暴風のように疾走する開幕の二撃。Uli の個性とインプットは、明らかにこの作品の見せ場となりました。
そして何より、Andi Deris の旋律。哀愁。高揚。激情。楽曲毎にコロコロと、猫の目のようにその色を変える Andi の感情は、ヘヴィ・メタルの強みを完璧なまでに代弁していました。
“Perfect Gentleman” で笑い、”Secret Alibi”で疼き、”In the Middle of Heartbeat” で咽び泣く。”Game is On” で初代ゲームボーイとのシンクロを楽しみ、”Mr.Ego” で素晴らしくも憎らしい Michael Kiske を偲ぶ。Andi の歌う新たな HELLOWEEN のアルバムには、明らかに、人の心に寄り添うヘヴィ・メタルの生命力が見事に吹き込まれていました。そして同時に、この作品には HELLOWEEN 史上最も理知的な整合感を極めたソング・ライティングとリフワークが備わっていたのです。何という復活!私たちはこの作品を聴いて、暗闇にもいつか光が射すことを教わりました。多くの困難は克服できると学びました。
「彼らのことを思えば満足だ。僕は招待されなかったから、再結成には参加していない。そう、最初は少し動揺したんだ。何しろ、僕はバンドの歴史の大きな部分を占めていたし、たくさんの曲を書いたからね。でも僕は運命論者で、この世で起こることはすべて最善のために起こると信じている」
“まだいける。俺たちはまだまだいけるんだ!”。30年前、アルバムに誰よりも力強い “Still We Go” を提供し大復活の立役者となった Roland Grapow はしかし30年後、HELLOWEEN の過去と未来をつなぐ大集結 PUMPKINS UNITED に呼ばれることはありませんでした。あの名曲 “The Chance” や “Someone’s Crying”, “Mankind” を作曲したにもかかわらず。
ある意味、これもまた大きな壁であり痛みなのかもしれません。しかし、”負けヒーロー” となった Roland は腐ることなく現在のメンバーたちにエールを贈ります。これぞまさに、ヘヴィ・メタルの寛容さ、包容力。音楽業界への失望を克服し、前を向いた Roland はこれからもまだまだ “いける” のです。
今回弊誌では、Roland Grapow にインタビューを行うことができました。「Weiki と僕がギターの腕前を競い合ったことは一度もなかった。Weiki はそのことについていつもクールだったからね。僕はただ、ギタリストとしてのスキルを少しでも伸ばしたかったんだ」 30年…Roland のお気に入り、”Dark Ride” の評価が海外で爆上がりしているのも面白いですね。どうぞ!!
HELLOWEEN “MASTER OF THE RINGS” : ∞/10
INTERVIEW WITH ROLAND GRAPOW
Q1: First, Masterplan’s new song “Rise Again” is fantastic! Just like the name of the song, it’s a big comeback, just like a phoenix, and we can take it as Masterplan’s complete resurrection, would you agree?
【ROLAND】: Thank you. I wouldn’t call it a complete resurrection, because in reality, Masteplan never went away. Yes, we haven’t released new music in the last 10 years. But it’s not because we didn’t have ideas, but rather because we were a little disappointed in the modern music industry.
Q1: MASTERPLAN の新曲 “Rise Again” は本当に素晴らしいですね!曲名の通り、不死鳥のような大復活です。MASTERPLAN の完全復活と受け止めていいのでしょうか?
【ROLAND】: ありがとう。完全復活とは言わないよ。なぜなら、現実には、MASTERPLAN は決して消えてはいないのだから。たしかに、この10年間は新曲をリリースしていない。しかし、それは僕たちにアイデアがなかったからではなく、むしろ現代の音楽業界に少し失望していたからなんだよ。
Q2: You yourself have been energetic with guest appearances by Ronnie Romeo and others since the release of “Pumpkings” in 2017, but you never left the piece itself. What has the last seven years been like for you?
【ROLAND】: Oh, I never forget about myself (laughs)
Actually, I have a lot to do. We are currently finishing up the new Masterplan album. But I still have a lot of material, and it is good enough that I do not exclude the appearance of my solo project. But for now these are just plans.
Q2: あなた自身は、2017年に “Pumpkings” をリリースして以来、Ronnie Romeo らにゲスト参加して精力的に活動してきましたが、作品そのものをリリースすることはありませんでした。この7年間はあなたにとってどのようなものでしたか?
【ROLAND】: あ、もちろん自分のことは忘れていないよ(笑)。
実は、やりたいことがたくさんあるんだ。今は MASTERPLAN の新作を仕上げているところ。でも、まだ素材はたくさんあるし、ソロ・プロジェクトの可能性も排除できないくらいさ。今のところは、単なる計画でしかないけどね。
Q3: For the past seven years, Helloween, of which you have long been a part of the body, has been making albums, traveling the world, and gaining popularity with a lineup that connects the band’s past and future as Pumpkins United. However, it is really strange for me, us, that you are not there. What do you think of their current success? Why aren’t you there?
【ROLAND】: Oh, I’m happy for them. At least someone can make money playing music. It’s rare these days, and for young musicians it’s almost an impossible dream. I’m not part of the reunion because I wasn’t invited. And yes, at the beginning I was a little upset, after all, I was a big part of the band’s history, I wrote a lot of songs. But I’m a fatalist, I believe that everything that happens in this world, everything happens for the best. I enjoy the place where I am now. I have a wonderful family, a house, and it would be difficult for me to combine Halloween tours and work with Masterplan, which I would not give up under any circumstances.
Q3: その7年間で、あなたが長い間その体の一部であった HELLOWEEN は、アルバムを作り、世界中を旅し、Pumpkins United としてバンドの過去と未来をつなぐラインナップで人気を博してきました。しかし
あなたがそこにいないことが、私にとって、いや私たちにとって、本当に不思議なのです。現在の彼らの今の成功をどう思いますか?なぜあなたはそこにいないのでしょう?
【ROLAND】: そうだね、僕はそれでよいと思っているよ。彼らのことを思えば満足だ。少なくとも、誰かが音楽でお金を稼ぐことができる。最近では珍しいことだし、若いミュージシャンにとってはほとんど不可能な夢だからね。
僕は招待されなかったから、再結成には参加していない。そう、最初は少し動揺したんだ。何しろ、僕はバンドの歴史の大きな部分を占めていたし、たくさんの曲を書いたからね。でも僕は運命論者で、この世で起こることはすべて最善のために起こると信じている。僕は今いる場所を楽しんでいるよ。素晴らしい家族も家もあるし、どのみち、HELLOWEEN のツアーと MASTERPLAN の仕事を両立させるのは難しかっただろう。MASTERPLAN はどんな状況にあっても諦めたくないからね。
Q4: This year marks the 30th anniversary of the masterpiece, “Master of the Rings.” Actually, this album was my gateway to metal. So you are really one of my heroes! Looking back, what does that album mean to you?
【ROLAND】: It is a great album with a new Helloween line up. After many years of unstable situations of bandmembers and record labels, we found a bit of freedom again, to create a great power metal album again, we were happy and the fans as well. We had a great time back than.
Q4: 今年は傑作 “Master of the Rings” の30周年にあたります。実は、このアルバムが私のメタルへの入り口でした。だからあなたは本当に私のヒーローの一人なんですよ!今振り返ってみて、あのアルバムはあなたにとってどんな存在ですか?
【ROLAND】: 新しい HELLOWEEN のラインナップによる素晴らしいアルバムだ。バンド・メンバーやレコード会社の不安定な状況が何年も続いた後、僕たちは再び少し自由を見つけ、再び素晴らしいパワー・メタル・アルバムを作ることができた。僕たちもファンも幸せだった。振り返れば、実に素晴らしい時代だったね。
Q5: That album marked a time of upheaval for Helloween, as members changed from Michael Kiske to Andi Deris and from Ingo Schwichtenberg to Uli Kusch. How did you feel about this change?
【ROLAND】: Great and bad feelings at the same time, Ingo was sick and we didn’t had a real choice, but Michael was more into pop oriented direction and was not interested into metal music anymore, which was sad, because I love him as a friend and singer. We had Andy and Uli as the right guys in the right moment coming.
Q5: このアルバムは、Michael Kiske から Andi Deris へ、そして Ingo Schwichtenberg から Uli Kusch へとメンバーが変わり、HELLOWEEN にとって激動の時期でもありましたね。
【ROLAND】: 素晴らしい気持ちと同時に悲しい気持ちもあった。
Ingo は病気だったし、僕らには本当にそうする以外選択肢がなかったんだ。一方で、Michael はポップ指向に傾倒していて、メタル・ミュージックにはもう興味がなかった。それは悲しかったよ。だって僕は彼を友人、そしてシンガーとして愛していたから。だからこそ、Andi と Uli は、ちょうどいいタイミングで適切なメンバーだったんだ。
Q6: You yourself joined Helloween in a very pressured position as “Kai Hansen’s successor”, how did you handle that pressure?
【ROLAND】: I was asked to join Helloween, but didn’t know the band at all. I just heard about the name and saw one musik magazine with a front cover of them. None of my friends knew them either.
When Weiki asked me to learn their songs I was not really thinking about Kai, which i have to replace, it was more to make the rest of the band members happy and the fans of course. I came from a different music direction and forthat, it was pretty easy to be honest!.
Q6: あなた自身も、Kai Hansen の後継者という非常にプレッシャーのかかる立場で HELLOWEEN に加入したわけですが、そのプレッシャーにどう対処したんですか?
【ROLAND】: HELLOWEEN に加入しないかと誘われたとき、実は僕はバンドのことはまったく知らなかったんだ。名前を聞いたことがあって、ある音楽雑誌の表紙になっているのを見ただけだった。 友達も誰も知らなかったんだ。
だから Weiki に彼らの曲を覚えろと言われたとき、僕は Kai のことはあまり考えていなかった。考えなければならないのは、他のメンバーやファンを幸せにすることだった。僕は違う音楽の方向から来たから、正直言ってプレッシャーに対処するのは簡単だったよ!
Q7: The last album “Chameleon” was much criticized at the time, but it seems to be a very good album when I listen to it now. Your songs “I Don’t Wanna Cry No More” and “Music” have also stood the test of time. But did you go back to the “Master of the Rings” formula of Helloween because it was still criticized as pop and commercial?
【ROLAND】: Sure, I said to Weiki in Japan the fans were crying in front of me when we played all those Chameleon songs (We did many acoustic songs) I told him we should go back to your old style, like keeper 1+2, he agreed and some month later Andy came to the band and said the same and ask us why did you guys do that Chameleon album? With Uli and Andy in the band we had one direction again to go.
Q7: その前の作品、”Chameleon” は当時は酷評されましたが、今聴くととても良いアルバムだと思います。あなたの作った “I Don’t Wanna Cry No More” や “Music” も時の試練に耐えていますね。それでも、”Master of the Rings” という HELLOWEEN らしさ全開の作品に戻ったのは、やはりコマーシャルでポップという批判があったからですか?
【ROLAND】: その通りだよ。僕は Weiki に、日本で “Chameleon” の曲(アコースティックな曲も多かった)を演奏した時、ファンが僕の前で泣いていたと言ったんだ。そして、”Keeper 1+2″ のような昔のスタイルに戻るべきだとも言った。彼は納得していたよ。それから数ヶ月して、Andi がバンドに加わった。彼も僕と同じことを言って、なぜ “Chameleon” のようなアルバムを作ったんだい?と尋ねていたね。とにかく、Uli と Andi がバンドに加わったことで、僕らの進むべき方向はまたひとつになったんだ。
Q8: I still love the last song “Still We Go” from “Master of the Rings.” For example, it is quite different from your classic “The Chance.” Michael and Andy, did you have different images of the songs you wrote depending on the singer?
【ROLAND】: No, I wrote it a little bit before Andy was coming into the band, but I knew we will have a drastic lineup change and this song is about a new way/future and is full of hope.
Q8: “Master of the Rings” の最後の曲、あなたが作った “Still We Go” は今でも大好きですよ。例えば、あなたの名曲 “The Chance” とは色合いが全く違います。Michael と Andi、シンガーによって書く曲のイメージを変えていたのですか?
【ROLAND】: いや、Andi がバンドに入ってくる少し前にこの曲は書いていたからね。でも、大幅にラインナップが変わることは分かっていたから、この曲は新しい道・未来について歌った、希望に満ちた曲なんだ。僕らはまだまだやれるってね!
Q9: That album included “Grapowski’s Malmsuite1001 (In D Doll)” as a bonus track. Of course, it was a tribute to Yngwie, but did you feel like doing something more technical than Michael Weikath back then?
【ROLAND】: I was a big Yngwie fan and later even we were friends, I had this instrumental written just as a fun song tribute, but Uli, Markus and Andy liked it so much that we used it as a bonus track.
Theer was never a competition between Weikiand me on guitar, I just did what I did and I wanted a bit more develop my skills as a guitarplayer. Weiki was always cool about that.
Q9: このアルバムには、ボーナストラックとして “Grapowski’s Malmsuite1001 (In D Doll)” が収録されていました。もちろん、これは Yngwie へのトリビュートですが、当時は Michael Weikath よりもテクニカルなことをやりたいという気持ちがあったのでしょうか?
【ROLAND】: 僕はイングヴェイの大ファンで、後に友達にもなったんだけど、このインストゥルメンタルは彼への楽しいトリビュートとしてただ作ったんだ。だけど、Uli と Markus, そして Andi がとても気に入ってくれて、アルバムのボーナス・トラックにすることにしたんだ。
Weiki と僕がギターの腕前を競い合ったことは一度もなかった。Weiki はそのことについていつもクールだったからね。僕はただ、ギタリストとしてのスキルを少しでも伸ばしたかったんだ。
ROLAND’S RANKING OF HELLOWEEN ALBUMS !!
1. Dark Ride
2. The Time of the Oath
3. Master of the Rings
4. Better than Raw
5. Chameleon
6. Pink Bubbles Go Ape
As a guitar player I like Chameleon a lot, but for the fans I agree, it is not the best what they wanted!
I like all of them! I am still proud of my years with Helloween!
ギタリストとしては、”Chameleon” はとても好きだけど、ファンにとっては、彼らが望んでいたものとは違うんだよね! 僕はどの曲も好きだ!HELLOWEEN での数年間を今でも誇りに思っているからね!