“I Distinctly Remember Staring At My Boombox In Disbelief While Hearing Blackwater Park For The First Time, Learning That It Was Possible To Combine Such Beauty With Such Brutality So Seamlessly, And I Have Been Drawn To Attempting To Achieve That Myself Ever Since.”
DISC REVIEW “TEMPORA MUTANTUR”
「”Eidolon” は、僕の心の中で特別な位置を占めているのは確かだよ。Ryan が亡くなったとき、僕はバンドを続けるかどうかでずいぶん悩んだんだ。当時はまだスタジオ・プロジェクトで、僕たち2人が中心となって必死に取り組んでいたからね。だから、彼なしで続けるべきかどうか、あるいは続けることができるのかどうかさえも疑問に思った。言うまでもなく、僕は子供の頃からの親友の一人の死と向き合っていた。 そのとき、僕のその悲嘆の過程についてアルバムを書くというアイデアが閃いた。それは強く、力強く、感情的で、そう、彼の思い出を称えるものになると思った」
ヘヴィ・メタルは聴くものの痛み、悲しみ、孤独を優しく抱きしめる音楽です。そのメタルに宿る並外れた包容力と湧き出でる回復力の源泉は、きっと音楽を生み出す者もまた喪失や痛みを抱えた経験があるからに他なりません。
カリフォルニア州サクラメントを拠点とする LUNAR は、長年の友人である Alex Bosson(ドラムス/パーカッション)と Ryan Erwin(ギター/ヴォーカル)が2013年に結成したプログレッシブ・メタル・バンドでした。しかし、2018年の春に Ryan が突然他界。Alex は悲しみに暮れ、一時は LUNAR を終わらせることも考えましたが、Ryan の遺志を継ぎ、Ryan の偉業と思い出を称えるためにバンドの存続を決意しました。
「このリストは、僕の意見では、この世に存在する偉大なバンドやミュージシャンばかりだ。 また、僕が個人的に尊敬し、ファンであるバンドばかりだ。 だから、彼らの組み合わせと言われるのはとても名誉なことなんだ。 それに、僕にとってプログはすでに音楽全般の “るつぼ” なんだ。 だから、メルティング・ポットのメルティング・ポットになることは、僕にとって本当にクールなことなんだよ」
CALIGULA’S HORSE や WILDRUN のオペラ的な部分、HAKEN のトラディショナルでメロディアスな部分、TOOL や THANK YOU SCIENTIST の数学的な部分、BETWEEN THE BURIED AND ME の超絶テクニカルな部分、そのすべてを飲み込んだプログというメルティング・ポットの “メルティング・ポット”。そんな LUNAR の音楽を Ryan なしで再現するために Alex はまさにそうした敬愛するヒーローたちの力を借ります。
HAKEN, CALIGULA’S HORSE, LEPROUS, THANK YOU SCIENTIST, FALLUJAH…Ryan の思い出と共に人間の生と死を描いた “Eidolon” はそうして、メタルの包容力と回復力に魅せられた18人のゲストミュージシャンからなる一時間超の壮大なプログ・シアターとして多くの人の心を震わせたのです。
「OPETH の “Blackwater Park” を初めて聴いたとき、信じられない思いでラジカセを見つめたのをはっきりと覚えている。あのような美しさと残忍さをシームレスに融合させることが可能なのだと知り、それ以来、自分もそれを達成しようとすることに惹かれるようになった」
親友の死をも乗り越え、Alex がメタルを諦めなかったことで LUNAR は始祖 OPETH の血を受け継ぎながらも、よりシアトリカルでより多様なプログ・メタルの構築に成功します。もちろん、OPETH が生み出した美と残忍のコントラストはもはやプログ・メタル全体の基盤となっていますが、LUNAR はその場所にマス、オペラ、Djent といった新たな血脈、WILDRUN, CALIGULA’S HORSE, THANK YOU SCIENTIST の人脈を加え、そこにかの Peter Gabriel を想起させるプログレッシブ・ドラマを投影していきます。人生を四季に例えた “Tempora Mutantur” は、そうしてまさにプログすべての季節をも内包することとなったのです。
今回弊誌では、Alex Bosson にインタビューを行うことができました。「DREAM THEATER や GOJIRA のようなバンドがグラミー賞を受賞したことは、この音楽に対する世間の認識の変化をすでに示している。 今後もそうなることを願っているよ。
ただ、僕の考えでは、プログは常にミュージシャンのための音楽だ。 万人受けする音楽ではないよ。 ほとんどの人はシンプルな音楽を楽しんでいて、それはそれでいいんだけど、僕らがやっていることは一般的にもっと複雑なんだ」どうぞ!!
COVER STORY : DEATH “SYMBOLIC” 30TH ANNIVERSARY !!
“I Feel, As a Fan, Not Even As a Musician, But As a Metal Fan, That I -Do- Have a Responsibility To Keep Metal Going And Alive And Do Whatever I Can Do.”
SYMBOLIC
Chuck Schuldiner は、脳腫瘍との闘病の末、2001年に他界しました。しかし、デスメタルのゴッド・ファーザーとして知られる彼の音楽的才能と革新的なビジョンは、メタルヘッズの心に永遠に残るでしょう。
物静かで物腰が柔らかく、動物も人間もこよなく愛する Chuck は、その死から四半世紀を経た今でもデスメタルの革新者として称賛され続けています。実際彼が残したもの、特に DEATH の後半においては、通常このジャンルによくある攻撃的で暴力的なテーマとは対照的でした。チャーミングで茶目っ気たっぷりのフロントマンは、しばしば同業者の悪魔的なイメージを否定し、インタビューでは子猫の飾りがついたシャツを着るほどでした。彼は最終的に、象徴的な DEATH のロゴのデザインを変更し、オリジナルの逆十字架を排除して、宗教的(または神聖な)慣習から自身を切り離しまでしたのですから。
加えて今日、私たちはエクストリーム・メタルの話題にプログレッシブな音楽性やアティテュードを取り入れることを当然と感じていますが、20数年前のアンダーグラウンドはそうではありませんでした。CANNIVAL CORPSE のようなバンドが “Orgasm Through Torture” のようなトラックで名を馳せていた一方で、Chuck のような穏やかな人物が、リリックを通して無毒な男性性を模範的に示すことは、純粋に先進的だったのです。
同時代のアーティストと比べると、Chuck には必ずしも典型的なデスメタルのネタではない歌詞で社会問題に取り組む意識がありました。”Spiritual Healing” の “Altering The Future” では、中絶といういまだに議論されているトピックを取り上げました。
「もし僕が女性だったら、子供を産むか産まないかの選択をしたいと思うに違いない。アメリカでは、多くの新生児が望まれなかったために殺されている。女性が妊娠に気づき、子供を望まない場合は、すぐに中絶を選んだほうが救われるんだ」
“Scream Bloody Gore” のホラーへの偏執から、後の作品で見せた超越的なスタイルへの進化。しかし初期においてさえ、”Zombi Ritual” のような曲で彼は哲学的な傾向を示していました。苛烈な慟哭の中の自虐の悪夢、そして暗い誘惑。ゾンビの呪われたゴブレットから酒を飲むことに投影された淫らな憧れ。Chuck は最初から教えてくれていました。人間の意識は渦巻き、暗く、複雑で、それを響かせる音を求める者もいるのだと。
「僕たちは皆、死に魅了され、怖れを抱き、自分が死んだ後に一体何が起こるのか誰もわからない。できることなら永遠に生きていたいよね」
音楽的にも、哲学的にも、典型的なデスメタルから完全に脱皮を果たし、Chuck が望んだ “不老不死” をメタル世界で実現したアルバムこそ、今から30年前にリリースされた “Symbolic” でした。本作は間違いなくChuck と彼のアンサンブルの、いや数あるヘヴィ・メタル作品の中でも最高傑作だと言えるでしょう。そして、30年の月日を経てもいささかも色褪せることのないその魅力。
90年代初頭から中盤にかけては、グランジの台頭によりメタルの多様化が始まり、モダン・メタルの基礎を作り上げた競争の時期でした。特に1995年は、革命的なアルバムの当たり年で、CARCASS の “Heartwork” が50万枚、PAPADISE LOST の “Draconian Times” が30万枚、AT THE GATES の “Slaughter of the Soul” が20万枚を売り上げる中、ロードランナーに移籍を果たした DEATH の “Symbolic” は25万枚を売り上げ名実ともに新時代のメタルを牽引する存在となりました。
明らかに “Symbolic” は、初期の作品 “Leprosy” や “Scream Bloody Gore” の狂気と、プログレッシブな “Human” や “Individual Thought Patterns” の技巧に、研ぎ澄まされた旋律の美しさを組み合わせた新たなステップでした。”Spiritual Healing” から始まった進化の息吹は、”Symbolic” において絶対的な完成度に達したのです。
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RON “BUMBLEFOOT” THAL !!
“I Always Loved To Learn, Explore, Experiment…I Love Astronomy, Science, Physics… The Things I Love, The Way I Feel, The Way I Live, This Is What Comes Out In My Music.”
DISC REVIEW “…RETURNS!”
「あの作品はシュラプネル・レコードにとっては異質なものだったけど、僕にとってはごく普通のものだった。 フィルターを通さず、不完全で、若く、無邪気で、とても正直で、自分が何者であるかをありのままに表現したものだったんだ。レコーディングとミックスのためのツールは生々しく、洗練されていなくて、でもそれがアルバムの個性に拍車をかけている! もちろん、アートワークも!だから、何も変えたくないんだ。人生のある時期の一人の人間の写真集のようなものだよ。全ての瞬間は僕たちにとって一度しかないからね」
“The Adventures of Bumblefoot”。今からちょうど30年前、1995年のこのレコードと、”Bumblefoot” “趾瘤症” という猛禽類の足の病気を名乗るギタリストの登場はあまりにも衝撃的でした。楽曲名はすべて動物の病気の名前。足やチーズを模した異様なギター。そして、ギター世界の常識である24フレット以上のハイフレットを操り、時にはフレットレスまで駆使した超常的サウンド。指抜きなどのトリッキーな技も冴え渡り、複雑怪奇に入り組んでファストなフレーズが絡み合うその楽曲群は、ギター虎の穴シュラプネルにおいてもあまりに異質だったのです。
革命児のそんな評判は瞬く間に業界の目に止まり、ソロ・キャリアを重ねる中で GN’R、ASIA といった巨大なバンドの一員にも抜擢され、一方では Mike Portnoy のような大物と共に SONS OF APOLLO というスーパー・バンドを立ち上げるに至りました。
「完全なインストゥルメンタルなので、ギターが “声” になるスペースが増え、さまざまなムード、さまざまなサウンド、さまざまなエネルギー……など、より多くのことができるようになったんだ。僕は自分の直感に従っただけで、それぞれの曲は独自の方法で発展していった。ある曲はより過激で対照的で、ある曲はより予想された方法で発展していった…ゴールはその瞬間の正直なフィーリングを捉えることだったんだ..」
その歌声も高く評価される鬼才ですが、ただやはり彼の本質はギタリズムにあります。デビュー作から30年、”復活の Bumblefoot” を冠したアルバムで彼は再び始まりの地、”Bumblefoot の冒険” へと回帰しました。30年ぶりにオール・インストゥルメンタルで制作されたアルバムには、ギターに対する愛情、情熱があふれています。ただし、30年前とは異なる点も。それは、彼がギターをより自身の “声” として自由自在に操っているところでしょう。
オープナー “Simon in Space” を聴けば、90年代にはなかった瑞々しいメロディの息吹が感じられるはずです。とはいえもちろん、以前の混沌や荒唐無稽、ヘヴィな暗がりも失われるはずもなく、結果として両者のコントラストが耳を惹く前代未聞のギター作品が完成をみました。
「進化、革新、進歩するテクノロジーやコミュニケーション、そしてそれを使って自分たちの活動を共有する方法については、私は別にかまわないと思っているよ。15秒の動画からフルアルバムまで、今の世の中には誰もが楽しめるものがある!そうやって私たちは皆、自分が選んだ様々な方法で自分の才能をシェアするべきだし、そうできる世界になったことを嬉しく思うよ」
何よりも、Bumblefoot はギター世界において最も “オープンな” メンターのひとり。新しいもの、異質なものを取り入れることになんの躊躇もありません。当時のヒーローの多くがヴィンテージに回帰する中で嬉々として Helix を愛用。表現力豊かでメロディアスなリック、お馴染みのショパンやリストへの傾倒、ウイスキーを注ぎたくなるようなカントリー、微睡のスローなブルース、異国の香り、Djent も真っ青なチャグチャグ・リフと、場所も時間も飛び越えて、自らの直感とテクニックだけで広大なギター世界を築き上げていきます。
Brian May, Steve Vai, Guthrie Govan という、時代の異なる情熱のギターヒーローがここに集ったことも付け加えておきましょう。Vai 参加の “Monstruoso” など、”Fire Garden” 時代の彼を思い出して歓喜すること必至。そう、彼らのアイデアは今でも、アートワークのギター船のように宇宙高く飛び立ちます。ギター世界にはまだまだ情熱と探求の余地が残されているのです。
今回弊誌では、Ron “Bumblefoot” Thal にインタビューを行うことができました。「世界には素晴らしいミュージシャンがたくさんいるし、その中でも日本はとても注目に値するよ! 才能に溢れている!日本の音楽にはずっと注目してきたんだ。Akria (Takasaki) のアルバム “Tusk of Jaguar” までさかのぼると、リリースされた当時、子供のころは本当に聴き入っていたよ。14歳の時には、僕のバンドが LOUDNESS の曲をたくさんカバーしていたんだ。”Girl”, “Crazy Doctor”, “Esper”…もう少し経ってからは “Run For Your Life” もね!」 二度目の登場。どうぞ!!
全8曲、71分のこのアルバムは、ロングアイランドにあるDREAM THEATER のDTHQスタジオでレコーディングされ、バンドにとって通算16作目。ビルボードのトップ・ハード・ロック・アルバム、トップ・ロック・アルバム、インディペンデント・アルバム・チャートでトップ10入りを果たした2021年の “A View From the Top of the World”に続く作品となりました。複雑なアレンジ、超常的ダイナミクス、ウルトラ・テクニカルな演奏、長大な構成(6曲が7分を超え、エンディングを飾る大曲 “The Shadow Man Incident” は19分32秒にも及ぶ)により “Parasomnia” は過去の DREAM THEATER すべてを包み込みながら、リフのタイム感やサウンドの立体感は明らかに現代的に仕上がっています。
「モダンでありながらクラシックなサウンドにしたかったんだ」と Petrucci は語ります。 「1999年から2009年の間に作られたアルバムのいくつか、そしてその時期は、ファンにとても愛されている。だから、 Mike が再加入することで、そのノスタルジーが戻ってくることを期待しているんだ。確かにあの雰囲気はある。ああ、これは “Scenes from a Memory” や “Train of Thought” からの曲っぽいなと思っても、それを捨てたりはしなかった。クールだ、これで行こうって感じなんだ。僕らは僕らなんだ。
プロデューサーとしては、今までのどのアルバムよりもいいサウンドを作りたいと思っている。 だから、レコーディングの方法で限界に挑戦するんだ。 モダンなテクニックを使いながら、ヴィンテージの機材を使って、それらを完璧な形でマッシュアップするという組み合わせなんだ。まだ新しいレコーディング・テクニックを試しているところだ。1991年や1995年に使っていたような機材を使うことで、レトロなサウンドではなく、モダンだけどヴィンテージで暖かく、居心地の良いフィーリングを含んだレコードを作ることが目標だった。この組み合わせはとても意図的だったよ。8弦と7弦のギターを使ったリズム・サウンドで、よりモダンなアプローチを作る。ヘヴィでアグレッシブだ。今のメタル事情に合うようなサウンドだ。でもリード・サウンドを聴くと、オールドスクールな Santana の雰囲気がある。ドラムのミックスの仕方も含めて、アルバムではそういう並置をたくさんやった。アンディ・スニープと話し合ったんだけど、Mike のドラム・サウンドはとても独特なんだ。オーバー・プロセスやオーバー・プロデュースはしてほしくない。彼がドラムを叩いているようなサウンドにしたいんだ。それが、僕らが最初から目指していたことだった。そうして、ジミー・T、アンディ・スニープ、マーク・ギッツといった素晴らしい人材を起用することで、レコーディングを未来へと導き、モダンなサウンドに仕上げている。 新旧のバランスが完璧なんだ」
伝説的なアーティスト、ヒュー・サイム(2005年の “Octavarium” 以来、DREAM THEATER のほぼ全アルバムのアートワークを担当)がデザインした “Parasomnia” のメイン・イメージは、LPの包括的なテーマであるパラソムニアを見事に体現しています。 サイムはかつて、DREAM THEATER の音楽は「”ありえない現実と夢の状態” の世界を楽しむ僕のアートにぴったりだ!」と述べています (ただし最近、ORION というプログ・メタル・バンドのアートワークへの使い回しが問題視されている)
興味深いのは、サイムのアプローチが、バンドの金字塔1992年の “Images and Words” を意識したものに思えるところ。 どちらの写真もナイトガウンを着た少女がベットからほんの数フィート離れて立っています。もちろん、DREAM THEATER のエンブレムも両方に写っており、このつながりはあの記念碑的な作品への独創的な回帰と見ることも、とてもクールな偶然の一致と見ることもできるのです。さらにブックレットの中には、かつての作品のアートワークが壁にかけられていたりもします。
そう、過去の作品への回帰もこの作品の愛すべき側面のひとつ。彼らのコンセプチュアルな大作 “Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory” への言及が複数あるのもダイハードなファンへの贈り物。 例えば、 “Parasomnia” の3枚目のシングル “Midnight Messiah” で LaBrie はこう歌っています。”In my dreams, there’s a song I oncе knew / Like an uncanny strange déjà vu”、”For all eternity / It’s calling me back to my home” 。当然、私たちは “Strange Déjà Vu” と “Home” の両方を思い出すでしょう。
同様に、”Dead Asleep “の8分あたりには “Beyond This Life” を彷彿とさせるインストゥルメンタル・ブレイクもあり、最後の大曲のイントロで “Metropolis Pt.1” を思い出すファンは少なくないでしょう。 “Midnight Messiah” に戻ると、LaBrie はこうも歌っています。”In my life / I’ve lost all self-control / Like a sword piercing this dying soul”。そう、彼らはまさにこの作品で自らの伝説と抱擁を果たしたのです。
このアルバムが特別なのは、パラソムニアの不穏な性質がシークエンス全体に浸透していることでしょう。 全曲のタイトルや歌詞が睡眠、悪夢などに何らかの形で関連して、まるでつながったビジョンのように展開させる聴覚的な戦術がとられています。
具体的には、オープニングのインスト・オーヴァーチュア “In the Arms of Morpheus” は、不気味なギター・ライン、時を刻む時計、誰かがベッドに入る音で始まり、それに呼応するように、壮大なクローザー “The Shadow Man Incident” では、不吉な声が “目を覚ませ” と囁きながら、冒頭のサウンドを再現して終わります。”Dead Asleep” も “In the Arms of Morpheus “と同様の始まり方。そして、”Are We Dreaming? ” はその名の通り、心地よい声とキーボードのコードで構成された夢のような楽曲です。そして何より、白昼夢のように美しき “Bend the Clock”。もちろん、メインテーマとなるメロディがアルバムを通して何度も顔を出すのは彼らが慣れ親しんだやり方。
「このアルバムはテーマ性のあるコンセプト・アルバムなんだ。 僕たちはそういうことが大好きなんだ。 コンセプトを加えることで、アルバムが別の次元に引き上げられると思うんだ。より壮大で、よりクラシックで、より特別なものになる。とても楽しいよ。
このアルバムに取りかかったとき、Mike が “もう一歩踏み込んで、もっとコンセプチュアルな作品にしたらどうだろう” と言ってくれたんだ。だから、さまざまな曲で繰り返されるテーマを持つようになったし、耳触りのいい曲を追加して、すべての音楽をつなげ、序曲を持つようになった。だからこそ、DREAM THEATER のアルバム体験が期待できるんだ」
“The Biggest Thing That’s Happened To Us Was Oli Passed Away… It Was a Really, Really Big Deal.”
ANTIFRAGILE
「人間には不屈の魂が必要だ」
そう語るのは、ALL THAT REAMINS のバンドリーダーでボーカリストの Phil Labonte です。彼はメタルの “回復力” を知っています。
Labonte は、ATR が前作 “Victim of the New Disease” をリリースした2018年後半から、待望の10枚目のスタジオLP “Antifragile” の登場となる2025年初頭までのこの6年間、心が折れるような悲劇を含め、多くの障害に直面してきました。
現在、Labonte とギタリストの Mike Martin を除けば、バンドのラインナップは6年前とはまったく異なっています。最も深刻だったのは、2018年、リード・ギタリスト、Oli Herbert がコネチカット州スタッフォード・スプリングスの自宅敷地内、池のほとりで遺体で発見されたことでしょう。彼はまだ44歳でした。この事件は現在も未解決のまま。
Jason Richardson(元 CHELSEA GRIN、BORN OF OSIRIS)が Herbert の後を継ぎ、最初はツアー・メンバーとして、その後フルタイムのリード・ギタリストとなります。しかし、パンデミックにより、ALL THAT REMAINS の再始動、その勢いはすぐに止まってしまったのです。
2022年、ライブ・サーキットがようやく再開されると、グループは “The Fall of Ideals” のアニバーサリー・ツアーを行い、遅ればせながらアメリカン・メタルコアの画期的なレコード15歳の誕生日を祝いました。
さらにそこから大きな変化が待ち受けていました。Labonte 個人としては、ポッドキャスト Timcast IRL の共同司会とプロデュースを始めました。ALL THAT REMAINS としては元レコード・レーベルと友好的に決別。2024年春、ベーシストの Matt Deis とドラマーの Anthony Barone を加えた5人組は、自分たちだけで独立し、オール・ザット・リメインズ・レコーズという名の独立レーベルを設立したのです。
それでも、Labonte は彼とバンドメンバーが乗り越えてきたすべてのことに活力を感じています。そしてそれこそが新譜のテーマとなりました。
「僕は、ポジティブで高揚感のあるコンセプトが欲しかった。人生で経験する苦難は、実は私たちをより強くしてくれるものなのだからね。
人には目的が必要だ。ビーチでマルガリータを飲みながらぶらぶらするだけでは十分じゃない。”喜びは目的地ではなく旅にある” という古いことわざは、真実だ」
つまり、ALL THAT REMAINS の新作は、近年の苦難の旅の中で鍛え上げられた、正真正銘の銘刀であり、バンドが輩出した初期の西マサチューセッツ・メタルコア・シーン、その特徴的なサウンドを想起させながら、ウルトラ・テクニカルなギター・プレイから精巧に磨き上げられたヴォーカル・フックに至るまで、現代的なタッチが加えられているのです。
ではこのバンドのリーダー Labonte にとって、この6年間で最大の苦難は何だったのでしょう。
「そうだね、いろいろあったよ。一番大きかったのはやっぱり Oli が亡くなったことかな…本当に、本当に大きな出来事だった。Oli は ALL THAT REMAINS に加入した最初の男だった。まだフルバンドになる前だった。ギタリストの Mike がやってきて、リフを弾いてみたんだけど、当時はまだうまく弾けなかったからね。Mike が彼の先生に会うべきだって言うんだ。それで Oli に会って意気投合したんだ。彼は最初から僕と一緒だった…
だから彼を失ったとき、彼なしで ALL THAT REMAINS をやれるのか、Oli Herbert 抜きの ALL THAT REMAINS とはどういうものなのかという大きな疑問が湧いたんだ。バンドののサウンドに欠かすことのできない存在だった彼抜きで何をやるのか?それを乗り越えるには長い時間がかかったね」
人として、Oli はバンドにとってどんな存在だったのでしょう?
「Oli はまるで家族のようだった。僕たちみんなを笑わせてくれた変なこととかがすぐ思い浮かぶんだけど、個人的なことだからあまり話したくないんだ。でも、みんなが変だと思うようなくだらないことこそ、家族みたいで大好きだったんだ。Oli が僕たちの1人か2人にイライラすることもあったけど、今振り返ると笑ってしまう。
昔の写真なんかを見ていると、ツアー中に彼が変なところで気絶しているのがたまらなく好きだ。空港とかホテルのロビーとか、変な格好で寝ている Oli の写真がフォルダに入っているんだ。バスを降りてすぐの草むらで気絶している Oli の写真もある。彼は “草の感触を味わいたかったんだ” って言ってた。僕らはそうだな!と笑ってた。
Oli について考えるとき、私はそういうことを思い出すのが好きなんだ。奇妙で風変わりなことが、彼をユニークで特別な男にしていたからね」
Oli の跡を継ぐ Jason Richardson と Labonte は本当に気が合うようです。
「彼はギターのサイボーグだからね!(笑) そう、彼はコンピュータープログラムなんだ。頭の中は1と0だけ。それだけ。あの子とは何度も一緒に出かけたけど、”彼は本物のロボットだ” って結論に達した (笑)。彼の演奏で本当に素晴らしいのは……彼は音楽理論や何やらについて深く膨大な知識を持っていて、小さなアイデアでもそれを発展させることができるんだ。僕たちは彼に2つのリフを渡して、”さて、どうしよう?”と言うことができる。そうすると彼は、曲全体で使える6、7種類のパートと、そのバリエーションとかを考えてくれるんだ。
ちょっとしたアイディアが浮かんだら、それを音楽理論に詳しい人に持っていくと、そのアイディアだけでなく、そのキーの他のスケールとの関係や、別のキーに移動させる方法などを教えてくれるんだ。それらはすべて、バンドが開いて実験できるドアなんだ。そういう人と一緒に仕事ができるのは本当に素晴らしいことだ。それが、僕たちが仲良くなれる理由のひとつだと思う。
もちろん、それは Oli が得意としていたことの1つであり、Jason が Oli と共有していることの1つだと思う。とにかく彼はワールドクラスのプレイヤーだが、ワールドクラスの知識も持っているんだ」
Labonte にとって、Oli の “モノマネ” をするギタリストは必要ではありませんでした。
「あの子は最高だよ。もし死後の世界があったとして、Oli が自分の場所に立っているのが Jason だとわかったら納得するだろうね。だから、それが重要なんだ。Oli になりすまそうとするようなヤツは獲りたくなかった。Oli は Oli だった。彼のリフの書き方、彼の個性。長髪でひげを生やしている人を断ることはなかったけど、長髪でひげを生やしてなければならないとは言わなかった。そんなことは求めていなかった。僕らが一番避けたかったのは、オーリーになりきってもらおうとしたように思われることだった。もう誰も Oli にはなれないんだから」
Richardson がギター・サイボーグになれたのはふたりの天才のおかげでした。
「Alexi が亡くなってから、CHILDREN OF BODOM をまた聴き始めたんだ。DREAM THEATER 並んで、僕が最も影響を受けて育ったバンドのひとつだからね。彼のギターは僕の嫌いなものばかりだけど、ずっと欲しかったんだ。 とんがっているのは好きじゃないし、EMG のファンでもないし、ノブは1つだし、ロッキング・ナットがついているし、フロイド・ローズもついている。 でも大人になってからは、Alexi か Petrucci かのどちらかが欲しかったんだ。周りの楽器屋には Petrucci のギターしか置いてなかったんだ」
Richardson にとって、ALL THAT REMAINS への加入は驚きでした。
「明らかに予想外だった。前任のギタリスト、Oli は20年間バンドに在籍していたんだけど、その Oli が亡くなったんだ。 ネットで見て、”なんてこった” って思った。彼は僕の友達で、以前一緒にツアーを回ったし、ジャムも一緒にやった。何時間も話をした。
それから1週間半後くらいだったと思うけど、彼らはインスタグラムにメッセージをくれた。”ちょっと聞きたいことがあるんだけど、僕らはすでにツアーを予約していて、アルバムのリリースも決まっているんだけど、このツアーの代役をやってもらえないかな?” ってね。ATR とは過去に何度か他のバンドでツアーをしたことがあったから、すぐにイエスと答えたよ。時間さえかければ曲は弾けると思っていた。幸運なことに、Oli はすべてを譜面に書き起こしていた。当時の新譜からの最新曲以外は、耳コピの必要はなかった。正直なところ、耳コピすることが唯一の不安だったんだ。それ以外のことは、もう一人のギタリストの Mike がビデオを送ってくれたりして、それで曲を覚えることができた」
Richardson は奇抜なソロキャリアと王道の ATR 、その二刀流を楽しんでいます。
「ATR は何枚もアルバムを出しているし、彼らのサウンドを評価する大勢のファンがいる。だから、彼らと一緒に曲を書いている間は、そのことを100%念頭に置かなければならない。でも幸いなことに、彼らには超クレイジーなテクニカル・メタルの旧作もたくさんあるし、”What If I Was Nothing” のようなストレートなロック・ヒット曲もある。意図的にラジオ用に書かれた曲が1、2曲ある。だから、よりシンプルで消化しやすいサウンドになっているのは明らかだ。
僕のソロをミュージシャンでない人が聴いて、”ああ、これは最高だ!” とは思わないだろう。僕のソロを聴くのは、ギタリストやミュージシャン・オタクだけだよ。ミュージシャンでなくても、”What If I Was Nothing” を聴けば、すぐにそれに惹きつけられるだろう。この曲は本当にキャッチーで、すぐに頭に残るから、バンドのために曲を書くときはいつも、もっとビジネス的な帽子をかぶらなければならない。その両方ができるようにならないとね。狂気的なメタルの曲も作りたいし、ラジオ向けのバラードも作りたい」
新メンバー、Richardson とドラマーの Anthony に加え、旧メンバーのベーシスト、Matt Deis もバンドに復帰しました。
「素晴らしいよ。2005年に Matt が脱退したときも、彼は僕らと仲が悪かったわけじゃないんだ。彼は CKY で演奏する機会を得たんだ。彼は大ファンだった。彼はそのバンドが大好きで、彼らのやっていることが大好きだった。ATR の2004年のセカンド・アルバム “This Darkened Heart” は発売されたばかりか、発売されて間もなかった。”The Fall of Ideals” はまだ出ていなかった。だから、僕らと一緒にいてもまだ何が起こるかわからないという状態だった。”Darkened” が少し成功して、みんなが僕たちを見て “これは誰だ?” という感じになったけど、それがキャリアになるかどうかは明らかではなかったんだ。
だから、彼が “こんなチャンスをもらったよ “と言ったとき、僕たちは “わかったよ。僕らにとっては最悪だけど、それでも君を愛している” って感じだった。連絡は取り続けたよ。彼はマサチューセッツ州西部の出身だから、幼馴染みみたいなものさ。Matt のことはずっと好きだったから、彼が戻ってきてくれて嬉しいよ。僕たちはいつも本当に仲が良かった。
それに素晴らしいミュージシャンなんだ。ピアノもベースもギターも弾く。音楽理論にも詳しいしね」
Labonte は作詞家として、”人間の条件に関する歌が最も説得力がある “と言っています。
「”Kerosene” は10月7日のイスラエル同時多発テロの直後に書かれたもので、パレスチナ人とイスラエル人の間で起こっている戦闘をアウトサイダーとして解釈したものなんだ。双方の言い分を聞けば、どちらにもそれぞれの物語があり、それぞれの理解の仕方がある。そのため、双方がそれぞれの理解の仕方を持っている。この確執は長い間続いている。1948年だけでなく、何千年もさかのぼるものなのだ。
彼らが相手側を少なくとも正当なものとして認め、同意することができない限り、このような事態はさらに続くだろう。”言葉がただの灯油になるとき” というサビのセリフがある。10月7日に実際に起こったことを聞いて、本当に、本当につらかった。控えめに言ってもね。2015年にパリの会場で行われた EAGLES OF DEATH METAL のコンサート中にバタクランで起きたテロ事件を思い出したよ。いろいろなものを見ていて、バタクランのことを考えずにはいられなかった。バタクランにいた人たちを知っていたから。
“Kerosene” を書いたのは、10月7日の事件の次の週末だったと思う。プロデューサーのジョシュ・ウィルバーとロサンゼルスにいて、そのことを話し始めたんだ。ただ会話が流れていて、”これを曲にできるかもしれない” と思ったんだ。この曲の出来栄えには本当に満足しているよ」
特に、ライブを楽しんでいただけの罪のない人々が巻き込まれたのですから、人ごとだとは思えませんでした。
「”Cut Their Tongues Out ” について話そうか。もっと怒っている曲だから (笑)。レコードのために最初に作った曲は “Divine”だった。Jason が曲を提供してくれて、僕とジョシュが一緒になって、アルバムのメッセージをどうしたいかを話し始めたんだ。このアルバムはパンデミック以来の作品だったから、全体的にダウナーな雰囲気にはしたくなかったんだ。この2年間、ロックダウンや抗争、そして多くの人たちが互いに罵り合ったりして、みんなもう十分に打ちのめされていたからね。
だから “Divine” は、自分が好きなことを何でもやっていて、自分が有能で、どうすればそれができるかを知っているとき、すべてがうまくいっているときに感じる感覚を表現しようとしたんだ。スポーツの世界では、それを “ゾーンに入る ” と呼ぶ。マイケル・ジョーダンがミスを一切許さなかったときのようにね。僕はその映像を覚えている。マイケル・ジョーダンが素晴らしいスリーポイントを決めたとき、彼は振り返ってコーチのフィル・ジャクソンの方を見るんだよな。”神 “とは、自分が着手しているどんなことでも、そのやり方を学ぶために全力を注いできたおかげで、ほんのちょっとだけ手に入れることができる小さな神性のかけらなんだよ。全てを注げば最高に有能になれるし、その結果には疑問の余地はない」
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN BAILEY OF UTOPIA !!
“Allan Holdsworth Is My Biggest Musical Influence By a Long Way. I Studied Allan’s Music Eligious For Many Years. I Actually Had a Tribute Quartet And We Used To Go Out Playing Allans Music Round The UK.”
DISC REVIEW “SHAME”
「SikTh は大好きだったよ。よく聴いていたよ。THE DILLINGER ESCAPE PLAN のほうが中心だったけど。彼らの暴力性と攻撃性は本当に僕に語りかけてきたし、そのヴァイヴと僕のジャズの知識を融合させようとしたんだ」
“実験的” という言葉は、ヘヴィ・ミュージックのテクニカルな側面においてよく使用される言葉です。ただし、ただ速く、複雑なフレーズを乱立することが本当に “実験的” な音楽なのでしょうか?むしろ、ジャンルの殻を破るような破天荒にこそ、実験という言葉は相応しいようにも思えます。そうした意味で、メタル・コア、プログ・メタルの殻を完全に突き破った SikTh は実に実験的なバンドでした。四半世紀の時を経て、SikTh の志を継ぐ UTOPIA は、同じ UK の鬼才 Allan Holdsworth の遺伝子をも取り入れて、世界に再び実験の意味を問います。
デスメタル、グラインドコア、ドゥーム・メタル、ハードコア、プログレッシブ・ロック、ジャズ、そして時には “謎” としか言いようのないものまで、多様性のモダン・メタルを象徴する楽園 UTOPIA は、実際あまりにも前代未聞です。
「Allan Holdsworth は、僕の音楽的な最大の影響者だ。僕は何年も Allan の音楽を熱心に研究した。実際にトリビュート・カルテットを持っていて、イギリス中で彼の音楽を演奏していたんだ。彼のソロを書き写したり、彼の曲を学んだりするのに、文字通り何千時間も費やしたよ。 同時に、Pat Metheny, Mike Morenom Julian Break, Kurt Rosenwinkel, Nelson Veras, Jonathan Kreisberg も僕に大きな影響を与えているんだ」
Allan Holdsworth の影響を受けたメタルといえば、もちろん真っ先に MESHUGGAH が浮かぶはずです。ただし、彼らの場合はどちらかといえば Fredrik Thordental のソロイズムに Allan の影を見ることのほうが多かったような気がします。一方で、プロのジャズ・ギタリストでもあり、Holdsworth 研究に何千時間も費やしてきた UTOPIA のギタリスト John Bailey はソロのみならず、アトモスフィアやリズムの意外性にまで大きく踏み込んでいます。
それは、MESHUGGAH 的なポリリズミック、整合を不整合に見せるテクニックではなく、まさに奇想天外、青天の霹靂なオフキルター、不穏と破綻の一歩手前、ズレたリズムの面白さ。
「最近は、人々が僕らを発見しようがしまいが、本当にどうでもいいんだ。僕個人としては、自分たちのアウトプットにとても満足しているし、みんながそれを気に入ってくれるなら最高だけど、僕にも尊厳があるし、ソーシャルメディアやインスタント・カルチャーに自分の音楽人生をどう構成するかを左右されるようなことはしたくない。君のような人たちが僕らにメールをくれたり、インタビューを申し込んでくれたりするのは、とても個人的なことなんだ。それを聴いて気に入ってくれる人が何人かでもいれば、それは僕にとって素晴らしいことなんだ」
フィレンツェの哲学者マキャベリについて考察したオープナー “Machiavelli” は、そんな破綻寸前のスリルを醸し出す UTOPIA の真骨頂。デスメタルとハードコアで即座に惹きつけ、段階を踏んで展開し、不協和音のギター・ワーク、フレットレスの魔法、様々な拍子、そしてクジラの鳴き声に似たリラックスした不気味なアンビエント・インタールードまで、その破天荒は破綻寸前。だからこそ面白い。
目的のためには手段を選ばない、力の信奉マキャベリズムは、政治から人々の個人的な生活にまで広げることができる興味深い概念です。それはおそらくほとんどの人の中に存在し、権力や影響力のある地位にしがみつくために道徳的な行動や才能を堕落させます。UTOPIA の “実験性” はそんなマキャベリズムとは真逆の場所にいて、自分たちの才能ややりたい音楽だけを信じて邁進し続けるのです。だからこそ尊い。
今回弊誌では、John Bailey にインタビューを行うことができました。「15年間は、ほとんどジャズとクラシック音楽一筋だったんだ。ジャズの修士号を取得し、さまざまなジャズ・アンサンブルを結成した。クラシック・ギターのツアーも何度かやったし、ジャズのライブもたくさんやった」 どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PROFESSOR CAFFEINE & THE INSECURITIES !!
“Everyone Forgets That Yamcha And Tien Are The Unsung OG Heroes Of Dragon Ball, By The Time You Get Around To Dragon Ball Z Everybody Is So Overpowered You Lose That.”
DISC REVIEW “PROFESSOR CAFFEINE & THE INSECURITIES”
「Thank You Scientist はあまり聴いたことがなかったんだ。2019年に彼らのオープニングを飾ったし、本当に素晴らしい人たちだったからあまり言いたくないけど、彼らにハマったのは僕らがすでに地位を確立したずっと後だったんだ。その時点で、僕たちの2枚目のリリース “The Video Game EP” は少なくとも1年前にリリースされていたからね。でも今聴くと、確かに似ているところがあるね」
2011年、ニュージャージー州モントクレア。Thank You Scientist は “The Perils of Time Travel” でジャジー&サックスを前面に押し出した複雑性と、エモーショナルで人を惹きつけるパワーポップのメロディが同居した革命的で魅力的なデビューEPをリリースしました。彼らはキャリアの道のりでますますジャズ・フュージョンの影響に傾き、ますます複雑なインストゥルメンタルと、メロディアスでありながらより複雑なソングライティングを聴かせてくれています。しかし、もしTYSが複雑なジャズよりも、音楽性をキャッチーでエモいコーラスをシームレスに折り込むという天性の才能に集中していたとしたら?ニューイングランドを拠点とするプログ/ポップ/マス/エモ・アンサンブル、Professor Caffeine & the Insecurities のセルフタイトルはまさにその “IF” を実現します。
「SEVENDUST, ALTER BRIDGE, ANIMALS AS LEADERS といったバンドに出会ったとき、彼らは僕にもっと音楽を追求するよう背中を押してくれたんだ。CALIGULA’S HORSE からビリー・アイリッシュへ、CARBOMB から BOYGENINUS へ、といった具合だ」
印象的なフックや曲作りと、興味深く進歩的な音楽的アイデアのバランスを取る最高で最初のバンドが RUSH だとしたら、Professor Caffeine はこの指標で非常に高いスコアを獲得するはずです。それはきっと、彼らを “プログ” の世界に誘った偉人たち、CALIGULA’S HORSE や ANIMALS AS LEADERS が常に複雑性とメロディの美しさを両立させていたから。
リスナーは、どうしようもなくキャッチーで甘ったるくなりそうなコーラス、”Wolf Fang Fist!” や “Astronaut” を口ずさむ一方で、ほぼすべての曲にまるでクッキーの中のチョコレート・チップのように、トリッキーで小さなアルペジオが隙間なくちりばめられていることに気づくはずです。
“The Spinz” に組み込まれた狂ったようなピアノ・ランや、陽気なサウンド “Dope Shades” のバックボーンを形成する驚くほど複雑なジャズ・ハーモニーのように、時には繊細なものもあれば、”That’s a Chunky” でのクランチーなリフとシンセの爆発的なバーストや、”Make Like a Tree (And Leave)” のコーラスに充満する不条理なほどヌケの良いギター・リードなど、より明白な場合も。リスナーが一瞬でも、このバンドのパワー・ポップの才能に導かれてプログであることを忘れてしまうたびに、彼らはまた複雑なユニゾン・ラン、突然のテンポ・シフトや様々な小道具で絶妙のバランスを構築していきます。
そう
「この曲はヤムチャにちなんでいるんだ!ヤムチャはDBZサーガではあまり活躍しなかったけれど、子供の頃から大好きなキャラクターだった。ヤムチャは悟空に対抗できる最初のキャラクターの一人で、彼が “狼牙風風拳” という拳の技をキックから始めるのがいつもコミカルだと感じていたんだよね (笑)。僕たちはドラゴンボールの世界が大好きだから、Dan もこのネーミングを気に入ってくれると思ったんだ。バンドに見せたオリジナルのデモはBPMが20も速くて、想像するのも乱暴なんだけど、もともと最初のアイデアは、ぶっ飛んだ、容赦のない “Kick You In the Face” なライブ・ソングやアルバムのオープニングを作ることだったんだ」
アルバムのハイライトは、ドラゴンボールのヤムチャをテーマとした “Wolf Fang Fist!” “狼牙風風拳” でしょう。物語が進むにつれてインフレしていくキャラクターの強さと “気”。しかし、私たちは原点を忘れてはいないだろうか?ヤムチャの狼牙風風拳や天津飯の気功砲が、ドラゴンボール初期のコミカルな笑いの中で、シリアスに絶妙なバランスを生み出していました。アルバムはフック対複雑、光と影、ユーモアとシリアスの対立が常に存在していますが、まさにドラゴンボール初期のように絶対にどちらかが勝ちすぎることはないのです。
今回弊誌では、Professor Caffeine & the Insecurities にインタビューを行うことができました。「放課後はDBZのセル編やゾイドを見るために急いで家に帰ってたし、サムライチャンプルーは夜遅くまで見てたよ。植松伸夫は、ダークソウル、メトロイド、バイオハザード、そしてソニーと任天堂のほとんどすべてのゲームとともに、作曲家として僕に大きなインスピレーションを与えてくれた」 どうぞ!!
PROFESSOR CAFFEINE & THE INSECURITIES “S.T.” : 10/10