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EXCLUSIVE INTERVIEW 【JEFF SCOTT SOTO : TALISMAN, KUNI, SOTO】LOUD PARK 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEFF SCOTT SOTO !!

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Legendary Vocalist, Jeff Scott Soto Talks About Japan Tour With Kuni, Talisman, Yngwie Malmsteen, And More !!

“A GUIDE TO JEFF SCOTT SOTO”

Jeff Scott Soto。Yngwie Malmsteen のバンド RISING FORCE の初代シンガーとして華々しくシーンに登場した唯一無二のボーカリストは、ソロとしては勿論、TALISMAN, JOURNEY, W.E.T. など数多のバンド、プロジェクトでその際立った才能を発揮し続けて来ました。ソウルフルでエモーショナル、”黒い”感覚を保持しながらも、キャッチーな歌メロに絶妙なボーカルハーモニーを乗せる、彼独特の個性は常にハードロックシーンを牽引して来たと言えますね。
同時に、Jeff はオフィシャルメンバーとしてではなく、ゲスト的な立ち位置で素晴らしい作品に貢献し続けた引く手あまたな人物でもあります。Axel Rudi Pell, Alex Masi, Vinnie Vincent, TAKARA などの名作群を懐かしく思うファンも多いでしょう。
80年代に、世界で勝負したマスクマン、日本人ギタリスト Kuni の 2nd アルバム “Lookin’ For Action” も、彼の参加でグレードが上がったアルバムの1枚です。
Billy Sheehan をはじめ、多数の豪華なゲストとともに制作されたデビュー作 “Masque” とは一味違い、固定されたメンバーで勝負した作品で、SLAUGHTER の秀才 Dana Strum プロデュースの下、Jeff のソウルフルな歌唱は勿論、Kuni のツボを得たフレージングの良さ、B’z でもお馴染み Mike Terrana のキレの良いドラムスを味わうことが出来る秀作でしたね。
そして今回、Kuni のデビュー30周年を祝い Loud Park 16 出演が決定、Jeff の参加もアナウンスされました。メンバーは、Kuni, Jeff に加えて GREAT WHITE の Tony Montana, HAREM SCAREM でお馴染み Darren Smith と実に豪華。素晴らしいショーになることでしょう。
今回インタビューを行った Jeff にとっては何と23年振りの来日となります。23年!最後の来日は、1993年の TALISMAN 初来日まで遡らなければなりません。しかし、インタビューで Jeff が語ってくれた通り、TALISMAN の音楽はその長い期間、世代を超えて引き継ぐべきものだと思います。
今は亡き Marcel Jacob というベースの名手にして優れた作曲家が存在したこと、Jeff と Marcel の素晴らしきケミストリー、爽快で、キャッチーで、ファンキーで、複雑なサウンド、その全てが忘れ去られてしまうには惜し過ぎると感じています。Jeff はインタビューで、意外にも Marcel 抜きの TALISMAN の未来に前向きな発言をしてくれました。勿論、ファンにはビッグニュースでしょうし、キッズのためにもぜひ実現してほしいと思います。
また同時に、彼自身の新しいバンド SOTO にも強く力を入れていることが伝わりますね。個人的な感想を述べれば、SOTO の新作 “Divak” はダークでヘヴィー、確かに若干メロディーが弱いものの、楽器陣が想像以上にテクニシャン揃いで、これからの活動に期待が出来そうです。今回の来日が契機となり、TALISMAN や SOTO でも、再度彼の姿を日本で見ることが出来るようになるかも知れませんね!
Jeff は Yngwie との現在の関係についても語ってくれました。メロディックハードの歴史の登場です。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DGM : THE PASSAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREA ARCANGELI OF DGM !!

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Italian Prog-Power Maestro, DGM Has Just Released Their New Masterpiece, “The Passage”!! Don’t Miss Upcoming DGM Japan Tour on November !!

DISC REVIEW “THE PASSAGE”

イタリアが誇る、ダイナミックでソリッドな Prog-Power マエストロ, DGM が3年振りとなる新作 “The Passage” をリリースしました!!
メンバーチェンジの多いバンドで、DGM (Diego, Gianfranco, and Maurizio) というバンド名の元となった創立メンバーたちすら、今のバンドには存在しません。しかし、唯一無二のボーカル、Mark Basile 加入後は安定し、現在のラインナップになって3作目、そして Frontiers Music に移籍後初のアルバムとなります。
Melodic Hard / Metal を主戦場とする Frontiers に移籍したことが影響したのか、アルバムは、元々バンドのアイデンティティーであった、メロディックな要素をさらに磨き上げた素晴らしくキャッチーで、同時にインタビューで Andrea が語ってくれたように、これまでの DGM を集約したかのようなバラエティー豊かで多彩な作品に仕上がりました。
作品を象徴するのが、アルバムオープナー “The Secret” 組曲から “Animal” への流れでしょう。イタリアンギターマエストロ、Simone のベンドを多用した小気味よくもモダンなギターリフがアルバムの幕開けを告げると、Mark のエモーショナルでメロディックな歌唱が強烈に爽快に現在の DGM を主張します。”Part 1″中盤に配置された圧倒的なギター&キーボードのデュエルは、彼らの出自が RAINBOW や Yngwie Malmsteen というクラッシックであることを物語りますが、続くダークでグルーヴィーなパートが SYMPHONY X ライクなモダンプログレッシブなため、奇しくも両者の対比が彼らの幅広い音楽性を印象づける形となっていますね。
この組曲で特筆すべきは Emanuele の千変万化な鍵盤捌きで、しっとりとしたピアノから、激しいリードプレイ、そして組曲終盤の “Stargazer” 的オリエントパートで見せる Tony Carey のような深遠な音色まで、カラフルでイマジネイティブなプレイの数々が白眉。
また、”Part 2″ の冒頭、Andrea のグルーヴ満点なベースが導くリフワークは続く3曲目 “Animal” の冒頭にも使用されています。インタビューで語ってくれた通り、今回の作品には音楽的なコンセプトが存在し、いくつかのフレーズがシームレスにアルバムを通して現れるのです。この手法により、リスナーはより “The Passage” と旅することが容易になっていますね。
多様性という面から見れば、先に挙げた “Animal” はアリーナロック的なメジャー感が存在するキャッチーさにフォーカスした楽曲なのに対して、Michael Romeo がゲスト参加した “Dogma” は SYMPHONY X すぎるダークでヘヴィープログレッシブなアグレッションを前面に押し出しています。
さらに、EVERGREY の Tom Englund が参加した “Ghost of Insanity” や “The Fallen” は DGM の新たなメタルアンセムですし、ピアノとボーカルのみで紡がれる “Disguise” やアルバムを締めくくるドリーミーな “In Sorrow” の美しさには言葉を失うほど。実に引き出しが多く、Prog と Power のバランスが極上の、何度もリピートを誘う名作であると言えるでしょう。
今回弊誌では、先頃プライベートで日本旅行を楽しんでいたという日本通のベーシスト、Andrea Arcangeli にインタビューを行うことが出来ました。11月には Evoken de Valhalla PR の招聘により、東京、大阪、名古屋で彼ら2度目の来日公演も決定しています!どうぞ!!

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DGM “THE PASSAGE” : 9.6/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【TONY LEVIN : KING CRIMSON, STICK MEN, LEVIN MINNEMANN RUDESS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY LEVIN OF KING CRIMSOM, STICK MEN AND LEVIN MINNEMANN RUDESS !!

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Legendary Bass Player, Tony Levin Talks About King Crimson, Stick Men, Levin Minnemann Rudess And More !!

“A GUIDE TO TONY LEVIN”

世界一多忙なベーシストとも評される Tony Levin。その評価を裏付けるかのように、この半年間だけで、3枚の参加作品をリリースして行きます。5弦ベース、アップライトベース、チャップマンスティックなど、時と場合に応じて楽器と奏法を巧みに使い分ける器用さ、加えて、ファンクフィンガー奏法に代表される独創性をも兼ね備えている点が多忙の理由ではないでしょうか。
勿論、Tony が最も知られているのは KING CRIMSON のメンバーとしてでしょう。1981年からTony が断続的に支え続けてきた、そのプログロックの伝説が最新作、”Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind” をリリースしました。
昨年行われた日本ツアーから高松公演の映像 Blu-Ray と、ライブ音源ながらそれぞれがテーマを持ち、オーディエンス音をカットした”ヴァーチャルスタジオアルバム”が3枚。3CD+Blu-Ray という圧倒的なフォーマットのボックスセットはまさに”KING CRIMSON Re-imagined” と言えるでしょう。
過去の名曲の数々が、トリプルドラムスという、時に圧倒的な音の壁を築き上げ、時に3者が全く別のリズムを刻む、現在の編成、ラインナップで再現される様はまさに圧巻です。同時に、新曲をしっかりと披露し、現在進行形の KING CRIMSON を提示、スタジオアルバムとしての役割をも果たす重要な作品に仕上がっています。
Levin Minnemann Rudess は3人のプログヴァーチュオーソが集結したスペシャルなプロジェクト。KING CRIMSON, THE ARISTOCRATS, DREAM THEATER。三者三様の偉大なプログアクトのメンバーから成るメガトリオが最新作 “From The Law Offices Of Levin Minnemann Rudess” をリリースしています。
意外にも、テクニック、実験性一辺倒ではなく、多彩でキャッチー、バラエティーに富んだデビュー作からさらに楽曲、アイデアを練り込む時間が得られたという新作は、3人の個性が見事に融合し、全ての Jazz/Prog ファンにアピールする “Prog Heaven” とでも評したくなるほど充実した内容です。
Marco Minnemann は、強烈なリズムアプローチとクリエイティブなアクセントで作品の要となると同時に、ギタープレイでもアルバムに貢献していますし、Jordan Rudess は当然ながらマジカルで、今回は特に80年代を意識したようなカラフルなプレイが白眉。そして、Tony はチャップマン・スティック・マスターとしての矜持、加えてファンクやパーカッシブな要素をアルバムにもたらし、作品を巧みに彩ります。勿論、シリアスでありながら、どこかユーモアやエンターテインメント性を感じさせる点も、このトリオならではだと感じます。5/4の魔術、アルバムオープナー”Back to the Machine” 、LIQUID TENSION EXPERIMENT を想起させる “Ready Set Sue”、ゲームミュージックへの親和性を感じさせる “What is the Meaning?” など本当に聴き所が満載なアルバムですね。
さらに10月には STICK MEN の新作 “Prog Noir” のリリースも控えています。STICK MEN は KING CRIMSON のリズムを支える Tony, Pat Mastelotto が気鋭のギタリスト/コンポーザー Markus Reuter と組んだ野心的でアーティスティックなグループです。
バンド名にも冠するように、Tony はベースとギターの特性を併せ持つチャップマン・スティックを使用、Markus も同様にギターとベースの音域をカバーする8弦のタッチギターを操り、弦楽器による縦横無尽な演奏を可能にしています。さらに、Pat のアコースティック、エレクトロニック、ループ、サンプルを巧みに使い分けるドラムアプローチにより、グループとしてモダンで先鋭的なプログロックを表現していますね。
新作 “Prog Noir” はボーカル曲の割合が増え、同時にダークでユニークな完成度の高いアルバムに仕上がっています。インタビューで語ってくれたように、来年2月の来日公演も決定しているそう。アルバムと併せて楽しみにしていてくださいね。
今回弊誌では Tony Levin にその KING CRIMSON, Levin Minnemann Rudess, STICK MEN について詳しく語っていただくことが出来ました。レジェンドの登場です。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SABATON : THE LAST STAND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PAR SUNDSTROM OF SABATON !!

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Swedish War Machine, SABATON Are On Their Way To The Absolute Top Of The Heavy Metal World With Amazing New Record “The Last Stand”!!

DISC REVIEW “THE LAST STAND”

メタルが多様化の道を歩む現代において、純度100%の Power Metal を送り続けるスウェーデンの5人組 SABATON が新作 “The Last Stand” をリリースしました!!
昨年の Loud Park において、初来日ながら圧倒的なパフォーマンスを披露し、日本のファンに強烈な印象を残した彼ら。弊誌でもライブ直後にインタビューを行い、大きな反響をいただいたことは記憶に新しいですね。あれから約1年。サバタリオンの元に届けられた新作は、この地で新しく得たファンをさらに魅了することでしょう。
“The Last Stand” は歴史上の偉大なラストスタンド、最後の戦いにフォーカスしたアルバムです。偉大なミュージシャンであると同時に、優れたストーリーテラーでもある SABATON。エピカルな歌詞を伴った大仰なボーカルと、クリアーでキレの良い演奏によって、リスナーはスコットランド革命から第二次世界大戦まで、鮮明な戦いのイメージを脳裏に浮かべることでしょう。
壮大な “The Last Stand” を象徴するような楽曲、”Sparta” で戦いの火蓋は切って落とされます。古代ギリシャのスパルタを題材としたオープナーは、シンフォニックなキーボードでドラマティックに幕を開け、鳴り響く地響きのような雄叫びは、まるで何万人もの兵士が間近に存在するかのよう。メロディアスでキレの良いリードプレイも白眉で、典型的でアグレッシブな SABATON のスタイルを提示しています。
日本のファンにスペシャルなプレゼントもあります。 “Shiroyama” はなんと西南戦争、西郷隆盛最後の戦いについて書かれた楽曲なのです。”Bushido Dignify. It’s the Last Stand of the Samurai”、武士道は尊く、これこそが侍のラストスタンドだ!と高らかに歌われるキラーチューンは、彼らの日本に対する敬意、愛情と共に私たちに目頭の熱くなるような感動をもたらしてくれますね。
Joakim の巻き舌ボーカル、常にツッコミ気味でシャープなドラムスと共に、SABATON が他の Power Metal アクトを置き去りにしている理由。それはメロディーの充実度、キャッチーさです。その側面にフォーカスしたのが “The Last Battle” でしょう。80年代のヘアメタルや JOURNEY さえ想起させる軽快なオープニング、ふんだんに使用される POP なキーボードサウンド、タッピングにスイープを織り交ぜた派手なシュレッド、全てが印象的で耳に残ります。
同時に、”Blood of Bamnockburn” のバグパイプを使用したエピカルな演出は美しくも見事ですし、”The Lost Battalion” は BLIND GUARDIAN へのリスペクトをオペラティックに表現し、結果として、アルバムはアグレッション、キャッチー、エピックのバランスが素晴らしい作品に仕上がっていますね。
今回弊誌では Par に再度ご登場願い、新作について語っていただきました。なお、SABATON Open Air を最後にギタリストの Thobbe Englund がバンドを去り、新たに RainXeed の Tommy Johansson が加入しています。どうぞ!!

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SABATON “THE LAST STAND” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EPICA : THE HOLOGRAPHIC PRINCIPLE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK JANSEN OF EPICA !!

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Dutch Female-Fronted Symphonic Metal Outfit, Epica Issue Seventh Studio Album “The Holographic Principle” On 9/30 !! Let’s Set Off On Another Voyage Of Scientific Discovery !!

“A GUIDE TO THE HOLOGRAPHIC PRINCIPLE”

オランダが誇る Symphonic / Prog Metal の雄、EPICA が9/30に待望の新作 “The Holographic Principle” をリリースします!!
マルチリンガルという高い知性、美しすぎるその容姿、そして幻想的なメゾソプラノ。3拍子揃った紅一点 Simone Simons と、ex-AFTER FOREVER の Mark Jansen を中心として結成されたバンドは、初期の Gothic Metal 路線から徐々にメタリック、シンフォニック度合いを増し、荘厳かつ壮大な独自の Symphonic Metal を具現化しています。地元オランダのみならず、ブラジルでまで自らが主催する Epic Metal Fest を行うほどですから、その人気は最早世界レベルと言えるでしょう。NIGHTWISH, WITHIN TEMPTATION, そして EPICA をシンフォメタルの三本柱と信じるファンも多いはずです。
恐ろしいほどの高い完成度、ストーリー性を誇り、EPICA の集大成とまで評された前作 “The Quantum Enigma” の時点で、過去最高のヘヴィネス、アグレッションを備えていた訳ですが、最新作 “The Holographic Principle” はさらにエクストリームでヘヴィーなレコードです。
前作と同じ Joost Van Den Broek & Jacob Hansen というレコーディングチームを起用して制作されたアルバムは、Issac が「実際、僕達はまずメタルバンドなんだ。」と語る通り、ブルータルで推進力溢れるリフワークがアルバムの根幹に存在します。”Edge Of The Blade”, “Universal Death Squad” は、多くの Symphonic Metal バンドが”キャッチーさ”と引き換えに失いつつある、インテンスや大胆さ、展開美をこれでもかと見せつける強力な楽曲ですね。
とは言え、勿論、荘厳でシンフォニックな要素こそ EPICA のアイデンティティー。インタビューで Mark が語ってくれた通り、今作では何と、全てのオーケストラ楽器がライブでレコーディングされているのです。幻想的で揺らめくような “Once Upon A Nightmare” や、11分にも及ぶ「EPICA を EPICA たらしめる全ての要素を詰め込んだ」という大曲 “The Holographic Principle” を聴けば、豪華で独創的な真のオーケストレーションと共に、彼らの新しいチャレンジがさらに EPICA を一段上のバンドに進化させていることに気づくでしょう。
バーチャルリアリティを題材とした “The Holographic Principle” は、高い知性と豊かなエモーションを乗せた、科学と音楽の新たな旅だと言えますね。
今回弊誌では、Mark Jansen にインタビューを行うことが出来ました。日本のファンにとっては最後のまだ見ぬ巨人とも言える EPICA。遂に来日を約束するような言葉もいただきました。オランダの貴公子の登場です。どうぞ!!

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【ANNA MURPHY : ex-ELUVEITIE, CELLAR DARLING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNA MURPHY OF CELLAR DARLING !!

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Anna Murphy, Gorgeous Muse Talks About Her Ex-Band ELUVEITIE, New Band Cellar Darling, And Solo Project !!

スイスが誇る Folk / Melodic Death Metal バンド、ELUVEITIE。ヴァイオリン、バグパイプ、ホイッスル、ハーディー・ガーディーといった伝統楽器を大胆に取り入れ、ケルトの民族音楽とメロデスを見事に融合させた革新的な集団です。
2014年に日本公演も大成功させた、このインターナショナルなメジャーアクトに今年、大事件が勃発しました。2000年代前半から所属していた中心メンバー、ボーカル/ハーディー・ガーディー の Anna Murphy, ギタリスト Ivo Henzi, ドラマー Merlin Sutter が脱退してしまったのです。
元々、作品毎に音楽性が変わりやすく、メンバーチェンジの多いバンドであったことは確かです。しかし、特に Anna の美麗なボーカルと、ハーディー・ガーディーが紡ぐケルトの響きは間違いなく ELUVEITIE の顔であったため、多くのファンを失望させています。
弊誌では以前も Anna にインタビューを行っていますが、今回再度登場いただき、ことの顛末、ELUVEITIE への想い、脱退した3人が新たに結成した新バンド “Cellar Darling” などについてお話を伺う事が出来ました。
「結局 ELUVEITIE は Chrigel のバンドだから」 「ここ何年間も封印されていたクリエイティビティ」 などという言葉の端々から、この脱退劇がバンドの創立者 Chrigel Glanzmann との対立、意見の相違であったことは明らかでしょう。最新作 “Origins” で Anna のボーカルはさらに増える傾向にあったため、そのあたりが引き金だったのかも知れませんね。
勿論、残念ではありますが、ELUVEITIE は ELUVEITIE で、LEAVE’S EYES の Liv Kristine をゲストに迎えてツアーを行っていますし、インタビューで Anna が語っているように、好きなバンドが2つに増えたと思えば楽しみにもなります。また、彼女はソロアーティストとしても活動しており、新曲 “Mayday” をリリースしたばかり。こちらにも Ivo, Merlin が参加しているので少しややこしいですが、ぜひチェックしてみてくださいね!どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HUNG : DJURASSIC WORD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BARNABY OAKLEY OF HUNG !!

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The Brightest Hope Of Prog Metal / Djent From UK, HUNG Has Just Released Catchy & Groovy New Record “Djurassic Word”!! Will Djent Conquer Jurassic World ?!

DISC REVIEW “DJURASSIC WORD”

モダン=多様性、エクレクティック。2010年代音楽シーンの重要な公式に当てはめれば、極めてモダンであるとの解が出るであろう UK 出身の DIY デュオ HUNG が最新作 “Djurassic Word” をリリースしました!!
モダンであるはずの彼らが、太古の恐竜を文字ったアルバムタイトルを冠しているのも興味深いですが、頭文字Dに注目するまでもなく HUNG の骨格は Djent / Prog Metal です。しかしながら、HUNG の音楽はその領域に収まりきらない鮮やかな拡がりを備えています。
“Pastille Coloured Lady” を聴けばアルバムが”キャッチー”というテーマに強くフォーカスしていることに気づきます。Djenty なリフワークとファンクのグルーヴを併せ持ったリズムに、キラキラのキーボード。透明感溢れるキャッチーなボーカルが加われば、21世紀の POP-Rock アイコン DIRTY LOOPS を思い出すファンも多いでしょう。
実際、DIRTY LOOPS もファンク、ジャズ、エレクトロニカという多様な要素を楽曲に盛り込む “Loopfy” という手法でモダンなテイストを表現しているのはご存知の通り。Rock と Metal、畑こそ違えど HUNG がそこにヒントを得ているのは明らかでしょう。アルバムを通じて印象的なキーボード/エレクトロサウンドは特に。
さらに、エクレクティックという観点から見れば、 “Browbeat” も重要な1曲だと感じます。以前弊誌でインタビューを行った HACKTIVIST が Kendrick Lamar について言及し、Rap を見事モダンメタルと融合させていたように、HUNG も Rap を積極的に楽曲に導入しています。アトモスフェリックとさえ言えるような Rap パートとヘヴィネスのコントラストが実に見事ですね。
同時に、HUNG は Djent / Prog-Metal の矜持とも言える高いテクニックをも兼ね備えています。PERIPHERY を想起させる爽快なアルバムオープナー “Primevil” は勿論、Dan Sugarman, Angel Vivaldi など、シーンでも有数のテクニシャンたちがゲスト参加したアルバムは、モダンギターという観点から見ても非常に充実した、聴き所の多い作品となっていますね。特に、ボーカル間に挟み込まれる、美しくスリリングな高速オブリガードは彼らのトレードマークとも言えるほどに際立っています。
“The Mesozoic Era” で 80’s エレポップのような手法を取り入れたかと思えば、”Carcharodontosaurus” では VEIL OF MAYA も真っ青なプログデスコアを臆面もなく披露する柔軟性。カメレオンという恐竜が現代に生き残っていることを思い浮かべてしまいますね。
今回弊誌では、バンドの中心人物 Barnaby Oakley にインタビューを行うことが出来ました。ボーカル、ギター、プロダクション全てをこなす才人!イケメン!どうぞ!

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HUNG “DJURASSIC WORD” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COLDWORLD : AUTUMN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH G.B. OF COLDWORLD !!

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One Man Atmospheric Black Metal From Germany, COLDWORLD Has Just Released Gorgeous New Album “Autumn” For The First Time In 8 Years !!

DISC REVIEW “AUTUMN”

8年の沈黙を経て、German Atmospheric Black の雄、COLDWORLD が復活作 “Autumn” をリリースしました!!洗練され、スケール感、アンビエンス、メロディーの質共々格段に進化した作品は、シーンに衝撃を与えています。
COLDWORLD は G.B. のワンマンプロジェクト。すべての楽器、そしてグロウルからクリーンボーカルまで見事にこなす彼の才能は “Autumn” において素晴らしく開花していますね。前作 “Melancholie²” のメロディックなスタイルは引き継ぎながら、よりウォームでナチュラルなサウンドを具現化したアルバムは、最早ストレートな Black Metal の領域には収まり切らないようにも思えます。
Depressive Black Metal の首領、SHINING の近作がプログレッシブな1面を提示している事実とリンクするかのように、同様にデプレッシブなサウンドを奏でる COLDWORLD も Post-Progressive への接近を隠そうとはしません。
9分の大曲、”Womb of Emptiness” を聴けば、彼らの新しいチャレンジを感じることが出来るでしょう。ピアノとキーボードの荘厳でクラシカルなコードプログレッションに導かれ紡がれる G.B. のクリーンボーカルは、深い悲しみを湛えつつ、ダークでディープなアトモスフィアを創出します。KATATONIA の Jonas Renkse を想起するファンも多いでしょう。
実際、楽曲の前半は KATATONIA のモダンなプログレッション、リリシズム、耽美性と共通する部分も多く感じられます。
一転、壮絶なトレモロリフとグロウル、ダブルベースドラムが切れ込むと、楽曲は激しい絶望を宿した美しさにその色を変えていきます。冷ややかな空気の中、創出される対比の妙は、アルバムの重要なポイントとなっていますね。さらに、プログレッシブという観点から見れば、”Climax of Sorrow” においても OPETH のようなヘヴィープログレッシブに知性を湛えた極上のリフを聴くことが出来ます。
一方で、”Autumn” には、ALCEST, DEAFHEAVEN といった人気と飽和の渦中にある Post-Black / Blackgaze 勢に通じるような、多幸感すら感じさせるサウンドも存在します。アルバムオープナー、”Scars” での大胆なストリングスの使用や、”Void” における美麗な女性コーラスの導入も、絶望の先に暖かい光が射すような楽曲のムードを見事に強調しており、作品に多彩で豊かな表情を植え付けています。
インタビューで語ってくれた通り、幼少時からヴァイオリンを習得している G.B. の音楽は非常に緻密かつ知的で、エピカル。完成まで8年もの長い月日を要したことにも頷けます。今回弊誌では、G.B. にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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COLDWORLD “AUTUMN” : 9.7/10

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