カテゴリー別アーカイブ: BEST NEW MUSIC

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANDERSON / STOLT : INVENTION OF KNOWLEDGE】 JON ANDERSON SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JON ANDERSON OF ANDERSON / STOLT !!

13239363_1712320359041078_7599144869349536091_n

Legendary ex-YES Vocalist, Jon Anderson Talks About His New Project With Roine Stolt, Anderson Rabin and Wakeman, And His Thought About YES!!

DISC REVIEW “INVENTION OF KNOWLEDGE”

プログロックのドリームチーム、Anderson / Stolt が傑出したデビューアルバム “Invention of Knowledge” をリリースしました!!
長年 YES の”声”としてバンドを牽引した伝説的ボーカリスト Jon Anderson が、THE FLOWER KINGS, TRANSATLANTIC という2つの優れたプログロックバンドで才能を発揮する ギタリスト Roine Stolt とタッグを組んだ作品は、実に深く、カラフルで、メッセージ性に富んでおり、確実に1+1=2以上の化学反応が存在していますね。
2人を支えるバンドメンバーも YES や RENAISSANCE に関わってきた Tom Brislin (piano, organ, synthesizers), KARMAKANIC の Lalle Larsson (piano, synthesizer), 世界有数のベーシストで THE FLOWER KINGS では Roine の同僚でもある Jonas Reingold (bass), 同じく TFK の Felix Lehrmann (drums) という錚々たる顔ぶれ。
さらにアルバムには PAIN OF SALVATION の Daniel Gildenlöw や、Roine の別プロジェクト AGENTS OF MERCY から Nad Sylvan という豪華なゲストも参加しています。
アルバムは、インタビューで Jon が語ってくれたように、プログロックの過去と未来を繋ぐような作品に仕上がりました。具体的には、YES や GENESIS が紡いだシンフォニックなプログロック第一世代の優美さと、 北欧から端を発したプログ第3の波、THE FLOWER KINGS や ANEKDOTEN といったバンドによるスカンジナビアンプログロックの瑞々しさを華麗に融合させていると言えますね。勿論、 “Knowing”, “Everybody Heals”, “Invention of Knowledge”, “Know” という3つの組曲と1つの大曲の4部構成には、YES の大作 “Tales From Topographic Oceans” を想起するファンも多いでしょう。
アルバムオープナー、”Invention” はまさに”失われた”70年代 YES サウンドをイノベートする強いステイトメント。どこか牧歌的で Jon 特有のメロディーラインが登場すると、リスナーは彼こそが YES の声であることを再確認します。実際、アルバムを通して、ファルセットに近いボーイッシュな Jon の声は瑞々しく、微塵も衰えを感じさせません。特に、”Chase And Harmony” でピアノをバックに朗々と歌い上げる場面などは、心を揺さぶられずにはいられませんね。
同時に、Roine の素晴らしくメロディーとエモーションが調和したリードプレイ、プロデュース、彼のセンスや存在感は Anderson / Stolt がただ過去の焼き直しに終わらないことを強く主張しています。
それを象徴するのが、モダンなコンポジションを取り入れた “Everybody Heals” でしょう。THE FLOWER KINGS の方法論に近いこの楽曲は、現代的なストリングスや Jazz / Fusion のアプローチで飾られ磨き上げられており、リスナーに新鮮な感覚を植え付けます。
実際、アルバムのオーケストレーションは見事で、オリエンタルに終る “Invention” のカウンターパートとも言える “Knowledge” では LED ZEPPELIN の “Kashmir” を現代の技術で再現したかのような、壮大でエスニックなサウンドを提示しています。アルバムを締めくくる大曲 “Know…” における異国情緒溢れるギターソロも白眉。Roine が語っているように、「モダンでクラシカル、ロックでエスニック、トライバルでオーケストレートされ、グルーヴィーで浮遊感を持つ」という考え方を体現しているようにも思えますね。
さらに “Invention of Knowledge” は Jon Anderson というカリスマの哲学を色濃く反映した作品でもあります。彼の常に前向きで、楽観的で、自然を愛するピースフルなマインドスケープは、そのままアルバムのサウンドスケープとして表現され、多幸感溢れるスピリチュアルな作品に昇華しているのです。
今回弊誌では、その Jon Anderson 氏にインタビューを行うことが出来ました。ノスタルジーとコンテンポラリーが見事にミックスされた傑作。話題の Anderson, Rabin and Wakeman についても聞くことが出来ました。どうぞ!!

13082568_1702696496670131_2572226848049395123_n

ANDERSON / STOLT “INVENTION OF KNOWLEDGE” : 9.8/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANDERSON / STOLT : INVENTION OF KNOWLEDGE】 JON ANDERSON SPECIAL !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PASSCODE : VIRTUAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PASSCODE !!

profile_20160220054924_66c7428fd7008cfba4b9e1989a991c6c56c77fd43b150

Electronicore Meets Kawaii ?! Japanese Girls Outfit, “NINJA BOMBER” From Osaka, PassCode Has Just Released Splendid 2nd Album “VIRTUAL” !!

DISC REVIEW “VIRTUAL”

百花繚乱のアイドルシーンに、ピコリーモを引っさげ大阪から現れた4人組 PassCode が期待の新作 “VIRTUAL” をリリースしました!!新メンバー大上さんの加入、グループのリーダーだった黒原さん脱退という大きなメンバーチェンジを経て制作されたアルバムは、鮮烈なデビュー作 “ALL is VANITY” と”リンク”しつつも、より多彩で、よりキャッチーで、メンバーの確かな成長が感じられる優れた作品となりました。
アルバムオープナー “MOON PHASE” は PassCode の “Re-Birth” を高らかに宣言するキラーチューン。前作収録 “Toxic” のイメージを引き継ぎながら、よりスケールアップを果たした Electronicore サウンドを聴くことが出来ますね。キラキラとしかし複雑に突き進む楽曲の中、ふんだんに挿入される 今田さんのシャウト/スクリーム は男性ボーカルの凄みとはまた一味違ったテイストが白眉で、前作からの進化を伝えています。オートチューンの多用も実に効果的。
さらに、こちらも前作収録 “アスタリスク” とリンクする “NINJA BOMBER” はタイトルから想像出来る通り、和のテイストを取り入れた海外にも強くアピールする仕上がりとなっていますね。逆に言えば、こういったある種飛び道具的な楽曲が際立つのも、シリアスな “Now I Know”, “Nextage” のような彼女たちの”骨格”がしっかりと存在しているからだと思います。
勿論、そういった所謂ピコリーモは PassCode サウンドのベースでありアイデンティティーな訳ですが、インタビューで高嶋さんが”おもちゃ箱”と例えたように、カラフルでバラエティー豊かな本作では PassCode の新たな1面も重要な聴きどころとなっていますね。
例えば “ドリームメーカー” は Kawaii 要素を多分に含んだ電波チューン。でんぱ組.inc を想起するファンも多いでしょう。また、派手なシンセサウンドが注目されがちですが、”from here” などで聴けるピアノの音色も美しく作品に色を添えています。
さらに、アルバム終盤に配置された “Don’t Leave Me Alone”, “You Made My Day” のように切なく、ブルージーな味わいさえ存在する、聴かせる楽曲も素晴らしいアクセントになっていますね。特に “You Made My Day” は1分そこそこの短い中に、PassCode の熱い想いが込められた歌詞、パフォーマンスだと感じました。
今回は、サウンド・プロデュースを手がける平地孝次さんがメンバーの歌唱パートを決定したことで、より各メンバーの特徴が作品に昇華されていますし、SiM や BABYMETAL を手がける 原浩一さんがマスタリングを行うことでサウンド自体もアップグレードされており、実に聴き応えのある完成度の高い作品に仕上がっています。
今回弊誌では、PassCode のメンバー全員、高嶋 楓さん、今田 夢菜さん、大上 陽奈子さん、南 菜生さんにインタビューを行うことが出来ました。8/8の Zepp DiverCity ワンマンでは初のフルバンドセットも控えています。ぜひアイドルとバンドの垣根を壊していって欲しいですね。どうぞ!!

max_disco_20160408200119_0cb00f598ee0ec11c1b43aa92a5b60b957078f7f1301e

PassCode “VIRTUAL” : 9.2/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PASSCODE : VIRTUAL】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ASTRONOID : AIR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRETT BOLAND OF ASTRONOID !!

327f07e2-7f40-4133-8fdd-9a060d981036

Five Piece From Massachusetts, ASTRONOID Has Just Released Their Phenomenal Debut Full-Length “Air” !! “Dream Thrash” Reaches New Realm Of Metal Music !!

DISC REVIEW “AIR”

ミュージックシーンには、時にリスナーの想像を遥かに超えて、ジャンルの壁を平然と、無慈悲なまでに叩き壊すような存在が現れます。マサチューセッツを拠点とし、”Dream Thrash” を指標する5人組 ASTRONOID はまさにそういったバンドでしょう。彼らが Blood Music からリリースしたデビューフルレングス “Air” は、メタルシーンのトレンドを左右しかねないほどの傑作にして重要作となりました。
Black Metal に新たな要素を加えた Post-Black と呼ばれるジャンルが注目を集める、昨今のメタルシーン。多幸感を伴うアトモスフィア、Shoegaze 要素を融合させた ALCEST, DEAFHEAVEN、WOLVES IN THE THRONE ROOM, 実験的な Math / Prog 要素を果敢に取り入れた KRALLICE, LITRUGY は間違いなく Post-Black シーンのフラッグシップだと言えますね。
ASTRONOID はその両輪、 Shoegaze, Math / Prog 要素のみならず、Thrash Metal, Prog, Post-Rock, Power Metal, Dream Pop など実に多様なジャンルをミックスし、”Black Metal の最終形態” とでも表現したくなるような新しい音楽を生み出したのです。
“Up and Atom” は彼らの革新性を象徴するような1曲です。基本的には ALCEST のような Post-Black のフォーマットに適応した楽曲は、しかし冒頭から独自の顔を見せてくれます。キーワードはボーカルハーモニー。幾重にもレイヤーされた天上の歌声、ファルセットが紡ぐ極上のメロディーはリスナーをユートピアへと誘います。MEW の緻密に構築された幻想世界を思い出すファンも多いでしょう。時にブラストビートをも織り交ぜた、アグレッシブでテクニカルなバックの演奏との対比、マッチングの妙はアルバムを通して存在し、 ASTRONOID を”ネクストレベル”のバンドへ引き上げています。
さらに、中盤に用意された、あの HELLOWEEN を想起させるような、Power Metal 的展開はショッキングとさえ言えますね。なぜなら、モダンメタルバンドがこういった明白なメタルらしさをアピールする機会はほとんど無いからです。ツインギターハーモニーやアルペジオを多様したこのパートは、違和感なく楽曲に溶け込み、トレモロリフへと繋がりながら見事なドラマティシズムを演出していますね。
続く “Resin” も傑出した楽曲で、ボーカルの”壁”とでも形容したくなるような荘厳なるハーモニーは Devin Townsend の遺伝子を引き継いでいるようにも感じます。音の”壁”はボーカルだけではありません。シンガーでマルチプレイヤーの Brett を加えたトリプルギターとベース、4本の弦楽器が創出する、美しくも圧倒的なサウンドウォールは壮観で、心から生で体感してみたいと思えますね。
一方、タイトルトラック “Air” は比較的ストレートな “Up and Atom” と比べて実験的な一面を覗かせます。思わずカウントしたくなるマスマティカルな構成はブルックリンのシーンを意識しているようにも感じました。
さらに、プログレッシブという見地からみれば、”Obsolate” は明らかに CYNIC のリフワーク、浮遊感を独自の方法で体現しており、後半のボコーダーから難解なギターソロへと続くパートは彼らのチャレンジが身を結んだ瞬間だと言えるでしょう。
51分間のシネマティックなドリームスケープは、多幸感と希望に満ち、ポップさの限界までプッシュしながら、アグレッションと実験性をも多分に盛り込んだ、Black Metal のマイルストーン的な作品となりました。個人的には今年のベストアルバムであると確信しています。
今回弊誌では、バンドの中心人物、ボーカル/ギター担当の Brett Boland に話を聞くことが出来ました。間違いなく近い将来、大ブレイクするバンドです。日本から火が着けば嬉しいですね。尚、作品は下記の Blood Music Bandcamp から Name Your Price でダウンロード可能です。どうぞ!!

12986965_1050732118317440_8864427566629277774_n

ASTRONOID “AIR” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ASTRONOID : AIR】

WORLD PREMIERE : “PART 16: MOUNTAIN OF FLAMES (TEST MIX)” 【ANOVA : DIYU】


WORLD PREMIERE: NEW SONG!! “PART 16: MOUNTAIN OF FLAMES (TEST MIX) OF ANOVA !!

[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/268855958?secret_token=s-4azYM” params=”auto_play=false&hide_related=false&show_comments=true&show_user=true&show_reposts=false&visual=true” width=”100%” height=”450″ iframe=”true” /]

PROG / MATH METAL MEETS ELECTRONICA !! AnovA ARE NOW WORKING ON A NEW RECORD “DIYU”!!

日本人ギタリスト Yoshiaki Nishite さん率いる インターナショナルプロジェクト AnovA。彼らの Prog / Math Metal に Electronica, Classical, World Music を融合させた独自の音楽性はモダンプログシーンにおいて一際異彩を放っていますね。バンドは現在 3rd Album “Diyu” のリリースに向けて鋭意制作中。今回弊誌ではアルバムからオリエンタルな佳曲 “Part 16: Mountain Of Flames” のテストミックスを公開です!
MESHUGGAH 由来のヘヴィーグルーヴ、幾重にもレイヤードされたシンセサウンド、ピアノの美しい音色が東アジアの仏教的な思想と調和した見事な楽曲だと感じました。Yoshi さんからのメッセージも届いていますよ。

a3046890169_16

【MESSAGE FROM YOSHI】

この楽曲が収録されるであろう”Diyu”というアルバムのコンセプトは、Luke(Ba)が3年前にDavid(Vo)と始めたプロジェクトから始まっています。
近いうちにリリースを予定している3rdアルバム”Diyu”には、完全にイチから作った楽曲が大半ではありますが、この楽曲「Part16: Mountain of Flames」は実は3年前からあった曲なのです。(←最近知りました。。)
その曲を、より自由に、より自分たちらしく、アイデアをみんなで入れてアレンジしていった結果、原型を留めないくらい曲が変貌してしまいました。。
とはいえ、今のAnovAらしさを表す象徴的な曲になったので、「アルバムリリースまで放置しておくのはもったいない!」ということで、Test Mixではありますが、先行配信しちゃおうということになりました。
AnovAは「まだライブすらしたことが無い変なバンドだ」と思われるかもしれませんが、時にはゲームにはまりこんだり、時には音楽について熱く語り合ったりしながら、実験的で新しいもの、どんどん進化する音楽を目指しつつ、仕事の合間を縫いつつ、趣味として気ままに頑張っている音楽プロジェクトです。
今月、AnovAは3周年を迎えるのですが、色々と今後の展開を見据えて、さらに新しいことや実験的なことに取り組んで行く予定です。ひとまず、「変なバンドだなー」くらいに覚えていただければ幸いです!

YOSHI

AnovA Bandcamp Page

続きを読む WORLD PREMIERE : “PART 16: MOUNTAIN OF FLAMES (TEST MIX)” 【ANOVA : DIYU】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HAMMOCK : EVERYTHING AND NOTHING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW THOMPSON & MARC BYRD OF HAMMOCK !!

12525259_10153583156573510_9140200577798995286_o

Ambient / Shoegaze Duo From Nashville, Hammock Has Just Released Their Newest Album “Everything And Nothing” !! New Realm of “STARGAZE” !!

DISC REVIEW “EVERYTHING AND NOTHING”

Ambient, Shoegaze, Post-Classical, Post-Rock といったアトモスフェリックなジャンルを股にかける、ナッシュビルのデュオ HAMMOCK が新作 “Everything and Nothing” をリリースしました!!至上の美しさはそのままに、明らかに前作までのアンビエントフィールドから1歩歩みを進めた今作で、遂に HAMMOCK はより多くのリスナーから注目を集めることでしょう。
前作 “Oblivion Hymns” は大きく実験的な方向に振れた作品で、ビートすら存在しない “Post-Classical” な世界観で全編覆われた異色の作品でした。しかしインタビューでも触れられているように、それ以前の作品群と比較しても、今作には “Dissonance” に象徴されるような、英語詞を持ったボーカル曲が多数収録されているという明確な変化が存在します。彼らが作品の”核”と語るその変革は、HAMMOCK のサウンドを一般的なリスナーにもより受け入れられやすい Dream Pop / Shoegaze の方向に強く導く結果となっていますね。
それは結果として、”Clarity”, “Burning Down The Fascination” のように強いビートを持った、バンド史上最もヘヴィーでロック寄りの楽曲も生まれることにも繋がりました。
とはいえ、この76分の映画のような大作には、”We Could Have Been Beautiful Again” や “She Was in the Field Counting Stars” のような、自身悠久の名曲 “Tape Recorder” にも匹敵する、彼らのインストゥルメンタル曲でも最高に美麗な部類の佳曲も収録されており、以前からのファンにも納得のサウンドスケープを堪能することが出来ますね。
彼らの音楽を聴いていると、他のアーティストからは決して感じることの出来ない仏教観、さらには”禅”にも通じる瞑想体験を通過することがあるように思います。”Wasted We Started at the Ceiling” は特に、そのヴァイブと新たな”核”を融合し見事に投影した楽曲です。エコーの向こうで鳴り響くギター、マントラのようなボーカル、酩酊を誘うようなストリングス。全てがスローモーションで、リスナーはただ楽曲の”波動”に身を任せるのみ。”悟り”に到達するという表現は少々大袈裟かも知れませんが、全身で暖かい安心感を享受出来る HAMMOCK の見事なコンポジションはこの楽曲が証明するようにさらに高いレベルに達しており、まさしく唯一無二ですね。
今回弊誌では、HAMMOCK の2人、Andrew Thompson と Marc Byrd にインタビューを行うことが出来ました。日本人写真家、菅武志さんの手によるアートワークも素晴らしいですね。どうぞ!!

81jm1YFuRsL._SX425_

HAMMOCK “EVERYTHING AND NOTHING” : 9.2/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HAMMOCK : EVERYTHING AND NOTHING】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CANDLEMASS : DEATH THY LOVER】LOUD PARK 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LARS JOHANSSON & MATS LEVEN !!

_DSC0181.JPG

Swedish Epic Doom Legend, CANDLEMASS Set To Release Amazing New EP “Death Thy Lover” On 6/3!! It Celebrates Their Three Decades Musical Odyssey…And Maybe Opens The New Chapter Of CANDLEMASS ?!

DISC REVIEW “DEATH THY LOVER”

北欧エピックドゥームの巨人、CANDLEMASS が Loud Park 2016 で遂に初来日を果たします!!
唯一無二のボーカル Messiah Marcolin を擁し、哀愁漂う北欧の叙情性とドゥームを見事にミックスさせた、彼らの金字塔にしてシーンのマイルストーン、”Nightfall”, “Ancient Dreams”, “Tales of Creation” から、SOLITUDE AETURNUS の実力派 Robert Lowe を起用した近年の強力な正統派路線まで、CANDLEMASS は常にシーンの先頭に立ち、独自の存在感を発揮し続けて来ましたね。
2012年にリリースされた “Psalm For The Dead” は彼らの最後のアルバムとして制作されましたが、後に、バンドのベーシストでソングライター、絶対的リーダーの Leif Edling が 「歳をとりすぎて、不完全な作品しか作れなくなるまでは止めない」 と発言し、CANDLEMASS は存続するかのようにも思われました。ところが思わぬ不幸がバンドに降りかかります。
Lowe が脱退するも、Yngwie Malmsteen, THERION などで勇名を馳せ、”King of the Grey Islands” のデモで歌うなどバンドとも長年関わってきた Mats Leven の加入でラインナップはより強化されていた矢先、残念ながら、Leif が2014年に慢性疲労症候群という難病を発病、ライブに帯同出来なくなってしまったのです。バンドは現在、ENTOMBED に所属していた Jorgen Sandstrom や ex-OPETH の Per Wiberg (以前のインタビューで触れた通り、彼はベーシストでもある) をサポートベーシストに起用してライブを行っています。
ライブでプレイ出来ないとは言え、Leif の創作意欲は衰えることを知りません。CANDLEMASS の誕生を高らかに告げたデビュー作、”Epicus Doomicus Metallicus” の30周年を記念する新作 EP “Death Thy Lover” が遂にファンの元へと届けられました。
全4曲、26分の作品は、勿論、ドゥーミーなリフワーク、扇情的なギターソロ、テンポチェンジによる緩急など、CANDLEMASS のクラッシックなトレードマークが存分に詰まっています。しかし、同時に以前の CANDLEMASS とは異なる”キャッチーさ”というフレッシュな要素、そして薄れつつあった “Epicus” の復活を強く感じられる、魅力的なレコードに仕上がりました。
アルバムオープナー、”Death Thy Lover” を聴けば、Lars のリードプレイが現在の CANDLEMASS を牽引していることに気づくでしょう。メタルシーンでも、最も過小評価されている優れたアックスマンは、時にアグレッシブ、時にエモーショナルに楽曲を彩ります。巧みなベンディング、ワウの使用、豊かなフレーズのバリエーションで組み立てられたソロパートは、まるで起承転結のお手本のようですね。
さらに、新加入 Mats Leven の見事な歌唱、そしてポップとさえ言えるキャッチーなボーカルラインは、CANDLEMASS に新しい風を吹き込んでいます。やはりこの人の才能は本物。この楽曲のメロディーラインを聴けば、Yngwie の “Facing The Animal” が誰のおかげで傑作となり得たのか明らかですね。
タイトルトラックがキャッチーさの象徴だとすれば、 “Sinister n’ Sweet” はエピカルなドゥームメタルへの帰還を伝えています。極上のボーカルとアルペジオを軸とした冒頭のメランコリックなクリーンパートと、ドゥーミーなリフワークの対比は、シネマティックとさえ言えるほどで、 CANDLEMASS の新章開幕を告げていますね。
実は最も今までの CANDLEMASS らしいインストゥルメンタル曲 “The Goose” で幕を閉じるまで、この短くも印象深い作品は、リスナーに濃密な “Epicus Doomicus Metallicus” を提供し続けるに違いありません。
今回弊誌では、長年 CANDLEMASS を支え続けて来たリードギタリスト Lars Johansson、そして遂に正式メンバーとなった Mats Leven にインタビューを行うことが出来ました!これだけのものを提示されると、どうしても続きが聴きたくなりますね。さて CANDLEMASS に”次”はあるのでしょうか??どうぞ!!

640_Candlemass_CMYK.jpg

CANDLEMASS “DEATH THY LOVER” : 9.6/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CANDLEMASS : DEATH THY LOVER】LOUD PARK 2016 SPECIAL !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CYBORG OCTOPUS : LEARNING TO BREATHE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID WU OF CYBORG OCTOPUS !!

Bm36Xnj5sK2M

The Brightest Hope Of Modern Prog Metal 2016, CYBORG OCTOPUS Has Just Released Their Debut Full-length “Learning To Breathe” !! Hentai Tentacle Assault You !!

“LEARNING TO BREATH” REVIEW

文字通り、タコの触手のように様々なジャンルを股に掛ける、USの新鋭プログメタル CYBORG OCTOPUS がデビューフルレングス “Learning To Breathe” をリリースしました!!
ジャンルの垣根を易々と崩壊させる傑出したアルバムは、例えば昨年の NATIVE CONSTRUCT を想起させるような、2016年の最もユニークで印象的なデビュー作品となるでしょう。
CYBORG OCTOPUS の特徴は、先に挙げた NATIVE CONSTRUCT、もしくは HAKEN, EARTHSIDE といったモダンプログメタルの新鋭たちと比較して、よりヘヴィーでメタルコアの遺伝子を多分に受け継いでいる点にあります。
アルバムオープナー “Data_M1nefield” は、キーボード、ボコーダーの使用法やミドルセクションのラテンなパートこそ実にプログレッシブで変態的ですが、その実、楽曲の土台は THE BLACK DAHLIA MURDER, CONDUCTING FROM THE GRAVE といったブラストやトレモロを駆使したモダンなメタルコア / エクストリームメタルに在ることがわかります。アルバムを通してその土台は存在し続け、そこに様々な要素を加えることで、CYBORG OCTOPUS の奇妙で魅力的な音楽が形作られているのです。
例えば、クラシカル/オペラに特化した “Divine Right (In D Minor) は、クラッシックギターやオペラティックな歌唱が効果的に使用され、フレット上を縦横無尽に駆け巡るクラシカルなギタープレイと併せて究極にヘヴィーでドラマティックに仕上がっていますし、”Baptism of Clay” のシタールまで使用したオリエンタルな世界観も、強烈なアグレッションとの対比があってこそ。同時に、パンキッシュでカオティックな”Shark Pit” を聴けば、彼らのルーツに PROTEST THE HERO が含まれることが明らかになりますね。
中でも、最も驚くべきは “Discobrain!” でしょう。バンドの”最も魅力的な”メンバー Patrick のサクスフォンは間違いなくバンドの重要なアイデンティティーの1つとなっていますが、この楽曲ではほとんどメイン楽器として使用されています。バンド全体が生み出すグルーヴも最凶にファンキーで、ここまで Tech Metal meets Funk をやり切った楽曲はほとんど聴いたことがないように感じます。そして何と言っても、ただ実験的なだけではなく、その突進力が素晴らしいカタルシスを生んでいることが重要ですね。
東洋的でオリエンタルなムードをテーマとした大曲 “Epiphany” でアルバムを締めくくるまで、凄まじいテンションと驚異的な展開力は全く止むことがありません。
今回弊誌では、バンドの設立者でギタリストで “The Most Attractive” 最も魅力的なメンバー、 David Wu にインタビューを行うことが出来ました。変態らしく、久々にわりとハッチャけた回答をいただけましたよ。どうぞ!

12806237_797297320375034_7896022598985086161_n-2

CYBORG OCTOPUS “LEARNING TO BREATHE” : 9.1/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CYBORG OCTOPUS : LEARNING TO BREATHE】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TREMONTI : DUST】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK TREMONTI !!

Tremonti-2016

One Of The US Top Guitarist, Legendary Mark Tremonti Has Just Released His Modern And Flesh New Album “Dust” !!

DISC REVIEW “DUST”

CREED, ALTER BRIDGE の大成功で、文字通り US ギタリストの頂点に君臨する Mark Tremonti が自身の名前を冠したバンド TREMONTI で最新作 “Dust” をリリースしました!!
グランジムーブメントが下火になりかかっていた90年代中盤から終盤にかけて現れた “ポスト・グランジ” バンドたちは、静と動のダイナミズム、うねるようなグルーヴといった点で、明らかにグランジムーブメントから強く影響を受けながらも、よりラジオフレンドリーなメロディー、楽曲とプロダクションで瞬く間に US ロックシーンの主役となりました。NICKELBACK, PUDDLE OF MUDD といったバンドと並んで CREED は勿論その1つ。グラミー賞も獲得し、全世界で4000万枚以上を売り上げたバンドを牽引していたのが不世出のギタリスト、Mark Tremonti でした。
ただ、彼の魅力は、CREED が一旦解散した後 (2009年に再結成を遂げた後、現在は休眠中) Mark が CREED の楽器隊とあの Slash も目をつけた Myles Kennedy という本格派ボーカリストを得て結成した ALTER BRIDGE、そしてよりソロプロジェクトに近いこの TREMONTI で一層伝わるのかも知れませんね。
Myles のブルージーな歌唱を活かし、LED ZEPPELIN を現代に蘇らせたかのような ALTER BRIDGE のロックサイド、自らがボーカルを務めよりメタルに特化した TREMONTI。どちらのバンドでも、Mark のトレードマークである独特のアルペジオ、キックドラムとシンクロするアグレッシブな低音リフ、何よりアイデア豊富で強烈なエモーションを発するリードプレイを存分に楽しむことが出来ますね。
TREMONTI の最新作 “Dust” は、前作 “Cauterize” の続編で、2枚はレコーディングも同時に行われた実質2枚組の大作です。アルバムオープナー “My Last Mistake” から “The Cage” への流れは TREMONTI を象徴しています。変拍子をも織り交ぜたヘヴィーなリフは実に複雑で、リズムセクションとのシンクロが実に見事。究極にキャッチーなコーラスパートは NWOAHM の流れを組んでいるようにも感じます。”The Cage” のカントリーミュージックで主に使用される、チキンピッキングを組み込んだリードプレイはただただ圧倒的で、彼が長年トップに立っている理由が伝わりますね。
加えて、リフの嵐、畳み掛けるような “Catching The Fire” のオリエンタルなミドルセクションなどは、プログレッシブとも言えるほどで、アルバムをフレッシュなモダンメタル作品へと昇華させています。
一方、タイトルトラック “Dust” は彼が CREED で培ったものが見事に結実していると感じました。具体的には、 “One Last Breath” で聴くことの出来る、ユニークなコードワーク、アルペジオ、そして情熱的なメロディー。Mark の歌唱、リードプレイは共に究極なまでにエモーショナルで、それは逆に、つまり彼が CREED を眠らせている意味がこの楽曲に存在するような気さえしますね。
そして、Mark は現在 ALTER BRIDGE でも新作を制作中。”Dust” から伝わる、今こそが絶頂期だと確信してしまうほど充実している Mark の状態を考えれば、素晴らしい作品になることは間違いないでしょう!
今回弊誌では、Mark Tremonti にインタビューを行うことが出来ました。残念ながら、日本では Mark の実力、音楽があまり浸透していないと思います。ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね!どうぞ!!

426_10154030729849521_7781552087918402835_n

TREMONTI “DUST” : 9.2/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TREMONTI : DUST】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KVELERTAK : NATTESFERD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERLEND HJELVIK OF KVELERTAK !!

1401x788-Kvelertak-PUB-2-Stian-Andersen

Norwegian “Black n’ Roll” Sextet, Kvelertak Has Just Released Genre-Breaking, Acceptable New Record “Nattesferd” !!

DISC REVIEW “NATTESFERD”

Black Metal と Rock’n Roll, Classic Rock, Punk, Hardcore を見事に融合し、シーンから熱い注目を浴び続ける、ノルウェーの”Black n’ Roll” 6人組 KVELERTAK が新作 “Nattesferd” をリリースしました!!
前作までタッグを組んでいたプロデューサー、CONVERGE の Kurt Ballou、そしてアートワークを手がけて来た BARONESS の John Baizley と袂を分かち、地元ノルウェーでレコーディングを行った今作は、最もキャッチーで、具体的には80年代のメタルやロックを強く意識した作品に仕上がりました。HAKEN のインタビューでも触れましたが、80’s 回帰という音楽シーンの流れは確実にメタル/プログシーンにも影響を与えています。
アルバムオープナー、”Dendrofil for Yggdrasil” はまさに “Black n’ Roll”、KVELERTAK のスタイルを見事に表現しています。イントロの畳み掛けるようなブラストビート、トレモロリフは Black Metal 的で実にアグレッシブですが、同時に BOSTON のようなキャッチーなロック/アルペジオパートも存在し、その対比が強烈なフックを生んでいますね。
新作における彼らの主張を象徴するのが、文字通りあの時代の空気を強く内包した “1985” でしょう。スローテンポ、メジャーキーで執拗なまでに繰り返されるキャッチーなリフは VAN HALEN の “1984” に収録されていても不思議でないほど80年代しています。Simple But Effective。KVELERTAK の目指す先がこの楽曲、言葉に集約されることは明らかです。
勿論、US だけではなく、ヨーロッパからの影響も存在しますね。自慢のトリプルギターを活かしたタイトルトラック “Nattesferd” は Punk meets Metal の先駆者、IRON MAIDEN の初期2作を想起させます。大曲 “Heksebrann” のイントロでも聴けますが、Steve Harris、時に MOTORHEAD の Lemmy のような Marvin の縦横無尽なベースプレイに、アイデア豊富なトリプルギターが対峙するパートは鳥肌が立つほどエキサイティングです。さらに、メロディーもスクリームも自在に操るエネルギッシュな Erlend の歌唱は Paul Di’Anno を凌ぐほど。
一方、”Berserkr” では JUDAS PRIEST の “Exciter” を思わせるハードドライビングでストレートなリフが素晴らしく印象的ですね。メタルのアンセミックな1面に殊更フォーカスしている点も作品の重要なポイントとなっています。
80年代、ストレート&シンプル。今回 KVELERTAK は、シンプルかつキャッチーなリフを、リスナーの予想以上に何度も何度も繰り返し印象付ける手法を多く使用しています。それは本当に、ギターを始めて2ヶ月でコピー出来るようなフレーズばかりですが、最高に楽しく、繰り返しリピートを誘うものばかり。勿論、ただ単純な訳ではなく、考え抜かれた展開、エクレクティックな音楽性があるからこそ映えるのでしょう。遂に彼ら自らが公言する “Scandi-Rock” のガイドラインが固まったようにも思えますね。
サブジャンルの拡大や、新しい人気ジャンル Djent の勃興でテクニカルなものが持て囃される傾向が強い現代のメタルシーンですが、彼らがこのレコードでトライしたことはそれに対する強力なカウンターであり、見事に成功を収めていると感じました。
今回弊誌では、バンドのボーカル Elrend Hjelvik にインタビューを行うことが出来ました。神戸で生まれた彼が世界的に成功を収めていることは非常に誇らしいですね。どうぞ!

kvelertaknattesferd

KVELERTAK “NATTESFERD” : 9.8/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KVELERTAK : NATTESFERD】