EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN SHARP A.K.A. CLOUDKICKER !!
“I Chose “What They Do Is Not Art” Because It Represents Feelings I Have About People Or Groups That Use Music In Grotesque Ways Like, Transparently Peddling Half-Witted And Divisive Political Fads For “Clout,” Or Something.”
DISC REVIEW “SOLITUDE”
「元々は人と一緒に音楽を作るのに疲れていたから、DIY でやり始めたんだ。リフを書いて、それを録音して、自分でMIDIでドラムを加えて、数分で多かれ少なかれ音楽が完成するという即効性が好きだったんだよね。狭い部屋の中でバンドと一緒に音楽を書いて、それを録音するために何ヶ月も何年も待たされるよりも、自分がやっていることの可能性をよりはっきりと見ることができたからね。」
2000年代後半から2010年代初頭にかけて、メタルの世界には明確な変化がありました。Misha Mansoor, Tosin Abasi, Angel Vivaldi, CHIMP SPANNER。ホームスタジオを活用し、制作から販売、プロモーションまですべてを1人でこなすベッドルームミュージシャンの登場は、アーティストになるためのハードルが才能の部分によりフォーカスされただけでなく、多様性と個性の時代の幕開けに様々な音楽活動のあり方を認めた画期的な出来事でした。
その中でも孤高の存在が CLOUDKICKER でした。雲を掴むようなその名前の背後には、Ben Sharp という絶対的な謎を湛えた男が存在し、インタビューを拒んでいた彼について判明しているのは Djent とポストメタルの狭間で真にプログレッシブな音の葉をプロデュース、レコーディングする能力を持っているという事実だけでした。
「”Woum” は2008年の “The Discovery” から始まった “本” の最終章だったんだ。2008年から2015年にかけて僕は多くの音楽的領域を探検し、CLOUDKICKER というプロジェクトが想像していた以上に大きなものになっていくのを見て、自分の愛するバンドの一つ (INTRONAUT) が自分のバンドとして演奏しているツアーにまで行くことができた。」
2008年の “The Discovery” 以来、感情と技術の衝撃的なマリアージュ “Beacons”, ポリリズミックリフをアコースティックな旋律に置き換えた “Let Yourself Be Huge”, シューゲイザー、ポストグランジ、エクスペリメンタルのメルティングポット “Fade”, “Subhume” と CLOUDKICKER はインテンス極まる音楽の多様な旅を続け、後続に計り知れない影響を及ぼし、そして一度は燃え尽きました。
「2016年に娘が生まれたことは、しばらくの間このマシンを一時停止するのに便利な口実だったと思う。だけど実際には、単純にアルバムを作り続けたくなかっただけなんだ。作り続けるっていう、自分自身や他の人からの期待が重くなりすぎたのかもしれないね。」
それでも一度、廻り続ける歯車を停止し、音楽制作のマシンではなく、意欲が湧いた時に創造するアーティスト本来のやり方に立ち返ることで、Ben Sharp は2019年に “Unending” で文字通り本の終幕を破り捨てることができたのです。ただし、その “Unending” は以前の CLOUDKICKER と未来の CLOUDKICKER をつなげる架け橋に過ぎませんでした。
「アメリカでは不安、怒り、恨み、不信感なんかが多く感じられるようになったね。多くの人が無視されたり、無効にされたりしていると感じているようなんだ。自分と道徳的にも哲学的にも敵対していると思う人に対して、コントロールできない感情をコントロールするための方法として怒りをぶつけているようだね。」
巨大な不安に押しつぶされるような “Ludendorffbrucke” の重厚、技術、圧力は “Solitude” という48分の孤独な狂気を無慈悲にも象徴します。互いを記号化し、ただその記号を無意味に追いかけ無意味に歪み合う2020年の暗黒は、Ben Sharp を飲み込み黒い激音として吐き出されました。
「音楽をグロテスクな方法で使っている人やグループに対しての僕の感情を表しているからこの言葉を選んだんだ。よくわからないけど、”権力” のために中途半端で見え透いていて、政治的に流行をあからさまに売り込んでいるアーティストやグループに対しての僕の感情を表しているんだろう。 」
彼らのやっていることは芸術じゃない。MESHUGGAH が映画のサウンドトラックを拵えたような、或いは SIGUR ROS が暗黒面に堕ちたような、感情溢れる闇のサウンドスケープ “What They Do is Not Art” は、人々が途方もない痛みをかかえる世界において、それでも権力に擦り寄り、芸術よりも金や名誉を模索するゾンビアーティストへの怒りと皮肉に満ちた Ben Sharp そのものでしょう。
CLOUDKICKER の冒険は完全に新章へと突入しました。もちろん、メタルの映画監督、盟友 INTRONAUT の Sacha Dunable が2曲に参加したことも、レコードのドラマ性と真実味を高めています。Djent を遠い過去へと置き去りにするポリリズムメタルの新たな到達点、”Code Language” はそうして記号化された思考や解釈、言語の在りようを皮肉にもインストゥルメンタルの迷宮で嘆いてみせるのです。
今回弊誌では、Ben Sharp a.k.a. CLOUDKICKER にインタビューを行うことができました。「MESHUGGAH の “Nothing” “Catch 33” は僕に変拍子を教え、SIGUR ROS の () と EXPLOSIONS IN THE SKY の “The Earth is Not a Cold Dead Place” は僕にインストがボーカルソングと同じくらいパワフルだと教えてくれた。」 どうぞ!!