NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KINO : RADIO VOLTAIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN MITCHELL OF KINO !!

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A Sleeping Prog Supergroup, Kino Emerges For The First Time In 13 Years With Incredible Prog Pop Drama “Radio Voltaire” !!

DISC REVIEW “RADIO VOLTAIRE”

至高の幻影 “Picture” を残し忽然と姿を消したプログワールドの蜃気楼、KINO が甦生の返り花 “Radio Voltaire” を海外で3/23に、日本では4/25にリリースします!!奇蹟にも思える陽炎13年振りの再臨は、残像に支配された長年の空寂をいとも簡単に切り裂きます。
MARILLION の Pete Trewavas、IT BITES の John Beck、ARENA の John Mitchell、PORCUPINE TREE の Chris Maitland が集結しリリースした KINO のデビューアルバム “Picture” は、プログレッシブ第二世代以降の才腕を凝縮し遺憾無く発揮したスマートかつメロディアスな洗練の極みだったと言えるでしょう。しかしスーパーバンドは一夜限りの砂上の楼閣。音もなく崩壊し、各自己のキャリアへと踵を返した経緯はごく自然にも思えました。
ただ、プログロックのファンは決して名作を忘れません。燻り続けた新作を望む声はレーベルを、やがては 「KINO を復活させることは考えてもいなかった。」 と語るメンバー本人たちをも動かしました。
復活作のキャストは期待通り、ほぼオリジナルメンバーが揃いました。ただ、ドラマー Chris は不参加で後任を FROST*/Steven Wilson の Craig Blundell が務め、John Beck は Fish との仕事の為にゲスト参加扱いですが。
気鋭のアーティスト Paul Tippet の手による色鮮やかでしかしどこかシニカルなアートワークは、”明白な真実” のみを語るレディオショウへとリスナーを存分に誘い、1920年代ドイツのラジオアナウンスメントで幕開けの準備は整いました。
リスナーの胸の高鳴りに応えるように、冒頭から鳴り響く John Beck の暖かくどこか懐かしいキーボードの音色は John Mitchell のエモーションに満ちたギターメロディーと溶け合い、タイトルトラック “Radio Voltaire” のエセリアルな浮遊感と共にバンドの帰還を鮮烈に告げます。Mitchell の親しみやすいボーカルは成熟と深みを増し、リズムマスター Pete & Craig のドライブに導かれ流動するハーモニーの海を開拓していくのです。
「確かにこのアルバムはポップソングを集めたものだと言えるかもしれないね。ただ、僕たちが充分に手を加えたポップソングだよ。」 と Mitchell が語るように、Steven Wilson が提唱するプログポップの領域へと接近したかにも思える “Radio Voltaire”。
確かにキャッチーなタイトルトラックですが、勿論この知性はラジオで流れる定型的なポップソングとは異なります。つまり、オープンマインドと表現の自由を主張したフランスの哲学者ヴォルテールの名を冠することで、彼らは音楽産業への皮肉と共に自らの率直なクリエイティビティを宣言しているのです。
感傷と希望を等しく宿す “Idlewild” は、2人の John のメロディーセンスが知的で絶妙のアレンジメントと完璧に融合した、アルバムを象徴する楽曲かも知れませんね。実際、John Wetton の魂が降臨し3人の John が奏でたようにも思える旋律と感情の美麗なる邂逅は、英国の “荒野” に雲間から差し込む光の如く神秘なる審美です。
THE WHO の “Won’t Get Fooled Again” をメランコリックに再構築する “I Won’t Break So Easily Any More” でバンドのエナジーを見せつける一方、”Temple Tudor” ではバロックで牧歌的なイメージを提示するなど楽曲のバラエティー、緩急のインパクトも巧妙。
そうして辿り着く、アルバムを締めくくる叙情のロマンティック三連撃は圧倒的です。美しく翳りを宿した切ないメロディーの洪水は、優しくしかし深々とリスナーの胸を抉り感傷の痕跡を残していきます。
実際、”Grey Shapes On Concrete Fields” で見せる Craig の実力を活かしたパーカッシブなアレンジメントやポリリズムなどは非常に複雑かつプログレッシブ。同時に究極にドラマティックで、しかし短編映画を思わせるコンパクトなデザインを実現した濃密なフィナーレはまさにプログポップの理想を体現していると言えるのではないでしょうか。
今回弊誌では John Mitchell にインタビューを行うことが出来ました。ギタープレイヤーとしても音の選択が非常にクレバーだと感じます。「また13年したら新しいアルバムを作るよ!」 本誌2度目の登場です。どうぞ!!

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KINO “RADIO VOLTAIRE” : 9.8/10

INTERVIEW WITH JOHN MITCHELL

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Q1: Hi, John! Thanks a lot for accepting our interview again! Actually, you look so busy with It Bites, Frost*, Lonely Robot, and Kino, right? haha. First of all, could you tell us about the recent situations of these bands?

【JOHN】: Well I haven’t done anything with It Bites since 2012, until last year I hadn’t done anything under the name Kino since 2006 and I’m about to start a new Lonely Robot record. I’ve also been finishing off the new Arena album..as for Frost, you’d have to ask Jem as that’s his baby really.

Q1: お久しぶりです!最近のあなたは IT BITES, ARENA, FROST*, LONELY ROBOT, そして KINO にも所属していてとても忙しそうですね?

【JOHN】: そうだなあ、まあ IT BITES は2012年から何も活動していないし、2006年から去年まで KINO の名前も封印していたからねえ。
僕のソロプロジェクト LONELY ROBOT は新作に向けて動き出したところだよ。ARENA の新作も完成間近。FROST* に関しては Jem に聞いた方がいいね。あのバンドは本当に彼の子供みたいなものだから。

Q2: So, Kino was inactive from 2006-2018 like the band was sleeping. What made you awake from that long asleep?

【JOHN】: The suggestion came from my record label really. I hadn’t thought about resurrecting the notion of Kino until that time although Pete and I joked about it on occasion.

Q2: 仰る通り KINO は2006年から長い眠りについていましたね? 目覚めのきっかけは何だったのでしょう?

【JOHN】: 僕のレコードレーベルからサジェスチョンがあったんだよ。その時まで僕は KINO を復活させることは考えてもいなかったんだ。時々、僕と Pete でジョークにしていたくらいでね。

Q3: Keyboard player John Beck, who is also a bandmate of you in It Bites was fully involved on the debut album, but this time his role is that of a guest musician. Also, the task of drummer this time fell to Craig Blundell. What was the reason of this “Change”?

【JOHN】: John was busy with Fish at the time it came to do keyboards so he wasn’t AS involved as he was last time and Craig took over on drums as Chris Maitland said he couldn’t commit to the project back in 2005 as he had been offered a tour with the musical We Will Rock You.

Q3: IT BITES の同僚でもあるキーボードプレイヤー John Beck は、前回は正式メンバーでしたが今回はゲストプレイヤー扱いですね?

【JOHN】: John はキーボードをレコーディングするタイミングにちょうど Fish との仕事で忙しかったんだ。だから前回ほどは関わることが出来なかったんだよ。
さらに今回は Chris Maitland に代わって Craig Blundell がドラムスを叩いているんだ。というのも、彼は 2005年にミュージカル “We Will Rock You” のオファーを受けてこのプロジェクトにはコミット出来ないと発言したからなんだけどね。

Q4: The title “Radio Voltaire” reminds me amazing UK’s Cabaret Voltaire. Anyway, what’s the meaning or themes behind the title?

【JOHN】: The theme is a radio station from which you only ever hear the glaring truth. The French philosopher Voltaire was fairly anti-establishment at the time he was around and it was a wonder he wasn’t executed by the bourgeois for his outspoken views in deference to what they stood for. The title is a tongue in cheek homage to the man. Plus the title sounded cool! I’ve never heard Cabaret Voltaire.

Q4: 新作のタイトル “Radio Voltaire” は UK の素晴らしき CABARET VOLTAIRE を想起させますが、なぜこの言葉を選んだのですか?

【JOHN】: アルバムのテーマが “明白な真実” のみを聞く事の出来るラジオステーションだったんだ。
フランスの哲学者ヴォルテールは当時かなりの反体制的な人物だったんだけど、その率直な発言は確かに敬意も宿していたからブルジョワジーから処刑されることはなかったんだ。
つまりこのタイトルはユーモアを込めたヴォルテールへのオマージュなんだ。響きもクールだしね!CABARET VOLTAIRE は聴いたことがないんだよ。

Q5: So, 13 years have passed since you released amazing debut full-length. Very long interval. How have Kino’s music changed or evolved in “Radio Voltaire”?

【JOHN】: Well I hope from my point of view that I have evolved as a lyricist and singer more than anything. I was 31 when we did the first record and it was my first time properly singing and fronting a band. Now I’m 44 and I’m old and cynical lol. Hopefully that means I’ve learned a bit more about life and indeed writing about my views on it. Oh and this record definitely sounds more polished than the first one, I’ve got a way better studio now, haha.

Q5: それにしても13年はとても長いインターバルです。高い評価を受けたデビュー作から、長期の休止を経てバンドの音楽性はどのような変化を遂げましたか?

【JOHN】: そうだね、これは僕の願望でもあるんだけど、僕は何より作詞家、シンガーとして進化を遂げてきたと思うんだ。ファーストアルバムをレコーディングした頃僕は31歳で、フロントマンとしてちゃんと歌うのはあれが初めての経験だったんだ。
今僕は44歳で、年齢を重ねシニカルになった。(笑)まあ、それによって僕が人生について少しでも学んでいて、僕の人生観をライティングに活かせていればいいんだけどね。
そうそう、後このレコードのサウンドは、間違いなくファーストアルバムに比べて磨き上げられているよね。僕はどうやらスタジオでのやり方も熟練したようだね。(笑)

Q6: I feel “Radio Voltaire” consisted by shorter, Prog-Pop songs, there is no “epic” therefore you seem to focus on more accessible side of Kino, right? Steven Wilson’s “To The Bone” is typically, progressive scene takes more Pop elements now a days. Do you agree that?

【JOHN】: I hadn’t really thought about it. I don’t go out of my way to write long or short on in-between songs, I just write songs. I’ll ask Steve if he deliberately waved goodbye to prog next time I see him. He probably just made the album he wanted to make at the time, such is the way with creative people. It is a collection of pop songs. But ones we have messed around with. I might make a reggae album next…or an album that contains just one song, haha.

Q6: 楽曲に関して言えば、よりコンパクトな “プログポップ” ソングが多数を占めていますよね?実際作品に所謂 “エピック” は存在しませんし、KINO のポップサイドに焦点を当てたように感じます。近年、Steven Wilson や FROST* にもそういった傾向がありますよね?

【JOHN】: それについては本当に考えたことがなかったね。僕は故意に長い曲や短い曲を書くことはないんだよ。ただ楽曲を書くだけさ。
次に Steven と会うときには、彼が計画的に “プログ” と別れを告げたのか聴いてみるよ。おそらく彼は、その時作りたかったアルバムを作っただけじゃないかな。それこそがクリエイティブな人間のやり方なんだよ。
確かにこのアルバムはポップソングを集めたものだと言えるかもしれないね。ただ、僕たちが充分に手を加えたポップソングだよ。僕だって次はレゲエのアルバムを作るかも知れないし、1曲こっきりの大作をつくるかも知れないよ。(笑)

Q7: Anyway, we’d love to know whether Kino’s comeback is one time reunion or continue permanently. What’s your perspective about that?

【JOHN】: We’ll probably make another album 13 years from now!

Q7: 次のアルバムと仰いましたが、実際ファンは KINO をパーマネントに続けて欲しいと思っていますよ?

【JOHN】: そうだね、また13年したら新しいアルバムを作るよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JOHN’S LIFE

PINK FLOYD “THE WALL”

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YES “90125”

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THE POLICE “OUTLANDOS D’AMOUR”

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CARPARK NORTH “ALL THINGS TO ALL PEOPLE”

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A-HA “HUNTING HIGH AND LOW”

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MESSAGE FOR JAPAN

Kino press shots, with John Mitchel, Pete Trewavas, Craig Blundell

Japan, I miss you and I want to visit you very soon. Some of my best concert experiences and experiences in general have happened in Japan. I hope to come back sooner rather than later!

日本のみんなが恋しいし、本当に近々訪れたいと思っているんだ。僕の中で最高のコンサートも、ロックの最高のコンサートもいくつかは日本で行われたんだから。遅かれ早かれ日本に戻れたらいいね!

JOHN MITCHELL

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