EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATT MOSS OF SLUGDGE !!
Mollusk-themed Tech Death King, Slugdge Has Just Released Their Most Adventurous, Complex And Progressive Album Yet, “Esoteric Malacology”!!
DISC REVIEW “ESOTERIC MALACOLOGY”
イングランドとスコットランドの稜線より這い出し軟体動物王 SLUGDGE が、カウンターカルチャーとしてのメタルを存分に追求した “深遠なる軟体動物学” “Esoteric Malacology” をリリースしました!!
メタルの狂騒と尊厳を等しく抱きしめ、ドラマ性と知性を高次元で融合させた独創的なレコードは “メタルの進化” を雄弁に物語ります。
「ヘヴィーメタルはアウトサイダーのための音楽さ。君たちが愛していようが嫌悪していようが、カウンターカルチャーとして永遠に存在し続けるんだ。」と Matt が語るように、SLUGDGE のはヘヴィーメタルのジョークにも思える過度なファンタジーや想像力を敢えて前面に押し出しながら、シリアスかつハイクオリティーなサウンドをデザインすることでアウトサイダーとしての矜持を保つ以上の存在感を発揮していると言えるでしょう。
“Esoteric Malacology” も、当然その彼らの流儀に乗っ取って制作されたレコードです。楽曲はバンドのビッグテーマである “カタツムリ” “ナメクジ” その他軟体動物に捧げられ、歌唱やリフの持つ莫大なエネルギーで軟体動物の神々を祝福しています。
そして、ギミックにも思えるその大袈裟で奇想天外な劇画的手法は、例えば CANNIBAL CORPSE がそうであるように、キラーでシリアスな楽曲を伴うことで異端の享楽を宿す巨大なカタルシスを誘うこととなるのです。
GOJIRA の楽曲 “Esoteric Surgery” へのオマージュにも思えるアルバムタイトルは、確かにフランスが生んだ不世出のプログレッシブメタラーへの接近を示唆しています。そして、”The Spectral Burrows” が “The Way Of All Flesh” の息吹を胸いっぱいに吸い込んだ傑出したプログメタルチューンであることは明らかでしょう。
EDGE OF SANITY の “The Spectral Sorrows” を文字ったに違いないドラマティックなエピックは、複雑かつ重厚なテクスチャーがテクニックの荒波に跋扈する濃密な5分50秒。荘厳でしかし闇深きそのアトモスフィアは、聴く者の脳波を直接揺さぶり音の酩酊へと誘います。
比率の増した神秘のクリーンボーカルは絶妙のアクセント。ENSLAVED に備わった全てを洗い流すかのような神々しさとは異なり、混沌も崇高も全てを包括したダークロード “Mollusa” への捧物、破滅的にキャッチーなその調べは、異世界への扉を厳かに開く確かな “鍵” として機能しているようにも思えます。
軟体動物の柔軟性を活かした “Putrid Fairlytale” は SLUGDGE を象徴するプログレッシブデスメタル。NAPALM DEATH の “Lucid Fairytale” をオマージュしたタイトルからは想像もつかない劇的なドラマが繰り広げられています。
ここまで記して来た通り、”Esoteric Malacology” の楽曲タイトルは偉大な先人たちの足跡に対するオマージュとなっています。 “War Squids” は BLACK SABBATH の “War Pigs”、”Slave Goo World” は SEPULTURA の “Slave New World”、”Transilvanian Fungus” は DARKTHRONE の “Transylvanian Hunger” 等。そして “Putrid Fairlytale” にはそういった彼らが愛する様々なジャンルのメタルが触手で繋がり凝縮されているのです。
プログの色合いを帯びた鋭利なリフワークと相対するブラストビート。一方で、粘度の高いミッドテンポのグルーヴと荘厳なるボーカルメロディー。繊細かつ印象的な電光石火のギターシュレッドを極上の味付けに展開する魅惑のテクデスオデッセイは、Matt が語る “ヘヴィネスの秘密” を見事に体現しながらまさにバンドが理想とするメタルを描き出していますね。
スロウでドゥーミー、ロマンチックとさえ言える “Salt Thrower” で塩に溶けゆくナメクジの悲哀を全身で表現した後、アルバムは “Limo Vincit Omnia” でその幕を閉じます。ラテン語で “スライムは全てを征服する” の意を持つエネルギッシュなナンバーは、「メタルが進化し続けるためには影響の外側から新たなアイデアを取得する必要があるように感じるね。」と語る通りエレクトリックなサウンドまで包括し、意義深き実験と学問の成果を誇らしく報告しています。
今回弊誌では、バンドのギター/ボーカル Matt Moss にインタビューを行うことが出来ました。ギタリスト Kev Pearson とのデュオでしたが、インタビュー後に THE BLACK DAHLIA MURDER のドラマー Alan Cassidy と NOVENA の ベースマン Moat Lowe が加わり完璧すぎるラインナップを完成させています。どうぞ!!
SLUGDGE “ESOTERIC MALACOLOGY” : 9.8/10
INTERVIEW WITH MATT MOSS
Q1: This is our first interview with you. So, at first, could you tell us about you and band itself? What kind of music did you listen to, when you were growing up?
【MATT】: I’m Matt Moss, vocalist/guitarist in Slugdge, we’re from northern England and Scotland. I suppose you could say we play Melodic Death Metal broadly, with progressive elements. Growing up I listened to everything from Michael Jackson to Black Sabbath, also a lot of classical music, world music and choral music too.
Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話していただけますか?
【MATT】: やあ、僕は Matt Moss。SLUGDGE のボーカル/ギター担当だよ。北イングランドとスコットランド出身のバンドなんだ。
おそらくは、広義のメロディックデスメタルをプレイしていると言えるだろうな。プログレッシブな影響を備えたね。
Michael Jackson から BLACK SABBATH、さらにはクラッシックやワールドミュージック、コーラルミュージックまで何でも聴いて育ったんだ。
Q2: What inspired you to start your instruments? Who was your musical hero at that time?
【MATT】: In terms of rock, vocally I was inspired heavily by Freddie Mercury from Queen, but I’ve always had a passion for tribal world music, particularly Germanic sounds, but also Mongolian and other eastern forms of throat singing, which would play an important role later on when I got into Death Metal. The first metal band that blew me away was Metallica. I adored thrash metal growing up, we had a local band called Xentrix who inspired me a lot too. In 1994 I heard the soundtrack for the “Mortal Kombat” film, and on it I heard Napalm Death for the first time. I was exposed to grindcore from then on, and that became a major part of my life, later on I got heavily into death metal as a next logical step.
Q2: 何がきっかけでギターやボーカルを始めたのでしょう?
【MATT】: ロックという観点で言えば、僕のボーカルは QUEEN の Freddie Mercury にとてもインスパイアされたんだ。同時に、世界の民族音楽にも情熱を持ち続けているんだけどね。ゲルマン民族のフォークミュージックが特にお気に入りなんだけど、モンゴルのホーミーのような東洋の歌唱法は後にデスメタルへと入れ込んだ時に重要な役割を果たしたんだ。
最初にぶっ飛ばされたメタルバンドは METALLICA だったね。僕はスラッシュメタルを崇めながら育ったんだ。XENTRIX というローカルバンドにはとてもインスパイアされたよ。
1994年に映画 “Motal Kombat” のサントラを聴いたんだけどそこで NAPALM DEATH を初めて聴いたんだ。そこでグラインドコアと出会ったんだけど、まさに僕の人生の大きな部分を占めることとなったね。その後次の論理的なステップとして、デスメタルにのめり込んだんだよ。
Q3: How did the band come to be? What’s the meaning behind your band name “Slugdge”? Does it relate to genre “Sludge Metal” itself?
【MATT】: It’s sort of a joke, we never intended this band to be heard really. We said that if Metallica can start playing hard rock and still be called Metallica, we can be called Slugdge and not play sludge metal, even if there are elements of it in our music. Of course Metallica have started playing metal again now; that’s good!. Also sludge bands have a tendency to name themselves after animals, so it seemed logical.
Q3: SLUGDGE というバンド名は、ジャンルとしてのスラッジメタルと関連があるのでしょうか?
【MATT】: ある意味ジョークだったんだよ。このバンドがこれほど聴かれるなんて思っていなかったからね。僕たちは METALLICA がハードロックをプレイし始めても彼らは “METAL”LICA と呼ばれたと言ったんだ。
だからその要素があるにしても、スラッジメタルをプレイしていない僕たちが SLUGDGE と名乗っても構わないだろうってね。もちろん、METALLICA はまたメタルをプレイし始めたけどね。良いことだよ!
それにスラッジバンドは動物に因んだ名前をつける傾向があるだろ?だからロジカルに思えたんだ。
Q4: So, let’s talk about your newest record “Esoteric Malacology”. Album title, art work is typically, Slugdge is the big master Mollusca, and has big theme about Mollusk. You know, Mollusk is very far from an image of metal, but why did you deal with the theme?
【MATT】: Mollusca is our dark god, so naturally the molluscs are his children and we have to do his bidding of course! In the depths of the ocean there exists a creature called the scaly-foot gastropod which is coated in iron and lives next to volcanic vents; so in some cases slugs and snails are literally metal. Heavy Metal is for outsiders. It’s forever been a counterculture you either love or you hate, and it’s frequently treated as second rate and a joke by most people who consider themselves serious musicians. We embrace that ridicule and the love we have for metal and combine the two when we write music. Metal is also dramatic, larger than life, and about community, and so our themes reflect that too.
Q4: では、最新作 “Esoteric Malacology” について話しましょう。”深遠なる軟体動物学” というタイトルが象徴するように、軟体動物王 SLUGDGE には軟体動物に関する大きなテーマが存在していますよね?
そもそも軟体動物って硬質なメタルとかけ離れた場所にある気もするのですが…
【MATT】: “Mollusca” は僕たちのダークゴッドなんだ。だから軟体動物は自然と “Mollusca” の子供となるわけで、僕たちが軟体動物を歓迎するのは当然なのさ!
深海にはウロコフネタマガイという生物が存在するんだけど、彼らは鉄の鱗を持ち火道の側で生きているんだ。だから時には軟体生物だって文字通り “メタル” なんだよ。
ヘヴィーメタルはアウトサイダーのための音楽さ。君たちが愛していようが嫌悪していようがカウンターカルチャーとして永遠に存在し続けるんだ。自分たちを “シリアス” なミュージシャンと捉える大半の人たちは、しばしばメタルを二流とかジョークのように扱うよね。
つまり僕たちは、そういったメタルのバカらしさと愛を等しく抱きしめ、融合させて作曲を行っている訳さ。それにメタルはドラマティックでもあり、人生より偉大で、コミュニティーも存在するね。だからそういった要素も反映させているんだよ。
Q5: I feel “Esoteric Malacology” is more cohesive record than your previous releases. It’s more technical, more complex, faster, as well as more melodic milestone. So, in the writing, recording process, how have you evolved, changed from your previous albums?
【MATT】: We wrote our previous albums very quickly, they are much more spontaneous, and I know some people prefer that. For this one though we wanted to break out a bit more into some other styles of playing we like. Kev is a big fan of technical death metal and new forms of progressive metal, so his playing on this album shows that side to us as well. As a vocalist I had to adapt to new challenges presented by the music, but i’m always willing to do that. I feel like music should challenge you both as a listener and as a composer, but the challenge is creating something that has a purpose and flow to it. I don’t always succeed in this, and Mollusca is displeased, but I do my best. That keeps songwriting fun for us.
Q5: それにしても “Esoteric Malacology” はある種集大成的なレコードですね。メロディックでありながら、よりファストでテクニカル、複雑な音楽性を実現しています。
【MATT】: 前作はとても早く書いたアルバムなんだ。つまりスポンティニュアスな作品で、まあそれが気に入っていた人もいた訳さ。
ただ、このレコードでは他のスタイルにも手を出してみたかったんだ。Kev はテクニカルデスメタルやモダンプログメタルの大ファンだから、このアルバムでの彼のプレイにはそういった側面が伺えると思う。
ボーカリストとして僕は、音楽がもたらす新たなチャレンジに適応する必要があったんだ。まあ僕はいつだってそうしようとしているんだけどね。
音楽はリスナーとして、ミュージシャンとして両サイドから試すべきだと感じるね。ただし、そのチャレンジは目的をもって流れに乗って生み出されるべきなんだ。僕だっていつも上手くいく訳じゃないよ。”Mollusca” が喜ばない時もあるさ。だけどベストを尽くすさ。だからソングライティングは面白いんだからね。
Q6: It’s very unique that Slugdge mixes death/black metal roots and Mastodon, Gojira like prog sludge elements. I think your way of writing is one of the future in extreme metal scene. Do you agree that?
【MATT】: Perhaps not the “way” we write, because we still essentially sit around riffing on guitar until we come up with something, and I know modern metal musicians have a whole range of methods for creating music now. Certainly though combining the different things you love has always been the way. In part I will say yes, I do think blending multiple genres is never a bad thing, but also for metal to keep evolving we need to inject new ideas from outside of a sphere of influence as well. We also have to foster a culture of experimentation among musicians, we need some friendly competition to see how far we can go! As listeners we have to constantly move outside of our comfort zones too.
Q6: 先程お話にも出ましたが、SLUGDGE のユニークな点は、ただデス/ブラックメタルをプレイするのではなく、MASTODON や GOJIRA のようなスラッジ、プログレッシブの要素を多分に含むところだと感じます。
ある意味、エクストリームメタルの未来を体現しているようにも思えますが?
【MATT】: おそらく、僕たちのライティングプロセスに “やり方” って存在しないんだ。なぜなら僕たちは未だに、腰を据えてギターを弾きながら何かを思いつくまでリフを探しているんだからね。今日、モダンメタルのミュージシャンたちが、特定のメソッドをもとに音楽を生み出していることは分かっているんだ。
君が言うように、確かに様々な愛する要素を組み合わせる事もそういった方法の一つだね。僕も複数のメタルのジャンルをブレンドするのは決して悪いことだとは思わないよ。だからある部分では君の言う通りなんだけど、同時にメタルが進化し続けるためには影響の外側から新たなアイデアを取得する必要があるように感じるね。
そして、ミュージシャンの間で実験性の文化を育てる必要があるんだよ。友好的な競争の後に僕たちがどこまで行けるか見てみようじゃないか!もちろん、リスナーとしても僕たちは常に “コンフォートゾーン” の外側へと進んで行くべきだと思うよ。
Q7: Regarding Mastodon, they went more catchy direction recently. I feel you have more catchy melody and melodic vocals in this record, right? Have you influenced Mastodon’s change of direction somehow?
【MATT】: No not really, we’ve got songs with more singing, but i’ve always attempted to make vocal melodies memorable. To me the secret to heaviness in music is a contrast between the lighter more melodic passages, and the crushing, dark and dissonant parts. To me that contrast really accentuates the heavier parts all the more. Everything in Esoteric Malacology can be found in previous albums, the biggest difference with this album is production, and that was more of a technical decision than an artistic one. If I could always get away with using a buzzsaw guitar tone; I would.
Q7: 近年、MASTODON はキャッチーな領域を探索しているように思いますが、SLUGDGE も今作では大胆で美しいクリーンボーカルの多様などメロディーの充実にもフォーカスしていますよね?彼らのやり方に影響された部分はありますか?
【MATT】: いや、彼らに影響されたとは思わないな。 確かにより “歌う” 楽曲は増えた訳だけど、僕はいつだってボーカルメロディーを記憶に残るものにしようと試みているんだからね。僕にとって音楽のヘヴィネスにおける秘密って、メロディックでライトなパッセージと強烈でダークで不協和なパートの対比なんだよ。そういったコントラストは本当にヘヴィーなパートを際立たせるんだよ。
“Esoteric Malacology” に存在する全ての要素は前作でも発見することは可能なんだけど、最も大きな違いはプロダクションだよ。そしてその決定は、アーティスティックなものと言うよりも技術的なものだったね。ただもし Buzzsaw のギタートーン (スウェーデンデスメタルの象徴)で好き勝手やっていいなら、そうするけどね。
Q8: Lot’s of fans expect your live performance. Do you have any plans of live or tour near future?
【MATT】: Not for the time being, I suffer from a kind of mental illness which makes travel very difficult, but I would never say never to live performances or even tours. It’s also financially difficult these days to travel. Perhaps when the demand is higher, or perhaps some one off shows.
Q8: 多くのファンはライブパフォーマンスも期待していると思いますが。
【MATT】: 差し当たっては、僕はメンタルの病気に苦しんでいて旅行することがとても難しい状態なんだよ。だけど、ライブもツアーも絶対やらないと言うつもりはないよ。
まあ、昨今は経済的にもなかなかツアーは難しいんだけど、需要が高まったり、単発のショウならあるかもしれないね。