EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM SYMONDS OF LATITUDES !!
“Post Metal Was Never An Intention But Perhaps An Inescapable Tag For Forward Thinking, Heavy, Emotional And Atmospheric Music. I Would Like To Think The More We Progress The Further Removed We Are From This. “
DISC REVIEW “PART ISLAND”
「僕は ISIS の大ファンだったし、初期の CULT OF LUNA の作品は楽しんでいたんだ。だけど結局今となっては、焼き直しに頼るジャンルになってしまっているね。」
その地理学的バンド名が指し示すように、LATITUDES は停滞するポストメタルの大陸を地平の彼方へと移動させる魅惑のプレートです。
「LATITUDES はヘヴィーなバンドなんだけど、シューゲイザーやフォークの要素、クリーンボーカルや圧倒的なメロディーと融合させているんだ。」
英国から登場した “Post-Whatever” なファイブピースは、エクストリームな音壁に知性と情景を塗り込みながらアートの真髄を追求しその造形を続けています。NEUROSIS の暗黒と ALCEST のメランコリーを合わせ鏡に映しながら、プログレッシブ、ハードコア、スラッジ、ドゥーム、チルウェーブまで多様な音の葉を万華鏡の理論で織り込む LATITUDES の光彩は、そうしていつしかジャンルの境界を緩やかに溶かしていたのです。
「僕たちは、慎重に選択してこのアルバム全体でボーカルをハイライトとしたんだ。完成した曲にボーカルを追加するのではなく、ボーカルを中心として楽曲を作曲していったんだよ。」
時に、アンビエントメタルとも評される美麗な野心家は、自らのコンフォートゾーンに止まることはありません。インストゥルメンタルの鼓動を源泉としていたバンドは、これまで数曲でアンサンブルの一部として使用していた嫋やかな声帯の振動を音楽建築の中心へと据える決断を下します。
そうして今回インタビューに答えてくれた Adam Symonds をフルタイムのメンバーに起用し、トリプルギター&ボーカルの新編成で “Part Island” を完成へと導いたのです。
湖面と逆転した稜線が写るモノクロームのアートワークは、分断された世界の象徴。絶望、喪失、空虚。母国の政治的混乱と社会的分断は悲しいまでにアルバムのイメージへと反映されています。ただし、梯子で繋がる上下の世界が仄めかすように、レコードには一縷の希望も残されているのです。
苦痛と期待を等しく帯びたアコースティックのセレナーデ、”Underlie” の色彩は、”Part Island” のキャンバス全体を鮮明に浮かび上がらせます。シンプルでしかしエレガントに描かれた物語の第一幕は灰色の悲哀を帯び、神聖なメロディーには仄暗き絶望が霧のように舞い落ちるのです。
「結果として、ダイナミクスに満ちたレコードとなったんだよ。素晴らしいハーモニーが常に生まれていると思うんだけどな。」
ポストロックの荘厳とブラッケンドの狂気、トレモロと不協和音のカコフォニーをリズムの魔法で抱きしめた “Moorland Is The Sea” のパノラマは実にプログレッシブ。さらにノイズの海とアトモスフィアの波で英国の鬱屈した気候を視覚化する “Dovestone” のサウンドスケープは実にシネマティック。
そうしてアルバムのダイナミズムは作品を締めくくるタイトルトラックで最高潮へと達します。アコースティックの浮遊感、リフのカタストロフィー、ピアノのドラマチシズム、そして溢れる激情のエモーション。バンドの全てを注いで具現化した対比の美学とカタルシスは、想像を絶する音の震源地としてリスナーをトランス状態へと誘うのです。
今回弊誌では、Adam Symonds にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちにポストメタルをやっているという意識はないんだ。まあだけど、先鋭的で、ヘヴィーで、エモーショナルでアトモスフェリックな音楽だからそのタグからは逃れようがないよね。だから僕らはもっと進化してこのタグから先に進みたいね。」リリースは注目の Debemur Morti Productions から。どうぞ!!
LATITUDES “PART ISLAND” : 9.9/10
INTERVIEW WITH ADAM SYMONDS
Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself and your band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?
【ADAM】: Thank you for the invitation. I (Adam Symonds) am the vocalist and one of three guitarists in Latitudes. Part Island is our fourth album and the second to be released on Debemur Morti Productions. Latitudes are a heavy band which incorporate elements of shoegaze and folk alongside clean vocals and crushing melody.
Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【ADAM】: インタビューをありがとう。僕は LATITUDES のボーカリストで、3人のギタリストの1人 Adam Symonds だよ。”Part Island” は僕たちにとって4枚目のアルバムで、Debemur Morti Productions と契約してからは2枚目なんだ。
LATITUDES はヘヴィーなバンドなんだけど、シューゲイザーやフォークの要素、クリーンボーカルや圧倒的なメロディーと融合させているんだ。
Q2: How did the band come to be? What made you go into post-metal/post-rock realm?
【ADAM】: Jon (bass), Adam C (guitar), Tim (guitar) and Mike (drums) began the group over ten years ago. Initially an instrumental band I joined as a part time member for three records (Agonist, Individuation and Old Sunlight) adding vocals to two or three tracks per album. I then joined the guys full time and we made the decision to write an album centred around vocals – for the first time including singing on each track. Post metal was never an intention but perhaps an inescapable tag for forward thinking, heavy, emotional and atmospheric music. I would like to think the more we progress the further removed we are from this.
Q2: バンドはどのように結成されたのでしょうか?そのバンドがよく分類されるポストメタルというタグはバンドにとって快適ですか?
【ADAM】: ベースの Jon、ギターの Adam C、Tim、そしてドラムの Mike が10年以上前にこのバンドを始めたんだ。最初はインストゥルメンタルのバンドで、僕は “Agonist”, “Individuation”, “Old Sunlight” の3枚では一時的なメンバーとして加わっていたんだよ。アルバムの2, 3曲にボーカルを加えるためにね。
その後、僕はフルタイムのメンバーとして加わり、僕たちはボーカルを中心に据えたアルバムを制作する決断を下したわけさ。バンドとしてはじめて、各曲にボーカルを収録したね。
僕たちにポストメタルをやっているという意識はないんだ。まあだけど、先鋭的で、ヘヴィーで、エモーショナルでアトモスフェリックな音楽だからそのタグからは逃れようがないよね。だから僕らはもっと進化してこのタグから先に進みたいね。
Q3: When I listened to your music, there are not only Post-whatever elements but also some prog rock influences like Rush, King Crimson, and sometimes hardcore like Converge, and maybe Mastodon, Baroness like Sludge elements. It’s really eclectic, right?
【ADAM】: Yeah, we’re pretty eclectic. The bands you’ve mentioned are certainly an influence alongside more chilled acts like Gravenhurst and Midlake which I bring to the table.
Q3: たしかに LATITUDES の音楽からは “Post-whatever” な側面だけではなく、KING CRIMSON, RUSH といったプログロック、CONVERGE のハードコアカオス、それに MASTODON のようなスラッジ要素も感じることが出来ますね。
【ADAM】: うん、僕たちはとてもエクレクティックなんだよ。君が挙げたようなバンドからはたしかに影響を受けているね。
それに僕が持ち込んだ GRAVEEHURST, MIDLAKE みたいなもっとチルっぽいバンドからもね。
Q4: OK, let’s talk about your new record “Part Island”. Maybe, it seems the artwork reflects the worldview of “Part Island”. What’s like the concept of “Part Island”?
【ADAM】: ‘Part Island deals with loss, separation and longing both spiritual and actual. This is highlighted in the imagery of boarders and the use of the ocean as a means of division. Whilst directly influenced by the political climate here in the UK it is a record as much about personal conflict as it is social.
Q4: では最新作 “Part Island” について話しましょう。この美しいアートワークはアルバムのコンセプトを反映しているのでしょうか?
【ADAM】: “Part Island” は喪失、分断、それに精神的、現実的両面からの切望について扱っているんだよ。そうしてこのアートワークは、そのボーダーラインをイメージしているんだ。海水面が分かれ目となっているんだよ。
特に、直接的には今の英国の政治状況から影響を受けているね。そしてこのレコードはそれほど社会的であるのと同じくらいに、個人的な争いについても扱っているんだよ。
Q5: It’s the first album to contain vocals on all tracks. Actually, I feel the most vocal-focused record in your works. Do you agree that?
【ADAM】: We made a deliberate choice to highlight vocals across the album. For the first time we composed each song around vocals rather than adding them to finished pieces. As a result we ended with a record full of dynamics and I hope, a greater harmony across the duration. I would completely agree that it is our most vocal forward album.
Q5: お話しにも出ましたが、全曲にボーカルを配したはじめての作品となりましたね。
【ADAM】: 僕たちは、慎重に選択してこのアルバム全体でボーカルをハイライトとしたんだ。完成した曲にボーカルを追加するのではなく、ボーカルを中心として楽曲を作曲していったんだよ。
結果として、ダイナミクスに満ちたレコードとなったんだよ。素晴らしいハーモニーが常に生まれていると思うんだけどな。僕たちにとって、最もボーカルを中心に据えたレコードなんだよ。
Q6: Actually, I feel it’s one of the most beautiful record in the history of metal. I mean, there are perfect balance between ethereal atmosphere and dark aggression. What’s your perspective about the balance in metal music?
【ADAM】: That is incredibly kind of you and I am delighted you feel this. We have very different influences within Latitudes and I am perhaps at the least extreme end of the spectrum. However, we all come together on the ideal of making heavy and emotionally charged music. We work the rest out from there, I guess. I feel for heavy music to hit an emotional level it needs the quiet, sombre moments to counterbalance the heaviness with each element excentuating the other.
Q6: 実際、メタル史に残るほど美しいレコードですね。エセリアルなアトモスフィアとダークなアグレッションのバランスが群を抜いています。
【ADAM】: そう感じてくれてとても嬉しいね。僕たちはそれぞれが様々に異なる影響を LATITUDES に持ち込んでいるからね。そうして僕はおそらくそういった影響の中で最もエクストリームじゃない人間なんだ。
とはいえ、僕たちは全員がヘヴィーかつエモーショナルな音楽を創造するという考えをシェアしているからね。そこからは、リスナーの判断に任せたいと思うんだ。
僕はね、ヘヴィーな音楽がエモーショナルに心を打つレベルに達するには静謐や荘厳な瞬間が必要だと思うんだ。ヘヴィネスに対するカウンターバランスとしてね。他の要素たちによって相殺されるわけだよ。
Q7: After Isis were in a hiatus, there aren’t lot’s of big post-metal acts in the scene except for Cult of Luna. Do you think post-metal scene have been decreasing?
【ADAM】: Perhaps, but it is not a scene I follow personally. I was a huge Isis fan and enjoyed the earlier COL records but it is a genre that can lean on repeating itself.
Q7: バンドが分類されるポストメタルシーンは、ISIS の活動休止以来ビッグバンドと呼べる存在は CULT OF LUNA くらいですよね?
【ADAM】: そうかも知れないね。ただ個人的にはシーンに従っているわけではないんだよ。
もちろん、僕は ISIS の大ファンだったし、初期の CULT OF LUNA の作品は楽しんでいたんだ。だけど結局今となっては、焼き直しに頼るジャンルになってしまっているね。
Q8: Recently, intelligent, mathy, atmospheric bands have risen from UK. Actually, Black Peaks, TesseracT, Toska and Holy Roar’s rosters are driving force of UK modern metal/Prog scene. Of course, you are not newcomer, but I believe “Part Island” will be driving force of UK scene too. Do you think there is “new wave” of metal in your country now?
【ADAM】: Again, thank you for your kind words. I am perhaps the least qualified member of Latitudes to discuss upcoming heavy bands, particular UK based as I don’t really have my ear to the ground. But good to hear there are bands making an impact on you in Japan. I have no idea if there is a “new wave” of UK metal but we would be happy to be a part it if so.
Q8: 近年英国からは、多種多様な才能を持ったエクストリームなバンドが登場しています。”新たな波” が起こっているようですね?
【ADAM】: まあ僕はバンドの中でヘヴィーな音楽を語るには最も向いていないんだろうけど。特に英国のバンドは聴いていないから。だけど日本にまでインパクトを与えているんだから凄いよね。だからもしその “新たな波” の一部になれているなら光栄だよ。