NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HOUKAGO GRIND TIME : KONCERTOS OF KAWAIINESS: STEALING JOHN CHANG’S IDEAS, A BOOK BY ANDREW LEE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW LEE OF HOUKAGO GRIND TIME !!

“I Think That Would Be My Ultimate Goal: To Write a Series That Could Be Adapted By KyoAni, And Then Compose Music For It.”

DISC REVIEW “Koncertos Of Kawaiiness: Stealing Jon Chang’s Ideas, A Book By Andrew Lee”

「萌えアニメを伝道するのに最適な方法かどうかはわからないけど、これが僕が知っている唯一の方法だから。自分には同人誌を描く能力がない。だから、音楽やグッズで愛を表現するしかないんだよ。京アニでアニメ化されるようなシリーズを書いて、そのために作曲をする…というのが僕の最終目標かな」
オッサンがオッサンというだけで抑圧される時代。それでもオッサンは、艱難辛苦に耐え忍び生きて行かなければなりません。オッサンがそうした辛い現実や抑圧から逃避する場所。その代表こそ、萌えアニメであり、ヘヴィ・メタルなのです。
Kawaii に癒され、メタルで首を振る。間違っても、オッサンが Kawaii で腰を振ることは許されません。とにかく、オッサンにだって、心のオアシスは必要です。HOUKAGO GRIND TIME の Andrew Lee は、DISCORDANCE AXIS や GRIDLINK で有名な “先輩” に敬意を表しつつ、そんなオアシスとオアシスの悪魔合体に挑み、そして成功を収めました。
「やっと日本でライブができて本当に感謝しているよ!アメリカ国内でライブをする場合、観客の年齢層は少し高めで、アニメ文化に馴染みがないことがほとんどだ。”遊戯王” や “ぼくのぴこ” のもっと有名なミームならわかる人も何人かいるかもしれないけど、ほとんどの人にとってアニメのサンプルはただの面白い音でしかないんだ。日本でショーに来てくれた人たちはみんな真のオタクで、イントロやサンプルをしっかり理解してくれていた。それは本当にうれしいことだったんだ」
Andrew の悪魔合体。しかしそれは、母国アメリカでは少し孤独な戦いでもありました。グラインド・コアと萌えアニメの両方を等しく愛する彼にとって、強烈なグラインド・コアだけを求めるアメリカのファンには、少し違和感を感じていたのかもしれませんね。そんな中で、大成功を収めた日本ツアーは、Andrew にとって自らのアートが完璧に認められた瞬間で、孤独から解放された瞬間で、生きがいを得た瞬間でもありました。わかりあえる、認め合えるというだけで、孤独なオッサンやオタクにとっては奇跡のような “めたる・タイム・きらら” が生まれることもあるのです。
「いろいろなアニメのサウンドトラックを楽しんでいるけど、特に菅野よう子さんの “天空のエスカフローネ” のOSTが大好きでね。もちろん、”Just Communication”、”Irony”、”sister’s noise”、”only my railgun”、”Don’t Say Lazy” など、OPやEDの名曲もたくさんあるよね。ただ、あのスタイルで書くのは自分には難しいので、基本的にはギターソロくらいで、僕の曲に影響を与えていることはないかな。また、”響け!ユーフォニアム” や “ぼざろ” には、ひどい演奏がいくつか入っているのもいい!コンサート・バンドの最初の演奏は学生が録音したのに、最後の演奏はプロが作ったとか、ぼっちちゃんのの最初のバンド・シーンで聴ける意図的なミスや突っ込みとかね」
“Koncertos Of Kawaiiness: Stealing Jon Chang’s Ideas, A Book By Andrew Lee” は、まさにわかりあえるオタク、認め合えるオッサンだけに贈られた Kawaii のメタル・コンチェルト。萌えメタてぇてぇ。Moe to the Gore。腸が煮えくり返るようなボーカルとハイパー・ブラストなゴミ箱スネアの旋風に刻み込まれた萌えアニメの尊いわかりみ、そしてウルトラ・テクニカルなギター・ソロ。そのアンバランスはしかし、まるでこの分断された世界で Kawaii とメタルだけが世界をつないでくれるような不思議な期待感を持たせてくれます。
そう、世界がこれほどまでに分断され、激動している今、唯一の処方箋はわかりみと Kawaii の二重奏に違いありません。オッサンだって自己実現してもいい。オッサンだって美少女になりたい。Kawai くないようじゃ、無理か。オッサンもね、Kawai くしておかないと。オッサンがすべからく HENTAI だと思うなよ!盲点。むしろ久しい。
今回弊誌では、Andrew Lee にインタビューを行うことができました。「僕の人生のすべてが “ハルヒ” と “らき☆すた” に捧げられている。これらの作品を見て、僕は自分をただ “アニメを見ている” 人間だと思わなくなり、真の “オタク “になれたのだから」 わかります。二度目の登場。 彼の本職 (?), RIPPED TO SHREDS も最高です。どうぞ!!

HOUKAGO GRIND TIME “KONCERTOS OF KAWAIINESS” : 10/10

INTERVIEW WITH ANDREW LEE

Q1: First of all, could you talk about your impressions of last year’s Japan tour?

【ANDREW】: I am so grateful to finally perform in Japan! When I perform domestically, the audience is usually a bit older and unfamiliar with anime culture. A few people may understand some of the more famous memes from YuGiOh or Boku no Pico, but to most the anime samples are just some funny sounds. Everyone who came to the shows in Japan were true otaku and understood the intros and samples, which made me very happy.

Q1: まず、昨年の日本ツアーの感想から聞かせていただけますか?

【ANDREW】: やっと日本でライブができて本当に感謝しているよ!アメリカ国内でライブをする場合、観客の年齢層は少し高めで、アニメ文化に馴染みがないことがほとんどだ。”遊戯王” や “ぼくのぴこ” のもっと有名なミームならわかる人も何人かいるかもしれないけど、ほとんどの人にとってアニメのサンプルはただの面白い音でしかないんだ。
日本でショーに来てくれた人たちはみんな真のオタクで、イントロやサンプルをしっかり理解してくれていた。それは本当にうれしいことだったんだ。

Q2: You also played with Japanese bands. How did you feel about the Japanese scene?

【ANDREW】: Japan has some of the strongest and best grindcore bands in the world! Unholy Grave, Brob, Butcher ABC, Bolt Stein, 324… I think Japanese grindcore has a unique sound. I was very grateful that I could perform on the same stage as bands like Go-zen, Needle Contaminated Pork, and Maggut.

Q2: 日本のバンドとも共演されていますね。日本のシーンについてどう感じましたか?

【ANDREW】: 日本には、世界で最も強力で最高のグラインドコア・バンドがいる!Unholy Grave、Brob、Butcher ABC、Bolt Stein、324…日本のグラインドコアはユニークなサウンドを持っていると思うね。Go-zen、Needle Contaminated Pork、Maggut のようなバンドと同じステージで演奏できたことにとても感謝しているよ。

Q3: Did you make it to Akihabara, perhaps your “sacred place”? Did you buy anything you wanted?

【ANDREW】: Unfortunately my schedule was very tight on this tour and I didn’t have a chance to go to Akihabara. However, I have been there on previous trips to Japan! I don’t collect many goods, whether it’s anime or music, but I visited some maid cafes and enjoyed browsing the shops. Actually, an editor from Wanimagazine came to the Asakusa show and gave me a gift in a black bag. When I opened it later, it was the newest edition of Comic Kairakuten, which I found very funny.

Q3: あなたの “聖地” であろう秋葉原には行きましたか?欲しいものは買えましたか?

【ANDREW】: 今回のツアーはスケジュールがタイトで、残念ながら秋葉原には行けなかったんだ。でも、以前の日本旅行では行ったことがあってね!アニメでも音楽でも、あまりグッズは集めない方だけど、メイド喫茶に行ったり、お店を見て回ったりしてとても楽しめたよ。
実は、ワニマガジンの編集者が浅草のライブに来ていて、黒い袋に入ったプレゼントをくれた。後で開けてみたら、コミック快楽天の最新刊で、とても面白かったよ。

Q4: “Koncertos Of Kawaiiness: Stealing Jon Chang’s Ideas, A Book By Andrew Lee” will show you how much of a “Kawaii” devotee you are. Why do you think grindcore is the best way to evangelize “Kawaii”?

【ANDREW】: I don’t know if it’s the best way to evangelize moe anime, but it’s the only way I know how. I don’t have the ability to draw my own doujinshi, so I can only express my love through music and goods. However, I believe Jon Chang is starting production of an anime adaptation of his comic book, which he writes but doesn’t draw. I think that would be my ultimate goal: to write a series that could be adapted by KyoAni, and then compose music for it. But I’m not sure how to start wwwwww;;.

Q4: “Koncertos Of Kawaiiness: Stealing Jon Chang’s Ideas, A Book By Andrew Lee” を聴けば、あなたがどれだけ “Kawaii “信者であるかがわかるでしょう。
なぜ、グラインド・コアが “Kawaii” を伝道する最適な方法だと考えたのですか?

【ANDREW】: 萌えアニメを伝道するのに最適な方法かどうかはわからないけど、これが僕が知っている唯一の方法だから。自分には同人誌を描く能力がない。だから、音楽やグッズで愛を表現するしかないんだよ。でも、確か Jon Chang が、自分の原作はあるけど絵は描かない漫画のアニメ化の制作を始めているはず。
京アニでアニメ化されるようなシリーズを書いて、そのために作曲をする…というのが僕の最終目標かな。でも、どうやって始めたらいいのかわからないけどねwwwwwwww

Q5: Speaking of “Kawaii” and music, HGT’s roots in “K-on”, “BanG Dream”, and more recently “Bocci the Rock” and “Girls Band Cry” have become very popular. Many of these moe band anime use very high caliber musicians and performances. Are you influenced by the theme song, the ending theme, or the music in the anime?

【ANDREW】: I enjoy lots of various anime soundtracks, especially Kanno Yoko’s OST for Escaflowne. And of course there are many classic OP and ED songs, like Just Communication, Irony, sister’s noise, only my railgun, Don’t Say Lazy etc. However it’s difficult for me to write in that style, so in general the music doesn’t influence my own, only the guitar solos. Also, I like how Hibike Euphonium and BoZaRo had some crappy performances in them! Like the first performance of the concert band was recorded by students, but the final performance was made by professionals, or the intentional mistakes and rushing you can hear in the first band scene of Bocchi.

Q5: “Kawaii” と音楽といえば、HGT のルーツである “けいおん!” や “BanG Dream” 、最近では “ぼっち・ざ・ろっく!” や “ガールズバンドクライ” といったバンドのアニメが人気を博しています。
こうした萌え系のバンド・アニメは、非常にレベルの高いミュージシャンや演奏を起用しているものが多いですね。あなたはアニメの主題歌やエンディングテーマ、音楽から影響を受けることはありますか?

【ANDREW】: いろいろなアニメのサウンドトラックを楽しんでいるけど、特に菅野よう子さんの “天空のエスカフローネ” のOSTが大好きでね。もちろん、”Just Communication”、”Irony”、”sister’s noise”、”only my railgun”、”Don’t Say Lazy” など、OPやEDの名曲もたくさんあるよね。ただ、あのスタイルで書くのは自分には難しいので、基本的にはギターソロくらいで、僕の曲に影響を与えていることはないかな。
また、”響け!ユーフォニアム” や “ぼざろ” には、ひどい演奏がいくつか入っているのもいい!コンサート・バンドの最初の演奏は学生が録音したのに、最後の演奏はプロが作ったとか、ぼっちちゃんのの最初のバンド・シーンで聴ける意図的なミスや突っ込みとかね。

Q6: Many of the viewers of moe anime are probably, like myself, unfulfilled males (Ossan) who feel some kind of loneliness in society, and it is wonderful that such males can smile a little, be happy, and feel at peace. Your music has the same effect as that of Moe anime, would you agree?

【ANDREW】: I think grindcore fans used to be made of ossans all over the world, but actually in California mincecore/goregrind/punk music is increasingly made and consumed by children! I’m not totally sure if my music is healing, but I am grateful if it has that effect.

Q6: 萌えアニメの視聴者の多くは、おそらく私と同じように、社会の中で何らかの孤独を感じている満たされないオッサンであり、そんなオッサンが少しでも笑顔になり、幸せになり、安らぎを感じられるのは素晴らしいことだと思います。あなたの音楽には、萌えアニメと同じような効果が感じられますよ。

【ANDREW】: かつてグラインドコアのファンは世界中でオッサンばかりだったと思うけど、実はカリフォルニアではミンスコア/ゴアグラインド/パンクの音楽はキッズが作って消費することが多くなっているんだ!僕の音楽が癒しになっているかどうかは分からないけど、そういう効果があるのならありがたいことだね!

Q7: As you know, this year marks the 20th anniversary of Haruhi and Rakisuta, two major turning points in moe anime, and in a way this album is probably dedicated to those two works, right?

【ANDREW】: My entire life is dedicated to Haruhi and Lucky Star, because through watching those works I stopped thinking of myself as someone who “watched cartoons” and became an “otaku.” I think the treatment of Hirano Aya in the Japanese media was extremely unfair, and in general there are many problems with expectations placed upon entertainers and idols. I was a little disappointed by the last book Tanigawa wrote and there doesn’t seem to be any conclusion for the series in sight, but I hope he will be inspired again. I never had an expectation of more seasons of Lucky Star, so I’m merely satisfied by the continuation of the 4koma.

Q7: ご存知の通り、今年は “ハルヒ” と “らき☆すた” の20周年です。ある意味、このアルバムはその2作品に捧げられたものなのかもしれませんね?

【ANDREW】: 僕の人生のすべてが “ハルヒ” と “らき☆すた” に捧げられている。これらの作品を見て、僕は自分をただ “アニメを見ている” 人間だと思わなくなり、真の “オタク “になれたのだから。
日本のメディアにおける平野綾さんの扱いは非常に不公平だったと思うし、一般的に芸能人やアイドルに期待されることには多くの問題がある。谷川氏が書いた最近の作品には少しがっかりしたし、シリーズの完結も見えないようだが、また奮起してほしいね。”らき☆すた” にかんしては、続編を期待していなかったので、4コマが続いただけでとても満足しているんだ。

Q8: The ultra-technical guitars that are occasionally interspersed in your songs have the
feel of those moments when the moe pieces that appear in the manga Time Kirara
sometimes come back to reality, don’t they?

【ANDREW】: Hmm… for me, playing guitar solos is as vital as breathing. I think your interpretation is correct for you, and that everyone should interpret the music the way they like. Playing guitar solos in goregrind feels more natural than “normal” grindcore, maybe because there is precedent with bands like Carcass or Extremely Brutal. But I don’t think too hard about it, I just like to play solos.

Q8: 時折挿入される超絶テクニカルなギター・ソロは、”まんがタイムきらら” の作品に登場する萌えマンガが、時折現実に戻ってくる瞬間のようなシュールな感覚がありますね。

【ANDREW】: うーん…僕にとってギターソロを弾くことは、呼吸をすることと同じくらい重要なことなんだ。君の解釈は君にとって正しいし、誰もが好きなように音楽を解釈すべきだと思う。
ゴア・グラインドでギターソロを弾くのは、CARCASS や EXTREMELY BRUTAL のようなバンドの前例があるせいか、”普通の” グラインドコアよりも自然に感じるんだ。でも、あまり難しく考えず、ただソロを弾くのが好きなだけなんだよね。

FIVE “MOE ANIMES” THAT ANDREW RECOMMENDS NOW!!

Machikado Mazoku

My favorite series of the last 10 years, though I am also including the 4koma in my assessment, not just the anime. I love how it flawlessly combines its serious and funny moments, and there are so many cute/moe moments and great sound FX. Wishing good health to Itou-sensei!!

まちカドまぞく

ここ10年で一番好きなシリーズ。アニメだけでなく、4コマも含めて評価している。シリアスな場面と笑える場面が完璧に組み合わさっていて、かわいい場面や萌える場面、素晴らしいサウンドFXがたくさんあって大好きだ。伊藤先生のご健康をお祈りします!

Sora yori mo Tōi Basho

Actually I think this one was a bit of a bait and switch, but it did it multiple times. At first I thought it was a fluffy moe series, then I thought it would be serious drama, but then it turned right back into fluffy slice of life.

宇宙よりも遠い場所

実はこの作品、コロコロと変わるよね。最初はフワフワした萌え系かと思いきや、シリアスなドラマかと思いきや、またフワフワした日常系に戻るんだから。

Hibike Euphonium

This is the epitome of music anime so far. Although there are lots of moe moments and fanservice between Reina and Kumiko, I really enjoyed the relatable depiction of their musicianship and their journey through adolescence.

響け!ユーフォニアム 

これまでの音楽アニメの規範。玲奈と久美子の間には萌えシーンやファンサービスがたくさんあるけど、音楽性や青春の旅路も親近感を持って描かれていてとても楽しめたよ。

Yuru Camp

I almost lost my mind and tried going camping after being inspired by this series. However I quickly realized that I have absolutely no affinity for the outdoors or insects.

ゆるキャン△

このシリーズに触発されて、正気を失いかけてキャンプに行こうとしたんだ。しかし、アウトドアや昆虫にまったく縁がないことにすぐに気づいたよ。

Bamboo Blade

Sadly I have never experienced kendo. However, in middle through high school I competed in fencing (my weapon was epee). I was not good enough to be a national level fencer, but the sport aspects of this series were similar to my own experiences.

バンブーブレイド

残念ながら僕は剣道を経験したことがない。しかし、中学から高校にかけてフェンシング(エペ)をやっていた。全国レベルのフェンシング選手になるほどの実力はなかったけど、このシリーズのスポーツ的な側面は自分の経験と似ていたんだ。

MESSAGE FOR JAPAN

I will be back next year! Watch out for my chainsaw deathgrind tour. I am eagerly waiting to see and perform for everyone again.

来年また日本にいくよ!僕のチェーンソー・デス・グラインド・ツアーに注目してほしい。またみんなに会って、パフォーマンスできることを心待ちにしているんだ。

ANDREW LEE

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