EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW LEE OF HOUKAGO GRIND TIME / RIPPED TO SHREDS !!
“I Want To Express My Love For Anime Through Music, And I Think Educated Listeners Can See That I Have Equal Love For Both Moe Anime And Goregrind.”
DISC REVIEW “HOUKAGO GRIND TIME2 / 劇變(JUBIAN)”
「僕は、自分が感情移入できないもので芸術を作るのは好きではないんだよ。だから、音楽を作るときは、特に作詞作曲や映像のデザインをする場合はいつでも、自分が情熱を傾けられるような題材でなければならないんだ。僕は音楽を通してアニメへの愛を表現したいし、教養のあるリスナーには僕が萌えアニメとゴア・グラインドを等しく愛していることが分かると思う」
愛するものを、自らのアイデンティティを、自然に自由にアートへと昇華する。言うは易く行うは難し。特に、音楽が金銭と直結しにくくなった現代において、理想のハードルは以前よりも高くそびえ立っています。
しかし結局は、案ずるより産むが易し。台湾からアメリカに移住したアジア系アメリカ人の Andrew Lee は、HOUKAGO GRIND TIME ではアニメに対する愛と情熱を、RIPPED TO SHREDS では自らの出自である中国/台湾のアイデンティティで “自らの声” を織り込み、二足のわらじで “嘘のない” アートを実現しています。
「エンターテイメントとは、そのエンターテイメントが市場の需要に応えるという意味で、それを生み出す社会の反映なんだ。エンターテイメントが社会から排除された人たちにオアシスを提供するのは良いことだけど、だからそのエンターテイメント自身が資本主義によって作られた “製品” に過ぎないように感じることがよくあるんだよね」
もしアニメ “けいおん!” の放課後ティータイムがグラインド・コアをやっていたら…そんな荒唐無稽を想像させるような夢のある地獄のグラインドコアが HOUKAGO GRIND TIME。グラインドコアもアニメの世界の一角も、荒唐無稽で大げさでそこそこに不真面目であるべきで、だからこそ、その両者を併せ持った HOUKAGO GRIND TIME の音には説得力が二倍となって宿ります。
さらに言えば、メタルもアニメも社会から時に抑圧され、時に無視される “オタク” にとっての拠り所、逃避場所、心のオアシスで、その両者を併せ持つ HOUKAGO GRIND TIME の寛容さももちろん二倍。重要なのは、Andrew の精神や目的が資本主義の欺瞞から最も遠く離れた場所にあることでしょう。ゆえに、ここには逃げられる、心を許せる、心底楽しめる。
「僕は、他のアジア系アメリカ人が “自分たちの” デスメタルバンドを結成し、自分たちにとって重要なテーマについて歌うようになればいいと思っているんだよ。多くのアジアのバンドは、特にアンダーグラウンドでは、プレゼンテーションやテーマの面で西洋の同世代のバンドを真似してきたからね。SABBAT, IMPIETY, ABIGAIL みたいなバンドは、ビール、パーティー、サタン/キリスト、その他西洋のテーマについて歌っているから」
デスメタルを追求する Andrew もう一つの翼、RIPPED TO SHREDS でも彼の正直さ、純粋で無欲な姿勢は一向に変わりません。Relapse 期待の一作 “劇變”(Jubian)” は、スウェーデンの古を召喚した地獄のようなデスメタルでありながら、スラッシュ譲りの獰猛さとメロディアスなギターワークを備えます。
中国語を多用した歌詞やタイトル、項羽と劉邦や三国志をイメージさせるアートワーク、そしてあの HORRHENDOUS にも例えられるプログレッシブで鋭い技巧の刃は明らかにステレオタイプのメタルをなぎ倒す怒涛のモメンタム。このわずか33分で RIPPED TO SHREDS は歴史、アイデンティティ、そして中国/台湾とアメリカとの関係について深く考察し、自分の頭で考え、自分の音楽を、自分にとって重要なテーマで語っているのです。
RIPPED TO SHREDS の目標の一つは、アジア系アメリカ人のメタルに対する認知度を高めること。Andrew は、歴史の陰惨な側面に立ち向かいながら、キャッチーなリフとエモーショナルかつ奇抜なソロの洪水よって、この目標を実現に近づけていきます。”アメリカのマイノリティであることは本質的に政治的” “アメリカの文脈の中で中国のアートを作るという行為こそが破壊的な問題提起” だと Andrew は指摘しますが、”劇變(Jubian)” はまず細部に至るまで豊かで濃密なヘヴィ・メタルです。
特に “獨孤九劍月神教第三節(In Solitude – Sun Moon Holy Cult Pt 3)” にはコントロールされたカオスが大量に盛り込まれていて、この10分の作品は、疾走感から壮大なメロデスの慟哭、ドゥーミーな中間部までエピックのスイを尽くしてリスナーを民話に根ざした物語に惹きこんでいきます。秦の時代、豊満な戦士が宦官に変装して宮中に忍び込み、皇太后を誘惑するというおかしくも恐ろしいエピソードから、アメリカの原爆投下、中国の重層的な政治的歴史まで、RIPPED TO SHREDS が扱うテーマには必ず Andrew のアイデンティティが下敷きにあって、彼はヘッドバンキングの風圧でそこに火を注ぎ、見事に燃焼させていくのです。
今回弊誌では、Andrew Lee にインタビューを行うことができました。「世の中にはアニメ・ゴア/BDMバンドが少なくないけど、彼らはグロ・ロリ・バイオレンスを “ショック・バリュー” “衝撃度” として使っているだけで、本当にそのテーマに興味を持っているバンドは皆無だよね。アイツらは、自分らのポルノの題材で一瞬たりともシコってないんだよ。ヤツらはただ “hentai violence” でググって、任意の過激な画像をアルバムに載せているだけ。まさに、怠惰なビジュアル、怠惰なテーマ、怠惰なアート、怠惰な音楽」 どうぞ!!
INTERVIEW WITH ANDREW LEE
Q1: Hi, Andrew! You and Houkago Grind Time are full of mysteries, but first tell us what kind of music you grew up listening to.
【ANDREW】: My big sister was my biggest influence as a kid! So whatever was popular on the radio at that time, TLC, Nelly, Dr Dre, Christina Aguilera, etc. My parents often listened to bands like Mamas and Papas or Creedence Clearwater Revival while driving, and also introduced us to singers like Jay Chou, Tsai Chin, or Andy Lau. I didn’t develop my own taste in music until I was 11 or 12. I was super into hip hop, Tupac, Run DMC, DMX, Outkast, Wutang, etc. Only when I entered high school did I start listening to metal, and In Flames was the first one I ever heard, and from there my interest spread to hard rock and other guitar based music.
Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【ANDREW】: 子供の頃は、姉の影響が一番大きかったんだ! だから、TLC, Nelly, Dr Dre, Christina Aguilera など当時ラジオで流行っていたものは何でも聴いていたね。あと、両親は運転中に Mamas and Papas や CCR といったバンドをよく聴いていたし、Jay Chou やTsai Chin, Andy Lau といったシンガーも紹介してくれた。
自分の音楽の趣味が確立したのは、11歳か12歳になってからだね。まずは 2pac, Run DMC, DMX, Outcast, Wutang などヒップホップに超はまりったんだ。高校に入って初めてメタルを聴くようになった。IN FLAMES が初めて聴いたメタルで、そこからハードロックやその他のギターベースの音楽へと興味が広がっていったんだ。
Q2: I think Houkago Grind Time is a tribute to Houkago Tea Time of “K-ON!”. Why did you choose this name?
【ANDREW】: Because K-On is the greatest moe franchise ever!! I hope Kadokawa will adapt the college arc of the 4koma, but it doesn’t seem like it will happen. This season I’m also really enjoying another Manga Time Kirara adaptation, Bocchi the Rock, but the tone is much more sarcastic and pessimistic like Welcome to the NHK, whereas K-On is full of positivity and healing.
Q2: Houkago Grind Time という名前は、アニメ “けいおん!” の放課後ティータイムに対するオマージュですよね?
【ANDREW】: “けいおん!” は史上最強の萌えフランチャイズだからね!Kadokawa が4コマ漫画の大学編を映像化してくれるといいんだけど、どうやらそうはならないようだね。
今シーズンは、まんがタイムきららで連載されている “ぼっち・ざ・ろっく!” もとても面白くて気に入っているんだけど、”けいおん!” が前向きで癒し系のアニメであるのに対して、”ぼっち・ざ・ろっく!” は “NHKへようこそ” のように皮肉で悲観的なトーンになっているよね。
Q3: The great thing about your art is that it is a great combination of hellish, relentless grindcore and moe moe kyuun Kyuun Japanese anime. Why did you decide to combine these opposites?
【ANDREW】: I don’t like to make art where I have no emotional attachment. So any time I make music, the subject must be something that I’m passionate about, especially if I am writing the lyrics and designing the visual presentation. I kind of enjoy watching horror movies, but gory horror is not a passion of mine while anime is. Also there are too many anime gore/BDM bands that just use guro/loli/violence as shock value, and you can tell that none of them are truly interested in their subject matter. I don’t believe even for a second that any of those bands have used their pornographic subjects for fap material, they just google “hentai violence” and put any random extreme image on their album. Lazy visuals, lazy themes, lazy art, lazy music. I want to express my love for anime through music, and I think educated listeners can see that I have equal love for both moe anime and goregrind.
Q3: あなたが素晴らしいのは、容赦のない地獄のようなグラインドコアと、日本アニメの萌え萌えキュンキュン、その正反対を融合し類稀なるアートに昇華している点でしょうね。
他の “イロモノ” 的なバンドとは一線を角しています。
【ANDREW】: 僕は、自分が感情移入できないもので芸術を作るのは好きではないんだよ。だから、音楽を作るときは、特に作詞作曲や映像のデザインをする場合はいつでも、自分が情熱を傾けられるような題材でなければならないんだ。
ホラー映画を見るのは好きだけど、アニメはともかく、グロいホラーは苦手でね。世の中にはアニメ・ゴア/BDMバンドが少なくないけど、彼らはグロ・ロリ・バイオレンスを “ショック・バリュー” “衝撃度” として使っているだけで、本当にそのテーマに興味を持っているバンドは皆無だよね。アイツらは、自分らのポルノの題材で一瞬たりともシコってないんだよ。ヤツらはただ “hentai violence” でググって、任意の過激な画像をアルバムに載せているだけ。まさに、怠惰なビジュアル、怠惰なテーマ、怠惰なアート、怠惰な音楽。
僕は音楽を通してアニメへの愛を表現したいし、教養のあるリスナーには僕が萌えアニメとゴアグラインドを等しく愛していることが分かると思うんだ 。
Q4: I would love to hear about your animation history. What anime was your entry point and what anime became your favorites? What do you like about Japanese anime?
【ANDREW】: When I was a kid in Taiwan I would watch Detective Conan on TV dubbed in Mandarin, and we had the Totoro VHS. Then of course there was the Pokemon craze in 98, when the American dub finally landed here. My sister also introduced me to Young Kindaichi, Ranma ½, and X/1999. Though in retrospect I was way too young to read X! We had some really terrible American dubs for Cardcaptor Sakura and Yu-gi-oh, as well as Digimon. I think around 2002 or 2003 I took an interest in Evangelion, probably because the End of Evangelion movie finally came out in America. The most important anime I watched in high school were Samurai Champloo and Tenkuu no Escaflowne. I still think Escaflowne has the best soundtrack I’ve ever heard. And Champloo was the first series I followed as it aired in Japan; back then you had to wait for days on IRC for fansubbers to create subs and release their versions. Nowadays it’s much more convenient since Japanese studios will simultaneously release an official English subtitled version at the same time as the TV broadcast. I became a fan of Kyoto Animation when I watched Haruhi in 2008, and from there followed all their releases, which led me to becoming a fan of moe style anime.
If I were forced to pick 5 series/OVAs and 5 movies as favorites, I would say: Kemonozume, FLCL, Panty and Stocking with Garterbelt, K-On, and Welcome to the NHK for TV series, and Akira, Totoro, Ghost in the Shell, Perfect Blue, and 5 cm/s for movies. And for manga, Monster, Ranma ½, Slam Dunk, Dragon Ball, and To Love-Ru.
I like that anime has a huge variety of different scenarios and storytelling, and you can find all sorts of serious and comedic themes. American cartoons used to be only made for young children under 10, and stuff made for adults is still entirely about superheroes, which is a subject I have almost zero interest in. I have some nostalgia for the Batman 90s cartoon, as well as Justice League, but I actively avoid reading any DC or Marvel comics.
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Q4: 改めて、あなたのアニメ遍歴をお聞きしたいのですが。日本アニメのどういったところを気に入ったのですか?
【ANDREW】: 子供の頃は台湾にいたんだけど、テレビで “名探偵コナン” を中国語の吹き替えで見ていたし、トトロの VHS も持っていたよ。そしてもちろん、98年にはポケモンブームが起こり、アメリカの吹き替え版がついに台湾に上陸したんだ。あとは、妹が “金田一少年の事件簿”, “らんま1/2”, “X-1999″ を紹介してくれたね。でも、今思えば、Xを読むには若すぎたよね(笑)。”カードキャプターさくら” や “遊☆戯☆王”、”デジモン” など、当時のアメリカの吹き替えは本当にひどいものだったよ。
それから、2002年か2003年頃に “新世紀エヴァンゲリオン” に興味を持った。おそらく、エヴァの映画がやっとアメリカで公開されたからだったと思うけど。高校時代に見たアニメで一番重要だったのは、”サムライチャンプルー” と “天空のエスカフローネ” だ。エスカフローネは、今まで聴いた中で最高のサウンドトラックだと今でも思っているんだ。チャンプルーは日本で放送された最初のシリーズで、当時はIRCが翻訳バージョンをリリースするのを何日も待つ必要があったんだ。今は、日本のスタジオがテレビ放送と同時に公式の英語字幕版をリリースしてくれるから、とても便利になったよね。僕は2008年にハルヒを見て京都アニメーションのファンになり、その後、京アニの作品をすべて追いかけ、すっかり萌え系アニメのファンになってしまったんだ。
好きなシリーズ・OVAと映画を5つずつ挙げるとしたら、テレビシリーズでは “ケモノヅメ”, “フリクリ”, “パンティ&ストッキングwithガーターベルト”, “けいおん!”, “NHKへようこそ”。映画では “AKIRA”, “となりのトトロ”, “攻殻機動隊”, “パーフェクトブルー”, “秒速5センチメートル” だね。あと、漫画は、”Monster”, “らんま1/2”, “スラムダンク”, “ドラゴンボール”, “To LOVEる” かな。
アニメはシナリオやストーリー展開が実に多彩で、シリアスなものからコメディまで、いろいろなテーマに出会えるのがいいんだよね。アメリカのアニメは昔は10歳以下の幼児向けばかりで、大人向けもいまだにスーパーヒーローものばかり。だからほとんと僕は興味がないんだけど、それでも “バットマン” の90年代のアニメや “ジャスティス・リーグ” には多少のノスタルジーがあるね。だけど、DCやマーベルのコミックは積極的には読まないようにしているよ。
Q5: Your use of sampling from moe anime in your music is also a unique feature of yours, right?
【ANDREW】: At least I haven’t heard other bands that moe anime for samples! Although I love bands like Mortician, when samples are more than a minute long, I lose interest. So I try to keep my samples very short, and just give an atmosphere relevant to the subject matter, or sound funny.
Q5: 萌えアニメのサンプリングを多様するのも、非常にユニークですよね?
【ANDREW】: 少なくとも僕は、サンプルに萌えアニメを使うような他のバンドは聴いたことがないね!MORTICIAN のようなバンドが大好きだけど、僕はサンプルが1分以上あると興味がなくなってしまうんだ。だから、なるべく短いサンプルで、テーマに関連した雰囲気を出したり、面白い音を出すようにしているよ。
Q6: I have little idea what you’re singing about, but the song titles, which pay homage to the anime, are quite amusing! On the other hand, some of your songs, such as “Isayama is A Facist Pig” and “Makoto Shinkai Has a Goatee,” incorporate irony and criticism, would you agree?
【ANDREW】: Irony is a large part of my humor; you can see it through the juxtaposition of the themes and music in HGT. When I was creating the first album, I felt much more hopeful about the world, but much more pessimistic during the creation of the second, which is why there is more anger and criticism, and also real lyrics written for all the songs.
Q6: 何を歌っているのかはあまりわからないのですが、アニメにちなんだ楽曲のタイトルも実にユニークですね。
一方で、”Isayama is A Facist Pig” (諫山はファシストの豚野郎), “Makoto Shinkai Has a Goatee” (新海誠は顎髭野郎) などユーモアを込めた皮肉や批判も共存しています。
【ANDREW】: 僕のユーモアの大部分は皮肉だよ。HGT のテーマと音楽を並べると、それがよくわかると思うんだ。
1stアルバムを制作しているときは、世界に対してもっと希望を感じていたんだけど、2ndアルバムの制作ではより悲観的になってしまった。そのために怒りや批判が多くなり、また全曲にリアルな歌詞が書かれるようになった。
Q7: I feel that this “Houkago Grind Time 2” focuses more on the “power of animation.”, right? Also, is the cabbage on the jacket the cabbage from “Konosuba”?
【ANDREW】: Yes, I think you can link this to “anime as escapist fantasy” versus the “power of friendship” that was the theme of the first album. Actually, I took the cover picture myself, it’s replicating a frame from Hidamari Sketch. Bandai made an adaptation of Yoake Mae yori Ruriiro na which featured this terrible cabbage: , and it became a meme to have very detailed cabbages in many different series.
Q7: その、世界を悲観したという “Houkago Grind Time 2″ では、”アニメの持つ力” により焦点が当てられているように感じましたよ。
アートワークの キャベツは “このすば” のキャベツですか?
【ANDREW】: そうだね。ファースト・アルバムのテーマであった “友情の力” に対して、今度のアルバムは “逃避的なファンタジーとしてのアニメ” とリンクさせることができるのではないだろうか。
実はジャケット写真は自分で撮ったもので、”ひだまりスケッチ” の一コマを再現しているんだよね。
バンダイが映画化した “夜明け前より瑠璃色な” では、酷いキャベツの作画が登場する。いろんな作画崩壊のミームとなったんだ。
Q8: Speaking of the power of anime, although things have changed a lot in Japan, there are still many people who are emotionally scarred by being bullied or isolated from society just for being an otaku. Anime and metal are very important entertainment as an “escape” for such people, would you agree?
【ANDREW】: I agree in general, but with a caveat: entertainment is largely a reflection of the society that creates said entertainment responding to market demands. It’s good that entertainment can provide an oasis for social outcasts, but I often feel like said entertainment is merely a product created by capitalism. With music and punk/metal in particular, it’s much easier for independent bands to create music (mostly) free of these influences, but animation is so expensive and requires so many different parts of the entertainment industry working together… Indie animation studios do exist but to me the otaku crowd doesn’t seem to have much interest in their work.
Q8: 逃避的なファンタジーとは言い得て妙ですね。日本でも今は随分変わったかもしれませんが、それでもオタクというマイノリティであることの孤立や抑圧、いじめはまだ存在しているはずで。
メタルやアニメといった “エンターテイメント” はその逃避場所として非常に寛容ですよね?
【ANDREW】: 大筋では同意するけど、注意点がある。
エンターテイメントとは、そのエンターテイメントが市場の需要に応えるという意味で、それを生み出す社会の反映なんだ。エンターテイメントが社会から排除された人たちにオアシスを提供するのは良いことだけど、だからそのエンターテイメント自身が資本主義によって作られた “製品” に過ぎないように感じることがよくあるんだよね。
音楽、特にパンクやメタルは、インディーズ・バンドが資本主義の影響をほとんど受けずに音楽を作ることができるけど、アニメはコストがかかる上に、エンターテインメント産業のさまざまな部門が協力しなければならないからね……インディーズのアニメ・スタジオは存在するけど、僕にはオタク層はアンダーグラウンド作品にはあまり関心を持っていないように思えるね。
Q9: Speaking of minorities, in your wonderful new Ripped to Shreds album, “Jubian,” you allegorically compare the sadness and oppression of Chinese minorities born in the U.S. to history, would you agree?
【ANDREW】: Jubian, with the exception of the song Race Traitor, is not explicitly about the oppression of Asian Americans. Rather, the act of creating Chinese art in an American context is what’s disruptive. In general, I’m not good at being direct or confrontational, so it’s hard for me to write a song that would directly say “white America sucks.”.
Q9: マイノリティといえば、あなたの別バンド RIPPED TO SHREDS の素晴らしき新作 “Jubian” では、アメリカで生きる中国系の悲しみや抑圧も少なからず反映されていますよね?
【ANDREW】: “Jubian” は、”Race Traitor” という曲を除いて、アジア系アメリカ人に対する抑圧を明確に表現しているわけではなくてね。むしろ、アメリカの文脈の中で中国のアートを作るという行為こそが破壊的な問題提起なんだよね。
一般的に、僕は直接的な表現や対立をすることが苦手だから、”白人が支配するアメリカは最悪だ” みたいなことを直接的に言うような曲はなかなか作れないんだよね。
Q10: How do you feel about the current conflict between China and the United States?
【ANDREW】: Typical realpolitik played between the global hegemon and its biggest rival. There are of course many nationalistic feelings involved, but my impression is that even in the absence of nationalism any state attempting to improve its global standing and influence will automatically come into conflict with the states above it that don’t want to lose their position.
Q10: 現在の中国とアメリカの対立を、あなたはどう見ていますか?
【ANDREW】: 世界の覇権国家とその最大のライバルとの間で繰り広げられる典型的な “現実政治” だよ。もちろん、多くのナショナリズム的な感情が絡んでいるけれど、僕の印象では、ナショナリズムがなくても、世界的な地位や影響力を高めようとする国家は、その地位を失いたくない上の国家と自動的に対立することになっていくんだと思う。
Q11: The bold use of Chinese characters in the music, artwork reminiscent of the Qin Dynasty and the Three Kingdoms, and above all, the old-school Swedish death metal-inspired, yet progressive and fresh music, Ripped To Shreds is rewriting metal preconceptions, isn’t it?
【ANDREW】: I hope it is! I hope we can inspire other Asian Americans to form their own death metal bands and sing about topics that are important to them. Many Asian bands used to imitate their western contemporaries in terms of presentation and themes, especially in the underground. Bands like Sabbat, Impiety, Abigail, etc are singing about beer, partying, Satan/Christianity, and other Western themes. More recently folk metal bands (Tengger Cavalry, The Hu) have started to gain traction internationally which is always cool, but my pessimistic interpretation is that Westerners see “the Mongolian hordes” as something very similar to Vikings, which makes it OK for metal. So although I despise their music, image, and origins as an idol unit, I find Babymetal’s acceptance in the west to be both fascinating and disruptive to “metal cultural norms.”
Q11: 大胆な中国語の使用、秦や三国時代を想起させるアートワーク、オールドスクールなスウェディッシュ・デスメタルにインスパイアされながらもプログレッシブなつ新鮮な音楽。
RIPPED TO SHREDS は明らかにメタルのステレオタイプを打破しようとしていますね?
【ANDREW】: そうであってほしいね! 僕は、他のアジア系アメリカ人が “自分たちの” デスメタルバンドを結成し、自分たちにとって重要なテーマについて歌うようになればいいと思っているんだよ。多くのアジアのバンドは、特にアンダーグラウンドでは、プレゼンテーションやテーマの面で西洋の同世代のバンドを真似してきたからね。SABBAT, IMPIETY, ABIGAIL みたいなバンドは、ビール、パーティー、サタン/キリスト、その他西洋のテーマについて歌っているから。
最近ではアジアのフォークメタル・バンド(TENGGER CAVALRY, THE HU) が国際的に支持され始めている。それは実にクールなことだけど、ただ僕の悲観的な解釈では、西洋人は “モンゴルの軍勢” をヴァイキングと非常に似たものとして見ていて、それでメタル的にOKを出しているのだと思うんだよ。
だから、その音楽、イメージ、アイドル・ユニットとしての出自はともかく、日本らしさを歌う BABYMETAL が西洋で受け入れられていることは魅力的で、”メタル文化の規範” を破壊するものとしてはこちらのほうがより妥当なんだ。
FIVE ALBUMS THAT CHANGED ANDREW’S LIFE
IN FLAMES “SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE”
First metal album I ever heard, leading me to discover the entire world of metal and hard rock
初めて聴いたメタル・アルバムで、メタルとハードロックの世界全体を知るきっかけになった。
HORRENDOUS “ECDYSIS” & DEAD CONGREGATION “PROMULGATION OF THE FALL”
these two albums inspired me to start writing my own music and form my own bands. RTS would simply not exist without hearing these two records.
この2枚のアルバムは、僕が自分で音楽を書き始め、自分のバンドを結成するきっかけとなったもの。この2枚のレコードを聴かなかったら、単純にRTSは存在しなかっただろうね。
THE NEW TONY WILLIAMS LIFETIME “BELIVE IT”
this was my introduction to Allan Holdsworth, who is one of my biggest influences in trying to play crazy and weird lines in my solos
このアルバムでAllan Holdsworthを知った。彼は、僕のソロでクレイジーで奇妙なラインを弾こうとする際に最も影響を受けた人物の一人なんだ
2PAC “BETTER DAYZ”
it’s definitely not one of his better albums, but it was the first of his that I heard, and my introduction to hip hop and rap! I wanted to become a rapper but I’m really glad none of my early attempts at music are documented in any form anywhere…
彼のアルバムの中では決して良いものではないけど、僕が最初に聴いた彼のアルバムで、ヒップホップとラップを知るきっかけとなった作品だ! 僕はラッパーになりたかったんだけど、僕の初期の音楽への試みがどこにも記録されていなくて本当に良かったよ…。
INSECT WARFARE “WORLD EXTERMINATION”
when I was first getting into metal, I of course knew about Napalm Death and Carcasses early albums, but I wrote off grindcore as a joke for a very long time. World Extermination is the album that really introduced me to the power of grind and made me a grind freak!
メタルにハマり始めた頃、NAPALM DEATH と CARCASSの初期のアルバムはもちろん知っていたけど、グラインドコアは長い間冗談だと見なしていた。”World Extermination” は、僕にグラインドのパワーを教えてくれて、僕をグラインド・フリークにしてくれたアルバムだ!