COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【CAR BOMB : TILES WHISPERS DREAMS】


COVER STORY : CAR BOMB “TILES WHISPERS DREAMS”

“At The End Of The Day, The Process Of Making And Playing Music Is The Biggest Reward, So You’d Better Be Making Something That You Love.”

TILES WHISPERS DREAMS

複雑なメロディとリズムの融合は、メタルの誕生以来、常にその主要な要素の一つでした。BLACK SABBATH の楽曲における Bill Ward のジャズ的なドラミングや、LED ZEPPELIN の層を重ねたアレンジ、シンコペーションなど、メタルの激しさはその複雑さと密接に結びついてきました。そして、そのつながりは時と共にさらに強固なものとなっています。
ニューヨークの CAR BOMBは結成されてからほぼ25年間、演奏が困難なほど複雑なメタルを創造する最前線に立ち続けています。そして、6年ぶりとなる巨匠の帰還。ポスト・ハードコア、メタルコア、マスコア、そしてパンクのあらゆる要素を、純粋無垢な激しさでぶつけ合った、野蛮で妥協のない短編アルバム “Tiles Whisper Dreams” の12分はあまりも濃密で予測不能かつ衝撃的です。
そんな CAR BOMB の混沌は、どのように始まったのでしょうか?ギタリストの Greg Kubacki が説明します。
「1990年代後半、Mike と僕は NECK というバンドに所属していて、Elliot と Jon は SPOOGE というグループで一緒に演奏していたんだ。両バンドはロングアイランドのロックビル・センターにある同じリハーサルスペースを共有していて、互いの音楽のファンだったんだ。だから、両バンドが解散してから数年経った後、僕たちは力を合わせ、以前のプロジェクトよりもヘヴィでテクニカルな音楽に挑戦することを決めたんだよ。以来、僕たちは CAR BOMB に全力で取り組んできた。
2000年代初頭に結成後、僕たちは自らのサウンドを探求し、アイデアを書き下ろし録音する方法を学ぶために多くの時間を費やした。最初のアルバム “Centralia” は2007年に Relapse Records からリリースされ、同レーベルの他のバンドと共にツアーを開始した。だけど僕らは昼間の仕事を完全に辞めることを望まなかったから、Relapse と別れ、自分たちのペースで音楽を作り、全てを自分たちで手がける道を選択したんだ。僕たちは3枚のアルバム “w^w^^w^w”, “Meta”, “Mordial” を自らレコーディング・リリースし、Meshuggah, Gojira, Dillinger Escape Plan, Between the Buried and Me, Animals as Leaders といったバンドとのツアーにも参加する幸運に恵まれたんだ」

CAR BOMB の音楽は、時にエイリアン・コアなどと例えられています。
「創造的な活動を言葉で表現するのは難しい。僕らは感覚に依存しているからね。それでも言葉にするならばおそらく、プログレッシブ・デスコア、マスコア、プログレッシブ・メタルに、スペースロックやシューゲイザーの要素を混ぜたものと言えるだろう。まあ、”エクストリーム・メタ” や “エイリアン・コア”、甚至いは “レーザー・コア” と呼ぶ人もいるよ…(笑)。僕たちは多くの実験をするけれと、ジャジーやアバンギャルドな方向へ行き過ぎないように注意しているんだ。ヘヴィでグルーヴィーなサウンドを保つことを重視しているし、それが僕たちの独自のグルーヴの解釈であってもね。
僕たちの音楽に惹かれる人々は、僕たちが好むようなヘヴィなサウンドを求めていると思う。ただし、それは従来のジャンルに囚われないもの。僕たちは常に異なるアイデアや、曲、ドラムビート、コード進行、リフを歪める方法を模索していて、ファンもそのような実験的な要素を好むと考えているよ」
パンク、ハードコア・パンクもメタルと同様、CAR BOMB にとって重要な要素です。
「リフを演奏するときの感覚として、パンクの美学は常に持っていたいと思っている。メロディックなパートであっても、洗練されていないというか、そう表現するのが一番だと思う。 あまりプロダクションを加えたりせず、かなりラフな状態に保ちたいんだ。2017年に GOJIRA とツアーを行い、30日間ぶっ通しで演奏したんだ。 彼らがどのようにエネルギーを使い、それぞれのリフを曲の完璧な部分に落とし込んでいくかを見て、僕たちは本当に感銘を受け、それを目指して努力した。ランダムに長尺の曲を作るのではなく、”オーケー、異なる拍子のランダムなリフがいくつかあるけれど、どうすればもっと多くの断片を曲の後の部分に入れることができるだろう?” とか、”どうすればリフを持ってきて、半分に切ったり反転させたりできるだろう?” と考えてみたんだ」

つまり、GOJIRA から学んだのは混沌をコンパクトに纏めること。
「繰り返しになるけど、GOJIRA との経験に戻らなきゃいけないと思うんだ。観客の反応や、彼らがどれだけ誠実に音楽を作っているかを目の当たりにしたからね。 スタジオが一緒だから、彼らのレコーディングや曲作りを見ることができるんだけど、彼らのやることはすべて100%本心からなんだ。彼らの音楽がより原始的になるにつれて、彼らはいつも SEPULTURA “Roots” 時代や “Chaos A.D.” 時代のグルーヴ・メタルに近いものを追求している。 僕たちはあまりそういうことはしないんだけど、”自分たちの音楽でやっていることをすべてコンパクトにして、より良いストーリーを語るにはどうしたらいいか? どうすれば観客を驚かせることができるだろうか?”… 今回は、それを本当に恐れていない。”ああ、またあの部分が出てきた!”と思うような部分もある。 “w^w^w^w” の時は、ランダムなリフに次ぐランダムなリフの奇妙なピースのようだった」
これだけ複雑な音楽を制作するためには、クラシックや理論の教育が必要なのでしょうか?
「特には必要ないよ。僕たちの中には、クラシックの訓練を受けた人はいない。実際、最も多くのレッスンを受けたのはボーカルの Mike で、彼は狂ったようなクラシックギター奏者だった。ナッソーコミュニティカレッジで3年間ほどクラシックギター音楽を専攻していたからね。
僕たちはフィリップ・グラス、スティーブ・ライヒ、ストラヴィンスキーのような現代の作曲家に影響を受けている。フィリップ・グラスは完璧な例で、彼は常に1つの要素を少しずつ追加していくんだ。7/8拍子から4/4拍子、9/8拍子へと拍子を伸ばしていくのだけど、それは非常に自然で、不快なものではない。それはもはや数えるようなものではなく、リスナーを包み込むような織物のようなパターンになり、それこそが僕たちも目指しているものなんだ。数えられるならいいし、数えられなくてもいい…できれば、頭を使わなくても消化できるようなものを目指しているんだ」

長い音楽生活の中で、現在の CAR BOMB を刺激しているものは何なのでしょう?
「明らかに Meshuggah と Deftones で、彼らの影響は僕たちの音楽の至る所に感じられるよ。個人的には、90年代と00年代にやや主流から外れたミュージシャンが好きで、その時代のフェイバリット・アーティストとしては、Aphex Twin, Autechre, Failure, My Bloody Valentine, Coalesce, Suffocation, Boards of Canada, Mew, Radioheadなどがいるね。IDM…インテリジェント・ダンス・ミュージックとは、ワープ・レーベルに所属していた人たちの呼び名で、Squarepusher など、1990年代前半に大流行した音楽。 僕たちはみんな、1990年代前半にそういうものに夢中になって育ったんだ。 特に最新作では、僕らがどこから影響を受けているのかがよくわかる。 Meshuggah のリフをそのままパクることを恐れているわけじゃない。 僕らはそういうバンドが大好きだから、そうだ、それを入れようって感じなんだ。 そういうバンドは最初から続いているんだ。
CAR BOMB ができる前は、2つの別々のバンドとして一緒にリハーサル・スペースでジャムっていたんだけど、Elliotが “Destroy Erase Improve” が出た時にテープでくれたんだ。 ちなみに、僕は今でもそのコピーを持っている。 それを聴いてすぐに、そして Eliot の演奏を聴いて以来、彼とずっと一緒に演奏したいと思うようになったんだ。
現在、僕は Turnstile や Sanguisugabogg のようなバンドによるハードコアの復活に本当に刺激を受けているんだ。彼らは、現代の音楽に欠如している生のエナジーを再びもたらしているよね」
ラインナップが不変で、共に創造性を高め続けられるのも CAR BOMB の強みでしょう。
「最初から僕らにとって常に新しい音楽を作るという意図のようなものがあった。たぶん、これまでに試したことのないようなもの、あるいは音楽界である意味ユニークだと感じるようなもの。 さっきも言ったように、僕らは他のバンドからたくさんのものを借りているけど、自分たちらしいものを作りたいと思っているんだ。 Mike の歌い方、僕のエフェクトのかけ方、Elliot のドラムの叩き方、そして Jon の怪物的なベース。 でも、僕たちはいつも新しいものを聴いたり、新しい映画や番組を見たり、新しいアート作品を鑑賞したりしている。新しいものを探すことは、僕たちのDNAに組み込まれているようなものだから、それも大いに関係していると思う」

 

生死を問わず、共演してみたいアーティストは?
「うーん、難しい質問だけど、今ならグスタフ・ホルストを選ぶだろう。彼は1920年代に “ザ・プラネッツ” を作曲したイギリスの作曲家で、今回、一連の曲の作曲に大きな影響を与えてくれたんだ。彼の頭の中をのぞき、シンプルなモチーフを感情豊かな音楽に展開する方法を学べたら、僕にとって非常に興味深く興奮する経験になるだろうね」
“Tiles Whisper Dreams” には、バンドの進化、6年の歳月が反映されています。
「2019年に前作のアルバム “Mordial” をリリースし、その直後から音楽の制作を開始し、以来ずっと試行錯誤を続けてきたんだ。数多くの異なる試みを重ね、最終的にそれらのアイデアは数曲に凝縮されていったんだ。そのうちの3曲が今回の新EPを構成しているよ。過去20年間で学んだ全てを、最もインパクトのある曲に凝縮しようと努めたんだ。
ギター的にはそれぞれが独自の難しさがあるね。”Paroxysm” は右手の腕を酷使する曲、”Tiles Whisper Dreams” は左手のリフの連打が特徴的で、”Blindsides” はエフェクトの切り替えが頻繁。 3曲ともライブで圧倒的な迫力を出すように設計されているので、大きなフェスティバルのPAスピーカーでどう響くか楽しみだよ。昔の曲だと、”Secret Within” をライブでやるのはいつも楽しいね」
これからの目標はどこに置いているのでしょう?
「現在の目標は、作曲と音楽のリリースを続けること。音楽の作曲とレコーディングは僕の最大の情熱で、今までにないほど、それに集中したいという強い衝動を感じているんだ。CAR BOMB は現在、来年リリース予定のLP用に8曲の制作を進めている。また、Xytechra(私のエレクトロニック・ミュージック・プロジェクト)、Thrush(ギターを軸にした新規プロジェクト)、Ben Frost とのコラボレーション作品も複数あり、今年後半にリリース予定だよ」

25年の経験を踏まえて、若いアーティストに贈るアドバイスとは?
「まず、最も共鳴する音楽やアートを追求すべきだね。結局のところ、音楽の制作や演奏できること自体が最大の報酬なんだから、あとは愛するものを創り続けるべきだよ。次に、諦めずに続けること。バンド Bent Knee の友人 Courtney Swain が “成功するバンドの秘訣は解散しないことだ” と教えてくれたね。言うは易く行うは難しだけど、続けるほどに芸術表現のスキルが向上し、新たな機会が拓けていくよ。
僕たちが成功を収めている大きな理由は、バンド内のトラブルや人生の責任、様々な障害にもかかわらず、常に友人として結束し、諦めずに努力し続けたことだと確信しているんだ。つまり、3曲リリースするのに6年かかったけどね(2年に1曲…笑)。過酷なプロセスで、時にはこれが終わることはないと感じることもあった。でも諦めず続け、今ようやく音楽が世に出る楽しい段階にたどり着けたんだ」
演奏できること自体が最大の報酬。そう、CAR BOMB はライブを愛しています。
「僕が最も好きなのは、ステージ上で全員が完全に調和し、非常に緊密に演奏している瞬間なんだ。その瞬間は、自分が何を演奏しているか考えず、音楽が独自の生命を帯びていくのを感じるよ。体は自動操縦状態にあるような至福の状態で、同時にPAから響く巨大な歓声と、観客の熱気を感じている。その感覚を言葉で表現するのは難しいけど、その感覚に浸ることは中毒性があるね…落ち着きとエネルギーが同時に感じられるんだ。
キャリアのハイライトとしてショーを選ぶなら、Hellfest のメインステージは本当に壮観だった…人波の前で演奏する経験は、まさに現実離れしたものだったから。でも、おそらく最大の節目と言えるのは、2014年に Meshuggah とツアーをしたことだね。ヒーローたちの前座を務めることは、信じられないほどの栄誉で、僕たちに “このバンドをどこまで連れていけるのか” と考えさせてくれたから」
しかし、CAR BOMB ももはやその Meshuggah と遜色のない伝説の位置にいます。
「Meshuggah のレコードはいつでも聴き返せる。Radiohead のレコードも、My Bloody Valentine のレコードも、Aphex Twin のレコードも。 恥ずかしながら、僕のリスニング時間の50%は Aphex なんだ。”OK Computer” や “Selected Ambient Works Vol.2” などを聴いたときのような感覚を味わえるような、1年に1回聴き返せるような、カタログの定番として僕らを聴きたいと思ってくれる人がいたら、それだけでいいなと思っているんだ」

参考文献: Amplify:Interview with GREG KUBACKI from CAR BOMB

decibelmagazine: car-bomb-interview

INVISIBLE ORANGE: Car Bomb

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