【OPETH>>>PALE COMMUNION】
読者の皆様並びにOPETHIANの皆様、OPETHの最新作PALE COMMUNIONは既にお聴きでしょうか?OPETHというバンド名がWilbur Smithの小説に登場する月の都「OTEP」にちなんで付けられたというのは有名ですが、まさにそのOTEPに到達したかのような感覚さえあります。ただアポロが月に行ったっていうのに11号かかっているように、OPETHだけでこの偉業を成し遂げる事は不可能だったでしょう。PALE COMMUNIONは言わばロックの歴史全体で成し遂げた金字塔とも言えるのではないでしょうか。このアルバムを紐解くために鍵となる音楽を集めてみました。
【KEY TO PALE COMMUNION】
VANDER GRAAF GENERATOR
‘GODBLUFF’ & ‘STILL LIFE’
LISTEN TO >>>SCORCHED LIFE
OPETHを語る際、よく言及されるのがKING CRIMSONからの影響です。そして実際それは非常に大きいと思います。しかしそれ以上にこのバンドからの影響が強いのかもしれないと思う時があります。VANDER GRAAF GENERATORです。「VDGGはPAWN HEARTSまで、あとはハミルのソロ」と仰る向きも多いでしょうがあえてこの2枚を挙げました。よくOPETHYなリフと形容される(かどうかは知りませんが)オーギュメントコードを絡めた悪魔的なリフはこの曲の中盤の展開が大きなヒントになっている気がします。PALE COMMUNIONでMIKAELは潰した声を多用するようになりました。これもハミル氏の影響かもしれませんね。STILL LIFEというタイトルのアルバムは必ず名盤です。それはVDGGでもOPETHでもSTONESでも遊佐未森でもSTILL LIFEでも変わりません。
TESSERACT ‘ALTERD STATE’
LAMB OF GOD ‘ASHES OF THE WAKE’
LISTEN TO >>> NOCTURNE
さてミカエルがDJENTを聴くか否かは全く分かりませんがこのアルバムにはモダンな感覚も存在します。顕著なのはCUSP OF ETERNITY。この曲、リフはLAMB OF GOD,CYNICの香りを漂わせながらTESSERACTのアトモスフィアを有しつつ出来上がってみればRAINBOWのSTARGAZERだったというちょっと信じられないような代物です。VOICE OF TREASONにもそんな感覚がありますね。
ALLMAN BROTHERS BAND ‘AT FILLMORE EAST’
CSN&Y ‘4 WAY STREET’
LISTEN TO >>> WHIPPING POST
RIVERはサザンロックの良さが詰め込まれたような曲です。CSN&Yが生み出したアコースティックロックと南部の香りを目一杯吸い込んだコーラスで始まりALLMAN BROTHERS風のジャムまで繰り広げられます。リズムが跳ねているからDJENTとかハモンド入りジャムだからパープルとか仰る向きもあるかもしれませんがこのツインギターハーモニーとキメの感じはALLMANな気がします。そこからOPETHYに展開していく様がまさに圧巻な訳ですが。それにしても今回はボーカルハーモニーが素晴らしいですね。挙げたのは二枚ともライブアルバムです。
EMERSON LAKE & PALMER
1st & ‘TARKUS’
LISTEN TO >>> TARKUS
今回注目事項の一つは自他共に認める実力者ペルの後任ヨアキムのプレイだった訳ですが、結論から言うと素晴らしかったです。今までのアルバムで一番鍵盤が目立っているかも知れません。特にEL&Pの影響が増えたような気がしました。アルバム冒頭を飾るETERNAL RAINS WILL COMEはタルカスすぎるOPETHみたいな曲ですね。
SCOTT WALKER ‘THE DRIFT’
KING CRIMSON ‘RED’
LISTEN TO >>> CLARA
ミカエルはHERITAGEでメタル版SCOTT WALKERのTHE DRIFTを作ろうとしていた節があります。それが成功を収めたかどうかは分かりませんが少なくともこの傑作に繋がる良い試みだったと思います。FAITH IN OTHERSでは彼らの実験が大好きなクリムゾンと結合することで実ったのではないでしょうか。STARLESSの21世紀バージョンのようなこの曲はアルバムの最後を締めくくるにふさわしいと思います。
ここに挙げたのはあくまで私見+本当はもっともっとあるんですが疲れたので止めます。最後にミカエルが絶対狙った曲名GOBLINと同名のイタリアン・プログGOBLINを貼って〆させてもらいます。