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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MESSA : THE SPIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MESSA !!

“Scarlet Doom…This Specific Shade Of Red Was Chromaticall Helping Us Define Our Aim – And We Think It Still Fits Us, Even If The Years Passed By.”

DISC REVIEW “THE SPIN”

「ドゥームとは逃れられない虚無。私たちは、バンドの始まりからずっと “Scarlet Doom” という名前で自分たちの音楽を呼んできたんだ。この特別なの赤の色調は、私たちの目標を定義する上で、音の色彩を感じさせるために役立ってきたんだ。そして、年月が経っても、この名前が私たちにまだフィットしていると考えているよ」
音楽に “色” があると感じる人は多いのではないでしょうか。それは例えば、アートワークの色彩と関連づけられたり、楽曲のタイトル、もしくは楽曲や演奏そのものから滲み出る色合いだったりするでしょう。イタリアの MESSA は自らの音楽を “スカーレット・ドゥーム” と称しています。スカーレットとは、黄味がかった赤色のこと。ドゥームを逃れられない虚無と定義しながらも、彼らはその “ミサ” に様々な色彩を加えていきます。
「私たちは特に初期のゴシック・ロック/ダーク・ウェーブの大ファンでね。ただ、1980年代をテーマにした “The Spin” を制作する際、各メンバーがその時代に対する異なるアイデアを持っていたことが興味深い点だったね。例えば、Sara が直感的に参照としたのは KILLING JOKE と Siouxsie and the Banshees、Alberto にとっては JOURNEY だった。1980年代の音楽には、ムード、言葉、美学の広範なスペクトラムがある。ドゥームに何を落とし込むのか…私たち一人一人にとって、それは異なる選択だったね」
興味深いことに MESSA のアーティスト写真やアートワークはモノクロームやダークな雰囲気のものが多く、バンドの外観はあくまでドゥーミーでありながらその音楽は実にカラフル。いや、虚無の中に巣食う千変万化の色彩。その多様な色合いは、この4人組が2014年にバンドが結成されるまで、誰ひとりとしてドゥーム・バンドで演奏したことがなかったことに端を発しています。
彼らは、プログからブラックメタル、ゴスやポスト・パンクにアリーナ・ロックまで、様々な “重さ” を個別に経験していたのです。だからこそ、デビュー作のアンビエントなインターミッションやジャジーなクラリネット・パートから始まり、それ以来 MESSA は常に “ドゥーム” の色彩、サウンドの拡張を意識してきました。
7曲42分の “The Spin” は MESSA にとって最も短いアルバムですが、MESSA の持つドゥームの色彩が最も花開いた作品だと言えます。そのカラフルな色合いは、彼らが愛するイタリアのモータリゼーションが最も眩しかった80年代に帰依しています。”The Spin” とは、タイヤであり、道であり、永遠に繰り返す人の業とポスト・アポカリプスの虚無。
まるで80年代の映画、ブレイドランナーから飛び出してきたようなシンセ・ラインで幕を開けるアルバムは、ムーディーでありながらレトロ・フューチャーで、存分に不気味。ドゥームやゴスにとってはスピード違反な展開も、感情と技巧のギターソロも、結果としてドゥームの壮大とドラマを引き立てる武器のひとつにすぎません。
アンセミックなハードロック、アリーナ仕様のギタリズム、ジャズ・プログの間奏、ストーナー・リフとブラストビートにダークなシンセサイザー…ドゥームの暗がりや虚無を重さだけでなく、80年代の野心的な実験と曲作りの妙で表現する MESSA の哲学は実に魅力的かつ唯一無二。もちろん、その裏には Sara の奇跡的な歌唱や卓越したギターヒーロー Alberto の存在があることは言うまでもないでしょう。豊かな色彩を憂鬱へと導くそのハンドル捌きは、まさにプログレッシブ・ドゥームの寵児。
今回弊誌では、MESSA にインタビューを行うことができました。「楽器を演奏することは、アーティストであることよりも、職人であることと共通点が多いと思うんだ。それは技術を学び、信頼できるものを築くことに関わっているからね。私の見方では、この “技巧” は常に目的を持っているべきでね。私たちにとって重要なのは感情とメッセージであり、それらを伝えることが必要なんだ」 二度目の登場。どうぞ!!

MESSA “THE SPIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMPUREZA : ALCÁZARES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ OF IMPUREZA !!

“Metal And Flamenco…Two Worlds That Seem To Be Opposites, But Which Share The Same Intensity, The Same Pain, The Same Rebellion. It’s This Mixture That Forged The Guitarist I Became.”

DISC REVIEW “ALCÁZARES”

「非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ」
BLOODYWOOD や THE HU の台頭により、メタルに宿る生命力、包容力、感染力がついに可視化されました。今やメタルに第三世界はありません。その大いなる寛容さで様々な地域、様々な人々の文化を暖かく包み込み、メタルの咆哮と旋律に共感を誘います。
“ヒスパニック・メタル” を標榜する IMPUREZA も、そんなユニバーサルなモダン・メタル世界を象徴するバンドのひとつ。フランスとスペインの伝統の炎…その熱き血潮で鍛えられた IMPUREZA は、エクストリーム・メタルとフラメンコの情熱的で激しい融合を20年もの長きに渡って、追求してきました。そして今、イベリア半島のアイデンティティを刃物のように操り、自らのルーツをメタルの中に浸透させた彼らの勇気に遂に時代が追いついたのです。
「僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ」
そう、一見交わらないように思える様々な道を交わらせるのがメタルの力。しかし、そもそもフラメンコとメタルには、情熱、苦悩、そして逆境を跳ね返す回復力といった多くの共通項が存在しました。だからこそ、今回のインタビューイでありイベリアのギター・ヒーローLionel Cano Muñoz は PANTERA とパコ・デ・ルシアを同時に愛することができたのです。
「フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ」
とはいえ、これほど精巧で、荘厳で、ドラマティックなヒスパニック・メタルはまさに前人未到の領域。誰も踏み入れたことのない場所を開拓するためには勇気が必要です。そして、NILE や BEHEMOTH のように凶悪でありながら、OPETH のように挑戦的で、パコ・デ・ルシアのように革命的で苦悩と歓喜に満ちた “La Orden del Yelmo Negro” は、絶対的な勇気の歌。あの Jacob Hansen 指揮の下、見事に練られたクラシカルなストリングスとリズミックなパーカッションが、メタルの “レコンキスタ”、再征服を誇り高く宣言します。そしてもちろん、フレットレス・ベースの嗎はプログレッシブなデスメタルの矜持。
「スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う」
常にイベリアの歴史を物語ながら、ある種の教訓をもたらしてきた現代の吟遊詩人 IMPUREZA。今回のアルバム “Alcázares” で彼らは、血と死が今よりもはるかに近くにあった中世、レコンキスタをテーマに選びました。キリストとイスラム…血塗られた歴史と神秘が交錯する宗教と戦いのストーリー。争いから始まった文化と人の流動性はいつしか成熟され、洗練され、多様な背景を持つ人々を生み出し、ルネサンスの下地にもなりました。血と死に導かれたレコンキスタはまさに、メタルとフラメンコの “不純な” 婚姻にも似て、多文化共生、異文化共鳴の始まりでもあったのです。
今回弊誌では、Lionel Cano Muñoz にインタビューを行うことができました。「メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!」どうぞ!!

IMPUREZA “ALCÁZARES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DARKASIDE : DECADE OF CRISIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM OF DARKASIDE !!

“Kakarot Is My Favorite Hero, He Is a Force That Knows No Fear, He Always Challenges Himself And Fights For Others That Need Help, As a Kid I Always Wanted To Be Like Goku And Stand Up For Others”

DISC REVIEW “DECADE OF CRISIS”

「カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ」
誰にでも、幼いころに勇気や優しさをもらったヒーローはいるはずです。もしかしたら、そうしたヒーローから “生き方” のお手本を示してもらった人もいるかもしれませんね。パプア・ニューギニアで抑圧をうけるブーゲンビルの DARKASIDE は、恐れ知らずで、自分に挑戦し、弱いもののために立ち上がる生き方をドラゴンボールの悟空から受け継ぎました。そう、もちろんメタルも誰かのヒーローになれるのです。
「この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ」
世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つといわれる異色の地、パプア・ニューギニアの中でもブーゲンビルはさらに異色の地です。首都ポートモレスビーのあるニューギニア島から離れた場所にあるブーゲンビル島は、鉱物や海洋資源が豊富。その資源は国の主な収入源のひとつとなっています。特に巨大なパングナ鉱山は国の生命線。しかし、政府によるその利益の分配が不公平だとブーゲンビル人は怒り、独立を求めています。内戦まで発展したそのブーゲンビル危機の裏側には、肌の色、言葉、文化の違いで抑圧を受け続けたブーゲンビルの人々の怒り、反骨精神、逆境を乗り越える回復力が存在しました。そしてその回復力は、まさにヘヴィ・メタルに宿る力。
“Decade of Crisis” はそのブーゲンビル危機をテーマとした楽曲です。ただし、DARKASIDE は争いや暴力による解決を求めているわけではありません。友と互いに支え合って高め合い、己を磨き、自己実現を果たしていく中で、権利を主張し譲歩を求める。それはまさにドラゴンボールの修行と武道会。そして、不条理を跳ね退けた先に待っているのは、きっと悟空とベジータのように互いを認め合う心なのかもしれませんね。
「僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ」
重要なのは、DARKASIDE が理想だけを語る絵に描いた餅、机上の空論のような存在では決してないことです。彼らの音楽には明らかに、人を惹きつける何かがあります。Nu-metal と伝統音楽の類稀なる蜜月。BLOODYWOOD が蒔いたリズミックでフォーキッシュなメタルの種は今、世界中で芽吹こうとしています。そう、世界各地の文化、音楽、言語を吸収するセルのような力こそ、メタルの生命力にして真骨頂。今やメタルに第三世界はありません。ゆえに、そんなモダン・メタルの申し子ともいえる DARKASIDE が、5年後に BLOODYWOOD と肩を並べていたとしても決して不思議ではないのです。
今回弊誌では、フロントマン Joshua Mayum にインタビューを行うことができました。「メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ」 どうぞ!!

DARKASIDE “DECADE OF CRISIS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LUX TERMINUS : CINDER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VIKRAM SHANKAR OF LUX TERMINUS !!

“Trying To Make Heavy Music With No Guitars Is a Creative Challenge That Requires Creative Solutions, Which Is a Lot Of Fun.”

DISC REVIEW “CINDER”

「芸術的に言えば、ギターがないという制約があることはとても充実したことだと思う。実は僕はギターの音が絶対的に好きだし、好きなミュージシャンの多くはギタリストだ。それでも、ギターを排除することで、キーボードが “音の混沌” に埋もれてしまうことがなく、繊細さや美味しさを堪能する余地が生まれる」
LUX TERMINUS とは、ラテン語で “終わりの先の光” を意味します。そう、このバンドは過去のプログのトンネルの先にある光に違いありません。バンドの中心人物は Vikram Shankar。そう、2010年代後半、シーンに彗星のごとく現れた若き鍵盤の魔法使いこそプログ世界の希望。
あの歌聖 Tom Englund との美しすぎるデュオ SILENT SKIES でネットから現実へと飛び出した Vikram は、すぐにその優れたテクニック、音楽教育を存分に受けた知性、研ぎ澄まされたメロディの感覚、音楽を俯瞰して見る眼差しが認められ、REDEMPTION や PAIN OF SALVATION といったこの世界の鬼才にして重鎮にとってなくてはならない存在となりました。
彼がプログ世界の希望である理由。それは彼の音楽に対する優れた才能、真摯な態度だけではなく、鍵盤をその武器に選んでいるから。かつて、プログやメタル世界の華のひとつだったキーボード・ヒーローは今や絶滅寸前。しかし、その繊細さや多彩な色彩は決して滅びてはならない天然記念物。Vikram はこの LUX TERMINUS で、PLINI, INTERVALS, David Maxim Micic といった愛するギターヒーローの哲学をキーボードで再現して独自に進化させ、ギター全盛のシーンに選択肢を増やそうとしているのです。
「ギターがない状態でヘヴィな音楽を作ろうとするのは、創造的な解決策を必要とするクリエイティブな挑戦であり、それはとても楽しいことなんだ。LUX TERMINUS は、おそらく SILENT SKIES と最も共通点があると思う。主に、シネマティックな色合いという意味でね。僕たちは、サウンド・デザインを織り上げていくようなアプローチや、深く思慮深い雰囲気を作り出すための音の実験が大好きだからね」
ギターレスのDjent。LUX TERMINUS の原点はそこにあります。重量感マシマシ、ギターありきのDjentにキーボードで切り込むその心意気こそプログレッシブ。Vikram はアルバム “Cinder” の中で、そのミスマッチに様々な創造的ソリューションで挑んでいきます。
もちろん、ARCH ECHO のようなキラキラの Fu-Djent も一つの解決法でしょう。幾重にも重なった光のキーボードと複雑重厚なリズムが織りなすディズニー・ランドは完璧なエンターテイメントとなり得ます。SLEEP TOKEN のポップな電子メタルも、DIRTY LOOPS のファンキーなリズムも彼らは飲み込み咀嚼します。しかし Vikram の企みはそこだけにとどまりません。
「特に久石譲のジブリ映画の音楽には大きな影響を受けているよ!また、僕は尺八を持っていて、レベルの高い尺八の演奏に心から魅了されているんだ。そうした名人たちには遠く及ばないけど、それでも “Neon Rain” (三味線や箏の演奏もある)のバックで尺八を僕が吹いているんだ。他にも、驚くべきソースがあってね。ポケモン・アルセウスのサウンドトラックに収録されている、特にジュビレシティーのテーマとかね。僕は日本の “音楽言語” がとても好きなんだ!」
Vikram の生み出す音楽はよりコズミックで、映画的で、未来的。Espera という優れたボーカル集団と紡ぐ “Jupitor” 三部作で私たちはインターステラーやスターフィールドといった壮大な映画やゲームの世界へと旅立ち、かの Ross Jennings と Jorgen Munkby を起用した “Catalyst” では CHICAGO や THE POLILE が映画やドラマの主題歌に使われていたあのアーバンでポップな80年代を再訪します。
そして何より Vikram がこのアルバムで大切にしたのが日本とのつながりでした。PAIN OF SALVATION の来日公演で愛する日本を訪れ、様々な都市を訪問した彼はこの国の人や風景の優美に感銘を受けます。尺八や三味線、琴を使用した “Neon Rain” はまさにその感銘が投影された楽曲。そうしてアルバムを締めくくる “Natsukasii” で Vikram はジブリの世界観とメタルを見事に融合させていきます。ノスタルジーと情景、壮観。彼が LUX TERMINUS で目指したものは、素晴らしくここに投影され、確かに鍵盤でなければ実現できない未曾有の景色で、未来へのプログレッシブな窓でした。
今回弊誌では、Vikram Shankar にインタビューを行うことができました。「最近のプログレッシブ・ミュージックには、メタルだけでなくフュージョンやジャズの文脈で活躍する優れたキーボーディストがたくさんいると思うけどね。とはいえ、キーボードの “旗手” のような存在になって、キーボードでどれだけ多彩で奥深い表現が可能かをアピールするできるとしたら、それはとてもやりがいのあることだと思うよ」 どうぞ!!

LUX TERMINUS “CINDER” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BENTHOS : FROM NOTHING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BENTHOS !!

“I always loved the japanese math scene: downy, toe, tricot, paranoid void, LITE… Outside the math world, I enjoy MILLENIUM PARADE, MASS OF THE FERMENTING DREGS, ermhoi, Black Boboi, BAUKHA (ex HOPI), Sheena Ringo, Friday Night Plans, Ichiko Aoba, Kaho Nakamura, betcover!!, Sarah Bonito (from Kero Kero Bonito).”

DISC REVIEW “FROM NOTHING”

「2000年代以降、メインストリームは非常にドライで予測可能なものになり始めた。今起きていること、プログレッシブ・ミュージックの再評価は、消費主義やコンテンツ不足の問題とリンクしているのではなく、メインストリームの外側にある何かを探したいという欲求だと思う。もしかしたら、いつものように、狂った “飽き” からくるものなのかもしれないけど!また、”脳内腐敗” や短いコンテンツに対する自意識のようなものもZ世代から見受けられるので、僕たちの一部が “治療法” のようなものを求めている可能性もある」
DREAM THEATER や GOJIRA のグラミー受賞は、プログレッシブ世界にとってとても大きな出来事でした。いや、プログレッシブ世界のみならず、インスタントな文化に支配された音楽世界全般にとっても、かなりの衝撃だったに違いありません。なぜなら、複雑で、長く、相当な鍛錬を要するプログレッシブ・ミュージックはコンテンツを “消費” するという時流の真逆にあると目されていたからです。
イタリアのエクスペリメンタル・メタル BENTHOS は、プログの復興と再評価について、”メインストリーム” の外側にある音楽への探求が始まったと表現しました。その言葉は、現行のポップやロックに、短いコンテンツの消費に “飽きた” リスナーにとって、プログが新たなエルドラドとなり得る可能性を自ら証明するという自信の現れでもあるはずです。
「基本的に何でも聴くようになり、あらゆるジャンルへと興味の幅を広げていった。今好きなアーティストは、Radiohead, Bjork, downy, Kendrick Lamar, JPEGMAFIA, Kero Kero Bonito, Magdalena Bay, 青葉市子だね」
なぜ BENTHOS が今、プログレッシブ・ミュージックの希望と呼ばれているのでしょうか?それは、彼らがあの SLEEP TOKEN と同様、メインストリームに住むメインストリームに飽きたリスナーを、メタルやプログレッシブ世界へと惹き込む魅力を備えているから。BENTHOS は例えば、THE CONTORTIONIST や THE DILLINGER ESCAPE PLAN, DREAM THEATER に HAKEN, OPETH, THE SAFETY FIRE (!) といったメタリックで複雑なプログやマスの “基本” を当然抑えながらも、決してそれだけでは終わりません。
Kendrick Lamar, Magdalena Bay, JPEGAMFIA, Kero Kero Bonito といったカラフルなヒップホップやポップ、エレクトロはもちろん、特に日本の音楽に薫陶を受け、toe, tricot, LITE といったマス・ロック、downy や 椎名林檎のようなレジェンド、そして青葉市子や中村佳穂のような新鋭まで、BENTHOS の好奇心は尽きることがありません。さらに、THE MARS VOLTA や A LOT LIKE BIRDS のようなポスト・ハードコア、そしてロックの酩酊までもがここには詰め込まれています。だからこそ、メインストリームのリスナーを惹き込め、プログの “充足感” を伝えていくことができるのでしょう。
型破りなアレンジ、破壊と野蛮、残忍と美麗、混沌と叙情、静寂と喧騒、そして悲痛な感情。複雑なリズム、パワフルでダイナミックなギターワークが、静謐でメロディアスな間奏とシームレスにブレンドされた、プログの再構築 “From Nothing”。その音楽的想像力のスケールの大きさ比肩できる作品はそうありません。決してつぎはぎのパッチワークではなく、洗練された創造性が幾重にも織り込まれたタペストリーはきっと “プログレッシブ” の楽しさを売り込む絶好のアンバサダーとなるはずです。
今回弊誌では、BENTHOS にインタビューを行うことができました。「BENTHOS という名前は、海底に密着して生活する生物のコミュニティを意味する。比喩的には、僕たちの内なるエッセンス、地下深くに埋もれている僕たちの感情を表し、それを表面化させようと努力しているんだ。僕たちの初期の楽曲のひとつ、”Debris // Essence” の原題は “Awake the Benthos” だった。やがて、その “Benthos” が僕たちにとって完璧な名前だと感じるようになったんだ」 どうぞ!!

BENTHOS “FROM NOTHING” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PHASE TRANSITION : THE OTHER SIDE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FERNANDO MEIA OF PHASE TRANSITION !!

“Fado Is More Than Music; It’s Emotion. It’s About Longing, Destiny, Melancholy… Feelings That Resonate Deeply. That Emotional Weight Definitely Finds Its Way Into Our Songs.”

DISC REVIEW “THE OTHER SIDE”

「深みに飢えている人がいるのだと思う。世の中にはたくさんのコンテンツがありすぎて、つながりがないままスクロールして通り過ぎてしまうのが簡単で当たり前となっている。しかし、複雑な音楽は集中力を要求し、その代わりに豊かでエモーショナルな体験を与えてくれるんだ。ツイートではなく小説を読むようなもので、時間はかかるけど見返りは大きい。それがプログを生かし続けているんだよ」
画面をスクロールして5秒立ち止まり、またスクロールして5秒立ち止まる。コンテンツは無限にあって、私たちはその宇宙の中で “消費” というあまりにも無味乾燥かつ一方通行な言葉によって、すべてを理解し堪能した気持ちになっています。しかし、まるでそのスーパーの試食コーナーだけを回るような無料の巡回で心が満たされることはあるのでしょうか?
ポルトガルのプログ・メタル新人類 PHASE TRANSITION は、感情の起伏を山のように織り込んだ長く複雑な楽曲によって、そうしたインスタントな世界を変えたいと望んでいます。GOJIRA や DREAM THEATER のグラミー受賞はその “フェイズ移行” のきっかけとなるでしょう。結局、どれだけもっともらしいことを150字で呟いたとしても、どれだけ印象的な演奏を15秒で残したとしても、それは “作品” ではなく “コンテンツ” にすぎません。私たちにはきっと、こちらも疲れ果ててしまうような、集中力と思考力要する “作品” が今、必要なのかもしれません。
「DREAM THEATER は大好きだけど、決してクローンにはなりたくなかった。このバンドのメンバーはそれぞれ違うものを持ちよっている。Sofia はクラシックの強力なバックグラウンドを持っているし、”Dark Side of the Moon” や “Kid A” を聴いて育った。僕はモダン・メタルからEDM、シティ・ポップからフュージョンまで、何でも好きだ。僕たちは自分たちを限定することはないと信じている。PHASE TRANSITION の音楽は、そうしたすべてのテイストを反映しているんだ」
大学在学中に心酔する DREAM THEATER のカバーを演奏したのが始まりで、ドラマー Fernando Meia、ギタリスト Luis Dias、ヴァイオリニスト/ヴォーカリストの Sofia Beco を擁する PHASE TRANSITION のラインナップが完成しました。しかし、”The Other Side” を聴いて DREAM THEATER のフォロワーなどと揶揄する人はいないでしょう。キーボーディストはもちろん、ベーシストもいない、伝統的な楽器編成を回避した事実からも、彼らのエクレクティックなプログレッシブ・メタルの美学が非常に意外でユニークなものであることを証明しています。
「ファドはまさに音楽というよりもエモーションなんだ。憧れ、運命、メランコリー…深く心に響く感情なんだよ。その感情的な重みは、間違いなく僕たちの曲にも表れている」
“Veil of Illusions” や “Becoming” のような楽曲にはゴシック・メタルの雰囲気が織り込まれ、もし EVANESCENCE やアンネケ時代の THE GATHERING が PERIPHERY や TesseracT と融合したら…という極上のIFサウンドを具現化していきます。この魅惑のハイブリッドの背景には、サウダージとメランコリーを根源とするポルトガルの伝統音楽ファドの血が存在し、Sofia の幽玄な歌声とヴァイオリンが Luis のウルトラ・テクニカルなギタリズムと混ざり合うことで、未曾有の温故知新、未曾有のエモーションが完成をみるのです。きっと誰もが、この壮大な音楽を5秒でスクロールすることはできません。
今回弊誌では、リーダーでドラマー Fernando Meia にインタビューを行うことができました。「音楽的には、日本のフュージョンやシティポップ、Casiopea や T-SQUARE が好きなんだ。 日本には、情緒と技術的な素晴らしさがミックスされた素晴らしいものがあり、僕は深く敬服している」 どうぞ!!

PHASE TRANSITION “THE OTHER SIDE” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ORBIT CULTURE : DESCENT】 LOUD PARK 25′


COVER STORY : ORBIT CULTURE “DESCENT”

“I Believe That Orbit Culture Will Lead The Metal World In The Future. Super Heavy And Super Melodic. Above All, They Have All The “Ingredients” That Metal Should Have! -Matt Heafy-“

DESCENT

「これからのメタル世界を牽引するのは、ORBIT CULTURE だと信じている。スーパー・ヘヴィでスーパー・メロディック。何より、メタルにあるべきすべての “素材” を備えているんだ!」
TRIVIUM の Matt Heafy はそう言って、スウェーデンのエクショーという小さな街から現れた “メタルの未来” を称賛しました。
実際、ORBIT CULTURE のメロディック・デスメタルとメタルコア、グルーヴ・メタルに80年代の古き良きスラッシュ・メタルのブレンドは、メタル界で最も期待されるバンドとして、Matt 以外の人物からも高く評価されているのです。
MACHINE “Fuckin”’ HEAD の Robb Flynn もそのひとり。彼らはUSツアーのサポートに躊躇なく ORBIT CULTURE を抜擢しました。
「言葉がないよ!よく、大好きなヒーローには会うべきじゃないなんて言われるけど、それは間違いだ。ヒーローには会うべきだよ。彼らはみんな、謙虚で素晴らしい人たちだ!」
フロントマン、Niklas Karlsson はそう言って、自らのヒーローたちからの称賛を噛み締めました。そのヒーローたちと同様、Niklals が謙虚なのはここに来るまでの道のりで苦労を重ねてきたからかもしれません。実際、エクショーがどこにあるかと尋ねても、おそらくほとんどの人はあまりピンとはこないでしょう。 しかし、スウェーデンの真ん中、あのイエテボリとストックホルムの間に位置するのどかなこの街こそ、Niklas が自分のバンドを作ろうと動き出し、今でも彼が故郷と呼ぶ場所なのです。
「子供の時からずっとバンドがやりたかった。15歳のときに近くの村からここに引っ越してきたんだ。 バンドをやっている人たちの輪に入ろうとしていてね。結局、昔のギタリスト Max Zinsmeister と友達になり、バンドをやることにしたんだ」

そうして2013年、17歳の Niklas はスウェーデンの若者らしくメタル・バンド ORBIT CULTURE (バンド名ジェネレーターで決めた) を立ち上げ、何千マイルも離れた場所で暮らす人たちの前で演奏しながら、世界中を回る旅を始めたのです。
「今日に至るまで10年かかったけれど、それは必要なことだった。成熟するためのプロセスと時間が必要だったと思う。 でも、時には大変なこともあったけど、僕はバンドを止めなかった。だって、メタルとバンドのおかげで僕は正気を保っていられるのだから」
“Nija”, “Shaman” で Niklas の不屈のボーカル・レンジも相まって勢いに乗った Orbit Cultureは、同じスウェーデンの大物で、メロデス・シーンのレジェンド IN FLAMES との US ツアーにこぎつけましたが、それは実際に訪れるまで現実味がまったくないほどの驚きでした。
「オファーを受けたときは “ああ、クールな感じだ” と思った。それから、”何が起こっているんだ?” とパニックになったんだ!
でも、IN FLAMES と一緒に演奏した初日以降は、基本的に1日おきにバーベキューをしたりで馴染んでいったよ。彼らはメロディック・デスメタルの最大手のひとつだ!でも今となっては、彼らは僕らのおじさんか、兄のような感じだ。”IN FLAMES の Anders とこんなところで話しているなんて…” って、ちょっと腕をつねってみたりね。僕たちの誰もが、このツアーを実際に起こったこととまだ受け止められていないと思う」

MACHINE HEAD や IN FLAMES とのツアーの経験が、彼らの音楽を進化させました。
「巨大なバンドがライヴをやっている間、僕たちはステージの脇に立って、彼らの話し方や、彼らが楽器を通して観客にどう語りかけるかに注目してきた。そして、 ライヴに足を運んでくれる人たちに楽しんでほしいという思いが強くなった。 それがバンドとして僕らに欠けていたものなんだ。 だから、そこに集中するようにしているんだ」
実際、ORBIT CULTURE はアルバムごとに進化を遂げてきました。
「”Nija” はとても機械的な野獣だった。サウンドスケープで巨大なものを目指していた。一方 “Shaman” は、よりライブに適したものだった。最も自然なのは、”Descent” でそれらを融合させようとすることで、そこにダークな要素や新しいものを作るのも自然なことだった。2016年のアルバム “Rasen” からの要素もある。ある部分について面白かったものを取り出して、それらをまとめようとしたんだ」

Niklas は、イエテボリやストックホルムのようなメタルの “故郷” ではなく、エクショーという小さな街で育ったことが ORBIT CULTURE のオリジナルなサウンドを生み出したと考えています。
「もし僕たちがイエテボリやストックホルムで育っていたとしたら、こうはならなかっただろうな。僕らは、シーンの一部でも何でもなかった。IMMINENCE の Christian とも話したんだけど、僕らは生まれるのが15年遅かったんだ。当時は誰もがバンドをやっていたからね。だから、自分たちの音楽を自分たちだけで作り続けていたんだ。シーンの中心から遠かったからこそ、スウェーデンのバンドだけじゃなく、USのスラッシュや METALLICA からもより多くのインスピレーションを受けることができた。もちろん、MESHUGGAH や IN FLAMES は敬愛しているけど、同時に僕たちはいつもアメリカの80年代や90年代の音楽に興味があったんだ。
もちろん、メロディック・デスメタルもまだ聴くことができるけど、僕らはそこに様々な影響を融合させたんだ。自分たちがクールだと思うものを演奏し、レコーディングしているよ」

彼らの音楽と人生を変えたバンドは、昨年オリンピックのオープニング・セレモニーで叫び、そしてグラミーを受賞しました。
「メタル仲間が “The Way of All Flesh” についてよく話していたんだ…でも、当時は METALLICA に夢中だったから、友達みんなでパーティーをすることになるまで、GOJIRA に触れる機会はなかった。 その夜、僕が知っていたメタルと音楽全般についてのすべてが変わったんだ。
パーティーのみんなは朝早くには眠ってしまっていて、僕だけがまだ起きていてゲームをしたり、新しい音楽を探し回ったりしていた。 そうして、”Where Dragons Dwell” に出会い、そのイントロが流れた瞬間、ある種の高揚感を感じた。 僕は “The Way of All Flesh” まで聴き続け、”The Art of Dying” という曲が流れてきた。 その曲を初めて体験した後、僕はヘッドホンをゆっくりと外し、緊張した目が潤んできた。 これはもう音楽ですらなく、18歳の僕の魂にまっすぐ語りかけてくる何か別のものだった。 その体験の後、僕は眠りにつき、目を覚ますと、荷物をまとめてまっすぐ家に帰り、さっき聞いたことを燃料にしてリフと曲を書いた。 あの日のことは決して忘れないだろう。
GOJIRA は METALLICA と同様、僕が何年も何年も聴き続けている数少ないバンドのひとつだ。 彼らはレコードを出すたびに、僕が最初に彼らを好きになった理由であるスピリチュアルな面を含みながら、完全に新鮮なものを作っている。 世界で最もヘヴィなメタル・バンドのひとつでありながら、悲しみ、希望、愛、怒りなど、リスナーのあらゆる感情とつながることで、完全なスピリチュアルな感覚をリスナーに与えている。つまり、僕らの屋台骨は GOJIRA と METALLICA なんだ」

AVICII の大ファンであることも公言しています。
「つまり、彼の音楽は素晴らしいけど、僕が一番興味を惹かれるのは、フックを書く能力だと思う。 ポップでハッピーな曲でも、心の琴線に触れることができるんだ。そしてそれが僕の興味をそそる。
最もダークなメタルであれ、最もポップなダンスミュージックであれ、音楽は何かを感じさせてくれることが大切なんだ」
映画 “Dune” も “Descent” の大きなインスピレーションのひとつです。
「そう、もう2回も観ている。まったく飽きることがなかったよ。ハンス・ジマーによるサウンドデザインは素晴らしかった。サウンド・デザインと言ったのは、メロディーというより、壮大なサウンドが印象的だからだ。 その広大さが映像にとても合っているんだ。 ストーリーも音楽も、どちらも重厚な映画だ。だから、次のアルバムでも “Dune” はもっと出てくると思うよ」
まさに “映画” は ORBIT CULTURE の音楽にとってなくてはならない音楽の景色となりつつあります。”The Tales of War”。彼らの最新曲は、緊張感がありながらも洗練されたシンフォニー・ストリングスのイントロで始まり、すぐに廃墟のようなギターの沼地へと沈んでいきます。Niklas は、暗闇の中を這いずり回り “恐怖の海に溺れる” と唸り、威嚇的な姿を見せながらも、アンセム的なコーラスで憧れとメロディックな救いを与えていきます。
「これまでほとんどすべてのライヴで、ムードを盛り上げるために映画のような長いイントロを使ってきた。でも今回は、曲そのものにその感覚をそのまま焼き付けるのはどうだろうと考えたんだ。映画のような要素、盛り上がり、詩、そしてコーラス。最初から、これが僕らの新時代を紹介する最初の曲でなければならないとわかっていた」

とはいえ、実験のしすぎにも気をつけています。
「実験や進化はとても大事なことだけど、あまり手を広げすぎるのもよくない。 というのも、僕はまず自分のために曲を書くし、今の僕らのサウンドが好きだから…(笑)。でも明らかに、僕はどこでもプラグインやサウンドパックを “ああ、これカッコいいな” と思って買ってしまうような人間でもある。でも結局のところ、10個の要素のうち1個を使うだけなんだ。 イントロ、ヴァース、コーラスというような、ポップでシンプルな公式が基本。僕はそれが好きだし、それが僕にとってのメタル。1秒間に100万音符を弾くような演奏はしないよ(笑)」
歌いながらギターを弾くことも簡単ではありません。
「”Nija” の3曲目に収録されている “Day of the Cloud” は、演奏するのも歌うのも大変だった。 でも、”Shaman” に収録されている “Mast of the World” という曲にはいまだに苦労している。 歌いながら同時に演奏することはなんとかできるようになったけど、ただそこにつっ立っていなければならないんだ。 完全に時間通りにやらないとスタミナが続かない。 他のメンバーとの連携が取れていないと、平坦なものになってしまう」
“Descent” を作るにあたって、Niklas が考えていたのは静寂を使ったダイナミズムでした。
「ほとんどの曲は、ジェットコースターのように上下する。それが僕らの好きなところなんだ。アルバムの流れについてもっと考えている。”Descent” の最後を飾る “Through Time” は、星間的な雰囲気の曲で、いい感じだった。45秒間大音量で鳴り響き、その後に静かな音楽が鳴り響く。僕はそれが好きだ。そうありたいんだ。NIRVANA のようなね。ライヴ向きのアルバムにしたかったんだけど、最終的にはこの巨大でダークなモンスターになった。最高の山から最低の奈落の底まで。ただ、僕はギターがそんなに上手くないから、曲を作るときは、自分ができることにとどめているんだよ」

苦労と実験の長い道のり。それでも、1400年代にまで遡る歴史的で、しかし小さな町から生まれたヒーローは常に前を見据えています。
「最初の頃は大きな問題を抱えていた。 僕は一体何を間違えているんだ? って。それから他人のせいにしたり、そんなくだらないことを始めた。 ORBIT CULTURE で何をしたいのか、目的を見失いかけていた。 ただ曲を書いて、カッコいいアルバムやカッコいいアルバム・カバーを作りたかったんだけなんだけどね。 でも同時に、外に出て演奏しなければならないことも分かっていたし、そのためにふさわしい仲間を見つけなければならないことも分かっていた。 幸運なことに、それがうまくいった。 特にスウェーデンのこんな人口10000人の小さな町から来たのは超レアだ。 ここで音楽をやっている人はもうそんなに多くないし、僕が知っている限りではね。 それが僕らを家族のように感じさせてくれた。ファンのコメントで、何か暗い経験をしていると書いてあるのを見ると、自分もそういうことを考えることがあるんだ。 僕らの音楽に共感してくれるなんて、本当に素晴らしいことだよ。 僕らの音楽が人々の助けになるなら、僕らにとってはそれで十分なんだ。僕たちは兄弟みたいなもので、みんなと ORBIT CULTURE を共有できることに興奮しているよ」

 参考文献: KERRANG! MUSIC CULTURE REVIEWS COVER STORY THE K! PIT STORE MAGAZINE BUY NOW SPRING 2025 FEATURES “This keeps me sane, I have to do this”: Meet Orbit Culture, the band Matt Heafy is calling the future of metal

REVOLVER :”HIGHEST MOUNTAIN, LOWEST ABYSS”: INSIDE ORBIT CULTURE’S MOST EXTREME ALBUM YET

NEW NOISE MAG:INTERVIEW: SWEDEN’S ORBIT CULTURE ARE SHOOTING FOR THE STARS

KNOTFEST:Niklas Karlsson Of Orbit Culture Talks Their Rise, Touring With In Flames and More!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KING GARCIA : HAMELIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KORNILIOS KIRIAKIDIS OF KING GARCIA !!

“The Clarinet, In Particular, Has a Fascinating Quality: It Offers Freedom Between Tempered And Non-Tempered Systems, Opening Up Countless Musical Pathways. It Can Transform From a Sweet, Intimate Instrument To a Scream Of Despair, Making It Incredibly Expressive.”

DISC REVIEW “HAMELIN”

「ハーメルンの伝説は、社会的にも政治的にも、多くの文脈に適用できる。芸術家は常に、はみ出し者、フリンジ (奇抜な狂信者、過激派) として扱われてきた。しかし、芸術には世界を動かす力があると同時に、世界を止めてしまう力もあるんだ。救うことも破壊することも、団結させることも分断させることもできる。重要なメッセージは、権力の行使、あるいは行使の誤りこそが、救世主と暴君を分けるということだ」
欲望に魅入られた権力者の心ない、愚かな行為や圧政、暴力に差別はいつの世にも存在します。そしていつの世も、そんな理不尽や抑圧を引き受けるのは弱い者、はみ出し者、社会の常識に収まらなかった者。
ドイツの寓話、”ハーメルンの笛吹き男” では、ネズミ退治を請け負った 笛吹き男が報酬を支払ってもらえず、怒って町の子どもたちを笛の音で誘い森へと連れ去りました。一方で現代メタルの “笛吹き男”、ギリシャの KING GARCIA は暗い世にはびこるあらゆる種類の腐ったネズミたち-政治家、侵略者、宗教家-をその笛の音で何処かへ連れ去ろうとしています。こうした寓話から読み取れることは何でしょう?”生産性” がないと切り捨てられた人に、実際は世界を動かす力がある?芸術に秘められた諸刃の剣?とはいえ、その寓話と言葉のないアルバム “Hamelin” の受け止め方はリスナーの耳に委ねられています。
「僕たちはクラリネットやトランペットのような管楽器を “伝統的な楽器” として使っているわけではないということだよね。僕たちにとって最も重要なのは、木管楽器や金管楽器のサウンドと、それがもたらすユニークな特徴なんだ。特にクラリネットは魅力的な性質を持っている。調律された音と調律されてない音の間で自由を提供してくれて、数え切れないほど音楽の道を開いてくれる。甘く親密な楽器から絶望の叫びまで変幻自在で、信じられないほどの表現力を発揮するんだ」
実際、モダン・メタルの笛吹き男、その異名は伊達ではありません。クラリネットを主軸にトランペット、バグパイプ、ガイダ、カヴァルといった多彩な管楽器を駆使するのは、バンドの “声” の幅を広げるため。もちろん、ひとつの楽器、ボーカルやギターを “声” に据えてもその才能によって幅を広げることは可能ですが、KING GARCIA は楽器自体を入れ替えるという手法で “声” の多様さを追い求めようとしています。さらに、主軸となるクラリネット、そのギターで言えばフレットレスのような調律のフレキシビリティーがさらに “声” の可能性を押し広げていきます。
「伝統的なギリシャ音楽の影響が僕たちのスタイルにシームレスに織り込まれ、KING GARCIA のサウンドの豊かさと独自性を際立たせている。僕たちの音楽的伝統への敬意は、創造性を制限するものではなく、むしろそれを高め、僕たちの作品に聴衆と直接共鳴する深みを与えているんだよ」
そうした “声” の幅広い可能性は、KING GARCIA の肉体、その音楽的基盤の多様さによってさらに増幅されていきます。ただし、彼らが血肉としてきた影響の数々は、決して意図的ではなく有機的にその体内を巡ります。PAIN OF SALVATION, MESHUGGAH, QUEENS OF THE STONE AGE といったプログレッシブ/オルタナティブの極北、その雫は KING GARCIA の原衝動である ギリシャの伝統音楽とシームレスに混ざり合い、ガイダやカヴァルといった彼の地の伝統楽器を心臓にその体内を駆け巡ります。もしエンニオ・モリコーネやジョン・ウィリアムズがメタルを作ったら…そんな “If” の世界を実現できるのは、きっと彼らだけではないでしょうか?
今回弊誌では、ベーシストの Kornilios Kiriakidis にインタビューを行うことができました。「オンライン中毒による注意力の分断が事実上すべての人に影響を及ぼしている時代において、5秒以上続くものは今やリスクとみなされている。しかし、日常生活の中には、このような注意散漫が侵入できないわずかな時間がまだ残されているんだ。複雑で要求の多い音楽が輝きを放つのは、こうした瞬間なんだよ」 MOTHER OF MILLIONS のメンバーが参加、NEED のプロデューサーが手がけたギリシャ・メタルの最高到達点。どうぞ!!

KING GARCIA “HAMELIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHANGELING : CHANGELING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM “FOUNTAINHEAD” GELDSCHLÄGER OF CHANGELING !!

“Hans Zimmer Famously Said That His Music Is Not Original, But It Is The Sum-total Of All The Music That He’s Consumed In His Life – And That Is Also True For Me.”

DISC REVIEW “CHANGELING”

「Hans Zimmer の有名な言葉に、”自分の音楽はオリジナルなものではなく、人生で消費してきた音楽の総体である” というものがある。そしてその言葉は、僕にとっても真実なんだ。僕は若い頃からオーケストラ音楽に興味があり、10代で初めてレコーディングしたときから、さまざまな種類の楽器を重ねたりオーケストレーションしたりすることで、ロックバンドのサウンドを超えることを試みていた。まだ10代の頃に書いた曲を収録した僕の最初のソロ・アルバムでさえ、オーケストラ・パートや世界中のパーカッション・サウンドがあり、さまざまなジャンルや音楽の伝統から影響を受けている。それが僕の頭の中の音楽の聴こえ方なんだと思う」
“モダン・メタルの歴史上最高傑作のひとつ”。AMOGH SYMPHONY で共闘した Vishal J Singh は、戦友 Tom “Fountainhead” Geldschläger の新たな旅路をこう称賛しました。その言葉は決して大げさなものではありません。長年、艱難辛苦に耐え抜いたフレットレス・モンスターは、これまでの人生と音楽体験をすべて注ぎ込み、モダン=多様を完璧なまでに体現しためくるめくメタル・アートを遂に完成させたのです。
「メディアだけでなくギター業界も、僕のプロとしての全生涯を通じて僕の作品をほとんど無視してきたからね。そしてもちろん、世界各国のアルバム・チャートにランクインした “Akroasis” を通して、ようやく世界中の聴衆に僕の作品を聴いてもらえたというのに、OBSCURA のバンド・リーダーによって、”Tom のパートを再録音した”、”アルバムにはフレットレス・ギターがない”、”Tom はスタジオでギターのチューニングもできない” と嘘の中傷キャンペーンを展開されたときがその最たるものだったね。それだけでなく、僕のビデオはほとんど削除され、僕のソーシャルメディア・ページは何度もハッキングされ、いじめられたり、せっかく僕の活動に興味を持ってくれていたオーディエンスから切り離されたりするケースもたくさんあった。だから、そうした僕の旅路が “Changeling” でやっとメディアの注目を得ただけでね。このアルバムを聴いて、斬新だと思われるのはよくわかるけど、実は僕はもう20年くらいフレットレスでメタルやそれに関連するスタイルを演奏してきたんだ」
Fountainhead が正当な評価を得るのにここまで時間がかかったのは、あまりに遅すぎたとしか言いようがありません。そして皮肉なことに、その評価の妨げとなっていたのは他でもない、彼を世に送り出した OBSCURA の “Akroasis” だったのです。
実際、Fountainhead は OBSCURA の最も野心的な作品となった “Akroasis” の源泉でした。15分の “Weltseele” では東洋の影響と弦楽五重奏を加え、魅惑の実験的スタイルでアルバムを締めくくるなど Fountainhead の貢献、その大きさは誰の目にも明らかであったにもかかわらず、近年よりその人間性が疑問視される OBSCURA の首領 Steffen Kummerer によって彼の存在は抹殺されてしまったのです。しかし豊かな才能は決していつまでも草庵で燻るべきではありません。遂に臥薪嘗胆が報われる日が訪れたのです。まさにメタルの回復力。
「フレットレス・ギターの長所と短所だけど、普通のギターではできないことを実現してくれる。微分音、グリッサンド、ハーモニクスをスライドさせたり、指板を縦よりも横に動けたり…本当にとても楽しいんだ。ただし、コードとなるとできることには限界があって、高音域でのサスティーン、演奏性にも限界がある。また、僕がよく使うメタル・フィンガーボードとブラス・ピックを使っても、ハイエンドを出すには限界があるんだ。だから、”フレットのない普通のギター” ではなく、”ユニークな目的&シチュエーションのためのユニークな楽器” としてアプローチするのが一番効果的なんだよね」
まずこの作品を特別なものにしているのが、Fountainhead のトレードマークであるフレットレス・ギターでしょう。フレットのない耳が頼りの弦楽器は、当然その習熟により大きな労力と鍛錬を必要としますが、あの Bumblefoot に薫陶を受けた Fountainhead にとってこの楽器はむしろ水を得た魚。輝くメタル・フィンガーボードで、この音楽にとって異質な夢幻の世界をフレットレス・ベースと共に紡ぎ上げていきます。
「アルバムのオーケストラ・パートの99%は本物の楽器なんだ。そう、それはとても大変で長いプロセスだった。既存のオーケストラと協力して、大きな部屋ですべてを生録音する手段がなかったからだ。 その代わり、数年かけていろいろな楽器やラインをいろいろな場所で録音した。そのために、さまざまなプレイヤーを起用する必要があったんだ。このアルバムのコンセプトのひとつは、曲ごとにまったく異なる形のオーケストレーションにすることだったから」
とはいえ、フレットレスの異端でさえこの作品にとっては飾りのひとつに過ぎません。ALKALOID, FEAR FACTORY, VIPASSI, DEATH, CYNIC といった強力なメンバーを礎に、混成合唱から、チェロ、フルート、ホーン、ピアノ、チューバ、ヴァイオリン、ヴィオラなど、あらゆる楽器でデザインされたテクニカル・デスメタルの宮殿は、ジャズ・フュージョン、プログレッシブ・ロック、ワールドミュージックを融合してまだ見ぬメタル景色を映し出していきます。アルバムを通して何度も登場し、クライマックスで花開くモチーフの成長も見事。そして、野心という実験音楽における諸刃の剣をしっかりと制御し、地に足のついたメタル・アルバムとして完成させたバランス感覚もまた見事。
今回弊誌では、Tom “Fountainhead” Geldschläger にインタビューを行うことができました。「”Changeling” には日本文化から直接影響を受けた曲が1曲あってね。”Abdication” なんだけどこの曲は、僕が最も影響を受けた音楽家の一人である久石譲の和声言語とオーケストレーション・スタイルを取り入れたものなんだ」これまで何度も弊誌に登場してくれている Morean の声も素晴らしいですね。どうぞ!!

CHANGELING “CHANGELING” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANCIENT DEATH : EGO DISSOLUTION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JERRY WITUNSKY OF ANCIENT DEATH !!

“Pink Floyd’s My Biggest Influence. I Picked Up a Guitar When I Was 4 Years Old Because Of David Gilmour From Watching Pink Floyd Live at Pompeii. So My Natural Style Is Just Things I Picked Up From Listening And Watching Him.”

DISC REVIEW “EGO DISSOLUTION”

「ATHEIST, CYNIC, DEATH…ANCIENT DEATH はこれらのバンドなしでは存在しなかっただろう。僕がそうした “グループ” を知ったのは、10歳か11歳の頃だった。当時クールだった “トレンド” の枠を超えて、より傷つきやすく内省的なところから曲を書くことで、個人として、ミュージシャンとして、自分らしくいられることを教えてくれたんだ。その体験は文字通り、僕の世界を変えた。僕は今年28歳になるけど、彼らは今でも当時と同じくらい僕にとって重要な存在だよ」
真の芸術は時の試練をものともせず、時代を超え、そして受け継がれる。メタルコアや Djent 直撃世代の Jerry Witunsky は、そのトレンド以上に探求すべきプログレッシブなデスメタルの審美と人間味に魅了され、情熱を注ぎ、ついには日本で愛するバンド ATHEIST の一員としてライブを行うという夢を叶えようとしています。その夢の実現のために大きな助けとなったのが、彼の世界観を体現した ANCIENT DEATH だったのです。
「”Ancient Death” という名前は僕らにとって実に意味があるんだ。それは、僕らの曲 “Voice Spores” の歌詞にある。ここで基本的に語っているのは、今は否定が否定を生み、それが僕たちを互いに分断しているということ。僕たちの見解では、否定性こそが人と人とのつながりにおける古き良き “古代の死” なんだよね」
憂鬱、悲しみ、心の平和、自己成長といったテーマを探求することで、ANCIENT DEATH は、人々がやがて自分自身にも他人にももっと優しく、寛容となり、共感できることを願っています。SNS では他者を否定し、断罪し、攻撃して溜飲をさげる行為が当たり前となった現代。彼らはそんな時代を古き良き “古代の死” と命名しました。デスメタル世界の “つながり” によって夢を叶えた Jerry は、心と魂のつながりの強さを信じています。つい最近、地球上で最も影響力のある人物が共感は “西洋文明の根本的な弱点” だと言及したばかりですが、だからこそ彼らのデスメタルはそうした合理主義に反旗を翻していきます。
「PINK FLOYD に一番影響を受けたっていうだけなんだ。彼らの “Live at Pompei” を見て、David Gilmour の影響で4歳のときにギターを手にしたんだからね。だから僕の自然なスタイルは、彼の演奏を聴いたり見たりして得たものなんだ。また、サウンドトラックの大ファンで、特に宮崎駿監督の映画は大好きで、1作を除いてすべて久石譲が手掛けているよね。僕にとって音楽とは、解放の場なんだ。誰かに何かを “感じさせて”、違う場所に連れて行く…それこそが美しいことだよ」
ANCIENT DEATH の音楽は、メタルを別次元に誘った80年代後半から90年代前半の、プログレッシブで実験的なデスメタルの鼓動を宿しています。しかし、オールドスクールなデスメタルに正直で真っ直ぐでありながらも、決して過去の焼き直しだけには終わりません。音楽を先に進めることこそ、彼らが先人から受け継ぐ美学。彼らがほんの数秒前まであった場所とは全く違う方向へと聴く者を連れて行くような、豊かなサウンドの雰囲気を作り出した時の驚きは、決してあの BLOOD INCANTATION に負けるとも劣らず。
90年代、DEATH や CYNIC が開拓したデスメタルの実験は、オフキルターなリズム、脈打つベースライン、幻覚的なギターの響きで、さながら THE DOORS や PINK FLOYD が見せる精神的な深みへと移行していきます。時折歌われるクリーンな祈りは、濃い瘴気の中で聴く者に手を差し伸べる静寂の声。
常に移り変わるムード、複雑なドラム・パターン、不可解な拍子記号がジグソーパズルのように組み合わさったアルバムは、それでも “Ego Dissolution” エゴを捨て去りすべてをアートとデスメタルのためにのみ捧げられています。だからこそ彼らは、ゴア描写や反宗教的な歌詞にこだわるのではなく、デスメタルらしい安っぽさや陳腐さを感じさせることもなく、私たちの感情の内面や魂の本質を探る、より深いトピックに踏み込んでいくことができたのです。
今回弊誌では、Jerry Witunsky にインタビューを行うことができました。「Rand Burkey は、僕にとってメタル界で最も影響を受けたギタリストだろう。彼のソロとメロディーは他のギタリストにはないものだった!14歳の頃、寝室で彼のパートをかき鳴らし、まるで自分が書いた曲のように人前で演奏することを夢見ていた僕が、実際にステージに立って彼らとまさに同じ曲を演奏しているなんて!デスメタル世界の心とつながりは、とてもパワフルなものだよね」 どうぞ!!

ANCIENT DEATH “EGO DISSOLUTION” : 10/10

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