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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KANSAS : THE PRELUDE IMPLICIT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PHIL EHART OF KANSAS !!

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Legend Is Back!! The Throne Of US Prog Rock, Kansas Has Just Released Their New Masterpiece “The Prelude Implicit” For The First Time In 16 Years !!

DISC REVIEW “THE PRELUDE IMPLICIT”

US Progressive Hard の始祖にして、アメリカにプログロックを根付かせた英傑 KANSAS が何と2000年以来16年振りの新作 “The Prelude Implicit” をリリースしました!!
オリジナルメンバー、シンガー、メインソングライター、つまりはバンドの顔であった Steve Walsh の脱退と、3人の新メンバー加入を経てリリースされた作品は、新たな生命を得たかのような瑞々しさと自信に満ちています。
新しいフロントマン/キーボーディスト、Ronnie Platt の歌唱は、間違いなく作品に強い生命力を与えています。映画 “Rock Star” のように、全く無名だった Lombard のカバーバンドのシンガーは、突如、自身も敬愛するプログレジェンド KANSAS のフロントマンに抜擢されました。そして、JOURNY の Arnel Pineda のように、そのチャンスを見事ものにしたのです。
「僕のゴールは Steve の代わりになることじゃないよ。それは誰にも不可能だからね。だけど、KANSAS の品位を保っていく責任はあるんだよ。」と語る彼のパフォーマンスは、Steve へのリスペクトを提示しながらも、若さと推進力を伴い実に魅力的。
特に、”The Unsung Heroes” での歌唱は傑出しています。インタビューでも語ってくれたように、国のために死んで行った戦士たちへの鎮魂歌は、普遍的なアメリカンシャッフルを、中間部のギター/ヴァイオリンのアンサンブルが素晴らしいとは言え、ほぼ歌唱のみで名曲の域まで高めているという点において、JOURNY の “Lovin’, Touchin’, Squeezin'” と通じるものを感じます。発する極上のエモーションと、凄まじいレンジのハイノートは Walsh の代役以上の個性を間違いなく発揮していますね。
新ギタリスト Zak Rizvi の貢献にも触れておくべきでしょう。共同プロデューサー、共同ライターとしてもクレジットされた彼の才能は、今回インタビューを受けていただいた Phil と2人きりとなったオリジナルメンバーで、長年バンドを支えてきた隻眼のギタリスト Rich Williams をも充分に刺激したようで、”The Prelude Implicit” では、”Masque”, “Leftoverture” 期のようなスリリングなリフを存分に味わうことが出来ますね。
“Visibility Zero” にはまさにその成果が結実しており、こちらも新メンバー、David Manion がもたらすプロギーなハモンドサウンドとギター、そして勿論 KANSAS を象徴する楽器、ヴァイオリンのトリプルデュエルが無上のスリルを生み、70年代中期の KANSAS をイメージさせつつ、よりヘヴィーな現在のサウンドを提示しています。
さらに、プログレッシブという観点から見れば、8分の大曲 “The Voyage of Eight Eighteen” は KANSAS のプログサイドを象徴する楽曲です。多数のマルチプレイヤーが存在することで可能になる濃厚かつ重厚なサウンド、プログロックらしい変拍子やキメの美学、そしてかつてのユーロプログに対するUSからの憧れが、ヴァイオリンを使用したフォーキッシュなメロディーとして表層化した結果、あの “The Pinnacle” を超えるような新たな名曲として仕上がりました。現役プログロックバンドとしての矜持を見事に示したと言えますね。
勿論、KANSAS と言えば、”Carry On Wayward Son” や “Dust In the Wind” のような POP センスも重要な1面ですが、今作はボーカルメロディーがアルバムを通してカラフルかつ非常に充実しており、コンパクトな “Summer” はキャッチー極まりないメロディックハードソングですし、”Crowded Isolation” の哀愁も深く胸に染みます。
傑作 “Leftoverture” 40周年に、堂々たる王者の帰還です。Anderson / Stolt の “Invention of Knowledge” と双璧を成す、今年の Masterpiece of Prog Rock だと信じます。今回弊誌では、ダイナミックなドラミングで作品のエンジンとなった、オリジナルメンバー Phil Ehart にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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KANSAS “THE PRELUDE IMPLICIT” : 10/10

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