EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAM MEADOR OF XANTHOCHROID !!
More Extreme, Yet More Delicate. More Vast, Yet More Intimate. Xanthochroid’s “Of Erthe and Axen” Attempts To Further Broaden The “Cinematic Black Metal” Horizons !!
DISC REVIEW “OF ERTHE AND AXEN”
プログレッシブエクストリームのイノベーションを志望する、南カリフォルニアの野心的なカルテット XANTHOCHROID が至高なる2枚組の新作 “Of Erthe and Axen” をリリースしました!! “ロードオブザリング” や “ゼルダの伝説 時のオカリナ” にインスピレーションを得たというその壮麗かつ耽美なファンタジックワールドは、”シネマティックブラックメタル” の呼称に相応しいロマンとイマジネーションを運びます。
ブラックメタル、プログメタル、プログロック、シンフォニック、フォーク、クラシカル。XANTHOCHROID のカラフルで奥深いタペストリーは、OPETH, EMPEROR, ENSLAVED, JETHRO TULL, RENAISSANCE の豊潤なるミックスなどとも評されます。ただし、デビュー作から続く壮観なコンセプトストーリーをベースとした、大作映画や RPG のサウンドトラック的なアプローチは確かにバンドの確固たるアイデンティティーとなっているのです。
XANTHOCHROID が紡ぐ “Etymos” の物語は、王の血を引く Thanos と Sindir (後に Ereptor) 兄弟による闘争憚。”Of Erthe and Axen” では、”Incultus”, “Blessed He With Boils” 以前、二人の子供時代の出来事を、愛、嫉妬、魔法、戦争、そして欺瞞のエッセンスを交えつつ克明に描いているのです。
“Etymos” のエピック第一幕は、壮大なオーケストレーションと繊細でフォーキッシュな二つの小曲で幕を開けます。作品の全体像を暗示するような意を異にする二つのイントロダクションは、多彩な楽器の導入と新加入の女性シンガー Ali Meador の美麗なる歌声を披露し、共にバンドの拡がる可能性を伝えていますね。
不穏で不気味なディストーションサウンドが静寂を切り裂く “To Higher Climes Where Few Might Stand” はまさに XANTHOCHROID の真骨頂。EMPEROR や OPETH の面影を、クワイアやシンセサイザーで大仰にドラマティックに味付けしたシアトリカルな8分間は、Sam の邪悪なグロウルと伸びやかなクリーンを羅針盤に、ジギルとハイドの如く静と動を行き来します。6拍子のフォルクローレが、ホーンとストリングスを伴って鮮やかにメタリックな華を満開とする中盤の超展開は筆舌に尽くし難いほど見事です。
“To Souls Distant and Dreaming” で DREAM THEATER の遺伝子を垣間見せた後、Sam のパーカッシブギターは進化の証である “In Deep and Wooded Forests of My Youth” を導きます。マンドリンやアコーディオン、フルートを取り入れた JETHRO TULL をも想起させるフォーキーでロマンチックなデュエットは、朗々とした Ali と Sam の歌声でリスナーを月明かりが差し込む深き森、木々の騒めきへと誘うのです。
「”Act Ⅱ” は “Act I” に比べてメタルの要素が強調され、より長いアルバムになっているね。」 とSam が語るように、アルバムの第二幕はアートワークの変化も伴って、大円団に向けてその硬質と絢爛を増して行きます。
男声と女声のクワイアとピアノの流麗な響をイントロとしたあまりに豪壮でドラマティックな “Through Chains That Drag Us Downward” はその象徴でしょう。Sam の背徳的アジテイトや時折挿入されるブラストビートは、確かにバンドのルーツを示しますが、とは言えあまりに拡大された楽曲全体のデザインを鑑みれば、Sam が 「自分たちをブラックメタルと呼んでいるのはジョークのようなもの」 と語ることにも頷けます。
実際、Sam の歌唱が Hansi Kursch を思わせる “Of Aching Empty Pain” などではシンフォニック/シネマティックメタルのパイオニア BLIND GUARDIAN の領域、絢爛さにまで接近しているようにも思えます。
アルバムは、クラッシックなオペラの如く華麗で重厚な11分の大曲 “Toward Truth and Reconciliation” で濃密でダイナミックな作品をリトレイスするかのように幕を閉じました。
今回弊誌では、ボーカル、ギター、キーボードを担当する Sam Meador にインタビューを行うことが出来ました。今回も Jens Bogren がマスタリングを担当しています。全てを DIY で賄っているため知名度こそ低いものの、そのクオリティーは最上級。どうぞ!!
XANTHOCHROID “OF ERTHE AND AXEN ACT I & Ⅱ” : 9.8/10
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