EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH IGOR & ARNAUD OF UNEVEN STRUCTURE !!
The Metz-based Intellidjent Sextet, Uneven Structure Have Taken For Six Years To Come Back! Lush, Expansive Their New Record “La Partition” Is Definitely Worth Waiting For!!
DISC REVIEW “LA PARTITION”
フランス、メッツからアンビエンスとポリリズムの神秘的不均衡を創造する UNEVEN STRUCTURE が待望の新作 “La Partition” をリリースしました!!6年という長い月日が五線譜に刻んだアーティスティックで壮大なストーリーは、バンドの劇的な進化、成熟を伝えています。
2011年にUNEVEN STRUCTURE がリリースしたデビューフルレングス “Februus” は、Djent というナードでしかし肝要なムーブメントにおいて、不可欠な存在として揺るぎない地位を築いています。例えば、PERIPHERY のセルフタイトルや ANIMALS AS LEADERS のセルフタイトル がシーンのマイルストーンとなったように、”Februus” のポリリズムが運ぶメッセージと、ポストメタルに通じる幽玄なアトモスフィアが織り成す深秘なる異空間は、後続がデザインする音楽の形に大いなる影響を与えたに違いありませんね。
しかしバンドは、アルバムをリリースして以降6年間、2013年に VILDHJARTA の Robert Luciani が歌っていたデビューEP “8” を、現在のボーカル Matthieu Romarin と共にリレコーディングを行った以外は沈黙を続けることになります。6年という月日は、特に新たなムーブメントにとって実に長い静寂です。事実、この6年間で、PERIPHERY, ANIMALS AS LEADERS, TesseracT といった当時の同胞はメジャーなポジションを掴み取り、何よりその中で Djent というムーブメント自体はシーンと同化の道を辿り、終局を迎えているのですから。
インタビューにもあるように、しかし例えビジネスや時流を犠牲にしたとしても、この6年はバンドにとって絶対的に必要なクリエイティブプロセスでした。
Arnaud が 「例え新作に僕たちのシグニチャーサウンドが盛り込まれているとしても、僕たちの音楽は急激な変化を遂げている」 と語るように、人生やクリエイティビティーの充足が生みだした “La Partition” は、自身のルーツである Djent さえも、深化を遂げた多様で濁流の如きサウンドストラクチャーの一部として軽々と飲み込んでいるのです。
「僕たちのストーリーはアトモスフィアとエモーションが時に融和し時に反発し、二面性、もしくはある程度の双極性を孕んで進んで行くんだ」 と語るように、”La Partition” は鋭利で不均衡なリフワークと、愛おしむようなアンビエンスの波が、絶え間のないハーモニーとコントラストを描きながら “The Little Mermaid on drugs” のストーリーを伝えて行きます。
実際、この壮大なコンセプトアルバムは、ドラッグや性癖、人間に限らず音楽にも強い “依存性” が存在することを身をもって証明しているのです。
“Februus” の続編であることを確信させる陰鬱なピアノの響きがアルバムオープナー、 “Alkaline Throat” を導くと、レイヤーされた6つの異なるストラクチャーはステレオ領域全てを使用し激情の波長を奏で、バンドの厳なる鼓動を放ちます。ただ、巨大な不協和音、混沌のサウンドウォールに差し込む Matt のクリーンボイスのみはは、ダークで熾烈な楽曲において時に異質な存在にも映る一筋の淡い光にさえ思えるでしょう。
そして、インダストリアルなムードを湛えた “Brazen Tongue”、文字通りクリスタルの如き透明なメロディーが秀逸な “Crystal Teeth” を辿るうち、異質だったその淡い光はメランコリーの海へと放射され、アルバム序盤を覆っていた暗闇は徐々に崇高なる神秘へと変貌していきます。 このメランコリックなドリームスケープこそ、インタビューで Matt のインプットが増えたことが最も大きな変化だと語った理由かも知れませんね。
アルバムのハイライトは、バンドの今を余すことなく伝える6年間の結晶 “In Cube”, “Succube” の2曲で訪れます。ALICE IN CHAINS が降臨したかのようなコーラスワークで幕を開ける “In Cube” は実際、あまりにもエクレクティックです。
Djenty かつマスマティカルなリフストラクチャーと同調する、オルタナメタルの憂いを帯びた美麗なるメロディーは、シューゲイズの光を浴びて刹那的に希望のポストメタルへと表情を移します。怒り、悲しみ、憔悴、そして淡い希望。様々な感情のメタファーを通過した楽曲が辿り着く場所は安寧の Ambidjent だったのかも知れません。ここでは確かに、Djent が主役ではなくキャストの一人として素晴らしくサウンドを支えていますね。
レコードのメランコリーが最高潮を迎える “Succube” では、さらに遥かなるシンセウェーブ、クラシカル、ゴシックの境地にまで達します。鳴り響くオルガンサウンドは、同郷の PERTURBATOR をイメージさせるほどに荘厳で、きめ細かく設計された低音8弦ギターと絡み合うモダンな対位法は Matt のベストワークを得て作品のクライマックスへと昇華していくのです。
一度や二度聴いただけで易々と本質に迫れるアルバムではありません。ストーリー、コントラスト、多様性を軸にリピートを重ね思考を巡らせれば、毎回新たな喜びと発見を見出し遂には “La Partition” の依存症となっているはずです。
今回弊誌では、バンドの創立メンバーでギタリスト Igor と、新加入ドラマー Arnaud にインタビューを行うことが出来ました。5アルバムを見れば彼らの絶妙なセンスが分かりますよ。どうぞ!!
UNEVEN STRUCTURE “LA PARTITION” : 9.7/10
INTERVIEW WITH IGOR & ARNAUD
Q1: At last, your newest album “La Partition” is just out now! It’s for the first time in six years! Six years!! How do you feel now? Why did it take such a long interval?
【ARNAUD】: We feel great, we feel relieved. ‘La Partition’ is the product of a deep and intense work and reflection. We had to take a break from writing after the release of ‘Februus’, we didn’t have anything more to say at this time. It took us a couple years to live our lives, learn, mature, and build new experiences to write music about.
Q1: 遂に最新作 “La Partition” がリリースされましたね!新作フルアルバムとしては実に6年振りとなりました。今はどういったお気持ちですか?
【ARNAUD】: 凄く良い気分だし、安心しているよ。”La Partition” は深く、強烈な仕事と省察の産物だからね。
僕たちは “Februus” を書き終えリリースした後、休息を取る必要があったんだ。あの時点ではもう何も生まれないことが分かっていたからね。
自分自身の人生を生き、学び、成熟し、音楽を書くための新たな経験値を蓄えるのに何年かかかった訳さ。
Q2: Six years is a long time in prog. Modern Prog/ Djent acts like Periphery, TesseracT, set a position and became major in this six years. And the appearance of the scene has also changed. Don’t you think it had to be released soon?
【IGOR】: Six years is what was necessary for us to write and release this album. I mean we’re not gonna rush a release because another band releases an album or the face of whichever scene we’re tied to is moving. We’re into music because we want to do something that excites us and sets us apart from other bands. Not better, just offering a different experience from what is currently available. This takes time to make it right and obviously isn’t a very good “business move” but we’re not here for this.
Q2: ただ、音楽シーンにとって6年とは長い時間ですよね?プログシーンも変化を遂げ、PERIPHERY や TesseracT はメジャーなポジションを得ています。
【IGOR】: 僕たちがアルバムを完成させリリースするためには6年が必要だったんだ。つまり、他のバンドがアルバムをリリースしようが、僕たちのシーンが移り変わろうが、リリースを急ぐ気はなかったんだよ。
僕たちは音楽だけにのめり込んでいるんだよ。自分たちがエキサイト出来る、他のバンドと違う何かを作りたいからね。確かに、時間がかかってしまうのは、明らかにあまり良い”ビジネスのやり方”ではないけど、僕たちはその”ビジネス”ためにバンドをやっている訳じゃないからね。
Q3: Anyway, when you named the record “La Partition”, what was in your mind? I feel “La Partition” has two partitions, the one is aggression, and atmosphere is another. Also, the artwork seems to be separated. What did you want to divide in this album?
【ARNAUD】: Well, in this particular case, ‘La Partition’ is the french word for a music sheet, a score. It explicits the main object of the album. But still, you’re right about this; our story goes through a duality, some sort of bipolarity in behaviour, atmospheres, emotions, both embracing, and battling with each other, until it all forms one entity to reach a climax. That’s what we wanted to express at least.
Q3: アルバムは、タイトル、アートワークが示すように、アグレッションとアトモスフィア2つの要素が”パーテーション”で区切られているようにも思えます。
【ARNAUD】: いや、今回のケースで “La Partition” というフランス語は、ミュージックシート、スコアを指すんだよ。それがアルバムのメインテーマとなっているんだ。
だけど君が正しい部分もあってね。僕たちのストーリーはアトモスフィアとエモーションが時に融和し時に反発し、二面性、もしくはある程度の双極性を孕んで進んで行くんだ。クライマックスで全てが一つの実体を形成するまでね。これが僕たちの表現したかったことなんだよ。
Q4: “La Partition” starts “Throat”, “Tongue”, “Teeth”, and ends with “Scent”. Do you have any concept in the album? Could you tell us about lyrical themes?
【IGOR】: The whole album tells a story yes, linked to the previous album. It’s about how addiction (not necessarily to drugs, addiction to someone, to any habits) can bend your core values so much that you become a spectator of your own life. ‘La Partition’ relates the descent of a sailor tasked for bringing back the music sheet of the mermaids chants.
Q4: アルバムは、’喉” “舌” “歯” という言葉を含む楽曲で始まり、”匂い”という言葉で終わります。どういったテーマが存在するのでしょう?
【IGOR】: アルバム全体は、前作とリンクしたストーリーを伝えているよ。依存が人の核となる価値をいかにねじ曲げるかについての話なんだ。
自分自身が人生の傍観者となってしまうほどの強い依存は、ドラッグに限らず、人や様々な習慣にも起こりうるんだよ。”La Partition” は人魚の歌が記された楽譜を取り戻すために、没落する船乗りの話なんだ。
Q5: How was the writing process? Jean & Aurelien left, and Arnaud & Steeves join in the band. Did the member change influence the songwriting of the band?
【IGOR】: Steeves arrived at the very end of the writing process but he was someone I’ve been writing and sharing music for as long as I can remember so I guess he took part in shaping the sound of both La Partition and our previous album Februus. Arnaud has allowed us to go farther with drums on the album, allowing them to be an integral part of the song writing rather than a mere support to melodies and rhythms. In the end the major change in influences was the addition of Matt’s (vocalist) influences to the mix as he arrived very late for the previous album.
Q5: Jean と Aurelien がバンドを離れ、Arnaud と Steeves が新たに加わりました。メンバーチェンジはバンドのライティングプロセスに影響しましたか?
【IGOR】: Steeve はライティングプロセスの最終番に加入したんだけど、彼とは長い間作曲や音楽をシェアして来たから、”La Partition”, そして前作 “Februus” 両方のサウンドメイクに参加していると言えるね。
Arnaud はアルバムでドラムスという楽器以上の働きをしてくれたね。単にメロディーとリズムをサポートするだけじゃなく、作曲に不可欠な部分も担ってくれたんだ。
最終的に、大きな変化と言えば、前作ではほとんどなかったボーカル Matt のインプットが増えたことだと思うよ。
Q6: I feel “Melancholy” is the key of “La Partition”. You know, I really love the ambient vibe and Matthieu’s stunning voice of “Incube”. What was the musical goal of “La Partition”? How have you evolved from your previous release “Februus”?
【ARNAUD】: The answer to both of these questions is, we wanted to deliver something raw. Something 100% honest to what we are right now. We wrote this music to fit what we have to say, not the other way around. We made it clear to ourselves that the music had to be a transparent metaphor to the emotional content.
Q6: “Incube” のアンビエントなヴァイブと Matt の類まれなるボーカルが象徴するように、”メランコリー” はアルバムのキーワードの1つだと感じました。アルバムで目指したもの、前作から進化した点を教えてください。
【ARNAUD】: その2つの質問に共通する答えになるけど、僕たちはアルバムに “生の” 雰囲気を持ち込みたかったんだ。100%正直に今の僕たちを反映したかったのさ。
僕たちが言わなくてはならないことにフィットするよう音楽を書いたしね。音楽は僕たち自身の感情の内容を反映した、透明なメタファーであるべきだということを明確化したと言えるね。
Q7: “La Partition” is very eclectic, rich, and deep. Gothic, Synthwave, Math-metal, Industrial, Post-metal, and off course Djent elements are mixed together. Anyway, the movement of Djent seems to almost ended recently. So. what’s Djent to you now?
【ARNAUD】: The band itself grew in this very movement, being associated with complex, low-tuned guitar riffs, sophisticated rythms, and the emergence of bedroom musicians producing their own music from start to finish. That’s quite where we come from! But we evolved, we matured, our influences, our lives, everything has changed, and that also is to me, one of the reasons it took the band so long to release this new album. Even when keeping our signature on it, our music has taken a radical turn, and it had to take this much time, for us to write and record the music we wanted, the music we hear in our minds.
Q7: “La Partition” は実にリッチで深く、多様なアルバムに仕上がりましたね。プログ、ゴシック、シンセウェーブ、マスメタル、インダストリアル、ポストメタル、そして djent といった要素が壮麗にミックスされています。ただ、djent というムーブメント自体は最早終局を迎えているようにも思えますね?
【ARNAUD】: 僕たちのバンド自体はまさにそのムーブメントの中で育ったと言えるだろうね。複雑な音楽性、ローチューンのギターリフ、ソフィスティケートされたリズム、そして全てを自分たちだけで制作する “ベッドルームミュージシャン” の出現などと繋がっていた訳さ。まさに僕たちはそこから登場したんだよ!
だけど僕たちは進化を遂げ成熟したんだ。僕たちの影響、人生、全てが変化したんだよ。僕自身もね。それがリリースにこれほど長い時間を要した理由の1つなんだけど。
だから例え新作に僕たちのシグニチャーサウンドが盛り込まれているとしても、僕たちの音楽は急激な変化を遂げているんだよ。だからこそ多くの時間を要したんだ。僕たちの欲する、心に響く音楽を書いてレコーディングするためにね。
Q8: “Uneven Structure” of music world has become “Even Structure” slowly. Gojira is typically, lot’s of talented French acts appeared and become popular now a days. So, what’s your thought about the French scene, and your French blood?
【IGOR】: The french scene has been getting a lot better of the last years. Gojira probably helped spreading the word that French people can write heavy music too. I, for one can’t talk much about french blood, I’m not born in this country but it feels like I’ve always belonged to this place!
Q8: UNEVEN STRUCTURE の登場と前後するように、フランスのメタルシーンも世界で重要な位置を占めるようになって来ましたね?
【IGOR】: まさにフランスのシーンはここ何年かで大きな進歩を遂げたね。GOJIRA はおそらく、フランス人もヘヴィーな音楽を書けることを世に広めてくれたと思う。
実は僕はフランスで生まれた訳じゃないから、フランスの血についてあまり多くは語れないんだけど、それでもいつもこの場所に帰属しているという意識はあるよ!