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THE 100 BEST MELODIC HARD ROCK ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019


THE 100 BEST MELODIC HARD ROCK ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019

1: W.E.T. “Earthrage” (2018)

WORK OF ART, ECLIPSE, TALISMAN。メロディックハードの幾星霜に足跡を刻んだ三雄を頭文字に戴くスーパーグループ W.E.T.。WORK OF ART と ECLIPSE。2000年代以降、TALISMAN の遺志を継ぐように現れたメロディックハード希望の星は明らかにこの両雄でした。片や洗練の極みを尽くす AOR、片や情熱と澄明のハードロック。
しかしインタビューで語ったように、スウェーデンの同じ学校から輩出された2つの綺羅星 “W” の象徴 Robert Säll と “E” の象徴 Erik Mårtensson は、至上のメロディーを宿すシンクロニティー、宿命の双子星だったのです。実際、2人の邂逅は、AOR とハードロックの清新なる渾融を導き、ジャンルのレジェンド Jeff Scott Soto の熱情を伴って唯一無二の W.E.T. カラーを抽出することとなりました。
FOREIGNER の哀愁、SURVIVOR の理想、JOURNEY の夢を、奇跡にも思える有機的な旋律の蒸留、ハーモニーの醸造、ダイナミズムの精錬を経て創造した “Earthrage” は、一部の隙も無駄もないメロディックハードの殿堂。
「メロディックハードロックがまたチャートの頂点に戻れるとは思えないね。そして僕はそれで構わないと思っているんだよ。」

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2: ROB MORATTI “Victory” (2011)

メロディックハードはメロディーだけが優れていれば良い。そんなリスナーは意外と少ないのではないでしょうか。90年代から00年代初頭にかけて活躍したカナダの VON GROOVE には、同郷の HAREM SCAREM にも似て、インストゥルメンタルパートからも鋭い自己主張とユニークなセンスが垣間見れたバンドでした。
そんな VON GROOVE のギタープレイヤー Mladen の協力を得て MORATTI を立ち上げ、後に彼と FINAL FRONTIER を結成した不世出のシンガーこそ Rob Moratti でした。
天上に突き抜けるメロディーの煌めき、芳しきハーモニーの躍動を全編に施したアルバムは、同時に Reb Beach, Tony Franklin, Fredrik Bergh (STREET TALK), Brian Doerner (SAGA) といった手練れたちの音芸を披露する美しき演武場にもなりました。テクニックの躍動は、MAROON 5を想起させるメインストリームへの接近をも、ドラマティックなロックの浪漫へと変化させるのです。
エレクトロの仄かな香りは隠し味。Rob がプログレッシブなサウンドを得意とする SAGA に一時期加入したことも、作品の創造性に寄与したでしょうか。そして全てを繋ぐのは Rob のカリスマティックな声そのもの。
「とにかく、出来るだけメロディックにしようとした。パワフルで卓越したソングライティングとミュージシャンシップを備えながらね。」

3: ZIGGY “2017” (2017)

人間椅子、筋肉少女帯、聖飢魔II。ジャパニーズハードロックの再評価が進んだ2010年代において、ZIGGY の苦闘を忸怩たる想いで眺めるファンは少なくないでしょう。
カルト的、サブカル的、アピアランス的に特化した、所謂 “イロモノ” と呼ばれたバンドを正当に評価することは当然素晴らしい傾向です。しかし、ただ素直に、正直に、自由にロックを追求し続ける ZIGGY の無垢なる魂を受け止められる場所は、日本にもはや存在しないのでしょうか?
セルフタイトルを冠した復活の狼煙 “2017” には、”Hot Lips” のバッドボーイロックも、”Yellow Pop” の優しいポップセンスも、”Zoo & Ruby” のマジカルで繊細な箱庭も、”Heaven and Hell” のメタリックな音像も、全てがスケールとゴージャス感を増して宝箱のように詰め込まれているのです。
メランコリックで劇的で、虹のようでもあり、時にノスタルジック。端的に言って、クリシェの王、森重樹一が奏でる森重節は日本の宝でしょう。最新 EP のタイトルは “I Stay Free Forever”。カッコいい!!!としか言いようがありませんね。

4: SMASH INTO PIECES “Rise And Shine” (2017)

「2004年、SONATA ARCTICA と WITHIN TEMPTATION のライブがメタルへの入り口だったね。まあ酔っていてほとんど覚えていないんだけど。PRETTY MAIDS のタトゥーも入っているよ。”Jump the Guns” のアートワークさ。」
EDMとヒップホップに奪われたアリーナの主役を奪い返すのはきっとスウェーデンに示現した5人の野心家でしょう。人気TV番組 “Sweden’s Got Talent” でセミファイナルまで進出したヤングガンズは、もはや世界中のメロディーを愛するロックファンにとって期待の的で希望の光です。
北欧の風を浴びた NICKELBACK。SIP の想像を絶するスケール感と旋律の魔法を表現するならこの言葉が相応しいでしょうか。ただし、彼らのメランコリーとエモーションはエレクトロニカに向けられた冒険心と溶け合い華麗なダンスを踊ります。
「俺たちと俺たちの夢を遮るものは何もない。SMASH INTO PIECES だ!」
SIP の “エレクトロック” は止まりません。

5: VOLBEAT “Rewind, Replay, Rebound” (2019)

「俺たちは一つのスタイルに固執したりはしない。VOLBEAT にはメタルも、ロックも、ロカビリーも、カントリーも、ブルースも、ゴスペルも、その全てが入っているんだからね。」
デンマークから西部劇を演ずるアンセムメイカー VOLBEAT は、円熟の “Rewind, Replay, Rebound” で70年代のポップスまで存分に咀嚼し、その多様でしかしキャッチーな音の葉のスケール感を何倍にも飛躍させました。
「巻き戻し、リプレイし、反発する。このアルバムタイトルは過去の音楽、楽曲をより強力にして2019年に叩きつけるって意味があるんだ。重要なのは、俺たちが早い時期から自らのシグネチャーサウンドを見つけられたことなんだ。いつだって斬新な音楽には興味を惹かれるけど、それでも俺らの基本は変わっちゃいない。」

6: GODSMACK “When Legends Rise” (2018)

「僕たちは最初からメタルバンドだと思ったことはないんだ。ちょうど Nu-metal が勃興し、KORN や LIMP BIZKIT と同時代にデビューしたからそのカテゴリーに入れられただけでね。Nu-metal に入れられるのはまっぴらゴメンなんだ。」
今や DISTURBED と並びアリーナロックの代表格。ALICE IN CHAINS の曲名をその名に掲げるマサチューセッツのレジェンドは、Nu-metal へのアレルギーを隠すことはありません。
「僕たちの音楽を聴いて、Nu-metal みたいなユニークサウンドを感じることはないだろう。僕たちはただハードロックバンドなんだ。もちろん、初期の頃は当時聴いていたバンドの様々な影響がサラダのように現れていただろう。それでもピュアなメタルバンドだとは思わないよ。」
実際、”When Legends Rise” でビッグヒットとなった “Bulletproof” はその確固たる証明でしょう。ビッグなシンセとアクセシブルなヴァイブ、そして漢の哀愁を封入した楽曲は、それでも完璧なまでにハードドライブを続ける新たなロックアンセム。
「毎年毎年、メタルヘッズが気にいるかなんて気にかけながら作品は作れないよ。再生と実験こそ今の我々に相応しい言葉だよ。」

7: CHRIS BAY “Chasing the Sun” (2017)

「僕は異なるスタイルのマテリアルを常に作り続けているんだ。ただメタルを書いて生み出し続ける “メタルマシーン” みたいにはなりたくないからね。僕は異なる顔を持ったアーティストなんだ。アーティストになった理由も、全ての束縛から自由になりたかったからだからね。」
ハッピーメタル十字軍 FREEDOM CALL のフロントマンは、今ではメタル世界随一のメロディーメーカーです。それを証明したのが太陽のソロレコード “Chasing the Sun” でした。
「おそらく、両方の感覚があるんだろうな。僕は間違いなくオールドスクールなソングライターなんだけど、同時にモダンな音楽にも合わせていこうとしているからね。」
Chris のポップセンスはモダンにアップデートされていて、典型的なロックのイヤーキャンディーにメインストリームの計算された洗練を巧みに練り込んでいます。ディスコやトラッド、クラッシックなセンスにコンテンポラリーなチル、EDMのイメージをさらりと取り込む柔軟さは Chris ならでは。
「チャートに入ることはレコードレーベルの働きと、バンドのステータスに対する評価にはなるね。だけど、間違いなく音楽のクオリティーを評価する基準にはならないんだよ。それよりも、僕はファンのリアクションやツアーの結果の方が気になるね。」

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8: MIDNITE CITY “There Goes The Neighbourhood” (2018)

「POISON のダイハードなファンしかわからないだろ?」
POISON の “Nothin’ But A Good Time” のビデオクリップをイントロダクションに幕を開ける “There Goes The Neighbourhood” は大都市を彩る危険な夜のゴージャスなサウンドトラック。完璧なまでにスリージーな “New Wave of Hair Metal” の象徴です。
TIGERTAILZ のフロントマン Rob Wylde を中心に結成された UK の希望が贈る快作には、ハーモニー、シンセ、ギターシュレッド、そして耳を捉える絶妙なフック全てが十二分に詰め込まれ、夜の街をオープンカーで疾走することを目的にのみ設計されたかのような高揚感を全編に配しています。
BON JOVI の “7800° Fahrenheit” や DANGER DANGER のデビュー作に、清涼感を加えて現代にアップデートしたようなイメージでしょうか。
「DANGER DANGER には大きな影響を受けている。それに DEF LEPPARD, WARRANT の Jani Lane は大好きさ。」

9: CRAZY LIXX “Forever Wild” (2019)

スウェーデンのマルメから虎視眈々と世界を狙う New Wave of Hair Metal の旗手 CRAZY LIXX。”Forever Wild” のタイトルが示すように、SKID ROW のデビュー作をイメージさせるバッドボーイの青く危険なハードロックは、同時に DEF LEPPARD の分厚いコーラス、TREAT の冷気を纏いながら名作へと進化を遂げました。
「”Eagle” は典型的な CRAZY LIXX の曲じゃない異なるタイプだよね。キーボードが牽引して、ギターリフも変わっている。僕が普段聴いているような “ポップドライブ” な楽曲だけど、以前は試してこなかったんだ。メンバーが気に入ってくれて、この方向に進むことが出来てとても嬉しいね。」

10: ONE DESIRE “One Desire” (2017)

「俺たちはメロディックハードロックバンドだ。最高にコマーシャルでキャッチーな枠組みにハードロックを落とし込もうとしているんだよ。」
STURM UND DRANG と CAIN’S OFFERING の混成チームで出航した ONE DESIRE は、ECLIPSE の才能 Erik Martensson の助力までも貪欲に取り込んだメロディックハードの罪深き野望です。
パワフルでエモーショナル、ワイドなレンジを伸びやかに制覇する Andre Linnman の成長を遂げた歌声は、現代的なプロダクションと卓越した作曲術の海原で自由を謳歌します。疾走と悠久を行き来する煌びやかなアルバムにおいて、一層ラジオフレンドリーでメインストリームに接近した “Falling Apart” は AOR の未来を鮮やかに照らし出していますね。

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