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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INTO THE GREAT DIVIDE : INTO THE GREAT DIVIDE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ZACK ZALON OF INTO THE GREAT DIVIDE !!

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Incredible Multi-instrumental Player, Zack Zalon Creates Pure Prog-metal Epic “Into The Great Divide” With Dream Theater’s Maestro Mike Mangini !!

DISC REVIEW “INTO THE GREAT DIVIDE”

マルチインストゥルメンタリスト、伏竜 Zack Zalon が提唱し、Mike Mangini, Richard Chycki の DREAM THEATER 人脈が入眼へと導いた “ロックノベル” プロジェクト INTO THE GREAT DIVIDE が渾身のデビュー作をリリースしました!!プログメタルのレガシーを存分に咀嚼し忠実に新構築する彼らの純粋なる流儀は、細分化極まるモダンメタルの風土へ却って新鮮な風を運びます。
プログロックの中でも特に RUSH や YES の持つエピカルなメロディー、繊細なテクニック、数学的な変拍子、壮大なオーケストレーションをメタルと融合させたプログメタル。DREAM THEATER, FATES WARNING の二大巨頭を始祖とするジャンルは黎明期から様々にユニークなバンドを多く輩出しています。
SHADOW GALLERY, LIQUID TENSION EXPERIMENT, MAGELLAN, ICE AGE, DALI’S DILEMMA。プログメタル、シュレッドに特化した偉大な Magna Carta, Shrapnel 両レーベルが残した遺産は決して安易に風化させてしまうべきではないはずです。(余談ながら ICE AGE デビュー作のタイトルは奇しくも “The Great Divide”。)
「これは疑いようもなくプログミュージックだよ。自分自身で聴きたいような作品を作ることに決めたんだ。だから、ある意味この作品は僕が聴いて育ったバンドたちへのオマージュの意味も持つわけさ。」 Zack が語るように、INTO THE GREAT DIVIDE は確かにプログメタルの原点とも言えるトラディショナルなポリリズム、クラッシックロックのメロディー、フラッシーなギターとエピックなキーボードに彩られ、無類の遺産を相続するに相応しきヴィジョンを提示しています。
同時により洗練されたデリケートなアレンジメント、ピアノやストリングが生み出す静と動のダイナミックなコントラスト、幻想的でシネマティックなオーケストレーションは 「それでいてフレッシュで異なるものに仕上がっていればと思う。」 というマスターの言葉を裏付けますね。
オープナー、”The Crossing” や冒険へ誘う “A Call to Adventure” はまさにレガシーとコンテンポラリーが交差するグランドライン。Zack がドラムス以外全ての楽器を手がけることで、楽曲のデザインはより密にその完成度を高めます。
冒頭にピアノやギターで示される魅力的な楽曲のテーマが、リズムや音階を少しづつ変えながら優美に展開していく様は実に音楽的で圧巻。鬼才 Brendon Cassidy のオーケストラアレンジメントも呼応し溶け合い、プロジェクトが提唱する小説や映画のようなプログメタルは見事にリスナーの想像力を喚起するのです。
フレッシュと言えば、インストゥルメンタルでありながらアルバムに濃密なストーリーを抱かせる “ロックノベル” のアイデアに触れない訳にはいきませんね。楽曲毎に用意されたイントロダクション、ディープボイスのナレーションは雄弁にして簡潔に逆境に打ち勝つ勝利の道筋を語ります。確かに全曲に解説が付与されたインストルメンタルアルバムは前代未聞で、特に英語をネイティブとするリスナーにとっては画期的なコンセプトでしょう。
Zack の全く弾き控えしないシュレッドも本作の重要なセールスポイントです。Lukather や Huff にリスペクトを捧げる Zack。経過音を豊富に組み込んだリズミックでジャジーなマエストロの滑らかなギター捌きは真に卓越しています。
加えて、折に触れて出現する様々な Shrapnel ロースターをイメージさせる場面、パッセージも好き者には溜まりませんね。Petrucci は元より、Steve Morse や MacAlpine, ロマンチックなフレーズは Neil Zaza、さらには Michael Lee Firkins のカントリーテイストまで垣間見ることが出来るのですからあの時代を愛するリスナーにとっては堪えられない贈り物となるはずです。
“Challenge Accepted” で披露するトライバル&マシナリー、刻刻と移行する拍子の魔法を完全掌握した性格無比なプレイが代弁するように、クリエイティブかつ的確に楽曲を支える手数王の素晴らしさは最早語るまでもないでしょう。
今回弊誌では、Zack Zalon にインタビューを行うことが出来ました。「Mikeはプロジェクトの熱心な支持者として参加し、彼の並外れたスタイルと能力をアルバムにもたらしてくれたんだ。」 どうぞ!!

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INTO THE GREAT DIVIDE “INTO THE GREAT DIVIDE” : 9.7/10

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