タグ別アーカイブ: Modern Prog

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ONI : IRONSHORE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ONI !!

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Prog Metal Newcomers From Hell! Canadian Sextet ONI Has Just Released Sensational Debut Album “Ironshore”!!

DISC REVIEW “IRONSHORE”

カナダから現れた6人組のプログモンスター ONI がセンセーショナルなデビューアルバム “Ironshore” をリリースしました!!究極の狂気と洗練された美しさが同居する作品は、彼らの名を世界に知らしめることとなるでしょう。
アルバムオープナー “Barn Burner” は複雑怪奇、魑魅魍魎が跋扈する鬼の世界への ONI からの招待状です。何よりもまず ONI を特別で奇抜な物の怪にしているのは、やはり Xylosynth の存在でしょう。この画期的で新しい、”木琴シンセ”といった風体の楽器は間違いなく楽曲、そしてメタルシーンに刺激的なヴァイブをもたらしています。
Johnny D の奏でるその未来的なインストゥルメントは、時にサイエンスフィクションの香りを漂わせるシンセサイザーの役割を果たし、一方で圧倒的でギターライクなシュレッドをも炸裂させているのです。”Barn Burner” が示すように、元々リズムマスターが集まったダブルギターのバンドに、Xylosynth のメロディックなシュレッドと近未来的なシンセサウンドが同時にバンドに加わることで、ONI のプログ感覚は飛躍的に高まっているといえるでしょう。
その効果は続くドラマティックな “Eternal Recurrence” にも現れています。中間部に配置された、全ての楽器が参加するクラシカルなユニゾンプレイは、スリリングで壮絶で美しく、驚異的。アルバムで何度も聴かれるように、彼らの卓越したトレードマークとなっていますね。
バンドのプログレッシブな一面は、 11分を超える “The Science” に集約されています。冒頭から、非常に複雑でマスマティカルなリフを提示する楽曲は、百鬼夜行さながらにその形を変えていきます。BETWEEN THE BURIED AND ME を彷彿とさせるヘヴィネスとアトモスフィア、クリーンボーカルとグロウル、プログレッシブとエモーションの対比、そこから導かれる構成力、場面転換の妙は実に見事で、感動的な大円団までリスナーを楽曲へと惹きこんで離しません。
反面、”The Only Cure” ではメタルバンドとしての矜持、ONI の残忍な一面を強く見せつけています。LAMB OF GOD や GOJIRA を手がける名プロデューサー Josh Wilbur が紹介したという誰あろう LoG のボーカル Randy Blythe 本人が参加した楽曲は、まさに救いのない地獄の風景を映し出していますね。タイトで重量感のあるリズム隊は、同時にテクニカルで時にリード楽器の役割をも果たし、アルバムを通して本当に良い仕事をしています。
インタビューでメンバーが強調するように、バラエティー豊かなレコードを目指したという “Ironshore” で、”Chasing Ecstacy” は重要なアクセントだと言えます。クリーンボーカルにフォーカスした楽曲は、作品中でも群を抜いてメロディックで、ロマンチックとさえ表現出来るような哀愁を体現しています。ここでも強調されるテクニカルでクラシカルなメロディーは、POMEGRANATE TIGER を聴けば Martin Andres のセンスだと分かるはずです。そして残念ながら何年も沈黙を貫いている、Prog-MetalCore の重要バンド THE HUMAN ABSTRACT と重なる部分も多いように感じました。
モダンメタルの根幹を成す3連リフ、リズムに特化したアプローチのオリジネーター LAMB OF GOD。そして奇しくもそのドラマーの力を借りたカナダのプログレッシブな先人 PROTEST THE HERO。ONI はすでにこの二大アクトからその実力を認められています。そして確かにその2組や先に挙げた偉人たちの遺伝子を受け継ぎつつ、様々な影響、そこには “Spawn and Feed” で聴ける和風のメロディーも存在する、を取り入れデビュー作にしてオリジナリティーを確立した彼らの将来は約束されたもののようにも思えますね。
今回弊誌では、ONI のメンバー6人全員にインタビューを行うことが出来ました。驚異的な新人の登場です。どうぞ!!

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ONI “IRONSHORE” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CYBORG OCTOPUS : LEARNING TO BREATHE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID WU OF CYBORG OCTOPUS !!

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The Brightest Hope Of Modern Prog Metal 2016, CYBORG OCTOPUS Has Just Released Their Debut Full-length “Learning To Breathe” !! Hentai Tentacle Assault You !!

“LEARNING TO BREATH” REVIEW

文字通り、タコの触手のように様々なジャンルを股に掛ける、USの新鋭プログメタル CYBORG OCTOPUS がデビューフルレングス “Learning To Breathe” をリリースしました!!
ジャンルの垣根を易々と崩壊させる傑出したアルバムは、例えば昨年の NATIVE CONSTRUCT を想起させるような、2016年の最もユニークで印象的なデビュー作品となるでしょう。
CYBORG OCTOPUS の特徴は、先に挙げた NATIVE CONSTRUCT、もしくは HAKEN, EARTHSIDE といったモダンプログメタルの新鋭たちと比較して、よりヘヴィーでメタルコアの遺伝子を多分に受け継いでいる点にあります。
アルバムオープナー “Data_M1nefield” は、キーボード、ボコーダーの使用法やミドルセクションのラテンなパートこそ実にプログレッシブで変態的ですが、その実、楽曲の土台は THE BLACK DAHLIA MURDER, CONDUCTING FROM THE GRAVE といったブラストやトレモロを駆使したモダンなメタルコア / エクストリームメタルに在ることがわかります。アルバムを通してその土台は存在し続け、そこに様々な要素を加えることで、CYBORG OCTOPUS の奇妙で魅力的な音楽が形作られているのです。
例えば、クラシカル/オペラに特化した “Divine Right (In D Minor) は、クラッシックギターやオペラティックな歌唱が効果的に使用され、フレット上を縦横無尽に駆け巡るクラシカルなギタープレイと併せて究極にヘヴィーでドラマティックに仕上がっていますし、”Baptism of Clay” のシタールまで使用したオリエンタルな世界観も、強烈なアグレッションとの対比があってこそ。同時に、パンキッシュでカオティックな”Shark Pit” を聴けば、彼らのルーツに PROTEST THE HERO が含まれることが明らかになりますね。
中でも、最も驚くべきは “Discobrain!” でしょう。バンドの”最も魅力的な”メンバー Patrick のサクスフォンは間違いなくバンドの重要なアイデンティティーの1つとなっていますが、この楽曲ではほとんどメイン楽器として使用されています。バンド全体が生み出すグルーヴも最凶にファンキーで、ここまで Tech Metal meets Funk をやり切った楽曲はほとんど聴いたことがないように感じます。そして何と言っても、ただ実験的なだけではなく、その突進力が素晴らしいカタルシスを生んでいることが重要ですね。
東洋的でオリエンタルなムードをテーマとした大曲 “Epiphany” でアルバムを締めくくるまで、凄まじいテンションと驚異的な展開力は全く止むことがありません。
今回弊誌では、バンドの設立者でギタリストで “The Most Attractive” 最も魅力的なメンバー、 David Wu にインタビューを行うことが出来ました。変態らしく、久々にわりとハッチャけた回答をいただけましたよ。どうぞ!

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CYBORG OCTOPUS “LEARNING TO BREATHE” : 9.1/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FROST* : FALLING SATELLITES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEM GODFREY OF FROST*!!

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UK Based Modern Prog Titan, FROST* Set To Release Definitely Game-Changing Record “Falling Satellites” on 5/27!! “Progressive Pop” Movement Will Come !!

DISC REVIEW “FALLING SATELLITES”

モダンプログシーンのマイルストーンとなった重要作 “Milliontown” を生み出した、奇才 Jem Godfrey 率いる UK の4人組 FROST* が8年振りとなる待望の新作 “Falling Satellites” を5/27にリリースします!!
ボーカル/ギターに盟友 John Mitchell (Lonely Robot, It Bites), 新しいリズム隊として Craig Blundell (Steven Wilson), 
Nathan King (Level 42) という最強布陣を据えて制作された最新作が3枚目のスタジオアルバムとなる FROST*。興味深いことに、その3枚の作品は全て大きく異なる性質を持つのです。
勿論、3作とも、洗練されたサウンド、優れたメロディー、エレクトロニカとプログの融合という点では共通していますね。しかし、”Milliontown” がカラフルで爽快感溢れる作品であったのに対して、前作 “Experiments in Mass Apeal” は MUSE や RADIOHEAD をさえ想起させる実に内省的な作品でした。そして今作 “Falling Satellites” は間違いなく FROST* にとって最も “POP” なレコードと言えるでしょう。さらに、この作品で彼らはまたしても、モダンプログの領域を押し広げることになるかも知れませんね。
今回、FROST* がシーンに与える驚きは、モダンなエレクトロニカサウンドの大幅な導入です。具体的には ZEDD, SKRILLEX, さらには Justin Bieber の最新作さえ想起させる Dubstep / House を巧みにプログロックに組み込むことで、”Progressive Pop”, “Electronical Progressive Music” とでも形容出来そうな新しく衝撃的なサウンドを生み出しているのです。個人的には、Jem Godfrey の人気プロデューサーとしての1面が大きく反映されたレコードと言えるような気もしています。
“Towerblock” はまさに “Falling Satellites”, 新生 FROST* を象徴するような楽曲だと思います。中間部のスリリングなパートでは、Dubstep をシームレスにプログロックに取り入れていますね。ダンサブルな Jem のキーボードは本当に魅力的でリスナーの心まで踊らせます。同様の手法は、”Heartstrings” のイントロなどでも聴くことが出来ますし、さらに付け加えれば、モダンプログの旗手 HAKEN が新作の “The Endless Knot” という楽曲において似たようなアプローチをとっている事実は非常に興味深いと感じました(奇しくも両バンドとも 80’s prog を高く評価しています)。
また、Justin Bieber が “What Do You Mean” で Tropical House を取り入れ話題となったことは記憶に新しいですが、FROST* が “Closer To The Sun” において行ったアプローチは実はそれに近いのかも知れません。究極にPOPでダンサブル。同時に、ゲスト参加している Joe Satoriani のギターソロは知的かつメロディアスで、そこからの展開はまさにプログロックのそれです。見事な融合、何と巧みな作曲術でしょう!”Lights Out” も同様のフィーリングを持った楽曲ですが、こちらはよりアトモスフェリックで、女性ボーカル Tori Beaumont とのデュエットが白眉ですね。
さらに、”Closer To The Sun” を含むアルバム最後の6曲は “Sunlight” という32分の組曲にもなっているのですが、その中には “The Raging Against the Dying of the Light Blues in ⅞” のように、Jem がインタビューで言及している ANIMALS AS LEADERS を想起させるような Djenty なパートを持つ楽曲も組み込まれており、彼の音楽的な貪欲さには頭が下がる思いです。
とはいえ、決してトレンドばかりを追求しフィーチャーしている訳ではなく、”Numbers” で聴かれるイントロのシーケンスフレーズ(新楽器 “The Chapman Railbord” で奏でられている)などはまさに FROST* のトレードマークですし、Steve Vai 的なオーケストレーションも見事の一言。”Signs” も典型的な FROST* をイメージさせる佳曲ですね。
何より、アルバムを通して彼らが紡ぐメロディーの数々は、珠玉という言葉が相応しい心から魅力的なものばかり。”EPM(Electronic Progressive Music), “Progressive Pop”, 呼称はなんであれ、彼らが2016年にモダンプログシーンに投下するものの意味は非常に大きいと感じました。今回弊誌では、FROST* の頭脳、Jem Godfrey にインタビューを行うことが出来ました。意味のあるインタビューだと思います。どうぞ!!

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The full track-listing
1. First Day
2. Numbers
3. Towerblock
4. Signs
5. Lights Out
6. Heartstrings
7. Closer To The Sun
8. The Raging Against The Dying Of The Light Blues
9. Nice Day For It…
10. Hypoventilate
11. Last Day
12. Lantern (bonus track)
13. British Wintertime (bonus track)

FROST* “FALLING SATELLITES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HACKTIVIST : OUTSIDE THE BOX】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN MARVIN OF HACKTIVIST !!

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There’s safety in numbers, but HACKTIVIST carving a path of their own! UK based five piece just released Up-date ver. of Nu-Metal, amazing “Outside the Box” !!

DISC REVIEW “OUTSIDE THE BOX”

ラップと Metal-core, Djent というモダンな要素を融合させた UK の新鋭 HACKTIVIST がデビューフルレングス “Outside The Box” をリリースしました!!
様々に拡散するモダンメタルのサブジャンル。中でも HACKTIVIST の音楽性、イデオロギーは異彩を放っていますね。勿論、ラップをメタルに取り入れたのは決して彼らが初めてではありません。90年~00年代にかけてトレンドとなった Nu-Metal ムーブメントの中で LIMP BIZKIT, KORN といったバンドたちがメタルの領域を押し広げたことは実に意味がありました。そして HACKTIVIST は、その Nu-Metal をアップデートし、現代に蘇らせているようにも思えます。
モダンメタルという観点から見れば、HACKTIVIST は UK ミルトン・キーンズを中心とする Tech-Metal シーンの強い影響を受けていることが分かります。FELLSILENT, HEART OF A COWARD, そして TesseracT。コロッサルなリフワークとアトモスフェリックなメロディーは彼らから受け継いだものでしょう。
“No Way Back” と “False Idol” を聴けば、彼らがその Tech-Metal と Hip Hop を見事に融合していることが分かるでしょう。ギターとエレクトロニカも担当する Timfy James のメロディックな歌唱と二人の MC が繰り出すラップのカウンターパートとなっているのが、Tech-Metal 由来のギターリフ、ローエンドだと感じました。つまり、彼らは Post-Meshuggah なギターリフやリズムを Hip Hop のトラディショナルなビートの代用品として使用し、見事に独自のサウンドとして昇華させているのです。
加えて、HEART OF A COWARD の Jamie、ENTER SHIKARI の Rou がゲスト参加している “Decieve and Defey” “Taken” は特に象徴的ですが、両バンドを想起させるようなアトモスフェリックなエレクトロニカの要素も多分に取り入れており、トレンドもしっかり見据えていることが分かります。
またダブルMC J と Ben を活かしたメッセージ性も彼らの特徴でしょう。扱う題材は政治、社会、そして環境問題にまで及びます。Electrogrimepop Metal とでも表現出来そうな “Hate” はバンドの”Hater”達への強烈な自己主張。”Why you wanna hate on us?”と投げかける彼らのリリックからは、若さと弱さと自信が共存しているようにも感じました。
全体的に見て、彼らのデビュー作は Nu-Metal や Eminem といったあの時代の才能に再び焦点を当てながらも、決してノスタルジーに留まっておらず、実験性も勿論ですが、 “Elevate”に象徴されるように、Nu-Metal にはあまり存在しなかった美しいメロディーも作品のキモでキャッチーさも満点。彼らの試みは成功を収めたと言えるでしょう。今回弊誌では、MC の Ben Marvin にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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HACKTIVIST “OUTSIDE THE BOX” : 9.3/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HAKEN : AFFINITY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROSS JENNINGS OF HAKEN !!

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Next Generation of Prog!! London based amazing six piece, Haken set to release game-changing modern prog record “Affinity”!! The past meets the future here!

DISC REVIEW “AFFINITY”

UK が誇るモダンプログメタルの新鋭 HAKEN が4/29に野心的な新作”Affinity”をリリースします!前作 “The Mountain” はモダンメタルと、70年代のプログロックが、極上のメロディーを備えつつエピカルに融合した傑作で、バンドに成功をもたらしましたね。そして HAKEN はこの新作 “Affinity” でさらに多くの成果を得ることになるでしょう。
昨今、音楽シーン全体の流れとして、キラキラとした80年代のポップカルチャーが再度注目されカムバックして来ていますね。”Affinity” はアートワークやテーマ、そして音楽にも、その流れを強く意識した作品となっています。同時に、彼らの持ち味であるモダンなテクニカル/グルーヴィー要素も、再度タッグを組んだ名プロデューサー Jens Bogren と共にさらに掘り下げられており、結果として過去と未来が交差するレトロフューチャーな世界観を構築することに成功しています。
アルバムオープナー “Initiate” はメロウなメロディーと究極のグルーヴが共存する、モダンプログを代表するような楽曲です。ノルウェーの盟友 LEPROUS を想起させる部分もありますね。特にボーカル Ross Jennings の美しい歌唱は白眉ですし、彼がこの楽曲の後半で行っている”対位法”的な実験は非常に印象的ですね。
対して “1985” は、タイトルからも分かるように、あの時代のテイストが色濃く盛り込まれています。オープニングのロックなリフには Michael Jackson の”Beat It” をさえ感じさせます。インタビューで Ross はYES の “Owner of a Lonely Heart” と言及していますが、確かに例えば YES や RUSH が80年代に行っていたような、プログロックのポピュラー化を強くイメージさせる楽曲かも知れませんね。ビッグなコーラスとキラキラしたキーボードの合間に現れる MESHUGGAH ライクなリフが意外にも実にマッチしています。
HAKEN のアルバムには少なくとも1曲はエピカルな大曲が収録されて来ましたが、”The Architect” のランニングタイムは15分を超えます。この15分間で HAKEN は再度彼らの高いミュージシャンシップを証明しましたね。楽曲冒頭や後半の強烈なインタープレイはまさしく彼らが敬愛する DREAM THEATER へのトリビュートでしょう。中盤のジャジーなベースソロで新メンバーConner がその実力を見せつければ、ギター隊も変拍子と複雑なコード進行の上で踊ります。哀愁を伴ってドラマティックに終焉を迎える壮絶な大円団は圧巻の一言でした。
“Earthrise” は彼らがさらなるセルアウトへの野望を表わした楽曲かも知れません。ここで聴けるのは Alan Person’s Project や ELO のような80年代のAOR。ただ、ギターリフがヘヴィーグルーヴィーであることと、知的なハイハットの使用により、リスナーに新鮮な感覚を与えます。”Red Giant” にも言えますが、ドラマー Ray の独創的なリズムやフィルインは、アルバムを通して素晴らしく作品の聴きどころとなっています。また、セルアウトと言えば “The Endless Knot” ではあの Zedd を思わせるようなシンセサウンドも使用されており、その貪欲な姿勢には驚きを禁じえませんね。
メンバー全員の個性が1枚の傑作に昇華した “Affinty” 。プログロックの領域を拡大するような重要な作品だと感じました。今回、弊誌ではボーカルの Ross Jennings にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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1. affinity.exe [1:24]
2. Initiate [4:16]
3. 1985 [9:09]
4. Lapse [4:44]
5. The Architect [15:40]
6. Earthrise [4:48]
7. Red Giant [6:06]
8. The Endless Knot [5:50]
9. Bound By Gravity [9:29]

HAKEN “AFFINITY” : 10/10

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MMM READER’S POLL 2K15 【NEXT THREE’S (SITHU AYE, PLINI, JAKUB ZYTECKI) CHOICE】


SITHU AYE, PLINI, JAKUB ZYTECKI ARE NEXT THREE OF MODERN PROG / INSTRU-METAL GUITAR SCENE !! DO NOT MISS THIER FAV ALBUMS OF 2015 !!

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2015年は MODERN PROG /INSTRU-METAL シーンにとって実りの多い年になりました。
POLYPHIA, CHON という期待の若手は本格的にブレイクを果たしましたし、弊誌で扱うことの出来た INTERVALS, POMEGRANATE TIGER, SCALE THE SUMMIT, JOHN BROWNE, YVETTE YOUNG, DAVID MAXIM MICIC といった新進気鋭のアーティストたちも素晴らしい作品をリリースしましたね。日本に話を移すと、界隈で今最も注目を集めるギタリスト PLINI が DISPERSE のヤングヒーロー JAKUBU ZYTECKI を伴って来日公演を果たし、最高の演奏を見せたことは一つの”事件”だったと思います。
そして 2016年。今年は我らが”先輩”、SITHU AYE の来日公演も決定しているのです!! 勿論、PLINI にはデビューフルが、Jakub には DISPERSE の新作が控えています。
今回弊誌では、”MMM READER’S POLL 2015″ の一環として、彼ら”NEXT THREE”に 2015年のベストアルバムとメッセージをいただくことが出来ました。勿論、PROG-CHAN たちも SITHU 先輩の書き下ろしですよ。どうぞ!!

【SITHU AYE’S BEST ALBUMS 2015】

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【POMEGRANATE TIGER : BOUNDLESS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARTIN ANDRES OF POMEGRANATE TIGER !!

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“Instru-Metal” New Hero, POMEGRANATE TIGER has just released Djenty&Mathy Masterpiece “Boundless”!!

カナダの新鋭、NEXT AAL とも評される “Instru-Metal” の至宝 POMEGRANATE TIGER が素晴らしい新作 “Boundless” をリリースしました!!
前作 “Entities” では4人組のバンド形態だった POMEGRANATE TIGER ですが、今回は創設メンバーでギターとドラムスをプレイする Martin Andres 1人が正式メンバーという形になっています。事の経緯はインタビューを読んでいただくとして、新作 “Boundless” は Djent シーンに衝撃を与え、DIY のアーティストとしては破格のセールスを上げたデビュー作 “Entities” とは一線を画す作品となっていますね。
特筆すべきはリズミックでヘヴィーなグルーヴ重視のアプローチ。前作はクラシカルなプレイが光る、ストレートでコズミックな Djent / Modern Prog アルバムでした。しかし、今回はオープニングトラック “Manifesto” やタイトルトラック “Boundless” に象徴されるように、 GOJIRA や TOOL を想起させるような Mathy でミニマルなパートが格段に増えています。”Entities” の “Too Much” な部分をキレイに削ぎ落とし、新たな可能性を切り開いたといった感じでしょうか?
同時に “Stomp The Haunted Crown”, “With Knives As Teeth” のような楽曲では、同郷の PROTEST THE HERO を彷彿とさせるようなテクニカルで Math-Metal の要素を含んだチャレンジングなリフの数々でエキサイトさせてくれますね。
勿論、Martin のアイデンティティーとも言える、クラッシック音楽の影響は今作でも健在。映画のサントラ、ジャズからの影響も伺えるオーケストレーションが見事な “Papaer Hammer”, ゲストプレイヤーのストリングスが光る “Ovation” ではクラッシック音楽を学んだ者でなければ作り得ない、美しさや構成の妙を味わう事が出来ます。
モダンプログ界隈の重要人物、PERIPHERY の Adam “Nolly” Getgood, THE HUMAN ABSTRACT の AJ Minette も才能を認め、制作に参加した “Boundless” はまさに “Instru-Metal” の限界を突破した作品と言えるでしょう。
今回、弊誌では Martin Andres にインタビューを行うことが出来ました。言葉の端々から、音楽に対する造詣の深さが表れていますね。どうぞ!!

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MMM RATING IS…

POMEGRANATE TIGER “BOUNDLESS” : 9,5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EARTHSIDE : A DREAM IN STATIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN SHANBROM OF EARTHSIDE !!

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Incredible New Commer from US!! EARTHSIDE create dramatic “Cinematic Rock” with Orchestra. “A Dream In Static” is one of the important release on 2015 !!

モダンプログシーン、上半期のブライテストホープが NATIVE CONSTRACT だとしたら下半期は間違いなく彼らでしょう。”Cinematic Rock” を指標する期待のUS産4人組 EARTHSIDE がデビュー作 “A Dream In Static” をリリースしました!
実は BUSHWHACK という Post-Djent を掲げていたバンドを母体とするバンド。メンバー全員が音楽の学位を持っているという驚くべき背景を元に、持てる知識と創造性を全て注ぎ込んだ非常に野心的なアルバムです。フックに満ち、カラフルでストーリーを感じさせる作風は、まさに彼らが掲げる”映画”をイメージさせますね。
まず言及すべきはアルバム2曲目の “Mob Mentality” でしょう。なんとモスクワスタジオ交響楽団、つまりオーケストラが楽曲に全面参加しているのです。勿論、オーケストラを起用したロック/メタルバンドはこれまでにも少なくありませんが、メタルの楽曲にチョロっとストリングスを加えたといった程度の生ぬるいものが多かったように思います。彼らのやり方はそれとは根底から異なっており、まずオーケストレーションありきのコンポジションなため、圧倒的な構成力と生き生きとした生楽器の演奏を楽しむことが出来ますね。
EARTHSIDE はこのデビュー作で4人のシンガーを起用しています。”Mob Mentality” では SEVENDUST の Lajon Witherspoon が参加しているのですが、ソウルフルに歌い上げる彼のスタイルが見事にハマッています。他にも TesseracT の Dan Tompkins, SOILWORK の Bjorn Strid, FACE THE KING の Eric Zirlinger といったジャンルもカラーも異なる実力派シンガーたちを適材適所に起用し、様々な”色”を感じさせる作品に仕上げています。
音楽的には、Djent/モダンプログを柱としながらも、アトモスフェリックなポストロックから TOOL 的マス/オルタナティブ、モダンなメロディックデスメタルの要素まで幅広く、彼らのやり方で見事に取り込んで、新しいジャンル “Cinematic Rock” を生み出したとさえ言えるのではないでしょうか?ポストプログ/Djentの雄、 TesseracT を大仰にドラマティックにしたようなサウンドだと感じる人もいるでしょう。KARNIVOOL や TEXTURES のように洗練された繊細なイメージを持つ人もいるでしょう。
ストックホルムまで出向いて Jens Bogren + David Castillo というモダンメタルシーン最高最重要レコーディングチームと制作したことも大吉でしたね。彼らと組むことでさらに最新のメタル/プログを色濃く反映した傑作 “A Dream In Static”。 今回弊誌ではバンドのソングライター/スポークスマンにして驚異的なドラマーでもある Ben Shanbrom に話が聞けました。どうぞ!!

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MMM RATING

EARTHSIDE “A DREAM IN STATIC” : 9,8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCALE THE SUMMIT : V】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS LETCHFORD OF SCALE THE SUMMIT !!

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HUSTON’S INSTRU-METAL MAESTRO, SCALE THE SUMMIT HAS JUST RELASED MELODIC, CATCHY, TECHNICAL, AND PROGRESSIVE RECORD “V” !! IT MUST BE REMAINED IN INSTRU-METAL HISTORY!!

ANIMALS AS LEADERS の登場でにわかに注目を集めるようになったモダンプログシーンのインストゥルメンタル部門。彼らの音楽は非常にテクニカルでありながら耳を捉えて離さないキャッチーさも共存していて、それが DJENTY な新しさも伴って人気を集めているのだと思います。今回取り上げる SCALE THE SUMMIT はそういったバンドたちの先駆け的存在です。結成は2004年ですからもう10年選手。2009年には MIKE PORTNOY に認められ DREAM THEATER の PROG NATION ツアーに招かれるなど、4枚の作品をリリースし徐々に人気を高めて来ましたが、記念すべき5作目の新作、その名も “V” が遂にリリースされました!内容的には成功を収めた “THE COLLECTIVE” のメロウでダークな雰囲気と前作 “THE MIGRATION” のメジャー感、プログレッシブさを併せ持ったような作品に仕上がったと感じました。確実にキャリアで最も優れたレコードでしょう。アルバムの大半はヘヴィーでグルーヴィーな演奏に CHRIS LETCHFORD と TRAVIS LEVIER の時にメロディアスで時に驚異的なシュレッドが乗るというスタイル。AAL ほど DJENTY ではなく、CYNIC, DREAM THEATER のようなプログメタルらしい雰囲気も多分に残しているのがポイントです。ただ、このレコードを傑出した出来にしているのは、”SORIA MORIA” と “OORT CLOUD” の2曲です。AAL のデビュー作にも “SORAYA” というメロウでアダルトな魅力を持った1曲が収録されていましたが、まさにそういった役割を果たす優れた2曲です。CHRIS は昨年 “LIGHTBOX” という味わい深いジャズ/フュージョン寄りのソロ作品をリリースしましたがその影響もあるのでしょうか。実に良いアクセントになっていますね。優れた楽曲群の中でも “PONTUS EUSINIS” はヘヴィーなグルーヴとメロウさ、そして複雑な構成を巧みに合わせ込んでいて、今後の彼らにとっても重要な意味を持つ1曲のような気がします。とにかく、表情豊かで聴き所が満載のギタープレイ、楽曲が見事で”インストゥル-メタル”アルバムということを忘れるくらいエモーションに満ちていますね。今回弊誌では、バンドの創立メンバーでモダンプログ界隈で最も注目されるギタリストの1人 CHRIS LETCHFORD にインタビューを行うことが出来ました。8歳からギターを始め、MIとバークリーで学んだ秀才です。エンドース契約を結んでいる新進気鋭のヘッドレスギターメーカー STRANDBERG の使い手としても知られていますね。どうぞ!!

YOU CAN STREAM AND BUY “V” HERE !!

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MMM RATING⭐️

SCALE THE SUMMIT “V” : 9/10

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