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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DIAMOND HEAD : THE COFFIN TRAIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRIAN TATLER OF DIAMOND HEAD !!

“Once I Had Heard Some Of The Other NWOBHM I Usually Thought We Were Better. We Compared Ourselves To The Biggest Rock Bands In The World Not Just To The Bands In This New Movement. Even Now I Try To Write a ‘Great’ Song.”

DISC REVIEW “THE COFFIN TRAIN”

「今でも俺は “偉大な” 楽曲を書こうとしている。過去の焼き直しを行わず、ダイナミズムをアレンジに持ち込もうとしているんだ。」
来年、自主制作のデビューアルバム “Lightning to the Nations” リリース40周年を迎える NWOBHM レジェンド DIAMOND HEAD は、ほぼ半世紀の活動を経てもその創造性、野心、チャレンジングスピリットに陰りを見せず進化を続ける稀有なるバンドです。
70年代後半、世界を支配していたパンク/ニューウェーブへのカウンターとして勃興した NWOBHM。しかし、”オールドウェーブ” として追いやられていたハードロック/メタルの圧倒的な逆襲には、振り返ると “典型的” なメタルサウンドを掲げるバンドは少なく、重金属のユニークなおもちゃ箱の様相を呈していたようにも思えます。
IRON MAIDEN のプログレッシブな感性、DEF LEPPARD のメジャーなセンス、ANGEL WITCH, WITCHFINDER GENERAL のドゥームな息吹、そしてエクストリームミュージックの雛形となった偉大なる VENOM。ムーブメントに兆したメルティングポットの理念は、今日のモダンメタルの地平まで受け継がれています。
あの Steve Harris をして “Next Zeppelin” と言わしめた DIAMOND HEAD の才能は、新たな波においても抜群の光芒と独自性を放っていました。Lars Ulrich も認める “スラッシュのオリジネーター” Brian Tatler が生み出すヘヴィーなリフの数々は 「俺自身はプログバンドの大ファンだった」 と語る通り BUDGIE のごとく見事に屈折し、Sean Harris のオジーが ZEP をソウルフルに歌ったような不思議な歌唱と不思議にマッチすることで、メタル本来のミステリアスでダークなカタルシスを創生していたのです。
ブームの終焉と共に消えてしまったバンドは、METALLICA によるクールなカバーと Dave Mustaine の助力により復活を遂げます。オリジナルメンバーは Brian のみとなってしまいましたが、ポジティブに新たな血を取り入れ最高傑作とも言える “The Coffin Train” を2019年に完成へと導きました。
バンドのトレードマークであるエキサイティングな暴走特急 “Belly of the Beast” で発車する “柩列車” はしかしタイトルトラック “The Coffin Train” でその色を変えます。
「Ras のおかげで DIAMOND HEAD は新たな地平を拡大して、よりモダンなサウンドを得ることができたんだ。この作品は、言ってみれば21世紀のための DIAMOND HEAD さ。」
そう、Brian が語るようにこれは21世紀の NWOBHM そのものです。デンマークに生まれロンドンを拠点とする加入2作目のシンガー Rasmus Bom Andersen の類稀なる才能と Brian のプログレッシブな理想はここで奇想天外に噛み合いました。
ダークでムーディー、そして重くプログレッシブな曲調は、Ras の Chris Cornell を想起させる卓越した歌唱を導き絶大なるエモーションを創出します。実際、Ras が披露するレンジの広さと豊かな声量、込められた感情の素晴らしさ、さらにコンポーザー&プロデューサーとしての高い技量は Chris の正当後継者として完璧な資質を備えていますね。
「俺はこういった、70年代のクラッシックロックにインスピレーションを得たエピックを愛しているし、DIAMOND HEAD がデビュー以来やり続けてきたことでもあるね。俺は “Kashmir”, “Child in Time”, “Victim of Changes”, “Xanadu”, “Watcher of the Skies” といったエピックを聴いて育ったんだから。」
事実、”The Coffin Train” はエピックの宝庫です。オーケストレーションを施した “The Sleeper”、”Until We Burn” のフックに満ちた英国のドラマ性、叙情性は筆舌に尽し難く、その陰影のダンスは Brian が楽曲に最も求めるダイナミズムを濃密に映し出しているのです。
さらに、オリエンタルな “Shade of Black”, グランジーな “Serrated Love” では、オルタナティブやインディーまで新鋭のサウンドもしっかり受け止める Brian の包容力と、瑞々しい感性で SOUNDGARDEN, Chris を愛する Ras のモダンな感覚が完璧に融合し、NWOBHM のユニークな精神を現代へと昇華することに成功しています。
偉大なバンドの偉大なレコード。今回弊誌では、伝説 Brian Tatler にインタビューを行うことが出来ました。「NWOBHM は DIAMOND HEAD にとって便利なムーブメントだった。当時他の NWOBHM バンドを聴くと、俺は大抵俺らの方が良いなと思っていた。と言うよりも、あの新たなムーブメントの中にいるバンドより、世界でもビッグなバンドと比肩していると考えていたんだよな。」 どうぞ!!

DIAMOND HEAD “THE COFFIN TRAIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RAVEN : EXTERMINATION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN GALLAGHER OF RAVEN!!

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LEGENDARY NWOBHM ACT RAVEN HAS JUST RELEASED STRONG THE NEWEST ALBUM “EXTERMINATION”!!

NWOBHM の古強者 RAVEN が6年振りの新作 “EXTERMINATION” をリリースしました!実に素晴らしいアルバムだと思います。ロートルだとか古臭いだとかいった言葉は全く当てはまりません!徹頭徹尾120%へヴィーでハードなロックアルバムです。確かに速さや過激さ、テクニックのみを求めるならば THRASH, DEATH METAL や METAL CORE を聴いていれば良いでしょう。ただちょうどハードロック、グラム、パンクにメタルの中間地点に生を受けた RAVEN の作る音楽には独特のグルーヴ、中毒性が存在します。NEAT RECORDS で VENOM 共々ほぼイロモノとしてデビューした彼らですがアルバムを聴けば実際は卓越した演奏、作曲能力を兼ね備えている事が判りますね。実際 “EXTERMINATION” は収録時間の非常に長い作品ですが、楽曲のバリエーション、絶妙なキャッチーさ、個々のフレーズの引っ掛かりが実に見事で冗長に感じるどころか一気に聴けてしまいます。また彼らの代表作として “LIVE AT THE INFERNO” を挙げる人は多いと思います。代表作がライブアルバムという昨今のバンドは皆無でしょう。アルバムと全く同じように再現されたライブアルバムに価値などないからです。”LIVE AT THE INFERNO” には、勿論当時彼らのスタジオアルバムにお金がかかっていなかったというのもありますが、スポンテニアスで圧倒的な生の興奮が詰め込まれています。そんな彼らのライブを体験出来る7月の来日公演、過去作の再発も決定!!。弊誌ではビリー・シーンと並び称されたベーシストでありスーパースクリーマー、JOHN GALLAGHER にインタビューを行う事が出来ました。どうぞ!!

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