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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【POWER PALADIN : WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL 】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KRILLI & INGI OF POWER PALADIN !!

“Iceland Is Our Home, To Us , Our Landscape Is Mundane. Weirdly, We find Landscapes And Environments That Others Would Consider Mundane – Big Cities, Flat Plains, And So On – Quite Exotic And Inspiring!”

DISC REVIEW “WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL”

「パワー・メタルはすべてがファンタジーの世界だから、アイスランドの火山や氷がインスピレーションと思われがちだけど、実はそうじゃないんだよね。アイスランドは僕らの故郷で、僕らにとっては平凡な場所なんだよね。だから不思議なことに、他の人が平凡だと思うような風景や環境 – 大都市や平坦な平野など – が、とてもエキゾチックで刺激的だと感じているんだよ」
光と陰の広々としたポストロック、感情的でアトモスフェリックなブラックメタル、伝統にひねりを加えたフォーク・ロックといった音景色はすべて、スカンジナビア最西端に位置する火山と氷の荒涼としたアイスランド、その地形と違和感なくつながります。では、魔法にドラゴン、賢者でありながら剣を振るうパラディンが登場するパワー・メタルはどうでしょう?
極限の自然環境もファンタジーには不可欠、そう思われがちですが、この国で唯一のパワー・メタラー POWER PALADIN はむしろ、自国にはない大都市や平坦な平野からインスピレーションを受けています。彼らにとっては平凡こそが非日常だから。結局、創造の源は人それぞれ。出自はすべてではありません。そうして私たちにとっては当たり前の光景から啓示を受けた新鋭の描き出す音楽は、完膚なきまでに非日常のファンタジーとなりました。
「ライブを始める前にファンタジックな格好をするようなバンドになったらどうかという話もあったんだけど、最終的にそれはやめて、もっとリラックスしたメタルのアプローチでステージ衣装を選ぶことにしたよ。ステージに小道具を持ち込むことはあるけど、おそらく僕たちがあの “ドレスアップ・ゲーム” に参加するようなことはないだろうな」
パラディンとは、勇気と決意を魔法に託し、不屈の魂で業物まで振るう文武両道の勇士。メガギルド Nuclear Blast の OB が立ち上げた新ギルド Atomic Fire の先頭に立ち剣を高々と振り上げたのは、他ならぬレイキャビクの POWER PALADIN でした。弦張斧と鍵盤弓で武装した6人の高貴な戦士たちは、メタル背教者をなぎ倒しつつ、まもなく何十万ものメタル・ソルジャーをその背後に従えていくはずです。なぜなら彼らは見た目や出自よりもっと重要なものを心得ているから。真の文武両道はその精神こそ清らかです。
「僕は MEGADETH や METALLICA みたいなスラッシュ・メタルや PINK FLOYD のようなプログ・ロックで育ったから、今までもこれからも僕の曲作りにはそういった音楽が大きな影響を与えるだろうね。僕と Atli と Bjarni Egill はグラム・ロックのカバー・バンドで一緒に演奏していたから、その時代からの影響もあるだろうね」
メタルのバトル・フィールドはやはり音楽です。当然、POWER PALADIN の根幹をなすのは勇壮無比なパワー・メタル。DRAGONFORCE を想起させるシュレッドの宇宙で絶世のボーカリスト Atli Guðlaugsson が内なる Kiske と交信する “Righteous Fury” や、炎以前の RHAPSODY の如くタンデム・ギターが駆け巡る “Ride The Distant Storm”、ミッドペースの重圧 (ハンマー・フォール) に拳を突き上げざるを得ない “Evermore” など、”With The Magic Of Windfyre Steel” にはパワー・メタルに求められる要素すべてが詰まっています。GAMMA RAY や BLIND GUARDIAN が醸し出した、90年代初頭のエッセンスが各所に散りばめられているのも嬉しい限り。
ただし、POWER PALADIN は、パワー・メタルの先人たちが育んだ優れた音片を無機質なモニュメントへと単純に貼り付けたコピー・キャットではありません。DOKKEN と見紛うばかりの絢爛なコーラスと美麗なメロディーが疾走する “Kraven The Hunte” こそ彼らが特別な勇者である証。”Dark Crystal” のメロパワとは一味違った北欧的クリスタルなセンス、”Into The Forbidden Forest” のプログレッシブな展開、”There Can Be Only One” のオリエンタルなハイトーン・マジック、そのすべてが彼らの強烈な個性として爆発的な扇情力と共にリスナーを多彩な異世界へと連れ去るのです。最後の飾りつけは RPG の音細工。
今回弊誌では、ベーシスト Krilli とギタリスト Ingi にインタビューを行うことができました。「日本のものも含めて RPG にはかなり影響されているね。実際、”Righteous Fury” のソロの直前には “ゼルダの伝説” へのオマージュが込められている」どうぞ!!

POWER PALADIN “WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL” : 9.9/10

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