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EXCLUSIVE INTERVIEW 【ANNA MURPHY : ex-ELUVEITIE, CELLAR DARLING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNA MURPHY OF CELLAR DARLING !!

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Anna Murphy, Gorgeous Muse Talks About Her Ex-Band ELUVEITIE, New Band Cellar Darling, And Solo Project !!

スイスが誇る Folk / Melodic Death Metal バンド、ELUVEITIE。ヴァイオリン、バグパイプ、ホイッスル、ハーディー・ガーディーといった伝統楽器を大胆に取り入れ、ケルトの民族音楽とメロデスを見事に融合させた革新的な集団です。
2014年に日本公演も大成功させた、このインターナショナルなメジャーアクトに今年、大事件が勃発しました。2000年代前半から所属していた中心メンバー、ボーカル/ハーディー・ガーディー の Anna Murphy, ギタリスト Ivo Henzi, ドラマー Merlin Sutter が脱退してしまったのです。
元々、作品毎に音楽性が変わりやすく、メンバーチェンジの多いバンドであったことは確かです。しかし、特に Anna の美麗なボーカルと、ハーディー・ガーディーが紡ぐケルトの響きは間違いなく ELUVEITIE の顔であったため、多くのファンを失望させています。
弊誌では以前も Anna にインタビューを行っていますが、今回再度登場いただき、ことの顛末、ELUVEITIE への想い、脱退した3人が新たに結成した新バンド “Cellar Darling” などについてお話を伺う事が出来ました。
「結局 ELUVEITIE は Chrigel のバンドだから」 「ここ何年間も封印されていたクリエイティビティ」 などという言葉の端々から、この脱退劇がバンドの創立者 Chrigel Glanzmann との対立、意見の相違であったことは明らかでしょう。最新作 “Origins” で Anna のボーカルはさらに増える傾向にあったため、そのあたりが引き金だったのかも知れませんね。
勿論、残念ではありますが、ELUVEITIE は ELUVEITIE で、LEAVE’S EYES の Liv Kristine をゲストに迎えてツアーを行っていますし、インタビューで Anna が語っているように、好きなバンドが2つに増えたと思えば楽しみにもなります。また、彼女はソロアーティストとしても活動しており、新曲 “Mayday” をリリースしたばかり。こちらにも Ivo, Merlin が参加しているので少しややこしいですが、ぜひチェックしてみてくださいね!どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HUNG : DJURASSIC WORD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BARNABY OAKLEY OF HUNG !!

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The Brightest Hope Of Prog Metal / Djent From UK, HUNG Has Just Released Catchy & Groovy New Record “Djurassic Word”!! Will Djent Conquer Jurassic World ?!

DISC REVIEW “DJURASSIC WORD”

モダン=多様性、エクレクティック。2010年代音楽シーンの重要な公式に当てはめれば、極めてモダンであるとの解が出るであろう UK 出身の DIY デュオ HUNG が最新作 “Djurassic Word” をリリースしました!!
モダンであるはずの彼らが、太古の恐竜を文字ったアルバムタイトルを冠しているのも興味深いですが、頭文字Dに注目するまでもなく HUNG の骨格は Djent / Prog Metal です。しかしながら、HUNG の音楽はその領域に収まりきらない鮮やかな拡がりを備えています。
“Pastille Coloured Lady” を聴けばアルバムが”キャッチー”というテーマに強くフォーカスしていることに気づきます。Djenty なリフワークとファンクのグルーヴを併せ持ったリズムに、キラキラのキーボード。透明感溢れるキャッチーなボーカルが加われば、21世紀の POP-Rock アイコン DIRTY LOOPS を思い出すファンも多いでしょう。
実際、DIRTY LOOPS もファンク、ジャズ、エレクトロニカという多様な要素を楽曲に盛り込む “Loopfy” という手法でモダンなテイストを表現しているのはご存知の通り。Rock と Metal、畑こそ違えど HUNG がそこにヒントを得ているのは明らかでしょう。アルバムを通じて印象的なキーボード/エレクトロサウンドは特に。
さらに、エクレクティックという観点から見れば、 “Browbeat” も重要な1曲だと感じます。以前弊誌でインタビューを行った HACKTIVIST が Kendrick Lamar について言及し、Rap を見事モダンメタルと融合させていたように、HUNG も Rap を積極的に楽曲に導入しています。アトモスフェリックとさえ言えるような Rap パートとヘヴィネスのコントラストが実に見事ですね。
同時に、HUNG は Djent / Prog-Metal の矜持とも言える高いテクニックをも兼ね備えています。PERIPHERY を想起させる爽快なアルバムオープナー “Primevil” は勿論、Dan Sugarman, Angel Vivaldi など、シーンでも有数のテクニシャンたちがゲスト参加したアルバムは、モダンギターという観点から見ても非常に充実した、聴き所の多い作品となっていますね。特に、ボーカル間に挟み込まれる、美しくスリリングな高速オブリガードは彼らのトレードマークとも言えるほどに際立っています。
“The Mesozoic Era” で 80’s エレポップのような手法を取り入れたかと思えば、”Carcharodontosaurus” では VEIL OF MAYA も真っ青なプログデスコアを臆面もなく披露する柔軟性。カメレオンという恐竜が現代に生き残っていることを思い浮かべてしまいますね。
今回弊誌では、バンドの中心人物 Barnaby Oakley にインタビューを行うことが出来ました。ボーカル、ギター、プロダクション全てをこなす才人!イケメン!どうぞ!

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HUNG “DJURASSIC WORD” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COLDWORLD : AUTUMN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH G.B. OF COLDWORLD !!

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One Man Atmospheric Black Metal From Germany, COLDWORLD Has Just Released Gorgeous New Album “Autumn” For The First Time In 8 Years !!

DISC REVIEW “AUTUMN”

8年の沈黙を経て、German Atmospheric Black の雄、COLDWORLD が復活作 “Autumn” をリリースしました!!洗練され、スケール感、アンビエンス、メロディーの質共々格段に進化した作品は、シーンに衝撃を与えています。
COLDWORLD は G.B. のワンマンプロジェクト。すべての楽器、そしてグロウルからクリーンボーカルまで見事にこなす彼の才能は “Autumn” において素晴らしく開花していますね。前作 “Melancholie²” のメロディックなスタイルは引き継ぎながら、よりウォームでナチュラルなサウンドを具現化したアルバムは、最早ストレートな Black Metal の領域には収まり切らないようにも思えます。
Depressive Black Metal の首領、SHINING の近作がプログレッシブな1面を提示している事実とリンクするかのように、同様にデプレッシブなサウンドを奏でる COLDWORLD も Post-Progressive への接近を隠そうとはしません。
9分の大曲、”Womb of Emptiness” を聴けば、彼らの新しいチャレンジを感じることが出来るでしょう。ピアノとキーボードの荘厳でクラシカルなコードプログレッションに導かれ紡がれる G.B. のクリーンボーカルは、深い悲しみを湛えつつ、ダークでディープなアトモスフィアを創出します。KATATONIA の Jonas Renkse を想起するファンも多いでしょう。
実際、楽曲の前半は KATATONIA のモダンなプログレッション、リリシズム、耽美性と共通する部分も多く感じられます。
一転、壮絶なトレモロリフとグロウル、ダブルベースドラムが切れ込むと、楽曲は激しい絶望を宿した美しさにその色を変えていきます。冷ややかな空気の中、創出される対比の妙は、アルバムの重要なポイントとなっていますね。さらに、プログレッシブという観点から見れば、”Climax of Sorrow” においても OPETH のようなヘヴィープログレッシブに知性を湛えた極上のリフを聴くことが出来ます。
一方で、”Autumn” には、ALCEST, DEAFHEAVEN といった人気と飽和の渦中にある Post-Black / Blackgaze 勢に通じるような、多幸感すら感じさせるサウンドも存在します。アルバムオープナー、”Scars” での大胆なストリングスの使用や、”Void” における美麗な女性コーラスの導入も、絶望の先に暖かい光が射すような楽曲のムードを見事に強調しており、作品に多彩で豊かな表情を植え付けています。
インタビューで語ってくれた通り、幼少時からヴァイオリンを習得している G.B. の音楽は非常に緻密かつ知的で、エピカル。完成まで8年もの長い月日を要したことにも頷けます。今回弊誌では、G.B. にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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COLDWORLD “AUTUMN” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JAMBINAI : A HERMITAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEE ILWOO OF JAMBINAI !!

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Experimental Modern Rock From South Korea, JAMBINAI Has Just Released Newest Album “A Hermitage” !! Traditional Korean Music “Gugak” Melts Into Post-Rock Here !!

DISC REVIEW “A HERMITAGE”

韓国が誇るモダンロックの新鋭、JAMBINAI が世界へとアピールする、強いエモーションと高い音楽性を兼ね備えた新作 “A Hermitage” をリリースしました!!
JAMBINAI の特徴は、まず何と言っても韓国の伝統音楽”国楽” (Gugak) とモダンミュージックを見事に融合させている点にあります。スリーピース編成のバンドは、ギター、ベースといったオーソドックスな西洋の楽器とともに、ピリ(篳篥に似た木管楽器)、へグム(二胡に似た弓奏楽器)、コムンゴ(琴に似た弦楽器)といった韓国の伝統楽器も見事に使いこなしているのです。
メンバーは3人とも、大学で国楽を専攻していたと言うのですから、当然と言えば当然ですが、これほど自然に巧みに伝統とモダンをミックスしているバンドは世界という視点で見ても多くは存在しないでしょう。伝統楽器独特の優雅で美しい音色が、Post-Rock のエモーション、ジャズのアンビエンス、そしてダークでスラッジーなメタルに溶け込んで生まれるダイナミズムは彼ら特有のアイデンティティと言えますね。
JAMBINAI が度々比較されるのは、GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR, MOGWAI, EXPLOSION IN THE SKY といったアトモスフェリックな Post-Rock のバンドたちで、勿論それは “For Everything That You Lost” が象徴するように彼らの骨格の1つなのですが、同時に、例えばアルバムオープナー “Wardrobe” で聴けるような怒りに満ちたディストーションギター、雷嵐のようなドラミングにはメタルからの影響も強く感じられます。
アルバムを深く覆うのは、TOOL のインテリジェンス、CONVERGE のカオス、NIN のダークネス。そして “Naburaku” のシンプルかつ凄まじい攻撃性を持つリフにはさらに根源的なヘヴィーメタルの雰囲気すら存在します。そうして生まれるアトモスフィアとダークヘヴィーの対比、伝統とモダンの対比が作品に唯一無二の素晴らしいムードを創出していますね。
また、実験性も彼らの音楽を語る時、重要なキーワードとなるでしょう。”Echo of Creation” では Sim が琴のような伝統楽器コムンゴのネック部分をエネルギッシュにかき鳴らしながらハンマリングし、伝統からはかけ離れた楽器の使用法で強力なインテンスを具現化していますし、”Abyss” でのゲストボーカル Ignito をフィーチャーしたアグレッシブな韓国語ラップも鮮烈な印象を残していますね。
圧巻はアルバムクローサーの “They Keep Silence”。2014年に起きた、300人以上の死者を出した悲劇的な韓国の海難事故 “セウォル号沈没事故” について書かれたこの楽曲は、メインソングライター Lee Ilwoo がインタビューで語ってくれた通り、事故の悲しみよりも、怒りや苦しみに焦点が当てられています。Tool のグルーヴに国楽を加えたようなサウンドは、コムンゴが刻むオルタナティブでマスマティカルな深みのあるリフ、静寂から徐々に声をあげるけたたましいヘグムの叫び、そして全ての楽器がラウドに怒りを表現する後半の混沌まで、生々しくも壮絶な感情に満ち溢れています。まさに彼らのイメージする音楽を体現したかのような1曲でしょう。
今回弊誌では、バンドのブレイン Lee Ilwoo にインタビューを行うことが出来ました。ヨーロッパツアーを行うほど欧州では注目を集め出している彼ら。東アジアの伝統音楽を世界に紹介してくれるという点でも意味のあるバンドだと思います。どうぞ!!

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JAMBINAI “A HERMITAGE” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INFANT ANNIHILATOR : THE ELYSIAN GRANDEVAL GALERIARCH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AARON KITCHER OF INFANT ANNIHILATOR !!

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EggMetal Is Back!! Super Technical Hardcore Abnormal Deathcore Outfit, Infant Annihilator Has Just Released The Most Intense Record “The Elysian Grandeval Galèriarch” !!

DISC REVIEW “THE ELYSIAN GRANDEVAL GALERIARCH”

UK が生んだ EGGMETAL のパイオニア INFANT ANNIHILATOR がしばしの沈黙の後、新ボーカル Dickie Allen を得て凶悪な新作 “The Elysian Grandeval Galèriarch” をリリースしました!!
EGGMETAL、則タマキンメタル。長いメタル史においても、タマキンとメタルを融合させたのは間違いなく INFANT ANNIHILATOR が初でしょう。プログ、デス、ブラック、スラッシュなど何もかもがメタルと融合していく中、なぜタマキンだけがメタルと融合出来ないのかと悔しさで枕を濡らし続けたメタルウォーリアーも多いはずです。機は熟しました!!
彼らの魅力は、まず何と言ってもそのMVに集約されています。デビューフル “The Palpable Leprosy of Pollution” に収録されていた “Decapitation Fornication” の MV は、そのオゲレツ具合で他のメタルバンドなど全く寄せ付けることすらありませんでした。楽器などは一切持たず、ただ深い森の中でエアメタルとホモ行為を繰り返すのみ。ズダズダズダズダと流れる凶悪なデスコアサウンドの中、嬉嬉としてホモ行為を繰り返すだけの彼らに狂気を超えた狂気を感じプラウザをそっと閉じたメタルウォーリアーも少しはいたかもしれませんが、視聴回数400万越えという結果と共にシーンには間違いなく衝撃を与えました。
前任ボーカル Dan が脱退し、残念ながら自然消滅かと思われていた INFANT ANNIHILATOR は、突如マイクをチンポのように扱うアー写とともに新ボーカル Dickie Allen の加入をアナウンスし、新作のリリースも発表します。ABIOTIC などで活躍し、その筋では実力が高く評価されていた Dickie ですが、そんなことよりも彼らはまたしてもブチかましてくれました。
新MV “Motherless Miscarriage” は Facebook にアップすると同時に即削除されるような危険極まりない代物。勿論 YouTube でも年齢確認を求められます。究極に進化を遂げたタマキンメタルはもはや完全にただのホモビデオにまで昇華していたのです。
オシリ、黄身、白身、オシリ、黄身、白身がめまぐるしく登場する素晴らしく EGG でエッチな2分13秒。勿論、新作のタイトル “The Elysian Grandeval Galèriarch” の頭文字は The EGG。キ・ン・タ・マ。ここまで徹底している彼らのキンタマ道にはもはやリスペクトしかありませんね!!
とはいえ、実はバンドの創立メンバー Aaron と Eddie は将来を嘱望される UK Hardcore / Deathcore バンド BLACK TONGUE のメンバーで、その実力は折り紙つき。実際、RINGS OF SATURN の作品にもセッション参加した Aaron のドラムパターンは狂気的で人間技を超えており、アルバムの強力な聴き所となっていますね。また、Eddie のダークなアトモスフィア、クラシカルな超高速スイープで畳み掛けるテクニカルなプレイも圧巻です。ストーリーとリンクしたシアトリカルな SE やテンポチェンジ、シンセサイザーを効果的に使用したプログレッシブさも本当に素晴らしいですね。
“心がタマキンなんだよ。” Aaron はインタビューでそう語ってくれました。男ならタマ裏の匂いと共存共栄、いつも心にタマキンを。イケメンすぎる変態、Aaron Kitcher です。どうぞ!!

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INFANT ANNIHILATOR “THE ELYSIAN GRANDEVAL GALERIARCH” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NAPOLEON : NEWBORN MIND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAM OSBORN OF NAPOLEON !!

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UK Based Melodic Hardcore Four Piece, NAPOLEON Has Just Released The Genre-Breaking Debut Full-length, “Newborn Mind” !! “Melodiposipassiongroove” Is Here !!

DISC REVIEW “NEWBORN MIND”

ユーロモダンメタルコアシーンの皇帝 NAPOLEON が満を持して待望のデビューフルレングス “Newborn Mind” をリリースしました!!ハイセンスなシングルや EP で注目を集め、将来を期待されながらデビューフルレングスまで長い時間をかけたのは、NOVELISTS と同様の手法。そして36分のレコードは、長く待ち続けた Melodilc Hardcore ファンの期待に十分に応える内容となっています。
Tech-Metal シーンにおいて有数の実力を持つギタリスト、 Sam Osborn 擁する NAPOLEON は自らのサウンドを”melodiposipassiongroove” と称しています。実際、INTERVALS meets KILLSWITCH ENGAGE, POLYPHIA meets ARCHITECTS などと例えられる彼らの音楽性は見事にメロディー、ポジティブ、パッション、グルーヴを共存させていますね。
他の Tech-Metal バンドと比較して、NAPOLEON のサウンドを強く特徴付ているのはその大胆なクリーンギターの使用法でしょう。”Stargazer”,”Utopia” のイントロが効果的なのは勿論、”Maps” を聴けば、彼らがまさに “Newborn” な音楽を創造していることが分かります。メジャーキーで、クリーンギター&クリーンボーカルにより紡がれる2分間の小曲は、Math-Rock, Instru-Metal の影響下にありながら、同時にしっかりと Metalcore の土台も感じさせるのです。非常にカラフル、エモーショナルでフレッシュな “Maps” は NAPOLEON のバンドとしての可能性、多様性を証明していますね。
さらに、”Of Jams, Smokes & Promises” のイントロなどは、And So I Watch You From Afar を彷彿とさせるアイリッシュなメロディーが白眉。ユニークなタイムストラクチャーと相俟って Math-Rock からの影響を強く誇示しています。人生を変えたアルバムに、TTNG の作品をチョイスしているように、ここまで Math-Rock とメタル要素の融合を推し進めたアーティストは前代未聞なのではないでしょうか?
新ボーカル、ex-CLIMATES 、Wes Thompson の荒々しいスクリームからエモーショナルなクリーンまで見事にこなす幅広いレンジも実に魅力的です。時に流暢に、時にカオティックに駆け巡る Sam の多彩なフレットワークとの相性も抜群。タイトルトラック “Newborn Mind” では、スーパータイトなリズム隊、特に James Mendoza のスピーディーでメカニカルなドラミングはアルバムを通して素晴らしいですが、の協力もあり、メロディックでありながらテクニカルでヘヴィーという命題をいとも簡単に達成していますね。
“Dystopia” で歌われる “get awake and defeat this” というフレーズは “Utopia” でも再度現れます。「目を覚ませ、挫けるな」、NAPOLEON の音楽は、インタビューでも語ってくれた通り、リスナーに常にポジティブなグルーヴを届けてくれるのです。
今回弊誌では、Sam Osborn にインタビューを行うことが出来ました。日本ツアーも視野に入っていそうですね、どうぞ!!

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NAPOLEON “NEWBORN MIND” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIATUS KAIYOTE : CHOOSE YOUR WEAPON】SUMMER SONIC 2016 Special !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NAI PALM OF HIATUS KAIYOTE !!

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Australia Based Super Eclectic Future Soul Outfit, Hiatus Kaiyote Set To Come Back To Japan in August! Don’t Miss Their Splendid Performance At Summer Sonic 2016 !!

DISC REVIEW “CHOOSE YOUR WEAPON”

オーストラリアを代表するアーティストへと躍進を遂げ、Summer Sonic 2016 への出演も決定している “Multi-Dimensional, Polyrhythmic Gangster Shit” こと HIATUS KAIYOTE。2度のグラミー賞へのノミネート、Q-Tip とのコラボレート、Robert Glasper の作品への参加、Chance the Rapper によるサンプルの使用など、何かと話題の多い彼らですが、注目を集めるのも当然。それは、”Neo Soul”, “Future Soul” と評されている事実からも分かるように、非常にエクレクティックで、スリリングで、斬新で、未来への扉を開ける音楽を創出しているからでしょう。
3年というインターバルを要した彼らの最新作 “Choose Your Weapon” は、さらにサウンドの領域を広げバリエーションに富んだ、完成度の高い傑作に仕上がりました。70分18曲に及ぶ大作は、Modern Jazz, 70’s Funk, Samba, Hip Hop, House, African Soul, Fusion, Prog Rock など実に多彩な要素を取り込みつつ、華やかなエレクトロニカサウンドで装飾された、カラフルで万華鏡のような作品です。デビュー作 “Tawk Tomahawk” が随所にその才能のキラメキを感じさせながらも、10曲30分といういかにも食い足りないランニングタイムであったことを考えれば、本格的に勝負に出たレコードとも言えるでしょう。
“Shaolin Monk Mothefunk” は “Choose Your Weapon” への招待状。ボーカル/ギター Nai Palm の Stevie Wonder, Amy Winehouse を想起させるソウルフルな歌唱、しなやかに配置されたメロディーとカウンターハーモニー、断続的に行われるキーチェンジは実に見事で、アルバムを通してバンドの推進力となっていますね。ウォーキングベースと4ビートでスウィングするヴィンテージジャズサウンドから一転、楽曲は目まぐるしくもアフロ・ポップのグルーヴを刻み始めます。シンセサイザー&フレットレスベースの高速アルペジオと Nai の鬼気迫る歌唱が一体となり、畳み掛ける終盤は圧巻の一言。リスナーはこの時点で、アルバムがいかにアイデアに溢れた作品であるか理解することでしょう。
楽器隊の群を抜いたパフォーマンスも勿論聴き所の1つです。特にシンセサイザーを操る Simon Marvin の音色の豊かさ、テクニックは白眉。宮崎アニメ、”天空の城ラピュタ”にインスパイアされたという “Laputa” ではシンセサイザーがパステルカラーの波を生み出し、”Jekyll” ではピアノでバンド全員のエキゾチックなルーツと並外れたテクニックを引き出します。”Breathing Underwater” での、サンバ・エレクトロニカなどと称したくなる試みも画期的ですね。
特筆すべきは、”Atari” で Dubstep 的ビートとチップチューンを大胆に使用し、キャッチーで未来色の音楽を提示しています。このレコードで何度も聴ける、Perrin Moss の異なる拍子を刻む多次元的なドラミングと Paul Bender の印象的なリフを刻むリードベースが、楽曲にロックらしいダイナミズムをもたらしていますね。同時に、彼らのプログ的側面も開花しており、YES のような”キメ”を使用し、70’s Rock のムードを盛り込んでいることは非常に興味深い対比ですね。
加えて、LAジャズシーンとの接近もアルバムの重要な要素です。”Jazz the New Chapter” シリーズで紹介されたように、HIATUS KAIYOTE は間違いなく、新たに拡散する Jazz サウンドの先端にも立っています。”Creations Pt.1″ には明らかに FLYING LOTUS からの影響が感じられますし、Nai が16.7歳の時に書いたという “Fingerprints” のサウンドは Robert Glasper の手法と通じます。
トレンドを意識しつつ、独自の音楽を開拓する HIATUS KAIYOTE。今回弊誌ではバンドの顔とも言える Nai Palm にインタビューを行うことが出来ました。5月の来日から3ヶ月での帰還となります。どうぞ!

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HIATUS KAIYOTE “CHOOSE YOUR WEAPON” 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : DISAPPOINTMENT ISLAND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

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UK Based Math-Rock / Emo Trio, TTNG Has Just Released Their 3rd Record “Disappointment Island” !! Full of Emotion & Melancholy, No Disappointment Here!!

DISC REVIEW “DISAPPOINTMENT ISLAND”

UK オックスフォードが生んだ Math-Rock / Emo の奇才、TTNG が3rdアルバム “Disappointment Island” をリリースしました!!
ニュージーランド沿岸、実在する島の名前をタイトルに冠したアルバムは、完全に4ピースからトリオになって初の、バンド名を THIS TOWN NEEDS GUNS から改名して2枚目の作品。
インタビューで語ってくれた通り、”Disappointment Island”、”失望の島”とは彼らの母国UKがEU離脱に向けて進んでいる状況を皮肉ったタイトルでもあるのです。その背景を鑑みれば、アルバムが少し物悲しく、メランコリックなムードを帯びていることにも納得が行きますね。
静と動の対比、遂にダイナミズムを極めたように思える “Disappointment Island”。アルバムクローサー “Empty Palms” は現在の TTNG を象徴するような楽曲です。シルクのように繊細な Henry Termain の美声が紡ぐメロディーは静寂と喧騒を司り、キャッチーかつ非常に雄弁。加えて、見事なサウンドスケープを創出する楽曲のアトモスフィアは、彼らの興味が Post-Rock 方面に振れていることを顕にしています。
RUSSIAN CIRCLES, PELICAN でお馴染みの、Greg Norman によってレコーディングが行われた事実、さらに The World Is A Beautiful Place & I Am No Longer Afraid To Die とツアーを行ったことから鑑みて、TTNG がこういった手法を全面に押し出すことはもはや驚きではないでしょう。実際、バンドにとって最も長い部類に入る5分37秒の “Whatever, Whenever” は PELICAN を想起させるような轟音パートで幕を閉じます。
ギタリスト、Tim Collis のフレーズセンス、才能が爆発した “In Praise of Idleness” も同様に美しい景色が視界に広がるような音楽。Math-Rock バンドとしての矜持を証明するかのような優美なシンコペーションが白眉ですね。
とは言え、勿論、彼らのテクニカルで複雑な1面を強調した楽曲もアルバムの聴き所の1つ。”A Chase of Sort” で聴ける流れるようなタッピングフレーズや Chiris Collis による変拍子を逆手にとった印象的なドラミングはまさに TTNG のトレードマーク。”Destroy The Tabernacle!” のテクニカルでエスニックなムードもアルバムに良いアクセントを加えています。ただし、トリオとなったことが作用したのか、全てのトーンがよりオーガニックに仕上げられていることは記しておくべきでしょう。
今回弊誌では才気溢れるギタリスト Tim Collis にインタビューを行うことが出来ました。ドラムスの Chiris とは兄弟でバンドの核となっていますが、発するエモーションは Kinsella ファミリーにも迫っていますね。どうぞ!!

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TTNG “DISAPPOINTMENT ISLAND ” : 9.3/10

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