EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHEN BALBUS OF ORPHANED LAND !!
Israel Based Middle-East’s Oriental Metal King, Orphaned Land Shows Their Protest & Anger To “Big Machine” With Their Newest Record “Unsung Prophets & Dead Messiahs” !!
DISC REVIEW “UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS”
オリエンタルメタルの創始者にして、愛と平和の伝道師。イスラエルの至宝 ORPHANED LAND が偏見の鎖を断ち切る最新作 “Unsung Prophets & Dead Messiahs” をリリースしました!!複雑で荘厳、そして何より怒れる正義のアルバムは、世界を支配する全ての権力、不条理に対する強烈なプロテストとなるはずです。
90年代初頭からまさに “孤立した地” イスラエルで生を受けた ORPHANED LAND は、自らの地理的、文化的出自と真っ直ぐに向き合いながら不屈の精神でその活動を続けて来ました。
あのドキュメンタリー映画 “グローバルメタル” で驚愕と共に世界が発見した、西洋を起源とするメタルのフレームに中東のオリエンタルなフレーバーや民族楽器を持ち込む独特の手法は勿論正直で真摯なバンドの象徴だと言えますね。しかし、それ以上にアラビアを起源とするユダヤ、イスラム、キリスト三つの大宗教の融和を願い貫かれるバンドの高潔なるスピリットこそが多くのファンを魅了する理由なのかも知れません。
バンドが掲げるその崇高な理念が結実した傑作 “All is One” から5年のインターバルを経てリリースされた “Unsung Prophets & Dead Messiahs” は、祈りと願いで満たされた前作とは異なりより具体的に人の革新を促すアルバムだと言えるでしょう。
バンドはこれだけ政治、戦争、経済が危機に面する世界で沈黙を貫く世論に疑問を投げかけます。この状況はプラトンの “洞窟の比喩” ではないかと。残念ながら民衆は抜け出す努力を嫌い、暗い日常でも耐え時にはそれにしがみつきます。事実、キリストからガンジー、キング牧師、ケネディ大統領まで世界を救う “預言者”、もしくは “メシア” といった存在の多くは変革を起こす前に暗殺されて “歌い続ける” ことも叶わなかったのですから。
沈黙、停滞への義憤を宿すアルバムは、ギターと民族楽器を操る Yossi Sassi 脱退後初のアルバムともなりました。とは言え、当然 ORPHANED LAND に停滞などは似合いません。
「バンドにメインコンポーザーは存在しないよ。誰もが作曲していて、僕たちは各自のリフを巧妙にマッシュアップしているんだ。さながら大きなジグソーパズルのようにね。」 と Chen が語るように、より奔放で展開の妙を増したエピカルな楽曲群に大黒柱不在の影は感じられませんね。
さらに思索を進めれば、「”All is One” では確かに僕たちは意図的にグロウルを避けていたね。だけど、”Unsung Prophets & Dead Messiahs” では、全ての側面でただ音楽にメッセージを語らせることにしたんだ。」 という言葉に目が止まるはずです。
怒りや嘆きがプログレッシブなデスメタルのムードへと幾分か変換された作風は確かに過去の “Mabool” や “The Never Ending Way of ORwarriOR” を想起させますが、同時にここには未だ前作で開花した祈りのオーケストレーションやシンフォニックなコーラスも華麗に息づいており、結果としてそのキャリアを集約したかのような進化を遂げたと言えるのかも知れませんね。
女性ボーカルと壮麗なストリングスが誘うオープナー “The Cave” はその進化の象徴。極上のエモーションを湛える当代きっての歌い手 Kobi Farhi が時に壮大なクワイアと、時に自らの凶暴なグロウルと繰り広げるコール & レスポンスは、コントラストの魔法、異国のメロディーとシンセサイザーの響きに抱かれオリエンタルメタルを一際尊きメタルオペラの高みへと導きます。
8分間の観劇の一方で、RAMMSTEIN を思わせるダンサブル & キャッチーな “We Do Not Resist” は、エレクトロニカとオーケストレーションの海原を中東の民族楽器がまるでモーゼのように闊歩する異端でしかし印象的な楽曲。コンパクトで強靭なデザインは確かに新機軸。ダイナミックで一切予定調和のない冒頭の2曲でリスナーは自らの “洞窟” から抜け出るはずです。
さらに PORCUPINE TREE や GENESIS, PINK FLOYD の面影を宿すプログレッシブメランコリックな “Chains Fall to Gravity” では Kobi の名唱とレジェンド Steve Hackett の名演を同時に堪能出来る佳曲。まるで演歌のような一期一会の熱唱が生み出す情念は、いつしか Steve の左手へと乗り移りブルースの優しさでリスナーを繋ぐ頑なな鎖を断ち切って行くのです。Jens Bogren のしなやかなサウンドデザインも相変わらずお見事。
BLIND GUARDIAN の Hansi Kursch がトレードマークのメロディーで色香を漂わせるトラディショナルなメタルアンセム “Like Orpheus”、AT THE GATES の Tomas Lindberg が唸りを上げるコンテンポラリーな “Only the Dead Have Seen the End of War” まで ORPHANED LAND はそうやって思想や人種、宗教のみならず音楽の世代やジャンルも繋いでいるのかも知れませんね。
今回弊誌ではギターと木琴、さらにブズーキ、サズ等の民族楽器を扱う Chen Balbus にインタビューを行うことが出来ました! 「影響力は僕たちが望むほど大きくはないんだよ。だけどね、一つくらいは希望が必要でしょ?」 4月の来日も決定しています。どうぞ!!
ORPHANED LAND “UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS” : 9.8/10
INTERVIEW WITH CHEN BALBUS
Q1: This is our first interview with you. So, first of all, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up? Who was your musical hero at that time?
【CHEN】: Thanks for having me !
I’m Chen, the guy playing the guitars and some other stuff.
As the youngest guy in the band, I remember myself growing into GNR (Slash, is my guitar hero til this day), Led Zeppelin, Metallica and such. Among those Western influences, I grew up to a house full of Oriental and Middle Eastern music naturally, due to the fact that I’m from Israel.
Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドから話していただけますか?
【CHEN】: まずはインタビューをありがとう!僕は Chen。ORPHANED LAND でギターと他にもいくつか楽器をプレイしているよ。
バンドの中で最も若いから、Guns And Roses (Slash は今日まで僕のギターヒーローであり続けているね), LED ZEPPELIN, METALLICA なんかを聴いて育ったんだ。
そういった西洋からの影響の中で、家ではオリエンタルや中東の音楽を自然といっぱいに吸収していたね。それは勿論僕がイスラエルで育ったからだよ。
Q2: As you say, you are from Israel. You’ve been continued the band since early 90’s. What was it like to start metal band and music in your country at that time?
【CHEN】: Although I was just born at the time, I can definitely say that back then, the Metal scene basically had 50 people tops maybe, haha. But it grew so much and today Israel is a favorite location to many bands worldwide.
Q2: イスラエルと言えば、あなた達はその場所で90年代初頭からバンドを続けています。当時イスラエルでメタルをプレイするのはどのような感覚でしたか?
【CHEN】: 僕は当時まだちょうど生まれたばかりだったんだけど、間違いなく言えるのは、当時のイスラエルメタルシーンには最高でも50人くらいしかいなかったはずさ(笑)
だけど本当に成長して、今日のイスラエルは世界的に見ても多くのバンドにとって好ましい場所となっているね。
Q3: Since then, Orphaned Land has a clear vision of its manifest to convey the message of commonality between the three main Abrahamic religions, Judaism, Islam, and Christianity. I feel Your previous record “All is One’ was one of the symbol of that. What made you bring the manifest in your metal music?
【CHEN】: It became clear with each album to come, although it was always the same subject. We figured out how to bring that story out there. AIO is the first album to bring that subject straight forward more than our previous album. Sometimes you need to be plain and simple, hehe.
Q3: 以来、ORPHANED LAND は、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教という3つのアラビアを起源とする宗教を繋ぐメッセージを発信し続けていますね?前作 “All is One” はまさにそのシンボルと言えました。
【CHEN】: どの作品がリリースされる時も明らかなのは、僕たちがいつも同じ題材を扱っていることなんだ。ただそのストーリーを如何に伝えるかの違いだけなんだよ。
“All is One” はその題材を以前の作品よりももっとストレートに扱った初めてのアルバムだったね。そう、時にはシンプルで簡素に伝える必要があるんだよ (笑)。
Q4: So, let’s talk about your newest record “Unsung Prophets and Dead Messiahs”. I feel it’s a protest album, a very angry album. Also, Plato’s ideas seems to be within this album. At first, could you please tell us qabout the concept or lyrical themes of the album? What’s the meaning behind the title and artwork?
【CHEN】: This is indeed a very angry album and a protest to all that’s happening out there in the Eastern and Western world, based around Plato’s allegory of the cave. According to that allegory, humans are chained in a cave, seeing nothing but the shadows from the caves flame. That’s all the live and know, until the hero (the prophet) was released from his chains and left out to see there’s a whole new world out there that was kept away from him. He rushed back to the cave to tell his brothers and got killed… thus like humans, we choose to be locked in chains and comfortable with the situation in our daily lives of bullshit media and random hatred spread. The artwork exactly reflect the whole protest against the big machine that’s running the world.
Q4: その文脈で言えば、最新作 “Unsung Prophets and Dead Messiahs” はより怒れるプロテストアルバムのようですね?
【CHEN】: 実際この作品はとても怒れるアルバムだよ。そして東洋、西洋で起こっている全ての出来事に対する “プロテスト” でもあるんだよ。プラトンの “洞窟の比喩” に基づいたね。
その比喩によると、洞窟に住む縛られた人々が見ているのは “実体” の “影” なんだけど、それを実体だと思い込んでいるんだ。”実体” を運んで行く人々の声が洞窟の奥に反響して、この思い込みは確信に変わるよ。同じように、われわれが現実に見ているものは、イデアの “影” に過ぎないとプラトンは考えたのさ。
つまり重要なのは、ヒーロー(預言者)は自身の鎖から解き放たれてはじめて、彼が遠ざけていた全く新しい世界を発見したということなんだ。彼は洞窟に急いで戻りその事実を兄弟に伝え、そして新たな世界という事実のために殺されたんだよ。
つまり人間は、預言者を殺した兄弟のように、鎖に繋がれクソみたいなメディアと憎しみの放射に塗れたしかし快適な日常生活へ留まることも選択できる訳さ。アートワークはまさにそういった世界を動かす “ビッグマシン” への完璧なる反抗を描いているんだ。
Q5: I said angry album, because of not only it’s theme, but also growl, harsh vocals come back to your music. I mean it was the element we missed in “All is One”. Is there any reason for bringing back these aggressive vocals?
【CHEN】: We did try to avoid growls on AIO (just one track had growls in it) but on UP&DM we just wanted the music to speak the message in all aspects, whether the track was angry musically and lyrically and needed growls or clean vocals for the softer parts.
Q5: 怒れるアルバムと言ったのは、コンセプトもそうですが実際に “All is One” では封印していたグロウルが復活しているからでもあるのですが?
【CHEN】: “All is One” では確かに僕たちは意図的にグロウルを避けていたね。1曲だけ使用していたと思うけど。だけど、”Unsung Prophets and Dead Messiahs” では、全ての側面でただ音楽にメッセージを語らせることにしたんだ。
だから楽曲が音楽的、もしくは詩的に怒っていればグロウルが必要だったし、もっとソフトなパートにはクリーンボーカルを使用したんだよ。
Q6: This is the first album since guitarist and co-founder Yossi Sassi left the band. How have the writing process and music itself changed?
【CHEN】: Orphaned Land never actually had a ‘main composer’. so as far as it was this time, it was ever easier since both Idan & me have our studios, which granted us the time to process the songs until we maximized each song to its best. Everyone is composing and we end up mashing all of our riffs together, like a grand puzzle.
Q6: バンドの重要人物であった Yossi Sassi 脱退後はじめてのアルバムでもあります。制作段階や音楽性に大きな変化はありましたか?
【CHEN】: 実際のところ、ORPHANED LAND は所謂メインコンポーザーというポジションを設けたことはないんだよ。
今回は、Idan と僕の2人が自分のスタジオを持っていて、各曲の魅力を最大限に引き出すまで楽曲を扱える充分な時間があったから、もっと楽になったと思うな。
誰もが作曲していて、僕たちは各自のリフを巧妙にマッシュアップしているんだ。さながら大きなジグソーパズルのようにね。
Q7: You’ve worked with guest artists Steve Hackett, Hansi Kursch and Tomas Lindberg on this album. Could you tell us how you feel about having three legends appear on the record?
【CHEN】: We are privileged to be surrounded by such legends that contribute to our cause. They are now part of the bands history and together we did something outstanding and none other than making dreams come true !!
Q7: Steve Hackett, Hansi Kursch, Tomas Lindberg というレジェンドと呼ぶに相応しいゲストの参加も魅力ですね?
【CHEN】: そういったレジェンドが僕たちの作品に貢献し、彼らに囲まれて制作出来たことは本当に幸せだったね。彼らも今ではバンドの歴史の一部として刻まれ、共に素晴らしいものを作り上げたんだ。まさに夢が叶った以外の何物でもないよね(笑)。
Q8: So, doomsday clock moved to two minutes to midnight. “The world’s nuclear situation dire is to understate the danger and its immediacy”. We, Japanese are also exposed to the threat of North Korea’s nuclear weapons. Do you think music will be able to change the world?
【CHEN】: Sadly we don’t have all the powers that our politicians sitting on the big chairs possess, so our influence won’t be as big as we wanted it to be. But one has to hope, right?
Q8: 最近、世界終末時計が再度 “深夜” の二分手前まで進み話題となりました。実際、戦争や核の脅威は日本にも存在しています。ORPHANED LAND の音楽が世界を変えてくれることを願っています。
【CHEN】: 悲しいことに僕たちは、大きな椅子に座っている政治家が持つようなすべての権限を持っている訳じゃないから、影響力は僕たちが望むほど大きくはないんだよ。だけどね、一つくらいは希望が必要でしょ?