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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BAROCK PROJECT : DETACHMENT】JAPAN TOUR 2017 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LUCA ZABBINI OF BAROCK PROJECT !!

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Italian Prog Rock Bandiera, Barock Project Becomes More Modern, More Diverse, And Sometimes heavier With Their Newest Album “Detachment” !!

DISC REVIEW “DETACHMENT”

プログレッシブの血潮が脈々と流れ続ける、ルネサンス発祥の地イタリアに降臨したバンディエラ BAROCK PROJECT が、レトロとモダンを”超越”したタイムレスクラッシック “Detachment” をリリースしました!!名作 “Skyline” からよりオーガニックでマルチディメンショナルな境地へと辿り着いた75分の壮大なコンセプトアルバムは、アートワークの変化が示すように実にシリアスでパーソナル。ファンタジーの世界に別れを告げ、プログレッシブの新たな潮流ともシンクロする野心的で思慮深い作品に仕上がりました。
BAROCK PROJECT は J.S. Bach と Keith Emerson を敬愛するキーボーディストでコンポーザー、レコーディングも手がける若干33歳のマスターマインド Luca Zabbini が牽引するプログレッシブ集団。各所で高い評価を得た前作 “Skyline” からのインターバルで、バンドは不在だったベーシストとして Francesco Caliendo を得ましたが、2002年から在籍するバンドの声 Luca Pancaldi を失ってしまいます。
インタビューでも語ってくれたように、デモでは歌っていたものの自分をシンガーとして考えたことはなかったという Luca ですが、周囲の後押しもあり遂にリードボーカルも務めることを決断し傑作 “Detachment” は誕生したのです。
「”Prog” がエリートのもので、ほとんどがごく少数のコレクターにしか聴かれない状況を受け入れることに疲れ果ててしまったんだよ。」 それはまさに衝撃的な告白でした。プログロックという狭い檻に囚われているように感じていた Luca は、慣れ親しんだ領域を “Detachment” = “離脱”し、よりアクセシブルで多様性に満ちたモダン=多様な作品を制作することを決意します。
始まりの予感に満ちたピアノの小曲に導かれ、アルバムは “Promises” でその幕を開けます。イントロのエレクトロニカサウンドが好奇心を誘い、ボコーダーを使用した Luca のボーカルが複雑なドラムパターンとともに鮮やかに切れ込むとリスナーはそこに確かな変革の風を感じるでしょう。
中間部で見せるギターとハモンドのデュエルは実にアグレッシブでプロギーですが、同時にしっかりとデザインされた上で現代的にアップデートされレトロとモダンを行き交います。さらに芳醇なメロディーラインは引き継ぎつつも、ダークで内省的な Luca の声が生み出すリアリズムはポストプログの世界観にも通じていますね。
より幅広いリスナーへ届けるため多様性とキャッチーさにフォーカスしたという Luca のチャレンジは “Happy to See You” に結実しています。フォーク、ストリングス、そしてエレクトロニカを巧みに融合し独特のアトモスフィアを創出、極上のメロディーでリスナーの胸を激しく締め付ける手法は、まさに彼が人生を変えたアルバムで挙げている THE POLICE の Sting、例えば “Mad About You” を想起させますね。
TIGER MOTH TALE や CAMEL で活躍する Peter Jones がゲストボーカルで参加した2曲は中でも傑出しています。狂おしいまでに美しきバラード “Alone” はジャズのフレーバーとメランコリーを静かに湛え、”Broken” ではクラシカルやフォークを華麗にダイナミックに昇華。対照的な曲調ながら、アコースティック楽器のオーガニックな響きや張り詰めた空気感は共通しており、さらにそれこそがアルバムに貫かれた写実的なリリシズムの象徴だと感じます。
そして、Peter の John Wetton が憑依したかのような絶唱が司るメロディーの洪水はどちらの楽曲においても平等にリスナーの心を満たし遥かなる高みへと導くのです。
ソロワークやファンタジーに主眼を置く”プログレ” の世界から”離脱”し、アレンジメント、リアリズム、ダイナミズム、そして多様なコンポジションを武器に新たな旅へと繰り出した BAROCK PROJECT。アルバムに漂うある種の緊張感は、Luca のフラストレーションが表層化したものだったのかも知れませんね。
今回弊誌では Luca Zabbini に2度目のインタビューを行うことが出来ました。6月には MOON SAFARI とのカップリングで初の来日公演も決定しています。どうぞ!!

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BAROCK PROJECT “DETACHMENT” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BAROCK PROJECT : SKYLINE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LUCA ZABBINI OF BAROCK PROJECT !!

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GREAT ITALIAN NEO-PROG BAND, BAROCK PROJECT HAS JUST RELEASED DYNAMIC & BEAUTIFUL NEW ALBUM SKYLINE !!

イタリアの次世代プログロックバンド、BAROCK PROJECT が新作 “SKYLINE” をリリースしました。
ご承知の通り、過去のタイトルばかりを漁って聴かなければならないプログロック冬の時代は終焉を迎えています。DJENT、アトモスフェリックな要素を配したモダンプログメタルは世界的な人気を博していますし、所謂ネオプログなどとも称される過去のプログロックを現代的に解釈した次世代のプログロックバンドも続々と登場しています。PORCUPINE TREE, ANEKDOTEN を筆頭に、BIG BIG TRAIN, MOON SAFARI, HAKEN, RIVERSIDE といったバンドたちの躍進は目を見張るものがありますね。
今回扱うイタリアの新星 BAROCK PROJECT も彼らに続く才能だと思います。”SKYLINE” は確実に彼らの最高傑作でしょう。制作中にベーシストが脱退していますが新しいギタリスト、ドラマーを加えて、ボーカル、ギター、キーボード、ドラムという四人編成で送り出す今作は ELP, GENESIS といったプログロックジャイアント達へのラブレターであり、同時に洗練されたモダンなサウンドも兼ね備えています。
GENESIS など数多の名作でアートワークを手掛けてきた PAUL WHITEHEAD がジャケットを担当、同郷の偉大な先輩 NEW TROLLS の VITTORIO DE SCALZI がゲスト参加という話題性も充分な “SKYLINE” ですが、特筆すべきはやはりキーボーディストでコンポーザー LUCA ZAPPINI の KEITH EMERSON 譲りのダイナミックな演奏と、ハードなエッジとキャッチーさを巧に取り入れた作曲術でしょう。
例えば以前インタビューを行った MOON SAFARI にも言えることですが、決してプログロックという枠のみに留まらずより多くのリスナーにアピールするであろう方向性を模索し高いレベルで提供する彼らの意識と実力は、間違いなく人気とセールスという報酬に結実すると信じます。実際、”SKYLINE” は “THE BOOK OF LIFE” という大曲にライブテイクをボーナストラックとして加え、曲順も変更した上で MARQUEE/BELL ANTIQUE より日本盤がリリースされました。更なる快進撃、来日も期待できそうですね。
彼らはメンバー全員がイケメンという極めて貴重なプログバンドなのですが、中でも一番のイケメン LUCA ZABBINI がインタビューに答えてくれました!!

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