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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RICHARD HENSHALL (HAKEN) : THE COCOON】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RICHARD HENSHALL OF HAKEN !!

“With The Digital Revolution And The Advent Of Streaming, The Musical Market Has Become Extremely Oversaturated, Which Can Often Make It a Little Overwhelming When Looking For New Music. However I Do Think There’s Wealth Of Great Music Out There If You Dig Deep Enough. I’m Always Hugely Appreciative That Anyone Gives Their Precious Time To Listen To Our Music, Especially Since There’s Some Much Amazing Stuff Out There.”

DISC REVIEW “THE COCOON”

「作曲に関して僕たちは、これがプログなのかメタルなのか考えすぎて特定の方向性へ舵を切ったりはしないようにしているよ。特定の影響に重きを置かないことが重要なんだ。ただ自分たちが聴きたい音楽を書いて、ただ望むのはファンが楽しんでくれることだけなのさ。」
今年の Progressive Music Awards で “UK Band of the Year” を獲得したもはやプログレッシブ世界を代表するバンド HAKEN。精密と重猛の並行世界を実現するプログ最後の希望を牽引するギターヴァーチュオーゾ Richard Henshall は、ソロプロジェクトの船出に “The Cocoon” 実験の “繭” の名を与えました。
Richard が RADIOHEAD を引き合いに出した様に、プログレッシブの言霊が例えばブラックメタル、スラッジ、オルタナティブ、ジャズといった異世界によりフィットするようにも思える現代において、クラッシックなプログの鼓動を21世紀にアップデートする HAKEN のレトロフューチャーな音楽観は実に貴重で尊い孤高です。プログサウンドの海に漂うアンビエント、djent, ソウル、ジャズ、ミニマリズム、シンセポップの漂流物は、音の航海を退屈から程遠い冒険へと導いています。
「ここ何年か、HAKEN は作曲の面で以前よりもメンバー間のコラボレートが増えているんだ。だから “The Cocoon” をリリースする完璧なタイミングに思えたんだよ。」
2013年のマイルストーン “Mountain” を境に、歌詞、そして音楽の面でもコラボレートを進めてきた HAKEN はバンドとして絶対的な完成の域へと達しています。ただし、故に創立者 Richard でさえ、創造物全てを吐き出すことはもはや許されないほどに高潔な存在へと進化したのかもしれませんね。だからこそこの “繭” の羽化は Richard 自身の解放であり、自由な羽ばたきです。
「ピアノは僕が初めて恋に落ちた楽器だし、創造性の解放を求める時しばしば重点を置く楽器でもあるんだよ。同時に、家にあったアコースティックギターでギターの基礎を学んで行ったんだ。」
不穏なピアノの絶景から荒れ狂ポリリズムギターの雪崩へと繭を開くオープナー “Pupa” はプレイヤー、コンポーザーの両面から Richard のユーティリティー性を描写する絶佳の招待状です。
演奏者としてのハイブリッドな才能は続くタイトルトラック “Cocoon” で一層露わになります。「僕は BON IVER や James Blake の大ファンなんだけど、彼らからボコーダーのインスピレーションを得たんだよ。」Richard を歌の地平へと駆り立てたのは、真のプログレッシブを音楽面、テクノロジーの面でも開拓するコンテンポラリーなアーティストでした。
「作曲やレコーディングにおいて、音楽の境界を少しでも広げるなら、僕はモダンなテクノロジーも楽しんで使用しているんだ。」その言葉は CHON のチルグルーヴを帆に受ける “Silken Chains”、アンビエントやエレクトロニカを存分に抱きしめた風光 “Limbo”、hip-hop を咀嚼する “Lunar Room” が証明しています。
同時に “Cocoon” の繭は彼の中の “ジャズ” を開花させました。敬愛する DREAM THEATER のトリッキーで複雑怪奇な遺伝子を受け継ぎながら、Eric Dolphy のサクスフォンで21世紀のプログメタル異常者を演じる Richard の異能、インテンスのダンスは THANK YOU SCIENTIST と肩を並べます。
「僕は別バンド NOVA COLLECTIVE ではよりジャズの方向を目指していて、HAKEN はもちろんプログメタルの領域にあるね。だからこのソロプロジェクトで両方の影響を等しく祝えるのはクールだよね。」
そうして、彼の中のジャズとプログメタルを並列に並べたパラレルワールド “Twisted Shadows” はまさしく現在の Richard を投影した交差する音影だと言えるでしょう。”Djent Reinhardt” よろしくメタルとジャズを交互に繰り出す Richard の両刃は、鍵盤の魔術師 Jordan Rudess のロックなアグレッションとしなやかに同化し未曾有のカタルシスを創出します。さらに HAKEN の盟友 Ross Jennings の憂いを帯びた “ゴキブリ王” の歌唱と LEPROUS を想起させるシンコペーションのリズムを伴った楽曲は、21世紀プログメタルの理想形とも言える多様性と冒険心を具現化していくのです。
David Maxim Micic, Marco Sfogli といったモダンギターヒーロー、新進気鋭 BENT KNEE のメンバー、さらに CYNIC の新ドラマーに任命された Matt Lynch の参加によって、”The Cocoon” が一際強力な現代プログレッシブの怪気炎、目眩く桃源郷となっていることを付け加えて置きましょう。
今回弊誌では、Richard Henshall にインタビューを行うことができました。「僕はいつだって貴重な時間を割いて僕たちの音楽を聴いてくれる誰にでも大きな感謝を捧げているんだよ。だって世界は素晴らしい音楽に充ちていて、その中から選んでくれているんだからね。」 どうぞ!!

RICHARD HENSHALL “THE COCOON” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【TOOL : FEAR INOCULUM】


COVER STORY: TOOL “FEAR INOCULUM”

“After 13 Years Wait, Tool’s Fearless Return “Fear Inoculum” Is Not a Reformation But a Reinvention, Not Only a Look Back At The Past, But Also a Go Forward, Towards The Future.”

BIG READ: TIMELINE OF TOOL

1992: “OPIATE”

あの時点では、バンドのヴァイブは異なるものだった。音楽的に、俺らはただバンドとして自分たちの個性、パーソナリティーを見つけ出そうとしていたんだよ。あの頃のドラミングを聴くとやり過ぎだと思うこともある。」 そう Danny Carey が語れば、「L.A. に住むことで溜まった鬱憤を音楽で晴らそうとしていたね。だからあの頃の音楽は、感情的で解き放たれたプライマルスクリームなんだよ。俺は Joni Mitchell と SWANS の大ファンだったから、よりパーソナルで心に響く歌詞を目指していたんだ。」と Maynard James Keenan は語ります。
宗教や因果応報を描いた Maynard のリリックは異端の証。若さに牽引されたアグレッション、清新な表現力の躍動と、未だシンプルな設計にもかかわらずプログレッシブなヒントを覗かせるアレンジメント。”アートメタル” と謳われたデビュー EP “Opiate” には原始的な TOOL のスタンダードが確かに散りばめられていたのです。
面白い事に、Adam の担任教師は Tom Morello の母親で、Maynard と Tom は一時期バンドをやっていました。さらに Danny は Tom の紹介で TOOL に加入しています。確かにカリフォルニアから新たな何かが始まる予感はあったのです。NIRVANA のビッグセールスが後押ししたのは間違いありません。業界のハイエナたちは次の “ビッグシング” を血眼で探していました。そうして全てはこの27分から始まりました。


1993: “UNDERTOW”

デビューフル “Undertow” で、TOOL はアートメタルから “マルチディメンショナル”メタル、多次元の蜃気楼へ向けて、同時に巨大なロックスターへ向けても歩み始めました。
“Sober” や “Prison Sex” の脆くナイーブな音像はオルタナティブロックの信奉者を虜にしましたし、一方でアルバムを覆うダークな重量感は新時代のメタルを期待するキッズの新約聖書に相応しい威厳をも放っていたのです。
「彼らはメタルなのか?インダストリアルなのか?プログレッシブなのか?グランジなのか?」整然と流動、憤怒と制約、そして非言語的知性。Adam が手がけた、大手マーケットチェーンから販売を拒否された危険なアートワークも刺激的。世間は必死で TOOL の “タグ” を見つけようとしましたが、実際彼らはそのどれをも捕食したしかし全く別の何かでした。新進気鋭のプロデューサー Sylvia Massey との再タッグも功を奏したでしょうか。

“Intolerance” で自らの南部バプティスト教会の出自を、そして “Prison Sex” で幼少時に受けた性的虐待を書き殴った Maynard の情熱的で時に独白的な感情の五月雨は、JANE’S ADDICTION のアーティスティックな小宇宙、BLACK SABBATH の邪悪な中毒性、RUSH の複雑怪奇と見事に溶け合い、深みの縦糸と雄大の横糸でアルバムを織り上げていきます。
音楽的な最高到達点とは言えないでしょうが、間違いなく TOOL にとって最も反抗的でエモーショナルかつパワフルなアルバム、そしてロックの “顔” を永遠に変えたアルバムに違いありません。

1996: “Ænima”

ダイナミックな Paul D’Amour がバンドを離れてはじめてのアルバム “AEnima” は、ダークサイケデリックな音の葉で拡張する TOOL 細胞を包み込んだ芸術性の極み。進化した TOOL の宇宙空間では無数のアトモスフェリックな魂がふわふわと漂い、待ち構える鋭き棘に触れては弾け、触れては弾けを繰り返すのです。
タイトルの “AEnima” こそが最大のヒントでしょう。カール・ユングが提唱した、男性の中に存在する無意識の女性 “Anima” とアナル洗浄機 “Enema” のキメラは完全にその音楽とフィットしています。
遂に完全に見開かれた “サードアイ”。新たなベースマン Justin Chancellor はバンドに即興性とシュールでエアリーなムードをもたらしました。自虐と怒りのカタルシスを内包しつつ、広大なサウンドスケープを解き放つ “Eulogy”、Maynard の瞑想的でソウルフルなパフォーマンスが印象的な “H.” は新たなサウンドへの架け橋でした。

そうしてバンドは自らの進化を人間の進化へとなぞらえます。”Forty Six & 2″ は脳に刺激を与えるオデッセイ。現在人のDNAには、44個の常染色体と2個の性染色体が含まれています。つまり人間の次なる進化、46個の常染色体への進行は TOOL の突然変異と通じているのでしょう?
「これは変化のアルバムだ。家を掃除して、改築してやり直すためのね。」96年に Maynard はそう語っています。振り返ってみると “AEnima” はインスタントに “Nu-metal” の波へと加担したモッシュのパートタイマーを “パージ” “追放” する作品だったのかも知れませんね。言葉を変えれば、Kurt Cobain が破壊した後のポスト・ロック世界で、TOOL が “再生” を担う次の王座に座ることは多くの “ジェネレーション X” たちにとって約束されたストーリーに思えたのです。

2001: LATERALUS”

5年ののち、2001年にリリースされた “Lateralus” はミレニアムへの変遷と時代の変遷を重ねたレコードでした。当時 TOOL のファンと LIMP BIZKIT のファンの違いを尋ねられた Maynard はこう答えています。「TOOL のファンは読書ができる。より人生に精通している傾向があるね。」
そこにかつての怒れる男の姿はもうありません。ステップアップを遂げる時が訪れました。「俺たちは間違いなくパンクロックの産物だよ。ただし、ただ反抗するんじゃなく、大義のために反抗しなきゃならない。つまりこのぶっ壊れた音楽産業にだよ。俺らのゴールは、みんなが自分自身のために価値のある何かをするよう促すことなんだ。」
足の筋肉 “vastus lateralis” と外的思考 “lateral thinking” のキメラ “Lateralus” は融和と前進のアルバムです。
Alex Gray のアートワークには、脳に “神” が宿り、より深い人間の気質を仄めかします。つまり TOOL は憎悪、精神性、制限された信念といった後ろ向きなイメージを手放すよう人々に新たな詔を下したのです。
Nathaniel Hawthorne の古典 “緋文字” で David Letterman の皮肉を皮肉った “The Grudge”、人生の価値を投げかける “The Patient”、そしてコミュニケーション崩壊の危険を訴える “Schism”。「コミュニケーションを再発見しよう!」シンガーはそう懇願します。

「Robert Fripp のギタープレイが俺を目覚めさせてくれたんだ。」先ごろ Adam Jones の自らを形作ったギタリスト10人が発表されましたが、1位が Robert Fripp、2位が Adrian Belew、3位が Trey Gunn でした。つまりベスト3を KING CRIMSON のメンバーが独占するほど Adam はクリムゾンの影響下にあるわけですが、とりわけ “Lateralus” は70年代の “クリムゾンゴースト” が最も潜んだアルバムと言えるかも知れませんね。つまり決して耳に優しいレコードとは言えません。しかしその分深くワイドでもあります。
“Parabol” と “Parabola” は作品のセンターに据えられた二本柱。実験的で不気味なサウンドスケープから、アドレナリンラッシュを伴い人間の闘争と解放の驚異的なまでに動的な解釈を提示する彼らのダイナミズムは圧倒的です。
そして何よりタイトルトラック “Lateralus” は自然と芸術を駆け抜けるあのフィボナッチ数列に準じています。9/8、8/8、7/8と下降する美しき変拍子の階段は、フィボナッチ数16番目の数字987を意識して構築されました。「無限の可能性を見ろよ」と歌い紡ぐ Maynard。数学者としての TOOL と実証主義者としての TOOL は遂にここにポジティブな融和を果たしたのです。

2006: “10,000 DAYS”

さらに TOOL は “10,000 Days” で魂までをも抱きしめます。10,000日、27年とは土星の公転周期であり、Maynard の母 Judith Marie が脳卒中を患ってから死を迎えるまでの期間でもありました。
“Wings Pt 1” と “Pt 2” で、異なる巨大な概念である悲しみと信仰を同時に内包し音像へと投影する TOOL のスピリチュアルな作曲術は驚異的です。ただ、それ以上に Maynard が初期の「fuuuuuuuck you、buddy!」 といった毒づきや、中期の知的な創意工夫を超越して到達した “崇高” の領域に触れないわけにはいかないでしょう。
「10,000日とは あまりに過酷で長すぎるよ。どうか精霊と子よ、神様をこちらへ連れてきて。彼に伝えて欲しい、信仰の狼煙がいま立ち昇ったと。」
実に崇高かつパーソナルな感情は TOOL が魂の領域まで達した証明。”10,000 Days” はバンド史上最もオープンで、優しく脆く人間的で、それ故に最も感情へと喚起するアルバムに仕上がりました。そうしてその崇高は13年後の成熟へと引き継がれていくのです。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DREADNOUGHT : EMERGENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KELLY SCHILLING OF DREADNOUGHT !!

“The Term “Female Fronted” Sensationalizes Women And Turns Us Into a Gimmick. We Are All Human Beings Creating Sound And Gender Shouldn’t Be The Focal Point. “

DISC REVIEW “EMERGENCE”

「近年、音楽はジャンルの表現を超えて日々拡大していっているわ。交配と実験が重ねられているの。だからもしかしたら、ジャンル用語自体、大まかなガイドラインとして受け止められるべきなのかもしれないわね。」
プログメタル、ブラックメタル、フォーク、ドゥーム、ジャズ、チェンバー、クラシカル、ポストメタル。コロラド州デンバーに端を発する男性2人女性2人の前衛的メタルカルテットは、”恐れを抱かず” ジャンルの境界を決壊へと導く気炎にして雄心です。
現在、メタル世界の地図において最も多様で革新的な場所の1つ、ダークなプログレッシブドゥームの領域においても、DREADNOUGHT の描き出す無限の音景は実にユニークかつシームレスだと言えるでしょう。
「メンバーのうち2人が人生の大半を木管楽器をプレイしてきたから、作曲の中に盛り込みたいと考えたのね。私は10代の頃に、フォークメタルムーブメントや民族楽器を使用するメタルバンドからインスピレーションを得ているから、フルートを楽曲に取り入れたいと思うのは自然なことだったわ。」
そのドラマティックでカラフルな音の葉の根源が、演奏者のユーティリティ性にあることは明らかでしょう。インタビューに答えてくれたボーカル/ギター/フルート担当の Kelly を筆頭に、ドラム/サックスの Jordan、キーボード/ボーカルの Lauren、そしてベース/マンドリンの Kevin。典型的なロックの楽器以外をナチュラルに導入することで、バンドは多次元的な深みと自由な翼をその筆へと宿すことになりました。
火、風、水、土。THRICE の “The Alchemy Index” から10年の時を経て、今度は DREADNOUGHT が地球に宿る四元素をそのテーマとして扱います。そうして炎の獰猛と優しさを人生へと投影した最新作 “Emergence” は、バンド史上最も思慮深くアトモスフェリック、一方で最もパワフルかつ記憶に残るアルバムに仕上がったのです。
水をテーマとした前作 “A Wake in Sacred Waves” の冒頭とは対照的に、不穏に荒れ狂う5/4で幕を開けるオープナー”Besieged” は “現在最もプログレッシブなメタルバンド” との評価を確信へと導く野心と野生の炎。デリケートなジャズ/ポストロックの低温と、高温で燃え盛るブラックメタルのインテンスはドゥームの組み木で燃焼しせめぎ合い、ダイナミズムのオーバーフローをもたらします。
兆した悲劇の業火はチェンバードゥームと Kate Bush の嫋やかな融合 “Still” でとめどない哀しみへと飛び火し、その暗澹たる感情の炎は KARNIVOOL のリズムと OPETH の劇場感を追求した “Pestilent” で管楽器の嘶きと共にクライマックスを迎えます。それは過去と現代をシームレスに行き来する、”スペースロック” の時間旅行。
とは言え、”Emergence” は前へと歩き出すレコードです。KRALLICE や SEPTICFLESH の混沌とアナログキーボードの温もり、管楽器とボーカリゼーションの絶妙なハーモニーを抱きしめた “Tempered” で複雑な魂の熱を受け入れた後、アルバムはエセリアルで力強き “The Walking Realm” で文字通り命の先へと歩みを続けるのです。
もはや10分を超えるエピックこそ DREADNOUGHT の自然。それにしてもゴーストノートや奇想天外なフィルインを駆使した Jordan のドラムスは群を抜いていますし、Lauren の鍵盤が映し出すイマジナリーな音像の数々も白眉ですね。
今回弊誌では、美麗極まる歌声に激情のスクリーム、そしてマルチな楽器捌きを聴かせる Kelly Schilling にインタビューを行うことが出来ました。「フィーメールフロンテットって用語は女性を特別で、センセーショナルにする、つまり私たちをギミックに変えるのよ。私たちはみんな音を作り出す人間であって、性別を焦点にすべきではないのよね。」どうぞ!!

DREADNOUGHT “EMERGENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARCTIC SLEEP : KINDRED SPIRITS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KEITH D OF ARCTIC SLEEP !!

“So Much Metal Out There These Days Just Sounds Like a Bunch Of Random Riffs Pasted Together, With No Concern For Melody Or Song Structure Or Dynamics. It’s Just Not Memorable And So Much Of It Sounds The Same To Me.”

DISC REVIEW “KINDRED SPIRITS”

「僕は自分の音楽を表現する時、”ビタースイート” って言葉をよく使うんだけど、それは僕の音楽が憂鬱や悲しみと、心地よさや慰めのコンビネーションだからだと思う。」
“プログレッシブアトモスフェリックドゥーム”。ARCTIC SLEEP の音楽は、その耳慣れないラベルに反して実に雄弁です。スロウ&ドゥームとプログレッシブ&ビューティフル。相反する真逆の理念を見事に調和させるパラドックスの具現化は、ARCTIC SLEEP が結成当時からビッグテーマとする “生と死” を投影した対比の美学を源流としています。
ミルウォーキーのマルチ奏者 Keith D のソロプロジェクトとして2005年に産声をあげた ARCTIC SLEEP は、バンドとなり様々な紆余曲折、メンバーチェンジを繰り返して今再び Keith の手中へと戻ってきました。
ボーカル、ギター、ベース、チェロ、キーボード、ジャンベ、パーカッションなど多種多様な楽器をほぼ一人でこなす鬼才は、もはや人事やコミュニケーションに割く時間すらも惜しみながら荘厳壮大なエピックの建築を続けています。
「僕と愛猫 Yoda はとても強い絆で結ばれていたんだ。その絆がアルバムに影響を及ぼしているね。ただ、このテーマを世界中で “喪失” に苦しんでいる全ての人に届けたいという思いもあるんだよ。」
そうして完成をみた7枚目のフルアルバム “Kindred Spirits” は、亡き Keith の愛猫 Yoda に捧げられた作品であり、”喪失” に苦しむ全ての人々へ差し伸べられた救いの精神。そして、彼の根幹である “生と死” を再度見つめ直すレコードに添えられたアートワークの崇高美は、そのまま音の景色へと反映されているのです。
「僕はスロウでヘヴィーな音楽を愛している。だけど同時に、メロディックでキャッチーなソングライティングも愛しているんだ。」 暗くドゥーミーに沈み渡るリフの波、雲間をかき分け差し込むメロディーの光明、荘厳なるチェロの響き、そして押し寄せるハーモニーの洪水。バンド史上最も “聴きやすい” と語るアルバムにとって、明確なコントラストとフックを宿すオープナー “Meadows” は完璧な招待状となりました。
ANATHEMA の多幸感と KATATONIA の寂寞を同時に抱きしめるタイトルトラックで独特の牛歩戦術を披露して、OPETH の静謐を深々と “Connemara Moonset” に委ねたバンドは、8分のエピック “Cloud Map” でアートワークの黒烏と美姫の逢引を素晴らしく音で描いてみせました。それは例えば PORCUPINE TREE と ALICE IN CHAINS の理想的な婚姻。幽玄でどこか危うく、美麗でしかし憂鬱な交わりの音の葉は、全てを黒と白に決して割り切ることのできないあやふやで愛すべき世界の理をも投影しながらリスナーの感情を穏やかに喚起するはずです。
今回弊誌では、Keith D にインタビューを行うことができました。「最近は沢山のリフをランダムにコピペしたようなメタルバンドが多いけど、彼らはメロディーや構成、ダイナミズムには無関心だよ。だから記憶に残らないし、僕にとっては全部同じように聴こえるんだ。」 どうぞ!!

ARCTIC SLEEP “KINDRED SPIRITS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JOLLY : FAMILY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOE REILLY OF JOLLY !!

“I Remember When We First Started Making Music And People Comparing Us To Bands Like Porcupine Tree And Riverside. I Had Never Heard Of These Bands Before, So I Was Confused By The Comparison, And Realized There Was a Whole World Of Music To Learn About.”

DISC REVIEW “FAMILY”

「僕は JOLLY が音楽を作り始め、そして人々が僕らを PORCUPINE TREE や RIVERSIDE のようなバンドと比較し出した時のことを覚えているよ。それまで僕はそういったバンドを聞いたことがなかったから、その比較にわりと混乱して、学ぶべき音楽の新たな世界があることに気づいたのさ。」
プログワールドの外界から訪れたポジティブな侵略者 JOLLY は、そのオルタナティブな感性でジャンルの境界を拡大します。
「当初、僕たちにプログのラベルがつけられるのには時間がかかったんだ。それはプログが、ELP みたいにスーパーテクニックとか父の世代のキーボードを使ったバンドであることに関係していたからだと思うんだけど。どちらも JOLLY らしくはないよね。」
JOLLY のカラフルなサウンドスケープと濃密なエモーションを司る、音彩の魔術師 Joe Reilly は、バンドの “プログ” タグがジャンルの象徴だったハイテクニックよりも、現代的な多様性や実験性によるものだと認めています。
実際、Joe は、アトモスフィアの概念に目覚めテクニックの意味を問う “モダンプログ” を定義した PORCUPINE TREE や RIVERSIDE でさえ、認知したのはごく最近のことだったのですから。プログの世界にありながらプログをルーツとしない JOLLY の光芒はジャンルにとってかけがえのない特異点であるはずです。
RADIOHEAD や SMASHING PUMPKINS, そして STONE TEMPLE PILOTS といった90年代の偉大な血脈を出発点としながら、サウンドトラックやシンガーソングライター、R&B、アンビエントにチップチューンまで野心的に咀嚼し、MESHUGGAH 由来の重量感とメインストリームのポップなセンスの両極性を吐き出す JOLLY の多様性、実験精神が、結果として実に “プログレッシブ” なサウンドを紡ぎ出す逆転のパラダイム。その革命的な発想の転換は、バンドのテーマやコンセプトにも如実に現れています。
“The Audio Guide To Happiness”、”幸せになるためのオーディオガイド” から6年のインターバルでリリースされた最新作のタイトルはシンプルに “Family”。ダークでアンハッピーなテーマが踊るロックの世界で彼らのタイトルはポジティブで確かに異端です。
ただし、そこにも JOLLY の持つ二面性、両極性がしっかりと反映されています。「基本的にロックカルチャーのオーラってダークでアンハッピーなものだよね。ただ、そういったダークでアンハッピーなオーラも、君が言及したようなポジティブなムードを存在させるために早くから JOLLY の文化に共存しているんだよ。常に反対側は必要だからね。だから僕たちの歌詞の多くは、美しい瞬間とダークなセンスが共存しているんだよ。」
この6年でバンドはハリケーンに機材を破壊され、愛する友人たちも失いました。同時にメンバーは新たな命も授かっています。JOLLY が提示した “家族” の意味がより深い場所にあることは明らかです。
R&B の息吹を宿す “Lie to Me”、オリエンタル&スペーシーな Devin “Jolly” Townsend “Lazarus (Space Marsala)”, チップチューンと80年代への憧憬を込めた “Ava”、夢幻の天国 “Circuit Heaven”。そうして JOLLY の冒険は、音楽的な “家族” であった RIVERSIDE のギタリスト Pitor に捧げる “Let Go” へと収束します。
ノスタルジックでエモーショナル、COLDPLAY のように繊細かつダイナミックな壊れ物のメロディーを宿す楽曲は、しかし11分の一大プログレッシブ絵巻として傑出した存在感を放っています。その悲壮と叙情、静謐と重厚のハーモニーは必ずや聴くものの心を打つはずです。
「彼との友情は僕たち全員に永久的な影響を与えたんだよ。」プログレッシブとオルタナティブのキメラとして異端の扱いを受けたバンドを “ファミリー” として受け入れてくれた Pitor の優しさは、きっと時を経ても失われることはないでしょう。
今回弊誌では、Joe Reilly にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちの音楽スタイルは非常に複雑というわけじゃないと思うけど、少し多様だから、プログレッシブやオルタナティブのみの説明では不十分だと感じる人がいるだろうから両方を言わなければならないんだ。」どうぞ!!

JOLLY “FAMILY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DIAMOND HEAD : THE COFFIN TRAIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRIAN TATLER OF DIAMOND HEAD !!

“Once I Had Heard Some Of The Other NWOBHM I Usually Thought We Were Better. We Compared Ourselves To The Biggest Rock Bands In The World Not Just To The Bands In This New Movement. Even Now I Try To Write a ‘Great’ Song.”

DISC REVIEW “THE COFFIN TRAIN”

「今でも俺は “偉大な” 楽曲を書こうとしている。過去の焼き直しを行わず、ダイナミズムをアレンジに持ち込もうとしているんだ。」
来年、自主制作のデビューアルバム “Lightning to the Nations” リリース40周年を迎える NWOBHM レジェンド DIAMOND HEAD は、ほぼ半世紀の活動を経てもその創造性、野心、チャレンジングスピリットに陰りを見せず進化を続ける稀有なるバンドです。
70年代後半、世界を支配していたパンク/ニューウェーブへのカウンターとして勃興した NWOBHM。しかし、”オールドウェーブ” として追いやられていたハードロック/メタルの圧倒的な逆襲には、振り返ると “典型的” なメタルサウンドを掲げるバンドは少なく、重金属のユニークなおもちゃ箱の様相を呈していたようにも思えます。
IRON MAIDEN のプログレッシブな感性、DEF LEPPARD のメジャーなセンス、ANGEL WITCH, WITCHFINDER GENERAL のドゥームな息吹、そしてエクストリームミュージックの雛形となった偉大なる VENOM。ムーブメントに兆したメルティングポットの理念は、今日のモダンメタルの地平まで受け継がれています。
あの Steve Harris をして “Next Zeppelin” と言わしめた DIAMOND HEAD の才能は、新たな波においても抜群の光芒と独自性を放っていました。Lars Ulrich も認める “スラッシュのオリジネーター” Brian Tatler が生み出すヘヴィーなリフの数々は 「俺自身はプログバンドの大ファンだった」 と語る通り BUDGIE のごとく見事に屈折し、Sean Harris のオジーが ZEP をソウルフルに歌ったような不思議な歌唱と不思議にマッチすることで、メタル本来のミステリアスでダークなカタルシスを創生していたのです。
ブームの終焉と共に消えてしまったバンドは、METALLICA によるクールなカバーと Dave Mustaine の助力により復活を遂げます。オリジナルメンバーは Brian のみとなってしまいましたが、ポジティブに新たな血を取り入れ最高傑作とも言える “The Coffin Train” を2019年に完成へと導きました。
バンドのトレードマークであるエキサイティングな暴走特急 “Belly of the Beast” で発車する “柩列車” はしかしタイトルトラック “The Coffin Train” でその色を変えます。
「Ras のおかげで DIAMOND HEAD は新たな地平を拡大して、よりモダンなサウンドを得ることができたんだ。この作品は、言ってみれば21世紀のための DIAMOND HEAD さ。」
そう、Brian が語るようにこれは21世紀の NWOBHM そのものです。デンマークに生まれロンドンを拠点とする加入2作目のシンガー Rasmus Bom Andersen の類稀なる才能と Brian のプログレッシブな理想はここで奇想天外に噛み合いました。
ダークでムーディー、そして重くプログレッシブな曲調は、Ras の Chris Cornell を想起させる卓越した歌唱を導き絶大なるエモーションを創出します。実際、Ras が披露するレンジの広さと豊かな声量、込められた感情の素晴らしさ、さらにコンポーザー&プロデューサーとしての高い技量は Chris の正当後継者として完璧な資質を備えていますね。
「俺はこういった、70年代のクラッシックロックにインスピレーションを得たエピックを愛しているし、DIAMOND HEAD がデビュー以来やり続けてきたことでもあるね。俺は “Kashmir”, “Child in Time”, “Victim of Changes”, “Xanadu”, “Watcher of the Skies” といったエピックを聴いて育ったんだから。」
事実、”The Coffin Train” はエピックの宝庫です。オーケストレーションを施した “The Sleeper”、”Until We Burn” のフックに満ちた英国のドラマ性、叙情性は筆舌に尽し難く、その陰影のダンスは Brian が楽曲に最も求めるダイナミズムを濃密に映し出しているのです。
さらに、オリエンタルな “Shade of Black”, グランジーな “Serrated Love” では、オルタナティブやインディーまで新鋭のサウンドもしっかり受け止める Brian の包容力と、瑞々しい感性で SOUNDGARDEN, Chris を愛する Ras のモダンな感覚が完璧に融合し、NWOBHM のユニークな精神を現代へと昇華することに成功しています。
偉大なバンドの偉大なレコード。今回弊誌では、伝説 Brian Tatler にインタビューを行うことが出来ました。「NWOBHM は DIAMOND HEAD にとって便利なムーブメントだった。当時他の NWOBHM バンドを聴くと、俺は大抵俺らの方が良いなと思っていた。と言うよりも、あの新たなムーブメントの中にいるバンドより、世界でもビッグなバンドと比肩していると考えていたんだよな。」 どうぞ!!

DIAMOND HEAD “THE COFFIN TRAIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE ARISTOCRATS : YOU KNOW WHAT…?】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARCO MINNEMANN OF THE ARISTOCRATS !!

“All I Can Say In Retrospect Is That We Had a Great Chemistry And I Guess It Shows And After All I’m Still In Touch With DT And Collaborate With Jordan On Many Projects And Also Was Planning To Do Something With John Petrucci For a While. I Was Just Personally The Right Fit. I Listened To Completely Different Kind Of Music And Never Heard DT Songs Or Owned Their Albums. That Was The Biggest Deal For Them.”

DISC REVIEW “YOU KNOW WHAT…?”

「”You Know What…?” で僕らはソングライター、ミュージシャンとして互いにインスパイアし、バンドとして未踏の領域を目指したよ。バンドはその親密さを増し、互いを深く知ることが作品の限界を広げる結果に繋がったね。それでもこれは完全に THE ARISTOCRATS のアルバムだよ。だからこそ、これまでの作品で最高にクールなんだ。」
プレスリリースにも示された通り、”You Know What…?” は THE ARISTOCRATS が追求する “ミュージシャンシップの民主主義” が結実したインストライアングルの金字塔です。
Guthrie Govan, Bryan Beller, Marco Minnemann。ギター、ベース、ドラムスの “特権階級” “最高級品” が集結した THE ARISTOCRATS は、その圧倒的な三頭ヒドラの無軌道な外観に反してデモクラシーをバンドの旨としています。実際、これまでのレコードでも彼らは、それぞれが各自の特色を内包した3曲づつを持ち寄り、全9曲の和平的 “カルチャークラッシュ” を巻き起こしてきたのですから。
「僕たちは全員が異なるスタイルを持っているね。だけどその互いの相性が THE ARISTOCRATS を形成しているんだ。」Marco の言葉はその事実を裏付けますが、ただし “You Know What…?” を聴けば、バンドのコンビネーションやシンクロニシティー、共有するビジョンが互いの個性を損なうことなく未知なる宇宙へ到達していることに気づくはずです。
オープナー “D-Grade F**k Movie Jam” は彼らが基盤とするジャズロック/フュージョンの本質であるスポンティニュアスな奇跡、瞬間の創造性を体現した THE ARISTOCRATS ワールドへの招待状。
眼前に広がるは真のジャムセッション。徐々に熱量を増していく新鮮な Guthrie のワウアタック、極上のグルーヴとメロディーを融合させる Bryan のフレットレスベース、そしてソリッドかつアグレッシブな手数の王 Marco。時に絡み合い、時に距離を置き、ブレイクで自在に沸騰する三者の温度は Beck, Bogert & Appice をも想起させ、ただゲームのように正確に譜面をなぞる昨今のミュージシャンシップに疑問を呈します。
トリッキーな6/8の魔法と両手タッピングからマカロニウエスタンの世界へと進出する “Spanish Eddie”、サーフロックとホーダウンをキャッチー&テクニカルにミックスした “When We All Come Together” はまさに THE ARISTOCRATS の真骨頂。ただし、70年代のヴァイブに根ざした刹那のイマジネーション、インプロの美学は以前よりも明らかに楽曲の表層へと浮き出てきているのです。
KING CRIMSON のモンスターを宿す “Terrible Lizard”、オリエンタルな風景を描写する “Spiritus Cactus” と機知とバラエティーに富んだアルバムはそうして美しの “Last Orders” でその幕を閉じます。Steve Vai の “Tender Surrender” はギミックに頼らず、トーンの陰影、楽曲全体のアトモスフィアでインストの世界に新たな風を吹き込んだマイルストーンでしたが、”Last Orders” で彼らが成し得たのは同様の革命でした。
それはインタープレイとサウンドスケープ、そしてエモーションのトライアングル、未知なる邂逅。さて、音楽というアートはそれでも正しいポジション、正しいリズムを追求するゲームの延長線上にあるのでしょうか?
今回弊誌では、Marco Minnemann にインタビューを行うことが出来ました。DREAM THEATER のドラムオーディションには惜しくも落選したものの、マルチプレイヤーとしてソロ作品もコンスタントにリリースし、近年では Jordan Rudess, Steven Wilson, RUSH の Alex Lifeson とのコラボレートも注目されています。
「個人的には完璧に DREAM THEATER にフィットしていたと思うよ。ただ僕は彼らとは完全に違う感じの音楽を好んでいるし、DREAM THEATER の楽曲を聴いたこともなければアルバムも持っていなかったからね。それがオーディションの中で彼らにとって大きな意味を持ったんじゃないかな。」日本のサブカルチャーを反映したTシャツコレクションも必見。二度目の登場です。どうぞ!!

THE ARISTOCRATS “YOU KNOW WHAT…?” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANUP SASTRY : ILLUMINATE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANUP SASTRY !!

“I Don’t Really Think “Djent” Movement Has Gone Away Or Anything. The Entire “Djent” Idea Really Just Falls Under The Larger Category Of Progressive Metal, In My Opinion. Bands Have Been Incorporating Small Pieces Of That “Djent” Style For Years.”

DISC REVIEW “ILLUMINATE”

「両親共にインド出身なんだ。ただ、僕はワシントンDCで生まれ、そのエリアの郊外で育ったんだよ。」
ハイテクニカルドラマー、コンポーザー、レコーディングエンジニア、プロデューサーとしてキャリアを重ねる Anup Sastry は、ワシントンエリアのプログメタルを牽引する雄心であり、世界と興起するインドメタルの地平を繋ぐ架け橋です。
プログのネットワークが彼の存在に気づいたのは2011年のことでした。Anup が YouTube にアップした PERIPHERY のカバー “New Groove” は圧倒的な異彩を放っていたからです。流麗かつ繊細なコンビネーション、革新的なタム&シンバルサウンド、体格を活かしたハードヒット、そして決定的なグルーヴ。独特のテクニックで PERIPHERY を料理したコックの手腕には理由がありました。
古くからの友人で、THE FACELESS, GOOD TIGER など数多の “Tech-metal” アクトで辣腕を振るう Alex Rudinger との切磋琢磨、さらに他ならぬ PERIPHERY の Matt Halpern, Travis Orbin への師事。置かれた環境と抜きん出た才能は、そうして Anup を “Djent” ムーブメントの最前線へと誘うことになりました。
「僕たちは “Djent” をプレイすることにはあまり焦点を当てていなくて、ただ創造的でヘヴィーな音楽を書こうとしていたんだよ。」
インドのライジングスター SKYHARBOR のポリリズミックグルーヴに寄与し、トロントのインストゥルメタルマスター INTERVALS のカラフルな創造性を後押しした Anup のドラミングは、”Djenty” と呼ばれるモダンなリズムアプローチの象徴にもなりました。
ただし、ムーブメントの震源地で迸るマグマとなっていたマイスター本人は、 “Djent” にフォーカスしているつもりはなかったようですね。実際、Anup はこの時期、よりメインストリームのギターヒーロー Marty Friedman や Jeff Loomis にも認められレコードやツアーに起用されています。
とはいえ、一方で Anup は “Djent” が残した功績、レガシーを高く評価もしています。「”Djent” というジャンルについてだけど、僕は本当にムーブメントが過ぎ去ってしまったようには思えないんだ。”Djent” の包括的アイデアは、より大きいプログメタルというカテゴリーにしっかりと根付いている。僕の考えではね。つまり、ここ何年か多くのバンドは “Djent” のスタイルのピースを取り入れている訳さ。」
過ぎ去った言われるムーブメントとしての “Djent”。しかし Anup はプログメタルという “大きな傘” の中でその理念やグルーヴが息づき進化を続けていると主張しているのです。
実際、彼がリリースした最新作 “Illuminate” は、”Djent” のレガシーとモダンメタルの多様性が溶け合った挑戦的かつプログレッシブなルミナリエ。そして、これまでインストゥルメタル道を突き進んでいた Anup が、欠けていた最後のピースとして3人のボーカルを全編に起用したマスリスナーへの招待状です。
“The World” で “Djent” の遺伝子に咆哮を響かせる Chaney Crabb、KORN をイメージさせるタイトルトラック “Illuminate” では Mike Semesky が一際陰鬱な表情を加え 、デスコアの猟奇 “Beneath the Mask” と PERIPHERY のダイナミズム “Story of Usで歌唱をスイッチする Andy Cizek の汎用性も見事。ただし最も見事なのは、ワイドで魅力的な楽曲群を書き上げ、ほぼ全ての楽器を自らでレコーディングした Anup Sastry その人でしょう。
「僕はそのやり方を “プログラミングギター” と呼んでいたんだ。とはいえ、サウンドは本物のギターなんだよ。基本的に僕はリフを一音づつ、もしくはすごく小さいパートをプレイしレコーディングするんだ。つまり、結局編集に大きく頼って細切れを繋げているんだよ。」
チートにも思える彼のレコーディング方法は、しかし弦楽器の達人ではないミュージシャンにとって1つの可能性なのかもしれませんね。
今回弊誌では、怪人 Anup Sastry にインタビューを行うことが出来ました。実は今年、古巣 SKYHARBOR にヘルプで参加しライブを行っています。「プログメタルは、メタルの中でも常に新たなクリエイティブなサウンドを求める性質を持っているジャンルだ。だから僕にとって “Djent” とは、どちらかと言えば、プログメタルというもっと大きな傘の中で探求を続ける、また違った推進力になったと思えるね。」  先日インタビューをアップした ARCH ECHO の Adam Bentley もゲスト参加。どうぞ!!

ANUP SASTRY “ILLUMINATE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【BARONESS : GOLD & GREY】


COVER STORY: BARONESS “GOLD & GREY” !!

“John Baizley And Baroness have battled through Life-Threaten Bus Accident to make a life-affirming record “Gold & Grey”. Baroness’s Color Cycle Has Come To An End, But Their Art Journey Will Not Stop!”

ABOUT COLOR WHEEL AND “GOLD & GREY”

「全ては色相環、カラーホイールから始まったんだ。」
アートメタルを切り開く BARONESS のフロントマン John Baizley は、色彩をテーマとしたアルバムタイトル、アートワークの起源をそう明かします。赤、青、黄緑、紫と色を紡ぎ続ける音画家がそうして次に選んだ輝きは黄金の灰でした。
「俺はアートスクールでアートの歴史や理論を学んだんだ。」驚くことに、John Baizley は全てのアートワークを自らで描いてもいます。
「普通のアーティストなら、カラーホイールは赤、紫、青、緑、黄、オレンジとなっているだろう。だけどオレンジがこのアルバムに相応しい色だとは思えなかった。それに “Gold & Grey” の方がソフィスティケートされているだろ?」
その音楽と同様に、”Gold & Grey” のアートワークは John の最高傑作と言えるでしょう。何百時間を費やし、ダリの万華鏡を封じたそのアートは、2007年 “Red” に端を発する色物語を終わらせる完璧なピースでした。
もちろん、WEEZER をはじめ色をテーマとしたアルバムの作り手は決して少なくありません。ただし、BARONESS はそのコンセプトをネクストレベルへと進めています。
「アートワークはリスニング体験と切っても切り離せないものだ。PINK FLOYD の “The Dark Side of the Moon” を聴けばリスナーは必ずすぐにあのプリズムとレインボーを思い出すだろう。音楽以外でリスナーを惹き付けるアートワークは、ただ聴くだけの体験とは別次元の体験を生み出すんだよ。」
アートワークに注がれる全ては、個人的な、特別な理由であると John は語っています。
「俺はいつだって人生からアートを描いている。モデルを使って、俺が描きたいものを探していくのさ。そのプロセスがまるで火花が散るように俺の興味を刺激するのさ。」
人生の変化、バンドの進化を象徴するものこそがアートワーク。
“Gold & Grey” は長年ギタリストを務めた Peter Adams 脱退後初のアルバムとなりました。2015年、”Purple” で大成功を収めたバンドは、新たに Gina Gleason を起用することに決めたのです。
「Gina とはフィラデルフィアで出会ったんだ。俺たち両方が住んでいる場所だ。Peter とは実に良い別れ方だったから、後任を探す時間も充分で、結果として最高にオーガニックな移行となったね。」
元 Cirque du Soleil のギタリストで、Santana にも起用されていたジャムのスペシャリスト Gina の加入は “Gold & Grey” をアートワークのように多様で入り組んだ螺旋の作品へと昇華させました。
温かみや憂いを湛えるシンセサイザーが重要な役割を果たす一方で、オールドスクールなインプロジャムも作品の肝となりました。何より、Gina のドリーミーなコーラスワークはバンドの新たなウェポンです。
モダン=多様性のポストミレニアムメタルにおいて、プログ、スラッジ、サイケデリック、エレクトロニカ、マスロック、インディーロック、デリケートなピアノの響きにスペイシーなサウンドエフェクト、そしてノイズの洪水までエクレクティックを極めたアルバムは “複雑なパズル” だと John は語ります。
「注意深く聴けば、全ての楽曲が何かで繋がっていることが分かるはずさ。メロディーであったり、リズムであったり、1箇所以上繋がっている楽曲だってあるよ。まるでオーディオのイースターエッグが隠されているようなものだよ。」
John はジャンルの話を好みませんが、1つのジャンルに固定されることほど彼を苛立たせるものはありません。実際、アンセミックでエナジーに満ち溢れ、静謐から轟音まで支配するこの作品はストーナーはもちろん、もはやメタルの狭い枠にすら収まることはないでしょう。
「ストーナーメタルの一言だけで全てをカバーできるアルバムではないよ。ロックバンドと名乗るかメタルバンドと名乗るかだけでも、リスナーに相当異なる印象を与える。だけどストーナーメタル?そんなの分かる人いるのかな?」
BARONESS の色円は終わりを迎えますが、彼らの旅が終わる訳ではありません。
「色をテーマとしたアルバムが6枚も続くなんてね。だけど、俺はこれからも描き続けるよ。アートに終わりはないんだから。」

BARONESS “GOLD & GREY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARCH ECHO: YOU WON’T BELIEVE WHAT HAPPENS NEXT!】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM BENTLEY OF ARCH ECHO !!

“We Felt It Would Be Fun To Go Against The Typical Trends And Have Something More Comical. We Have Fun And Don’t Take Things Too Seriously, And The Artwork Reflects That.”

DISC REVIEW “YOU WON’T BELIEVE WHAT HAPPENS NEXT!”

2010年代の幕開けを前に ANIMALS AS LEADERS が放ったセルフタイトルの煌きは、”Instru-metal” シーンに劇的な転調をもたらしました。
ネクストレベルのテクニック、グルーヴ、創造性、そして多弦の魔法は、Djent ムーブメントの追い風も受けて同世代を激しく刺激し、さらに綺羅星のごとき後続を生み出すこととなったのです。
鬼才のマイルストーンを道しるべに、自らのインスト道を極める俊英たち。彼らはあたかも大樹から自在に伸長する枝葉のように、モダンプログレッシブの世界を細分化し多様に彩りました。
日本が誇る ichika や THE SURREALIST のアンビエントな冒険は出色ですし、同じく日本人 Yas Nomura が所属する THRAILKILL や THE RESONANCE PROJECT の知性と際立った完成度、さらに王道をひた走る主役 POLYPHIA, CHON のチルアウトしたマスライド、Felix Martin の踊る蜘蛛指、Sarah Longfield の眩いエレクトリックパレード、そしてもちろん素晴らしきマスコット、ヒキニート先輩とまさに多士済済、群雄割拠のインストシーン。
ただし、楽器のディズニーランドへと舞い降りた万華鏡の新世代は、トレンドを恐れず喰らい、ジャンルに巣食うマニアの呪縛をも意に介さない点で共闘し、よりマスリスナーへとワイドなアピールを続けているのです。
中でも、あの Steve Vai をして最も先進的なギタープレイヤーの一人と言わしめた Plini の出現を境として、”Fu-djent” の華麗な波が存在感を増しています。Djent のグルーヴを受け継ぎながら、より明確なメロディーとハーモニーを軸に据え、フュージョンの複雑性とキラキラ感をコーティングしたカラフルなイヤーキャンディーとでも言語化すべきでしょうか。隠し味は、音の隅から隅へと込められた類まれなるメジャー感なのかも知れませんね。
INTERVALS, OWANE, Jakub Zytecki, Sithu Aye, Stephen Taranto といったアーティストが “Fu-djent” の魅力を追求する中でも、あのバークリー音楽院から登場した ARCH ECHO の風格とオーラはデビュー作から群を抜いていたようにも思えます。
違いを生んだのは、彼らがより “バンド” だった点でしょうか。名だたるプレイヤーを起用しながら確固とした主役が存在する他のアーティストと比較して、ARCH ECHO はダブルギター、キーボード、ベース、ドラムス全員が主役でした。故に、プログからの DIRTY LOOPS への返答とも称されたコレクティブでファンキー、ウルトラキャッチーな “Hip Dipper” が誕生し得たのでしょう。
最新作 “You Won’t Believe What Happens Next!” は、さらにバンドとしてのシンクロ率を高め熟成を深めた作品です。
「僕たちはバンドを楽しんでやっているし、シリアスに物事を捉え過ぎてはいないんだよ。アートワークはそのアティテュードを反映しているんだ。」
プロデューサーとしてもシーンに一石を投じる Adam Bentley は、”次に何が起こるかきっと君は信じられないだろう!” というタイトル、プログらしさの真逆を行くコミカルなアートワーク、そしてもちろんその音楽も、全てが “楽しさ” に由来する創造性や意外性であると語ってくれました。そして確かに、彼らの新たな旅は意外性に満ちています。
「このアルバムではよりフュージョンを目指した方向性をとったんだ。それに、よりテクニカルにもなっているね。」
一見 “Hip Dipper” 同様メジャー感を前面に押し出した “Immediate Results!” でさえ、その実予測不能のポリリズム、緩急のダイナミズム、スピードの暴力、デュエルの激しさなど総合的な複雑性、テクニカルメーターは前作を大きく凌いでいます。
加えて、”Stella” が象徴するように Djeny な重量感は一層深くバンドの音の葉へと馴染み、一方で “Bocksuvfun” や “Iris” に浸透した RETURN TO FOREVER 譲りのトラディショナルなフュージョンサウンドもそのリアルを増しているのです。
すなわち、バンド全員のインストゥルメタルスーパーパワーを集結し、リラックスしたフュージョンマインドとテンション極まるチャグアタックを渾然一体に導く蜃気楼のパラドックスこそ ARCH ECHO の天性。
今回弊誌では、Adam Bentley にインタビューを行うことが出来ました。「ジャクソンのギターを使っているのは、僕のメタルとプログメタルに対する愛が故なんだよ。」名曲 “Color Wheel” を追加収録した日本盤は、7/17に P-VINE からリリース。どうやら待望の初来日も期待できそうですね。どうぞ!!

ARCH ECHO “YOU WON’T BELIEVE WHAT HAPPENS NEXT!” : 9.9/10

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